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敵になった好きな男①

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「ラファエル様。エリーヌ皇女はどうされるんですか?」

「俺が貰い受ける。」

私はラファエルを睨みつける。

「この恥知らずが!私を自分のモノにして、どうする気だ!」

「エリーヌ皇女は、王妃が産んだ第一皇女だからな。嫁にすれば俺が皇帝になる理由にもなる。」

「貴様のモノになどなるか!私を牢屋に入れろ!」

「ほう。あなたがそんなに気の強い人だとは、知らなかった。」

ラファエルは、私を面白そうな顔で見ている。


どうして、どうしてこうなってしまったのか。

ほんの数時間前まで、幸せに暮らしていたと言うのに。


「クーデターは終わりだ。皆、休め。」

「はい。」

するとラファエルは、私の腕を掴んだ。

「エリーヌ様、こちらへ。」

「えっ……」

連れて行かれたのは、騎士団長のテントだった。

ベッドが置いてあるだけの、粗末なテント。

でも、ベッドは部屋に置いてあるベッドと同じ豪華な物だった。


ラファエルは、剣を外し鎧を脱いだ。

「まさか、あなたを初めて抱くのが、テントの中とは思いませんでした。」

私を見つめるラファエルは、どこか照れている部分があった。

「おまえが私を抱く?そんな地位があるのか?」

「ご自分の立場をわきまえて欲しいですね。」

ラファエルは、私を抱きかかえると、ベッドに横たわらせた。

「なっ!何をする!」

「あなたを、私の妻にする。」

「なるものか!」

「強引にでも、なってもらいます!」

するとラファエルは私の服を次々と脱がせて、裸にさせた。

「綺麗だ。」

恥ずかしくて、身体を腕で隠した。

「エリーヌ様、もう離しませんよ。」

ラファエルの舌が、私の肌を這う。

「ああ……」

「あなたの甘い声が聴ける日がくるなんて。」


女の身体は悲しい物だ。

心は嫌がっているのに、身体は快感に抗えない。

「身体は奪われても、心はやらない。」

悔し涙を流しながら、言ってやった。

ラファエルは、私の涙にキスをした。

「それは嘘だ。もうあなたの心は私のモノだ。」

「どうしてそう言える?」

「私達は、惹かれ合っている。お互い愛しているから。」


心が解けていった。

そう私は、ラファエルに恋をしていた。
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