11 / 12
第11章 僕を信じて
しおりを挟む
「アンジェリクとの、結婚の承諾?」
お父様は、顔を歪ませていた。
「あなた達、一体いつからそんな仲に?」
お母様は、身体を震わせていた。
「少し前からです。でも、アンジェリク嬢を想う気持ちは、誰よりも強い。」
オラース様は、はっきりと言ってくれた。
「待て待て。落ち着こう。」
「そうね。落ち着きましょう。」
お父様とお母様は、お互いをなだめる。
きっと、どうしてそうなったのかを、考えているんだわ。
やっぱり私は、この家に相応しくないんじゃないかしら。
「オラース。なぜ、アンジェリクに目をつけた?」
「アンジェリク嬢は、誰よりも優しい。そして努力家です。一緒にいて楽しい。そんな女性は、アンジェリク嬢だけです。」
隣で聞いていて、首元がこそばゆくなった。
こんなに褒められていいの?私。
「うーん……」
お父様は、すごく悩んでいる。
「アンジェリクの気持ちは?」
「私も、オラース様と同じ考えです。」
私は、オラース様に言われた通りに、言葉を伝えた。
だけど、お父様とお母様の表情は、変らない。
「オラース、アンジェリク。二人が同じ気持ちなら、応援したい気持ちはあるのだが……結婚となるとな。」
「そうね。悩んでしまうわね。」
うんうん唸っているお父様とお母様に対して、胸が押しつぶされそうになった。
結婚は、本人達の気持ちよりも、家の繋がりを重んじるものね。
アルノ―家としては、貧乏なフェーネル家とは、繋がりを持ちたくないんだわ。
そう言えば、一番最初に私の社交界デビューの時も、力になってくれたアルノ―家だけど、結局自分のところのパーティーにも、呼んで下さらなかった。
私がこの家のパーティーに来て、オラース様とカップルになったら、困るからだわ。
「あのね、アンジェリクが良い娘だと言う事は、知っているのよ。」
「ああ、そうだ。アンジェリクを非難している訳ではない。」
そう言われると、余計貧乏な実家が問題だと、言われているみたい。
そして、そんなご両親に、オラース様もイライラしているみたい。
「オラース。おまえが結婚の話をしてくれた事は、嬉しい。だが、本当にアンジェリクでいいのか?」
胸にグサッと、何かが刺さった。
「今までのおまえの振る舞い、口にはしなかったが、よく見ていた。いろんな侍女に手を出していたようだが、アンジェリクもコラリーの侍女だから、手を出したのではないか?」
「いいえ。僕はアンジェリク嬢を、一度も侍女だと見た事はないです。」
「うーん。」
そうか。お父様は、今までのオラース様の相手と、私はあまり変わりないと思っているのね。
コラリー様やエリクもそうだった。
オラース様は、いろんな女性と恋をしていた。
今回だって、一緒だって。
「どうして皆、オラース様の事を信じてくれないの?」
涙が出てきた。
「オラース様は、いままでの女性とは違うと言ってくれています。結婚を考えてくれたのも、私が初めてです。なのにどうして、今までの恋と同じだと言うのですか。」
私は泣きながら、オラース様の気持ちを伝えた。
「アンジェ、泣かないで。ありがとう、そう言ってくれて。」
オラース様は、私の背中を摩ってくれた。
「分かった。アンジェリク。ちょっと、席を外してくれないか。」
「はい。」
私は立ち上がると、部屋を出て、ドアの隙間から中の様子を聞いた。
「オラース、おまえの今回の気持ちは分かった。だが、アンジェリクとの結婚は、諦めてくれ。」
「どうしてですか!?」
オラース様は、立ち上がった。
「アンジェリクの実家のフェーネル家とは、格が違う。」
「一緒じゃないですか。同じ公爵家だ。」
ハラハラする。
やっぱり、私の実家が貧乏なのを、ご両親は気にしているんだ。
「オラース。同じ公爵家でもね、経済力がある家とない家があるのよ。」
「フェーネル家に経済力が無くても、アルノ―家で支援すればいい事でしょう。」
「そうはいかない。他家に資財を持って行かれれば、アルノ―家だってどうなるか分からない。」
「そうよ、オラース。だからあなたも、アルノ―家よりも経済力のある家と、婚姻をして……」
するとオラース様が、テーブルを叩いた。
「どこまでも、金の事ですか!」
オラース様の息遣いが、荒くなっている。
