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第5章 恋愛結婚
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翌日、私はエリクに激怒された。
「なぜ、恋愛したいなど、余計な事を言ったのですか。」
「それは、コラリー様の希望で……」
「何が希望ですか!」
ひぇっ!
どうしてそこまで怒るの?
私は身を縮めた。
「いいですか。恋愛するという事は、確かに好きになって貰える、愛して頂ける事もあります。」
「いい事じゃないですか。」
「そればかりではありません!恋には、期限があるのです。」
「期限?」
またエリクは、難しい事を言う。
「飽きてくるという事です。セザール様が、コラリー様に飽きてしまって、他の女性にいったらどうするんですか。」
「……困ります。」
「だから!恋愛などしなくても、いいのです!」
エリクは、胸を張って大きな声を出した。
私は不思議に思った。
エリクさんは、どうなんだろう。
恋愛とか、した事があるのだろうか。
「エリクさんは、おいくつなんですか?」
「突拍子もない事を聞きますね。25歳です。」
「恋愛をした事は、ないのですか。」
エリクさんは、私は冷たい目で見降ろす。
「そういう事は、いいんです。」
「よくないです。」
だって、恋愛した事もない人に、恋愛はしない方がいいとか、言われたくないもん。
「エリクさんだって、いつかは結婚するんですよね。」
「でしょうね。」
「どうやって、決めるんですか?」
「まあ、旦那様辺りが見つけて下さいますでしょう。」
驚いた。
侍従の人も、自分で結婚相手が決められないの?
しかも、旦那様?コラリー様とオラース様のお父様に決めて貰うなんて、それでいいの?
私達みたいな、家の為に結婚しなくてもいいのに、寂しすぎる。
「エリクは、好きな人と結婚したいと思わないの?」
「好きな人?ああ、恋愛するって事ですか?結婚した相手と、すればいいでしょう。」
「それで、エリクも奥さんに飽きたら?」
「もう結婚しているので、飽きても一緒にいるだけです。」
やっぱり寂しい。
恋愛って、結婚って、そんなもの?
その時、コラリー様の声がした。
「こら、エリク。アンジェを悲しませないで。」
ダンスの練習から、コラリー様が戻ったのだ。
そう。私は、コラリー様がダンスの練習をしている時に、エリクに呼び出されて、怒られていたのだ。
「悲しませてなどいません。現実を教えて差し上げていたのです。」
エリクはやっぱり、胸を張っている。
自分の意見が、正しいと思っているのね。
「アンジェ。どんな現実を教えられたの?」
コラリー様は、私の顔を覗き込んだ。
「はい。恋愛なんて、しない方がいいと。結婚した後に、恋愛すればいいって、言われました。」
「アンジェリク嬢!」
私は、エリクに向かって、舌をペロッと出した。
「あーあ。寂しい人ね。」
コラリー様は、これ見よがしに手をヒラヒラさせた。
「熱い気持ちも知らないで結婚したって、そんな結婚生活、たかが知れているわ。」
「うっ……」
さすがのエリクも、コラリー様には、対抗できないみたい。
「セザール様は、私と恋愛して下さると仰ってくれたわ。それから毎日、お手紙を頂いているの。大丈夫よ。セザール様は、浮気心なんて持っていない方よ。」
コラリー様は、自信満々だ。
「どうしてそのように言えるのですか。」
なぜかエリクは、強きで応戦。
「セザール様の人柄よ。お手紙で知るに、誠実な方だわ。」
「そういう方に限って、浮気したりするんです。」
コラリー様もエリクも、お互いフンッと顔を背ける。
それを見て私は、クスッと笑ってしまった。
「ここの家は、侍従も主人も、仲がいいんですね。」
私が笑うと、さっきまで背中を向けていたコラリー様とエリクも、顔を向けた。
「なんて言っても、小さい頃から一緒にいるしね。」
「いいえ。コラリー様とオラース様の心が、広いからですよ。」
そして気になった、今後の事。
「もし、コラリー様がバルニエ家にお嫁に行ったら、私は、同じように接する事はできるのでしょうか。」
