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7 駆け出し勇者と深き森
第12話 探る森の中。
しおりを挟むねっとりと、何かがまとわりついてくるような不穏な空気。それをまったく感じ取っていないとしか思えない。
アデリアは、小さく鼻歌を聞かせながら歩を進める先導者の背をにらみつけて、黙って歩いた。飛行船の中でも聞いた調子はずれの鼻歌が、いら立たしさをさらに煽る。
しんがりを務めるギルウェイが、眉根をきつく寄せて周囲を見回す。彼がよく知る深き森とは様子が違う。一週間ほど前から異変を感じてはいた。森そのものが静かすぎるのだ。
上位種の魔植物たちが大人しいのは採取に向かう身としては助かる。しかし、それこそが油断というものだ。人の都合に良いものが、この森にとっても良いものである保証などない。
そして実際に、森にとってどころか、世界にとって最悪のものが目覚めてしまっていた。
昔なじみの鼻歌をわずかに尖った耳に聞かせ、ギルウェイは全身で森の異変を探った。外で合流した採取係が二人、係長と同じく、くまなく周囲に目を向けて警戒を怠らない。
シュリッキの鼻歌や森を歩く者の行動に惹かれて活動を活発にさせるはずの魔植物たちは、ここまでの道中、一度もその根や枝を動かすことをしなかった。
捕食する立場にいるものたちが獲物となることを恐れ、息をひそめている。
外の者には外れっぱなしのようにしか聞こえない、古い歌を聞かせる深き森の専門家から言わせれば、この地の特別な植物たちは人や動物にある、恐れなどの感情を持ち合わせていない。
生きることに最も特化した命ある美しいものが植物であり、感じ取ったことに合わせた最適の反応を返しているだけなのだという。
つまり、植物食植物たちの反応から人が学べるのは、存在を悟られてはいけないものがそこにいる、ということだった。
鼻歌を止めたシュリッキが片手を上げる。その意味は、アデリアにも教えてあった。
緊張を隠せず、採取係たちも身構える。弓矢を持つ手に力みが見えた。ギルウェイは逆に、いつでも振るえるようにと、鉈の柄にかけた指をわずかに緩ませる。
「あ、違いました。無事でいたんですね」
少し離れた前方の茂みが、ほんの少し揺れた。シュリッキはそこに植物でなく別の生き物を見つけて、緑の瞳を瞬かせ、笑顔を見せる。
「大人しく出て来た方がいいですよ。このまま、ここに置いていくって選択肢もありますけど。その場合は、あなたの命はこれまでよ、ってことになるだけですので」
ふざけたような口調の言葉でも、その内容はちゃんと、相手に届いた。
茂みが大きく揺れ、左腕を押さえながら、見知らぬ男が這い出て来る。あちこち破れ汚れた服装や、血の気を失った顔色からして、この森の特殊さに慣れた者でないことは一瞬で見て取れた。
「あなた方が起こしたんですね、あの怪物。目覚めたのは箱を見つけた時ですか? それとも、運び出そうと森をうろついている時ですか?」
男はシュリッキの話すことに、いちいち体をこわばらせながら辺りをうかがっては、目を左右にせわしなく動かした。
日に焼けた頬はこけ、左腕を押さえたきりの右手は震えている。質問には答えようとしないまま、男は抑えた声で森の民へ頼み込んだ。
「ここを、ここから抜け出す方法を、いや、連れ出してくれ! 今すぐ、ここから!」
「ええ、もちろん、連れて出ますよ。あなたまで食べられて栄養にされてしまったら、魔物がさらに強力になってしまいますもんね」
事も無げに話す、シュリッキの声は明るい。どんな時と状況でも、見た目が長く変わらないこの森の民は明るさを失わなかった。それが逆に、怯え切った男へ強く恐怖を与える。
「分かった、分かった! 話す! 俺じゃ、俺じゃない、あいつらだ! 宝を探してるって依頼された奴ら。俺は護衛で、奴らが箱を、あの箱を見つけて……掘り起こして、そのまま外に持ち出すって話だった……でも森から出られないとか、おかしなことを言い出しやがって。そのうち、そのうちに人が……消えた」
盗掘者の男は、がたがたと、目に見えて分かるほどに震え出した。それに合わせるように何度もうなずいて、シュリッキはたずねる。
「あなたは逃げ出せたんですね? 他の方も逃げられたと見るべきでしょうか? それとも、あなただけ? 他の方は、みんな食べられちゃったのかな?」
男だけでなく森の民たちも王都の魔術師も、小首をかしげた無防備な仕草で最悪の予測を聞かせてくるシュリッキ隊長こそを、恐ろしいものであるような目で見た。
昔なじみだけが性格をよく知る旧知の仲にではなく、森へと目を光らせている。森の奥の方へと黒い瞳を向けたまま、ギルウェイ係長は採取係の二人に指示した。
「この男を連れて外へ。すぐに保安兵か、組合員に連絡を。充分に注意して戻れよ」
