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第二章 騎士となるために
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夕暮れ時のグランドに一つの影があった。一心不乱に剣を振るのは一八。授業後の日課としていたロードワークを断り、一人で素振りをしている。
一万回の素振りをしても疲れないようになっていた一八だが、息が荒い。なぜなら彼は一振り一振りに最大魔力を込めていたからだ。
「斜陽とはよく言ったものだな?」
一八は背後から声をかけられていた。別に誘ったわけでもなかったが、グランドに現れたのは玲奈だ。彼女もまた奈落太刀を帯刀していることから、素振りをしにやって来たのだと思う。
「ん? どういうことだ?」
玲奈の話に一八は手を止めて問いを返す。息を整えるつもりか、額の汗を拭いながら玲奈を振り返っている。
「そのままだ。遠目に見るとまるで夕陽にしか見えん。して貴様はその振りを習得したのか?」
具体的な内容ではなかったけれど、一八は察している。まさに玲奈が話す通りであったから。彼は学んだことを実践しているに過ぎないのだ。
「まだ完成はしてねぇ。もう四ヶ月も魔力調節を学んできたんだ。今日の授業で少しコツを掴んでな。それを身体で覚えているところだ」
「ほう、それにしてはなかなかのものだな? 奈落太刀がかなり長く見える。拡がりを抑えて剣先を延長したような炎の刃。雑魚なら一振りで殲滅できそうだ」
一八が特訓中の剣術は属性発現を任意の形に変えることである。刀身に纏う炎を剣先に集め、恰も超長尺であるかのように刀身を延長しようとしていた。
「菜畑先生は本当にすげぇんだ。基礎魔道を履修して良かったぜ!」
「なるほど、菜畑教官か。確かに乱戦になるとリーチがものを言うな。一八、そのコツとやらを教えてくれ」
意外にも玲奈は一八に教えを請う。
今までずっと一八が玲奈から教わっていたのに。ここに来て一八が玲奈に指南するなんて一年前からは考えもしないことであった。
一八は笑みを浮かべている。玲奈は純粋に強さを追求しているのだ。彼女が聞いてくるということは、自身の方向性が間違っていないことを意味する。
「魔力の練り方は変わらねぇんだが、剣に伝達するよりも前に成形するんだ。イメージは槍のような感じ。でも少しずつ放出しては駄目だ。練った分だけそのまま一直線に。剣先を意識してどこまで伸ばすかを頭に投影しろ。集中してねぇと魔力は直ぐに分散しちまうからな」
ふむっと玲奈。上手く説明できたとは思えなかったが、彼女は徐に鞘から零月を抜く。
一度垂直に立てて剣先をジッと見つめてから、玲奈は魔力を込めた。
刹那に刀身が雷を纏う。爆ぜるような音を響かせながら、重厚なる刃となっていく。
「むぅ、これは難しいな……」
ところが、失敗であったらしい。いつも通りに雷は刀身の周囲に発現するだけであった。
「雷属性はイメージが難しいよな。いっそ落雷をイメージしてみろよ?」
「おい一八! 私のは静電気だと言っただろう! 断じて稲妻などではないっ!」
そういえば玲奈はトラウマを払拭するため、自身の属性発現を静電気だと思い込むようにしていた。だからこそ一八の話を受け入れるわけにはならない。
「しかしな、イメージが大切だと菜畑先生は言ってたんだ。実際に先生が作り出した炎を参考にして俺はコツを掴んだし」
「むむむ、落雷か……」
想像するだけで鳥肌が立つ。手の平に嫌な汗を感じている。だが、静電気のようなイメージでは一八がしていたような発現は不可能だった。
「一八、骨は拾ってくれよ……」
「そこまでかよ!?」
返事はせず玲奈は上段に刀を構えた。ふぅっと深い息を吐いてから、彼女はイメージしていく。生まれてから今までずっと苦手だった落雷。天界で幾度となく受けたあの神雷のような一直線に落ちる雷を……。