するとコラリー様は、私をぎゅっと抱きしめてくれた。
「私達二人の仲は、変らないわ。」
「コラリー様……」
ああ、やっぱりコラリー様にお仕えできて、私は幸せだわ。
私は、コラリー様の腕を、ぎゅっと掴んだ。
「それはそうと、アンジェリク嬢。バルニエ家で、言い方と巡り合えればいいですね。」
「えっ?」
エリクは、また冷たい目で私を見た。
「あなたも公爵令嬢で、結婚相手を探す為に、コラリー様の侍女になったのでしょ。」
「あっ!」
今の今まで、忘れていた。
「ご自分の事を忘れるくらい、コラリー様に仕えて頂くのは嬉しいのですが、しっかりしてくださいよ。」
「はーい。」
そうか。もしかしたら、コラリー様と一緒にいられるのも、私が結婚するまでなのかな。
なんか、寂しくなってきたな。
やだ、コラリー様と離れたくなくて、結婚が遅れたらどうしよう。
「なんだか、悩まれてますね。アンジェリク嬢。」
「きっと、私にも恋愛が!って、思っているんだわ。」
気楽な二人を前に、私は自分の身の上を、悩まずにはいられなかった。
その日の夜。
私は、自分の将来の事を考えると、眠れなくなった。
「あーあ。寝不足だと、目の下にクマができるのに。」
こんな時には、お母さん、いつもホットミルクを飲ませてくれた。
そうだ。
こうしていても眠れないから、キッチンへホットミルクを飲みに行こう。
私は、部屋をそっと抜け出した。
キッチンは、1階にある。
「どうしよう。こんなパジャマで誰かに見られたら。」
足音を立てないように、そろりそろりと、階段を降りた。
ここまでは、大丈夫。
誰もいない。
私は階段から、キッチンへ走った。
こんなところ、コラリー様にも、ましてやオラース様にも見せられない。
もう少しで、キッチンというところで、私は立ち止まった。
「誰もいないわね。」
その時だった。
「やあ。アンジェも眠れないの?」
振り返ると、そこには人影が。
「きゃああ……」
「大きな声出さない!」
急に口を塞がれた。
「だ、誰か!」
「僕だよ、アンジェ。」
よく見ると、オラース様が立っていた。
「オラース様。」
「そうだよ。急に大きな声出すなんて、びっくりした。」
いや、それはこっちのセリフだよ。
私は心の中で、そう答えた。
って、言うか私、パジャマだ!
オラース様に気づかれないように、腕を前で組んだ。
「どうしたの?」
「いや、その……」
ダメだと思って、背中を向けた、その時だった。
ふぁっと、肩に上着を掛けられた。
「ごめん。パジャマだったなんて、気が付かなくて。」
振り返ると、オラース様もパジャマだった。
「いや、僕もパジャマなんだけどね。」
「はっ、ははは。」
2人で可笑しくて、笑ってしまった。
「ところでオラース様は、何をしにキッチンへ?」
「ああ、ホットミルクを飲もうと思ってね。」
「えっ?」
驚いた。
そんなホットミルクぐらい、侍従に頼めば作ってくれるのに。
「オラース様が作るんですか?」
「そうだよ。もしかして、アンジェもホットミルクを?」
「はい。」
「僕達、一緒だね。」
一緒という言葉が、胸を温かくした。
「アンジェは、この屋敷のキッチン、初めてだろ。僕が作り方を教えてあげる。」
「はい。」
キッチンに入って、電気を着けると、オラース様は手慣れた感じで、小さい鍋にミルクを入れた。
「コンロはここを使うといいよ。」
そう言って、一番手前のコンロに鍋を置いた。
「そして、最後にお砂糖を一杯。」
しばらくするとミルクは沸騰して、ホットミルクは完成。
「はい、これ。」
オラース様は、マグカップにホットミルクを入れてくれて、差し出してくれた。
一口飲んでみると、優しい味がする。
「美味しいです。」
「ありがとう。」
オラース様も一口飲んで、ホッとしている。
「そう言えば、昼間、エリクに何を言われていたの?」
「ああ……コラリー様に恋愛結婚を進めて、叱られたんです。恋愛をして飽きられたら、どうするんだって。」
「へえ。」
オラース様は、しばらくボーっとすると、こんな事をボソッと言った。
「僕も、恋愛結婚してみたいな。」
「えっ!」
オラース様に、好きな人が!?