「金で繋がった家なんて、金が無くなれば終わりでしょう!」
ご両親は、ふーっとため息。
あくまで、オラース様を世間知らずだと、思っているらしい。
「オラース。愛で繋がったとしても一緒だ。愛が無くなればそれで終わる。だが、格式はずっと同じだ。無くなる事はない。」
「僕とアンジェの愛は、無くならない。」
「何を言っても、今はダメだな。一度頭を冷やして来い。」
オラース様は、ご両親に背中を向けると、部屋を出て来た。
そして戸の影に隠れていた私を見て、驚いていた。
「アンジェ。聞いていたのか。」
「はい。」
2人で下を向いた。
「ごめん。君を傷つけてしまって。」
「いえ。私の実家が貧乏なのは、本当の事ですから。」
そう言うしかなかった。
でも、これでよく分かった。
どうして実家は公爵家なのに、貧乏と言うだけで、こんなにも蔑まれるのか。
他の公爵家も、同じなのね。
今の資財を守るだけで、必死なんだわ。
だから、もっと経済力のある家と、婚姻関係を結びたいのね。
お金のない私の実家には、公爵家という名前しか残っていないんだ。
「アンジェ。」
泣く私を抱きしめてくれるオラース様。
その温もりに、私は甘えてしまう。
「僕を信じてくれ。必ず両親を説得させて見せるから。」
「はい。私は、オラース様を信じています。でも……」
「大丈夫だから。」
オラース様は、私をきつく抱きしめてくれた。
「ああ、もう我慢できない。アンジェを抱きたい。」
オラース様はそう言うと、私を連れて行く。
「オラース様、どちらへ?」
「僕の部屋だよ。」
そう言うとオラース様は、自分の部屋に私を入れて、鍵をかけた。
「これで、誰も入って来ない。」
そしてオラース様は、私にキスをくれた。
深い深い、舌が絡まるキス。
「アンジェ。愛している。」
「私もです。オラース様。」
オラース様に服を脱がされ、私はベッドに押し倒された。
「アンジェ、いつまでも一緒だよ。」
「はい、オラース様。」
そして身体と身体が繋がる。
「ああ、アンジェ。気持ちいい……」
「私も……あぁ……」
部屋の中に、私の甘い声が響き渡る。
ずっと、ずっとオラース様とこうしていたい。
私には、オラース様しかいないの。
そして終わった後、オラース様はこんな事を話した。
「そうだ。アンジェのお父様に、味方になって頂こう。」
「私のお父様に?」
私はオラース様を見た。
笑顔になっているオラース様を見ると、心が軽くなる。
「そうね。お父様だったら、オラース様の事きっと好きになってくれるわ。」
私は信じていた。
お父様がこの結婚を、後押ししてくれることを。
数日後。
実家のお父様から、手紙がやってきた。
「そんな!」
手紙の内容は、あまりいい内容ではなかった。
【深い関係になる程、愛し合っていると言っているが、無理矢理関係を迫られたのではないか?】
そう書かれていた。
【どちらにしても、深い関係になってしまった以上、そのオラース殿に娶って頂かなければ、他に嫁に出す事はできない。結婚は許そう。】
味方になってくれるどころか、仕方ないとまで想われてしまった。
「アンジェ、お父さんの、フェーネル公爵の返事は、どうだった?」
私は頭を横に振った。
「ダメだって?」
「ダメとは言っていないけれど……」
オラース様は、お父様からの手紙の返事を読んだ。
「仕方ないって感じだね。」
「そうなの。」
するとオラース様は、私の肩を叩いた。
「でも、反対ではないんだし。いいじゃないか。」
でもその笑顔は、少し歪んでいた。
「ごめんなさい。私、深い関係になっているって、余計な事書いたから。」
「本当の事なんだから、いいと思うよ。」
無理に笑顔を作っているオラース様を、見つめる事ができなかった。
そんな私を、オラース様も感じ取ってくれているみたい。
「アンジェ。言っただろ。誰が何と言おうと、僕はアンジェと一緒にいたいって。」
「うん。」
「その気持ちは、今も変わらないよ。」
そして私を抱きしめてくれたオラース様。
「私もです。私も、一緒にいたい。」
「同じ気持ちでよかった。」
「うん、そうだね。」
2人、同じ気持ちだって事が、胸をざわつかせる不安を拭った。
「お取込み中、ごめんなさい。」
急にオラース様の部屋に、コラリー様が入って来た。
「どうしたの?姉さん。」