「うわぁぁあああっっ!!」
勢いよく振ったというより、頭の中のイメージを掻き消すかのような一振り。恐怖に耐えられなかった玲奈は途中で思考を止めていた。
しかし、属性発現は成されている。だが、それは属性発現に括られるのかどうか分からない。なぜなら刀身を延長するような発現ではなく、あろうことか彼女の属性発現は剣先を離れ、壁へと向かって撃ち出されていたのだ。
「マ、マジかよ……?」
一八は唖然と雷が撃ち出された壁を見ている。木っ端微塵に吹き飛んだ瓦礫はその威力を物語っていた。
「おい玲奈! 今のどうやったんだ!? 俺はそれがずっとしたかったんだ!」
今度は一八が聞く。ずっと遠距離攻撃を求めていた彼は玲奈が撃ち出した雷に驚きを隠せない。
「い、いやその……。イメージを途中で止めた……」
「止めた……?」
一八は考える。頭の中で炎が飛び出すイメージをしたことはあったが、成功したことなどない。だが、玲奈は稲妻をイメージし、それを途中で止めたという。
「もしかして、属性発現はキャンセルできない?」
考える通りであるならば、発現イメージに魔力は縛られているのかもしれない。
「そいや先生は属性発現のコツとして発現元となる剣先のイメージと魔力を結びつけると言ってたな……」
一八は習った通りに剣の先だけをイメージし、刀身を炎にて伸ばすことができた。玲奈の場合は発現途中で全てをキャンセルしたことになる。
「おい、玲奈! もう一度やって見せてくれ!」
「貴様は鬼か!? 私は別に柄のデバイスで遠距離攻撃は事足りているんだぞ!?」
「いいから早くやれ!」
冷や汗をかく玲奈に一八は命令している。じっくり観察をし、魔力の動きを見極めようとして。
「これは貸しだぞ? あと壁の破壊は貴様が謝っておけ!」
ぶつくさ言いながらも玲奈は零月を構えた。例によって上段から勢いよく振り下ろされていく。
「うあああぁあぁあああっ!?」
またも取り乱す玲奈。しかし、この度も雷撃が発射されていた。
一八は瞬きすらせず、全てを見ている。振り下ろす瞬間に魔力の光が流れていく様子。刀身に留まりきれず、撃ち出されてしまった稲妻の全貌を。
「これだ……。撃ち出された速さとイメージのキャンセル。勢いのまま撃ち出されたのは、やっぱ魔力が行き場を失ったからだ……」
通常の魔力発現ではイメージによって魔力が固定される。だからこそ剣に纏うように発現するのだ。幾ら発射のイメージをしたとして魔力は発現元となった刀身に固定されたままだった。
「こらぁ! 貴様ら何をやっている!」
どうやら相次ぐ爆発音に教官が気付いてしまったらしい。やって来たのは剣術科主任の西大寺に他ならない。
面倒なことになったけれど、一八は自分も試したくなっていた。どうせ怒られるのだ。もう少し壁を破壊したところで小言が増えるとは思えない。
「まずはイメージ……」
煮えたぎる炎。だが、スピード感も必要だった。魔力が刀身に固定できなくなるほどの速さ。稲妻を炎に置き換えて一八は思考している。
あとは振り下ろす直前に刀身のイメージをキャンセル。一連の流れを頭に置きながら一八は振りかぶっていた。
「いけぇっ!!」
勢いよく振り下ろされる斜陽。いつも通りに軌跡には炎が残ったけれど、一八はここでイメージをキャンセルし、魔力が撃ち出される時を待つ。
「ぶっ放せぇぇえええっ!!」
刹那に一八の視界は炎で覆い尽くされていた。明らかに飛んではいなかったけれど、いつもの発現とも明確に異なっている。
「なっ!?」
それを目撃した西大寺が絶句している。今し方見たものは知っている属性発現と違ったから。剣に纏う魔力が属性を帯びることこそが、西大寺の知る属性発現であったのだ。
「奥田、何をした!?」
堪らず問い質す。剣の先に生まれた巨大な火球について。程なく消えたそれが何であるのかと。