そんな~!
「……好きな方、いらっしゃるんですか。」
「今は、いないよ。ほら、僕達って、政略結婚するしかないだろ。結婚相手は、親が決める。その相手と恋愛したいって、僕はアンジェの気持ち、分かるな。」
胸がじーんとする。
こんなにも優しい言葉をかけてくれるなんて、オラース様はいい旦那様になるよ。
って、やっぱりオラース様の相手も、ご両親が決めるんだね。
ちょっと、ショック。
その時、オラース様はクスッと笑った。
「なんだかアンジェと一緒にいると、ほっとするよ。」
「そうですか?」
「不思議だな。君が来たのは、ついこの前なのに、まるでずっと前から一緒にいるような、そんな気がするよ。」
するとオラース様は、私を見つめてくれた。
「オラース様?」
だんだん、オラース様の顔が近づいてくる。
キスされる!?
その瞬間だった。
「何をしているんですか!?」
エリクの声が、キッチンに響き渡った。
「アンジェリク嬢!あっ、オラース様まで!」
エリクは慌てて、私達の側に来た。
「ホットミルクを飲んでいたのですか?仰っていただければ、お作りしたものを。」
「いいんだ。誰にも、邪魔されたくなかったから。」
「そうですか。って、えっ……二人共、パジャマ!?」
エリクの目が、だんだん丸くなる。
「ま、ま、ままさか。アンジェリク嬢!オラース様とそういう仲なのですか?」
「そういう仲?」
「二人でパジャマでいる仲です!」
その慌てように、私とオラース様は、腹を抱えて笑ってしまった。
「なぜ、恋愛したいなど、余計な事を言ったのですか。」
「それは、コラリー様の希望で……」
「何が希望ですか!」
ひぇっ!
どうしてそこまで怒るの?
私は身を縮めた。
「いいですか。恋愛するという事は、確かに好きになって貰える、愛して頂ける事もあります。」
「いい事じゃないですか。」
「そればかりではありません!恋には、期限があるのです。」
「期限?」
またエリクは、難しい事を言う。
「飽きてくるという事です。セザール様が、コラリー様に飽きてしまって、他の女性にいったらどうするんですか。」
「……困ります。」
「だから!恋愛などしなくても、いいのです!」
エリクは、胸を張って大きな声を出した。
私は不思議に思った。
エリクさんは、どうなんだろう。
恋愛とか、した事があるのだろうか。
「エリクさんは、おいくつなんですか?」
「突拍子もない事を聞きますね。25歳です。」
「恋愛をした事は、ないのですか。」
エリクさんは、私は冷たい目で見降ろす。
「そういう事は、いいんです。」
「よくないです。」
だって、恋愛した事もない人に、恋愛はしない方がいいとか、言われたくないもん。
「エリクさんだって、いつかは結婚するんですよね。」
「でしょうね。」
「どうやって、決めるんですか?」
「まあ、旦那様辺りが見つけて下さいますでしょう。」
驚いた。
侍従の人も、自分で結婚相手が決められないの?
しかも、旦那様?コラリー様とオラース様のお父様に決めて貰うなんて、それでいいの?
私達みたいな、家の為に結婚しなくてもいいのに、寂しすぎる。
「エリクは、好きな人と結婚したいと思わないの?」
「好きな人?ああ、恋愛するって事ですか?結婚した相手と、すればいいでしょう。」
「それで、エリクも奥さんに飽きたら?」
「もう結婚しているので、飽きても一緒にいるだけです。」
やっぱり寂しい。
恋愛って、結婚って、そんなもの?