「あのね。二人に言っておきたい事があって。」
コラリー様は、笑顔で私達を見ている。
「何?言いたい事って?」
「ふふふ。その様子だと、アンジェのご両親にも、あまりいい返事は貰えなかったみたいね。」
私とオラース様は、顔を見合わせた。
「でもね。二人共、私がいる事を忘れないで。」
コラリー様は、私達の手を握りしめた。
「私は二人の事、応援するわ。二人に、結婚してほしい。」
「姉さん!」
「コラリー様。」
コラリー様の笑顔を見ると、安心してくる。
「だから二人共、負けずに愛を貫くのよ。」
「ありがとう、姉さん。」
嬉しくなっているオラース様と、笑顔で私達を応援してくれるコラリー様を見ると、この姉弟がいかに仲がいいかよく分かる。
それを見ると、私も心が和んでくる。
「アンジェ。改めて言う。僕を信じてくれ。」
正直、オラース様だけだったら、本当に大丈夫かなって思ったけれど、コラリー様が味方なら、心強いわ。
「はい。一緒に頑張りましょう。」
「アンジェ、ありがとう。」
オラース様は、また私を抱きしめてくれた。
コラリー様の前だと、なんだか照れくさい。
「あー、アンジェが私の妹になるなんて、夢のようだわ。」
「姉さん、気が早いな。」
「あら、両親たちに許して貰えたなら、直ぐ結婚するんでしょ?」
コラリー様の言葉に、ドキドキしてきた。
「結婚かぁ~。」
2人の前で、私は1人ぽや~っと、空中を眺めていた。
「ここにも、気が早い人がいるわよ。」
「アンジェはいいんだよ。」
その時は、オラース様の部屋に、笑いが響き渡った。
お父様は、顔を歪ませていた。
「あなた達、一体いつからそんな仲に?」
お母様は、身体を震わせていた。
「少し前からです。でも、アンジェリク嬢を想う気持ちは、誰よりも強い。」
オラース様は、はっきりと言ってくれた。
「待て待て。落ち着こう。」
「そうね。落ち着きましょう。」
お父様とお母様は、お互いをなだめる。
きっと、どうしてそうなったのかを、考えているんだわ。
やっぱり私は、この家に相応しくないんじゃないかしら。
「オラース。なぜ、アンジェリクに目をつけた?」
「アンジェリク嬢は、誰よりも優しい。そして努力家です。一緒にいて楽しい。そんな女性は、アンジェリク嬢だけです。」
隣で聞いていて、首元がこそばゆくなった。
こんなに褒められていいの?私。
「うーん……」
お父様は、すごく悩んでいる。
「アンジェリクの気持ちは?」
「私も、オラース様と同じ考えです。」
私は、オラース様に言われた通りに、言葉を伝えた。
だけど、お父様とお母様の表情は、変らない。
「オラース、アンジェリク。二人が同じ気持ちなら、応援したい気持ちはあるのだが……結婚となるとな。」
「そうね。悩んでしまうわね。」
うんうん唸っているお父様とお母様に対して、胸が押しつぶされそうになった。
結婚は、本人達の気持ちよりも、家の繋がりを重んじるものね。
アルノ―家としては、貧乏なフェーネル家とは、繋がりを持ちたくないんだわ。
そう言えば、一番最初に私の社交界デビューの時も、力になってくれたアルノ―家だけど、結局自分のところのパーティーにも、呼んで下さらなかった。
私がこの家のパーティーに来て、オラース様とカップルになったら、困るからだわ。
「あのね、アンジェリクが良い娘だと言う事は、知っているのよ。」
「ああ、そうだ。アンジェリクを非難している訳ではない。」
そう言われると、余計貧乏な実家が問題だと、言われているみたい。
そして、そんなご両親に、オラース様もイライラしているみたい。
「オラース。おまえが結婚の話をしてくれた事は、嬉しい。だが、本当にアンジェリクでいいのか?」
胸にグサッと、何かが刺さった。
「今までのおまえの振る舞い、口にはしなかったが、よく見ていた。いろんな侍女に手を出していたようだが、アンジェリクもコラリーの侍女だから、手を出したのではないか?」
「いいえ。僕はアンジェリク嬢を、一度も侍女だと見た事はないです。」
「うーん。」
そうか。お父様は、今までのオラース様の相手と、私はあまり変わりないと思っているのね。
コラリー様やエリクもそうだった。
オラース様は、いろんな女性と恋をしていた。
今回だって、一緒だって。
「どうして皆、オラース様の事を信じてくれないの?」