上司とその他二名を置いて行ってもいいものなのかとも考えたが、採取係たちは同時にうなずいて、弓を構えたまま男の元へと歩んだ。武器もなく座り込んでいる男に近付く二人の方へ目を向けて、係長はさらに注意を伝える。
「余計なことをして騒げば、助かるものも助からないぞ」
まっすぐに自分を見て言われたことに、男は身を固くした。側に立った採取係が男の背後から短剣を拾う。今度こそ丸腰になった男の両手を縄で縛り、採取係が両脇に付いた。
「そうだ、その腕。ちょっと見せてもらえますか?」
シュリッキは男が、縄で両手をくくられるまで押さえていた左腕を手にとって、ながめた。
「なるほど。話に聞いた中にありましたね。炎や毒液も吐くとか」
大きく開いた穴と同じくらいの範囲で、男の肌には黒いあざが広がっている。
そこにシュリッキがポケットから取り出した布をかぶせ、別のポケットにあった小瓶に入った何かの液体を降りかけた。その上から布の余りを巻く。さわやかで鼻に抜ける強い香りが辺りに漂った。
「毒の一種ですね、たぶん。魔法によるもののはずなので、しっかりと治癒術士の診断を受けるようにして下さいね。変なところまで毒が回らないように」
だめ押しの忠告をして、男と採取係たちを送り出す。彼らの姿が木陰に見えなくなると、シュリッキ隊長は、魔法石が付いた杖を両手で握りしめるアデリアへと笑いかけた。
「さて。僕らは、お散歩の続きですね。あの薬には虫避けと魔除けの効果もありますけど。連行中で大変な彼らには、なるべく注目されないようにしてあげないと」
青紫の髪を揺らし、アデリアは首をかしげて、ひどく眉をしかめた。
「彼らには、って? どういうことなのかしら、シュリッキ室長」
「まあ、だってほら。おやつにするなら魔力が多い方がいいなって思うんじゃないですか、お腹が空いたヒュドラは。ただの盗掘者よりかは、精鋭魔術師ですよね?」
非情な宣告にアデリアはめまいし、よろけた。その背中をギルウェイ係長が支え、昔なじみにも諸々の注意をする。
「シュリッキ! そうならないように頼む」
「もちろん、ちゃんと気を付けて進みますよ。向こうで、おとりになっていただいている間に、何か手掛かりを見つけないとね」
また鼻歌が流れ出した。その歌も、他の者たちや森の外へ魔物の注意を向けないための、こちらへ気を引くためのものなのだ。
もう一人のおとりとして自身の役割も理解した魔術師は、シュリッキ室長の背をにらむことをやめ、森のどこかにいる旅の冒険者を見習い、役目を果たすことにした。
王立の魔術師協会に所属する身として、王都のみならず国の人々を守るために力を使うのは当然のことだ。ましてや、国王陛下から精鋭として先発調査隊に選ばれる栄誉にあずかったなら、ここで逃げ出すわけにはいかない。
即座に魔法を放てるように、されどその魔力で必要以上の注目を浴びないように、深く息をして呼吸を整える。しかし、その加減がアデリアにとって難しいことだというのは、寄せられっぱなしの眉根と、杖を握りしめて白くなった両手に表れていた。
歩き出したシュリッキへとうながすように、ギルウェイがそっと、支えたままでいたアデリアの背を押す。
「大丈夫です、後ろは私が守ります。あなたのことは、この命に代えても、無事に外へと送り返すと約束しましょう。それにああ見えてシュリッキは、私よりも遥かに案内役として、森の民としても優秀ですよ」
「……ええ。ええ! そうですわね」
真剣な目を向けて語るギルウェイの言葉を、振り返って見上げた姿勢で聞いていたアデリアは、返事をしながら慌てて顔を伏せた。遅れを取り戻すためか、急いで数歩前へと歩む。青紫の髪からのぞく、森の民と違って尖っていない耳が、微かに赤くなっていた。
振り返りもせずに、シュリッキ隊長が鼻歌まじりにつぶやく。
「相変わらずですね、君は」
「何が?」
するどく辺りを見回して聞き返す、仕事熱心なギルウェイへの答えはない。森に鼻歌を聞かせながら、シュリッキはご機嫌で歩を進める。
鈍感を治す薬になるような植物ってあるのかな。あったら多めに持ち帰りたいところですね。あと二人分、必要になりそうですし。
要らぬお世話に好き勝手なことを思いながら鼻歌を繰り返し、優秀な森の民は異様なほど静かな森を、お散歩した。
向こうの好きになってるよな、この状況。
テーブルクロスに包んだ胸像を抱えて、森を歩んだ。走るのをやめたのは、それが無駄に思えてきたからだ。
何かがすでに側にいる。周囲に漂う気配が、そんな思いにさせていた。
森の見た目に他の場所との変わりはない。木々が生い茂るところ、少し開けて見通せる場所。振り返って遠くを見上げれば、天を刺すようにそびえ立つ大樹。
緑また緑の景色だ。本当なら何の気も使わず、ぶらぶら歩いていたいところだが!