その時、コラリー様の声がした。
「こら、エリク。アンジェを悲しませないで。」
ダンスの練習から、コラリー様が戻ったのだ。
そう。私は、コラリー様がダンスの練習をしている時に、エリクに呼び出されて、怒られていたのだ。
「悲しませてなどいません。現実を教えて差し上げていたのです。」
エリクはやっぱり、胸を張っている。
自分の意見が、正しいと思っているのね。
「アンジェ。どんな現実を教えられたの?」
コラリー様は、私の顔を覗き込んだ。
「はい。恋愛なんて、しない方がいいと。結婚した後に、恋愛すればいいって、言われました。」
「アンジェリク嬢!」
私は、エリクに向かって、舌をペロッと出した。
「あーあ。寂しい人ね。」
コラリー様は、これ見よがしに手をヒラヒラさせた。
「熱い気持ちも知らないで結婚したって、そんな結婚生活、たかが知れているわ。」
「うっ……」
さすがのエリクも、コラリー様には、対抗できないみたい。
「セザール様は、私と恋愛して下さると仰ってくれたわ。それから毎日、お手紙を頂いているの。大丈夫よ。セザール様は、浮気心なんて持っていない方よ。」
コラリー様は、自信満々だ。
「どうしてそのように言えるのですか。」
なぜかエリクは、強きで応戦。
「セザール様の人柄よ。お手紙で知るに、誠実な方だわ。」
「そういう方に限って、浮気したりするんです。」
コラリー様もエリクも、お互いフンッと顔を背ける。
それを見て私は、クスッと笑ってしまった。
「ここの家は、侍従も主人も、仲がいいんですね。」
私が笑うと、さっきまで背中を向けていたコラリー様とエリクも、顔を向けた。
「なんて言っても、小さい頃から一緒にいるしね。」
「いいえ。コラリー様とオラース様の心が、広いからですよ。」
そして気になった、今後の事。
「もし、コラリー様がバルニエ家にお嫁に行ったら、私は、同じように接する事はできるのでしょうか。」
するとコラリー様は、私をぎゅっと抱きしめてくれた。
「私達二人の仲は、変らないわ。」
「コラリー様……」
ああ、やっぱりコラリー様にお仕えできて、私は幸せだわ。
私は、コラリー様の腕を、ぎゅっと掴んだ。
「それはそうと、アンジェリク嬢。バルニエ家で、言い方と巡り合えればいいですね。」
「えっ?」
エリクは、また冷たい目で私を見た。
「あなたも公爵令嬢で、結婚相手を探す為に、コラリー様の侍女になったのでしょ。」
「あっ!」
今の今まで、忘れていた。
「ご自分の事を忘れるくらい、コラリー様に仕えて頂くのは嬉しいのですが、しっかりしてくださいよ。」
「はーい。」
そうか。もしかしたら、コラリー様と一緒にいられるのも、私が結婚するまでなのかな。
なんか、寂しくなってきたな。
やだ、コラリー様と離れたくなくて、結婚が遅れたらどうしよう。
「なんだか、悩まれてますね。アンジェリク嬢。」
「きっと、私にも恋愛が!って、思っているんだわ。」
気楽な二人を前に、私は自分の身の上を、悩まずにはいられなかった。
その日の夜。
私は、自分の将来の事を考えると、眠れなくなった。
「あーあ。寝不足だと、目の下にクマができるのに。」
こんな時には、お母さん、いつもホットミルクを飲ませてくれた。
そうだ。
こうしていても眠れないから、キッチンへホットミルクを飲みに行こう。
私は、部屋をそっと抜け出した。
キッチンは、1階にある。
「どうしよう。こんなパジャマで誰かに見られたら。」
足音を立てないように、そろりそろりと、階段を降りた。
ここまでは、大丈夫。
誰もいない。
私は階段から、キッチンへ走った。
こんなところ、コラリー様にも、ましてやオラース様にも見せられない。
もう少しで、キッチンというところで、私は立ち止まった。
「誰もいないわね。」
その時だった。
「やあ。アンジェも眠れないの?」
振り返ると、そこには人影が。
「きゃああ……」
「大きな声出さない!」
急に口を塞がれた。
「だ、誰か!」
「僕だよ、アンジェ。」
よく見ると、オラース様が立っていた。
「オラース様。」
「そうだよ。急に大きな声出すなんて、びっくりした。」
いや、それはこっちのセリフだよ。
私は心の中で、そう答えた。
って、言うか私、パジャマだ!
