【R18】愛人契約

日下奈緒

文字の大きさ
上 下
9 / 14
第3章 パーティー

《後》

しおりを挟む
「ほ、本田さん。」

「静かに。動かないで。」

そう言って本田さんは、私の足を摩ってくれた。


「すまない。あの人は、前に愛人契約を結んでいた人で……」

「……本人から聞きました。」

「そうだったか。何か言ってたか?」

「……何も。」

そう答えると本田さんは、摩る手を止めた。

「何も言ってなかった相手が、君にこんな事をする訳ないだろう。」

「いえ……」


彼女だけが悪いんじゃない。

私だって、彼女を煽るような事を言った。

お互い様なのだ。


「言ってくれ。彼女が君に何を言ったのか。」

私は、正直に言えなかった。

「言えば、私の醜いところも、曝す事になります。」

「それでもいい。」

「そうなったら、本田さんに嫌われます。」

「僕は、君を嫌いになったりしないから。」

私は涙目で、本田さんを見た。


「本当の事を、教えてほしいんだ。」

その言葉に、私の目に涙が零れた。

「日満理さん?」

「彼女、私が愛人契約を結んでいた事、知っていました。」

「それで?」

「だから、特定の人を作らないって。私、悔しくて……つい言ってしまったんです。あなたの恋人だって。」

「日満理さん……」

「だから、彼女だけ悪いんじゃないんです。私も悪いんです。」

すると本田さんは、私を抱きしめてくれた。


「……何が悔しかったの?」

「私じゃあ、恋人になれないって言われているみたいで。」

そう言うと本田さんはゆっくり、私をベッドに押し倒した。

「僕が、君をずっと側に置きたいと言ったら?」

胸がキュンと締め付けられた。

「嬉しすぎます。でも……夢みたいで……」

「夢じゃないよ。僕は本当に君の事が……」


本田さんは私の服を無造作に脱がせた。

「初めて会った時から、君を気に入っていた。」

「本田さん……」

「今日は、激しく君を抱くよ。」

そう言って本田さんは、いつも以上に胸を激しく揉んだ。

「ああ……本田さん……」

「勇介と言ってくれ……」

首元も舌で激しく、舐め回される。


「勇介さん……」

私が彼の名前を呼んだ時に、一つになった。

「ああ……」

「中が熱いよ。こんなに熱いのは初めてだ。」

勇介さんこそ、熱い熱が伝わってくる。

「これからも一緒にいてくれないか?」

「私で、よければ……」

「ああ……」

勇介さんの動きが、いつもよりも激しくなる。

「あっ、ああ……」

「綺麗だよ……日満理……」

名前を呼ばれ……もう意識が飛びそうになった。


「もう……ダメ……」

「いいよ、イって……一緒にイキたい……」

その言葉に、体が高ぶって来る。

「ああ、イク……イク……ああっ!」

「ああっ!」


久々に体が絶頂を迎えた。

好きな人と一緒に。


どのくらい眠っただろうか。

気が付くと、隣に勇介さんはいなかった。


「勇介さん?」

起き上がると、勇介さんは一人でお酒を飲んでいた。

「ああ、起きたか。」

私が起きた事に気づいて、バスローブのまま、財布に手を掛けた。

「これでいいかな。」

テーブルには、10万円の札束が二つ、置いてあった。

「あの……これは……」

私は、勇介さんの隣に座った。

「今日のパーティーの参加費用と、今夜の費用だ。」


こんなもの二つで、私達の熱い夜が清算されようとするなんて。

「ああ、そうだ。これじゃあ、足りないか。」

そう言って、勇介さんは追加で5万円を置いた。

「なに?何なの?」

「避妊には気を遣っていたつもりだが、すまなかった。情に流されたのかもしれない。」

私は立ち上がって、勇介さんの頬を叩いた。

「そんなのって、お金で済む問題なの!?」


まさか、あの二人で愛し合った結果が、5万の追加料金だなんて。

「そんな事言ったって、君だって嫌だろう。愛人契約で臨んでもいない子供ができるのは。」

何かが、胸に突き刺さった。

「……安心してください。今日は安全日なので。」

私は5万円を勇介さんに、戻した。


「私、こんな屈辱を受けたのは、初めてです。」

「日満理?」

私は涙を拭くと、服を着た。

もう一刻でも早く、ここを出たい。

「待ってくれ。今日はもう遅い。ここに泊っていくといい。」

「結構です。」

私は上着を着て、部屋のドアに向かった。

「日満理!」

勇介さんは、私を後ろから抱きしめてくれた。


「ごめん。君を傷つけた。」

私は勇介さんの方に顔を向けた。

「なんで傷ついたか、分かる?」

「ああ。君の中に情熱を注いだのに、僕は気持ちがない振りをした。」

「勇介さん。」

私達は、初めてキスを交わした。

「もう一度、君を抱いてもいい?」

「ええ……」

私はその場で、服を脱いだ。


「もう、嘘をつかないよ。日満理、君は僕のものだ。」

「勇介さん、嬉しい……」

契約から始まった愛でも、私はよかった。

その夜は何度も何度も、勇介さんの情熱を、中に注ぎ込まれた。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。

石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。 自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。 そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。 好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。 この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。 扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

ご褒美

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
彼にいじわるして。 いつも口から出る言葉を待つ。 「お仕置きだね」 毎回、されるお仕置きにわくわくして。 悪戯をするのだけれど、今日は……。

車の中で会社の後輩を喘がせている

ヘロディア
恋愛
会社の後輩と”そういう”関係にある主人公。 彼らはどこでも交わっていく…

優しい微笑をください~上司の誤解をとく方法

栗原さとみ
恋愛
仕事のできる上司に、誤解され嫌われている私。どうやら会長の愛人でコネ入社だと思われているらしい…。その上浮気っぽいと思われているようで。上司はイケメンだし、仕事ぶりは素敵過ぎて、片想いを拗らせていくばかり。甘々オフィスラブ、王道のほっこり系恋愛話。

ヤクザの若頭は、年の離れた婚約者が可愛くて仕方がない

絹乃
恋愛
ヤクザの若頭の花隈(はなくま)には、婚約者がいる。十七歳下の少女で組長の一人娘である月葉(つきは)だ。保護者代わりの花隈は月葉のことをとても可愛がっているが、もちろん恋ではない。強面ヤクザと年の離れたお嬢さまの、恋に発展する前の、もどかしくドキドキするお話。

ミックスド★バス~家のお風呂なら誰にも迷惑をかけずにイチャイチャ?~

taki
恋愛
【R18】恋人同士となった入浴剤開発者の温子と営業部の水川。 お互いの部屋のお風呂で、人目も気にせず……♥ えっちめシーンの話には♥マークを付けています。 ミックスド★バスの第5弾です。

ねえ、私の本性を暴いてよ♡ オナニークラブで働く女子大生

花野りら
恋愛
オナニークラブとは、個室で男性客のオナニーを見てあげたり手コキする風俗店のひとつ。 女子大生がエッチなアルバイトをしているという背徳感! イケナイことをしている羞恥プレイからの過激なセックスシーンは必読♡

処理中です...