右に跳んで、大木の影に入る。ぬるい風が側をかすめた。
煽られた枝葉が音を立て、ひどく揺れる。その揺れに違和感がある。なぶった風の強さとは違う。一段強い力が加えられたか、枝が大きくしなり、乾いた音で葉が散った。
白っぽく、変色した葉が舞う。
見えない。いや、何かがいた。いたのが見えた。
空気が揺らめいて、その向こうの景色が、わずかに歪んで見え……。
今度は左に、側の木の幹を蹴って仰向けに跳ぶ。背後へ転がり、立ち上がって、次は反対の右に駆けた。
蹴った幹の根元の落ち葉が舞い上がる。それが擦った大地が、どろりと穴が開いた……ように見えた。
焦げた? いや、溶けた?
どす黒い痕が地に残り、そこから煙が上がる。濁った煙がなびいた。こちらに向かって。
上に高く跳ぶ。胸像を落とさないように左でしっかり抱え、前に回りながら右手で神剣を抜く。
背後にあった木の幹に風がぶつかった。枝が揺れ、葉が舞い、その只中を割って、そいつは伸び上がる。
こちらへ向かって突っ込んでくる何者かに、白い剣を振るう。背景を揺らがせている見えない何かは、ぐっと空気を押し広げ、音を立てて散った。
着地して走る。距離を取る。何の手応えもない。斬れていない。
首は斬り落とせていない。
ほらな。
左に跳びながら半身ひねって、神風を放つ。追いすがって来る生ぬるい風に向かって。
見えないようで微かに見える、長く太いものの胴を断ち切る。正真正銘に見えない風に宿した神の剣の力に、真っ二つになって、それは散る。
そう、散っていく。だがすぐに、それらは空気を揺らがせ、まとまり、集まって形を成す。
おぼろげにしか見えない、太い胴と大きな頭を持つ巨大な蛇の姿へ。
ヒュドラは間髪入れず突っ込んできた。真っ正面から。
こちらも突っ込み、直前で跳んでかわす。ひざを曲げ、頭を跳び越え、奴の後方へと着地する。目は離さない。わずかに空気を揺らがせるだけで透明な姿を見失うわけにはいかない。
さっきまで自分がいた場所、大蛇の腹が擦った地表が黒ずんで、燃えたかのごとくに煙を上げる。
毒か? 何もかもを溶かす猛毒ってことかな。
もたげた鎌首の口の辺りらしきところから、墨汁のようなものが落ちた。落ちたしずくがねっとりと広がり、大地を染める。やんわりと吹いた風が焼け焦げたような痕をなで、上がった煙を塵にする。
にじんだ背景として浮かび上がる大蛇の姿に眼があるのかまでは分からないが、振り返ったヒュドラが、こちらを注目しているのを感じる。
魔力か。この勇者の器の、吐き出しっぱなしだっていう魔力を感じ取っているってことだろうな。
地球の知識が頭をよぎる。蛇は熱感知が出来るのだ。獲物の発する体温を感じ取る器官が頭部に備わっていて、それで見ている。物陰に隠れようとも、周囲との温度差で獲物の居場所を特定しているという。
ヒュドラは魔力を欲している。まだおぼろげな体を真に形作るための、膨大な魔力を。
ていうか、ちょっと待って。今のこの状態では、倒せないんじゃないの?
吐き出した毒と違って塵にもならず、斬ってもすぐに集まって、元通りになってしまう。
ということは、やっぱりエサをやらなきゃならないってことか。どっちにしろ、抱えたこれは廃棄処分にするとは決めましたけど。
赤い格子模様の布で包まれた聖なる遺物。左腕の重みを感じながら、伝説の怪物を見つめる。
頭はまだ、ひとつきりだ。ここから実体化した時にどう変化するかの予測が付かない。
頭が増えるだけ? 巨大化する? 誰の目にも見えるようになる?
聞いた話を信じるなら、地球で得た知識から思い浮かんだ姿を目にすることになるのだと思うのだが。
実体化した姿が何にしろ、被害がただ大きくなるだけの非常に危険な賭けだが、やるより他にない。他にやってくれる人もいないし。
でもなあ、なんか、とんでもないことになる気がっ!
生ぬるい空気が動き、風になる。
向かってくるヒュドラを脇に避けながら、神剣で薙ぐ。頭から、まっすぐに尾っぽまで。
やっぱりまた、同じことになっただけだ。
振り返る。散った魔力は元へと集まり、こちらの三倍はある大蛇の姿に周囲を霞ませている。
実体のない蛇は大きな頭を下げ、右左と小さく揺らす。見えないヒュドラはそうして、こちらの居場所を探っていた。
神々が創造した借り物の体と、いつかの勇者が作らせた胸像のある場所を。
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