オラース様に気づかれないように、腕を前で組んだ。
「どうしたの?」
「いや、その……」
ダメだと思って、背中を向けた、その時だった。
ふぁっと、肩に上着を掛けられた。
「ごめん。パジャマだったなんて、気が付かなくて。」
振り返ると、オラース様もパジャマだった。
「いや、僕もパジャマなんだけどね。」
「はっ、ははは。」
2人で可笑しくて、笑ってしまった。
「ところでオラース様は、何をしにキッチンへ?」
「ああ、ホットミルクを飲もうと思ってね。」
「えっ?」
驚いた。
そんなホットミルクぐらい、侍従に頼めば作ってくれるのに。
「オラース様が作るんですか?」
「そうだよ。もしかして、アンジェもホットミルクを?」
「はい。」
「僕達、一緒だね。」
一緒という言葉が、胸を温かくした。
「アンジェは、この屋敷のキッチン、初めてだろ。僕が作り方を教えてあげる。」
「はい。」
キッチンに入って、電気を着けると、オラース様は手慣れた感じで、小さい鍋にミルクを入れた。
「コンロはここを使うといいよ。」
そう言って、一番手前のコンロに鍋を置いた。
「そして、最後にお砂糖を一杯。」
しばらくするとミルクは沸騰して、ホットミルクは完成。
「はい、これ。」
オラース様は、マグカップにホットミルクを入れてくれて、差し出してくれた。
一口飲んでみると、優しい味がする。
「美味しいです。」
「ありがとう。」
オラース様も一口飲んで、ホッとしている。
「そう言えば、昼間、エリクに何を言われていたの?」
「ああ……コラリー様に恋愛結婚を進めて、叱られたんです。恋愛をして飽きられたら、どうするんだって。」
「へえ。」
オラース様は、しばらくボーっとすると、こんな事をボソッと言った。
「僕も、恋愛結婚してみたいな。」
「えっ!」
オラース様に、好きな人が!?
そんな~!
「……好きな方、いらっしゃるんですか。」
「今は、いないよ。ほら、僕達って、政略結婚するしかないだろ。結婚相手は、親が決める。その相手と恋愛したいって、僕はアンジェの気持ち、分かるな。」
胸がじーんとする。
こんなにも優しい言葉をかけてくれるなんて、オラース様はいい旦那様になるよ。
って、やっぱりオラース様の相手も、ご両親が決めるんだね。
ちょっと、ショック。
その時、オラース様はクスッと笑った。
「なんだかアンジェと一緒にいると、ほっとするよ。」
「そうですか?」
「不思議だな。君が来たのは、ついこの前なのに、まるでずっと前から一緒にいるような、そんな気がするよ。」
するとオラース様は、私を見つめてくれた。
「オラース様?」
だんだん、オラース様の顔が近づいてくる。
キスされる!?
その瞬間だった。
「何をしているんですか!?」
エリクの声が、キッチンに響き渡った。
「アンジェリク嬢!あっ、オラース様まで!」
エリクは慌てて、私達の側に来た。
「ホットミルクを飲んでいたのですか?仰っていただければ、お作りしたものを。」
「いいんだ。誰にも、邪魔されたくなかったから。」
「そうですか。って、えっ……二人共、パジャマ!?」
エリクの目が、だんだん丸くなる。
「ま、ま、ままさか。アンジェリク嬢!オラース様とそういう仲なのですか?」
「そういう仲?」
「二人でパジャマでいる仲です!」
その慌てように、私とオラース様は、腹を抱えて笑ってしまった。
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