涙が出てきた。
「オラース様は、いままでの女性とは違うと言ってくれています。結婚を考えてくれたのも、私が初めてです。なのにどうして、今までの恋と同じだと言うのですか。」
私は泣きながら、オラース様の気持ちを伝えた。
「アンジェ、泣かないで。ありがとう、そう言ってくれて。」
オラース様は、私の背中を摩ってくれた。
「分かった。アンジェリク。ちょっと、席を外してくれないか。」
「はい。」
私は立ち上がると、部屋を出て、ドアの隙間から中の様子を聞いた。
「オラース、おまえの今回の気持ちは分かった。だが、アンジェリクとの結婚は、諦めてくれ。」
「どうしてですか!?」
オラース様は、立ち上がった。
「アンジェリクの実家のフェーネル家とは、格が違う。」
「一緒じゃないですか。同じ公爵家だ。」
ハラハラする。
やっぱり、私の実家が貧乏なのを、ご両親は気にしているんだ。
「オラース。同じ公爵家でもね、経済力がある家とない家があるのよ。」
「フェーネル家に経済力が無くても、アルノ―家で支援すればいい事でしょう。」
「そうはいかない。他家に資財を持って行かれれば、アルノ―家だってどうなるか分からない。」
「そうよ、オラース。だからあなたも、アルノ―家よりも経済力のある家と、婚姻をして……」
するとオラース様が、テーブルを叩いた。
「どこまでも、金の事ですか!」
オラース様の息遣いが、荒くなっている。
「金で繋がった家なんて、金が無くなれば終わりでしょう!」
ご両親は、ふーっとため息。
あくまで、オラース様を世間知らずだと、思っているらしい。
「オラース。愛で繋がったとしても一緒だ。愛が無くなればそれで終わる。だが、格式はずっと同じだ。無くなる事はない。」
「僕とアンジェの愛は、無くならない。」
「何を言っても、今はダメだな。一度頭を冷やして来い。」
オラース様は、ご両親に背中を向けると、部屋を出て来た。
そして戸の影に隠れていた私を見て、驚いていた。
「アンジェ。聞いていたのか。」
「はい。」
2人で下を向いた。
「ごめん。君を傷つけてしまって。」
「いえ。私の実家が貧乏なのは、本当の事ですから。」
そう言うしかなかった。
でも、これでよく分かった。
どうして実家は公爵家なのに、貧乏と言うだけで、こんなにも蔑まれるのか。
他の公爵家も、同じなのね。
今の資財を守るだけで、必死なんだわ。
だから、もっと経済力のある家と、婚姻関係を結びたいのね。
お金のない私の実家には、公爵家という名前しか残っていないんだ。
「アンジェ。」
泣く私を抱きしめてくれるオラース様。
その温もりに、私は甘えてしまう。
「僕を信じてくれ。必ず両親を説得させて見せるから。」
「はい。私は、オラース様を信じています。でも……」
「大丈夫だから。」
オラース様は、私をきつく抱きしめてくれた。
「ああ、もう我慢できない。アンジェを抱きたい。」
オラース様はそう言うと、私を連れて行く。
「オラース様、どちらへ?」
「僕の部屋だよ。」
そう言うとオラース様は、自分の部屋に私を入れて、鍵をかけた。
「これで、誰も入って来ない。」
そしてオラース様は、私にキスをくれた。
深い深い、舌が絡まるキス。
「アンジェ。愛している。」
「私もです。オラース様。」
オラース様に服を脱がされ、私はベッドに押し倒された。
「アンジェ、いつまでも一緒だよ。」
「はい、オラース様。」
そして身体と身体が繋がる。
「ああ、アンジェ。気持ちいい……」
「私も……あぁ……」
部屋の中に、私の甘い声が響き渡る。
ずっと、ずっとオラース様とこうしていたい。
私には、オラース様しかいないの。
そして終わった後、オラース様はこんな事を話した。
「そうだ。アンジェのお父様に、味方になって頂こう。」
「私のお父様に?」
私はオラース様を見た。
笑顔になっているオラース様を見ると、心が軽くなる。
「そうね。お父様だったら、オラース様の事きっと好きになってくれるわ。」
私は信じていた。
お父様がこの結婚を、後押ししてくれることを。
数日後。
実家のお父様から、手紙がやってきた。
「そんな!」
手紙の内容は、あまりいい内容ではなかった。
【深い関係になる程、愛し合っていると言っているが、無理矢理関係を迫られたのではないか?】
