情熱的に愛して

日下奈緒

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第8章 反対

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門馬は椅子から立ち上がって、私の腕を掴んだ。

「誰にも、何も言われてないよ。俺が自分で、考えたんだ。」

私は、門馬の目を見つめた。

真剣な瞳。

本気なんだ、偽装結婚を辞める事。

涙が、ポロポロ出てきた。


「夏海……」

「どうして?理由を聞かせて。」

「それは、夏海の事が好きだから。」

「私だって、門馬の事、大好きだもん。それなのに、別れるなんて!」

「えっ?別れる?」

門馬は、目をパチクリさせている。


「……何でいつの間に、別れる事になってる?」

「えっ……だって、門馬が……」

「俺は、夏海と別れるなんて、一言も言ってない!」

門馬は、私の事をぎゅっと抱きしめてくれた。

「夏海……偽装じゃなくて、本当にしないか?」

「えっ……」

「俺達、本当に結婚しないかって、言っているんだよ。」


私は、門馬の顔を見た。

門馬は、ニコッと笑っている。


「門馬……」

「いや、こう言う時は名前で言おうよ。」

「雪人……」

「夏海……」

私達は、見つめ合って、キスを交わした。


好きな人からの、プロポーズ。

女としては、涙が出るほど嬉しいものだけれど、何かが引っかかる。


「ねえ、雪人。」

「ん?」

「結婚、ちょっと待ってくれない?」

私は、雪人を抱きしめた。

「……いいけど、どのくらい?」

「分からない。」

雪人の腕の力が、弱くなっていくのが分かる。


「夏海……偽装じゃなくて、本当にしないか?」

「えっ……」

「俺達、本当に結婚しないかって、言っているんだよ。」


私は、門馬の顔を見た。

門馬は、ニコッと笑っている。


「門馬……」

「いや、こう言う時は名前で言おうよ。」

「雪人……」

「夏海……」

私達は、見つめ合って、キスを交わした。


好きな人からの、プロポーズ。

女としては、涙が出るほど嬉しいものだけれど、何かが引っかかる。


「ねえ、雪人。」

「ん?」

「結婚、ちょっと待ってくれない?」

私は、雪人を抱きしめた。

「……いいけど、どのくらい?」

「分からない。」

雪人の腕の力が、弱くなっていくのが分かる。


「ううん、違うの!」

私が首を横に振った時だ。

遠くで、私のスマートフォンが鳴っている事に、気づいた。

「雪人、ちょっと待っててね。」

「……うん。」

私は、スマートフォンを充電していた、寝室に行った。

着信を見ると、実家からで、もう何度も何度も、履歴が残っていた。


私は、実家に電話した。

「あっ、お母さん?」

『夏海!やっと電話に出てくれた!』

お母さんは、待っていましたとばかりに、どこかに移動した。

『夏海、早く実家に帰っておいで!」

「えっ?どうして?」

『おじいちゃんが!倒れたのよ!』

「えっ……」

『お医者様には、最後かもしれないって……』


私は、スマートフォンを落としそうになった。


「夏海?」

不思議に思った雪人が、寝室に来てくれた。

「何か、あったのか?」

「雪人……」

涙ぐんでいる私に、雪人は近づいてきてくれた。

「おじいちゃんが……」

「夏海のおじいちゃん?」

「うん……おじいちゃんが倒れて……もう、最後かもしれないって、お医者さんが……」


その瞬間、雪人は私の腕を掴んだ。

「おじいちゃん、今、どこにいるの?」

「実家……」

「じゃあ、実家に行こう!早く!手遅れになる前に!」

私は頷いて、財布とスマートフォンだけ持った。

雪人も一緒に、ついて来てくれて、一緒にタクシーに乗った。


「おじいちゃん……」

「こんなに震えて、可哀相に……」

震える私の手を、雪人がずっと握ってくれた。

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