声に振り返る一八。一定の確信を得ている。だからこそ自信満々に返すだけだ。
「先生、ただの属性発現っす!」
西大寺は首を振る。明らかに刀身を離れていた炎を彼が見逃すはずもない。
「どうやった? 壁が壊れているのと関係あるのか?」
「壁は玲奈が稲妻を撃ち出したからっす!」
「おい、一八!?」
玲奈との約束は反故にされ、事実を一八は伝えている。
だがしかし、西大寺が怒り出すことはなく、ただ瓦礫の山を見つめるだけだ。
「貴様ら、どうやった?」
しばらくして口を開いた西大寺はそんな風に聞いた。どうやらお咎めはないようだ。それよりも西大寺はその方法について知りたがっている。
一八は全てを伝えていた。玲奈が恐怖からイメージを途中でキャンセルしたこと。自身も真似をしたけれど、上手く再現できなかったことまで。
「ふむ、それは割と困難だな。キャンセルと頭の中で考えていたとして、完全に消し去るのは難しい。岸野のように無意識に思考を止める恐怖でもない限りは、どうしても魔力は刀身と繋がったままになる」
西大寺は分析する。玲奈の場合が特殊なのだと。恐怖により無意識に思考を遮断することができるのなら可能だろうと。しかし、それは生半可なことではないと続けている。
「まあしかし、戦術として評価したい。ただし、以降は魔道棟で練習するように。これ以上壁を壊されては堪らんからな……」
やはり西大寺は責めなかった。魔道棟を借りて練習するようにとの話だ。
一八は大きく頷いている。是非ともこの遠距離攻撃をマスターするのだと。西大寺に礼をして早速と菜畑に使用許可をもらおうと歩き出す。
「待て、奥田!」
ところが、西大寺に呼び止められてしまう。先ほどの発現方法は全て伝えたはずなのに。
「お前たちは瓦礫の撤去だ。一応は罰を与えておかんとな!」
ジロリとした玲奈の視線が突き刺さっていた。まあしかし、それは大した問題ではない。
それよりも一八は期待している。レイストームに代わる遠距離攻撃。攻撃の幅が拡がる魔法にも似た属性発現に……。
一万回の素振りをしても疲れないようになっていた一八だが、息が荒い。なぜなら彼は一振り一振りに最大魔力を込めていたからだ。
「斜陽とはよく言ったものだな?」
一八は背後から声をかけられていた。別に誘ったわけでもなかったが、グランドに現れたのは玲奈だ。彼女もまた奈落太刀を帯刀していることから、素振りをしにやって来たのだと思う。
「ん? どういうことだ?」
玲奈の話に一八は手を止めて問いを返す。息を整えるつもりか、額の汗を拭いながら玲奈を振り返っている。
「そのままだ。遠目に見るとまるで夕陽にしか見えん。して貴様はその振りを習得したのか?」
具体的な内容ではなかったけれど、一八は察している。まさに玲奈が話す通りであったから。彼は学んだことを実践しているに過ぎないのだ。
「まだ完成はしてねぇ。もう四ヶ月も魔力調節を学んできたんだ。今日の授業で少しコツを掴んでな。それを身体で覚えているところだ」
「ほう、それにしてはなかなかのものだな? 奈落太刀がかなり長く見える。拡がりを抑えて剣先を延長したような炎の刃。雑魚なら一振りで殲滅できそうだ」
一八が特訓中の剣術は属性発現を任意の形に変えることである。刀身に纏う炎を剣先に集め、恰も超長尺であるかのように刀身を延長しようとしていた。
「菜畑先生は本当にすげぇんだ。基礎魔道を履修して良かったぜ!」
「なるほど、菜畑教官か。確かに乱戦になるとリーチがものを言うな。一八、そのコツとやらを教えてくれ」
意外にも玲奈は一八に教えを請う。
今までずっと一八が玲奈から教わっていたのに。ここに来て一八が玲奈に指南するなんて一年前からは考えもしないことであった。
一八は笑みを浮かべている。玲奈は純粋に強さを追求しているのだ。彼女が聞いてくるということは、自身の方向性が間違っていないことを意味する。
「魔力の練り方は変わらねぇんだが、剣に伝達するよりも前に成形するんだ。イメージは槍のような感じ。でも少しずつ放出しては駄目だ。練った分だけそのまま一直線に。剣先を意識してどこまで伸ばすかを頭に投影しろ。集中してねぇと魔力は直ぐに分散しちまうからな」
ふむっと玲奈。上手く説明できたとは思えなかったが、彼女は徐に鞘から零月を抜く。
一度垂直に立てて剣先をジッと見つめてから、玲奈は魔力を込めた。
刹那に刀身が雷を纏う。爆ぜるような音を響かせながら、重厚なる刃となっていく。
「むぅ、これは難しいな……」
ところが、失敗であったらしい。いつも通りに雷は刀身の周囲に発現するだけであった。
「雷属性はイメージが難しいよな。いっそ落雷をイメージしてみろよ?」
「おい一八! 私のは静電気だと言っただろう! 断じて稲妻などではないっ!」
そういえば玲奈はトラウマを払拭するため、自身の属性発現を静電気だと思い込むようにしていた。だからこそ一八の話を受け入れるわけにはならない。
「しかしな、イメージが大切だと菜畑先生は言ってたんだ。実際に先生が作り出した炎を参考にして俺はコツを掴んだし」
「むむむ、落雷か……」
想像するだけで鳥肌が立つ。手の平に嫌な汗を感じている。だが、静電気のようなイメージでは一八がしていたような発現は不可能だった。
「一八、骨は拾ってくれよ……」
「そこまでかよ!?」
返事はせず玲奈は上段に刀を構えた。ふぅっと深い息を吐いてから、彼女はイメージしていく。生まれてから今までずっと苦手だった落雷。天界で幾度となく受けたあの神雷のような一直線に落ちる雷を……。
「うわぁぁあああっっ!!」
勢いよく振ったというより、頭の中のイメージを掻き消すかのような一振り。恐怖に耐えられなかった玲奈は途中で思考を止めていた。
しかし、属性発現は成されている。だが、それは属性発現に括られるのかどうか分からない。なぜなら刀身を延長するような発現ではなく、あろうことか彼女の属性発現は剣先を離れ、壁へと向かって撃ち出されていたのだ。
「マ、マジかよ……?」
一八は唖然と雷が撃ち出された壁を見ている。木っ端微塵に吹き飛んだ瓦礫はその威力を物語っていた。
「おい玲奈! 今のどうやったんだ!? 俺はそれがずっとしたかったんだ!」
今度は一八が聞く。ずっと遠距離攻撃を求めていた彼は玲奈が撃ち出した雷に驚きを隠せない。
「い、いやその……。イメージを途中で止めた……」
「止めた……?」
一八は考える。頭の中で炎が飛び出すイメージをしたことはあったが、成功したことなどない。だが、玲奈は稲妻をイメージし、それを途中で止めたという。
「もしかして、属性発現はキャンセルできない?」
考える通りであるならば、発現イメージに魔力は縛られているのかもしれない。
「そいや先生は属性発現のコツとして発現元となる剣先のイメージと魔力を結びつけると言ってたな……」
一八は習った通りに剣の先だけをイメージし、刀身を炎にて伸ばすことができた。玲奈の場合は発現途中で全てをキャンセルしたことになる。
「おい、玲奈! もう一度やって見せてくれ!」
「貴様は鬼か!? 私は別に柄のデバイスで遠距離攻撃は事足りているんだぞ!?」
「いいから早くやれ!」
冷や汗をかく玲奈に一八は命令している。じっくり観察をし、魔力の動きを見極めようとして。
「これは貸しだぞ? あと壁の破壊は貴様が謝っておけ!」
ぶつくさ言いながらも玲奈は零月を構えた。例によって上段から勢いよく振り下ろされていく。
「うあああぁあぁあああっ!?」
またも取り乱す玲奈。しかし、この度も雷撃が発射されていた。
一八は瞬きすらせず、全てを見ている。振り下ろす瞬間に魔力の光が流れていく様子。刀身に留まりきれず、撃ち出されてしまった稲妻の全貌を。
「これだ……。撃ち出された速さとイメージのキャンセル。勢いのまま撃ち出されたのは、やっぱ魔力が行き場を失ったからだ……」
通常の魔力発現ではイメージによって魔力が固定される。だからこそ剣に纏うように発現するのだ。幾ら発射のイメージをしたとして魔力は発現元となった刀身に固定されたままだった。
「こらぁ! 貴様ら何をやっている!」
どうやら相次ぐ爆発音に教官が気付いてしまったらしい。やって来たのは剣術科主任の西大寺に他ならない。
面倒なことになったけれど、一八は自分も試したくなっていた。どうせ怒られるのだ。もう少し壁を破壊したところで小言が増えるとは思えない。
「まずはイメージ……」
煮えたぎる炎。だが、スピード感も必要だった。魔力が刀身に固定できなくなるほどの速さ。稲妻を炎に置き換えて一八は思考している。
あとは振り下ろす直前に刀身のイメージをキャンセル。一連の流れを頭に置きながら一八は振りかぶっていた。
「いけぇっ!!」
勢いよく振り下ろされる斜陽。いつも通りに軌跡には炎が残ったけれど、一八はここでイメージをキャンセルし、魔力が撃ち出される時を待つ。
「ぶっ放せぇぇえええっ!!」
刹那に一八の視界は炎で覆い尽くされていた。明らかに飛んではいなかったけれど、いつもの発現とも明確に異なっている。
「なっ!?」
それを目撃した西大寺が絶句している。今し方見たものは知っている属性発現と違ったから。剣に纏う魔力が属性を帯びることこそが、西大寺の知る属性発現であったのだ。
「奥田、何をした!?」
堪らず問い質す。剣の先に生まれた巨大な火球について。程なく消えたそれが何であるのかと。
声に振り返る一八。一定の確信を得ている。だからこそ自信満々に返すだけだ。
「先生、ただの属性発現っす!」
西大寺は首を振る。明らかに刀身を離れていた炎を彼が見逃すはずもない。
「どうやった? 壁が壊れているのと関係あるのか?」
「壁は玲奈が稲妻を撃ち出したからっす!」
「おい、一八!?」
玲奈との約束は反故にされ、事実を一八は伝えている。
だがしかし、西大寺が怒り出すことはなく、ただ瓦礫の山を見つめるだけだ。
「貴様ら、どうやった?」
しばらくして口を開いた西大寺はそんな風に聞いた。どうやらお咎めはないようだ。それよりも西大寺はその方法について知りたがっている。
一八は全てを伝えていた。玲奈が恐怖からイメージを途中でキャンセルしたこと。自身も真似をしたけれど、上手く再現できなかったことまで。
「ふむ、それは割と困難だな。キャンセルと頭の中で考えていたとして、完全に消し去るのは難しい。岸野のように無意識に思考を止める恐怖でもない限りは、どうしても魔力は刀身と繋がったままになる」
西大寺は分析する。玲奈の場合が特殊なのだと。恐怖により無意識に思考を遮断することができるのなら可能だろうと。しかし、それは生半可なことではないと続けている。
「まあしかし、戦術として評価したい。ただし、以降は魔道棟で練習するように。これ以上壁を壊されては堪らんからな……」
やはり西大寺は責めなかった。魔道棟を借りて練習するようにとの話だ。
一八は大きく頷いている。是非ともこの遠距離攻撃をマスターするのだと。西大寺に礼をして早速と菜畑に使用許可をもらおうと歩き出す。
「待て、奥田!」
ところが、西大寺に呼び止められてしまう。先ほどの発現方法は全て伝えたはずなのに。
「お前たちは瓦礫の撤去だ。一応は罰を与えておかんとな!」
ジロリとした玲奈の視線が突き刺さっていた。まあしかし、それは大した問題ではない。
それよりも一八は期待している。レイストームに代わる遠距離攻撃。攻撃の幅が拡がる魔法にも似た属性発現に……。
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