そう書かれていた。
【どちらにしても、深い関係になってしまった以上、そのオラース殿に娶って頂かなければ、他に嫁に出す事はできない。結婚は許そう。】
味方になってくれるどころか、仕方ないとまで想われてしまった。
「アンジェ、お父さんの、フェーネル公爵の返事は、どうだった?」
私は頭を横に振った。
「ダメだって?」
「ダメとは言っていないけれど……」
オラース様は、お父様からの手紙の返事を読んだ。
「仕方ないって感じだね。」
「そうなの。」
するとオラース様は、私の肩を叩いた。
「でも、反対ではないんだし。いいじゃないか。」
でもその笑顔は、少し歪んでいた。
「ごめんなさい。私、深い関係になっているって、余計な事書いたから。」
「本当の事なんだから、いいと思うよ。」
無理に笑顔を作っているオラース様を、見つめる事ができなかった。
そんな私を、オラース様も感じ取ってくれているみたい。
「アンジェ。言っただろ。誰が何と言おうと、僕はアンジェと一緒にいたいって。」
「うん。」
「その気持ちは、今も変わらないよ。」
そして私を抱きしめてくれたオラース様。
「私もです。私も、一緒にいたい。」
「同じ気持ちでよかった。」
「うん、そうだね。」
2人、同じ気持ちだって事が、胸をざわつかせる不安を拭った。
「お取込み中、ごめんなさい。」
急にオラース様の部屋に、コラリー様が入って来た。
「どうしたの?姉さん。」
「あのね。二人に言っておきたい事があって。」
コラリー様は、笑顔で私達を見ている。
「何?言いたい事って?」
「ふふふ。その様子だと、アンジェのご両親にも、あまりいい返事は貰えなかったみたいね。」
私とオラース様は、顔を見合わせた。
「でもね。二人共、私がいる事を忘れないで。」
コラリー様は、私達の手を握りしめた。
「私は二人の事、応援するわ。二人に、結婚してほしい。」
「姉さん!」
「コラリー様。」
コラリー様の笑顔を見ると、安心してくる。
「だから二人共、負けずに愛を貫くのよ。」
「ありがとう、姉さん。」
嬉しくなっているオラース様と、笑顔で私達を応援してくれるコラリー様を見ると、この姉弟がいかに仲がいいかよく分かる。
それを見ると、私も心が和んでくる。
「アンジェ。改めて言う。僕を信じてくれ。」
正直、オラース様だけだったら、本当に大丈夫かなって思ったけれど、コラリー様が味方なら、心強いわ。
「はい。一緒に頑張りましょう。」
「アンジェ、ありがとう。」
オラース様は、また私を抱きしめてくれた。
コラリー様の前だと、なんだか照れくさい。
「あー、アンジェが私の妹になるなんて、夢のようだわ。」
「姉さん、気が早いな。」
「あら、両親たちに許して貰えたなら、直ぐ結婚するんでしょ?」
コラリー様の言葉に、ドキドキしてきた。
「結婚かぁ~。」
2人の前で、私は1人ぽや~っと、空中を眺めていた。
「ここにも、気が早い人がいるわよ。」
「アンジェはいいんだよ。」
その時は、オラース様の部屋に、笑いが響き渡った。
0
お気に入りに追加
65
あなたにおすすめの小説


【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。

領地経営で忙しい私に、第三王子が自由すぎる理由を教えてください
ねむたん
恋愛
領地経営に奔走する伯爵令嬢エリナ。毎日忙しく過ごす彼女の元に、突然ふらりと現れたのは、自由気ままな第三王子アレクシス。どうやら領地に興味を持ったらしいけれど、それを口実に毎日のように居座る彼に、エリナは振り回されっぱなし!
領地を守りたい令嬢と、なんとなく興味本位で動く王子。全く噛み合わない二人のやりとりは、笑いあり、すれ違いあり、ちょっぴりときめきも──?
くすっと気軽に読める貴族ラブコメディ!

なにをおっしゃいますやら
基本二度寝
恋愛
本日、五年通った学び舎を卒業する。
エリクシア侯爵令嬢は、己をエスコートする男を見上げた。
微笑んで見せれば、男は目線を逸らす。
エブリシアは苦笑した。
今日までなのだから。
今日、エブリシアは婚約解消する事が決まっているのだから。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる