3 / 6
第1章 仕事とプライベートは分けたいだけ
③
しおりを挟む
それから私は、社長に仕事中は、付きっきりだった。
「次の仕事は?」
「営業部の部長達と、会議です。」
代表取締役に就任したばかりの社長は、大忙しだ。
「それから、今夜は日向社長との夕食会が入っています。」
「日向社長って?」
「事務用品のペリーズの社長です。」
夕食会の相手をリサーチするのも、秘書の役目だ。
「君は来ないのか。」
私は迷った。
確かに、夕食会は仕事だ。
「……残業代が出るのであれば。」
「出さなきゃ、労働基準監督署に言われるだろう。」
「では、行きます。」
本当は遅い時間まで、この社長と一緒にはいたくないんだけど。
高身長で、イケメン。そして社長。
ハイスペックなこの人に、一瞬でもドキッとした自分が、愚かに思う。
7歳も年下だと言うのに、有り得ない。
そして私は、二度と”社長”とは、恋愛しないと決めたのだ。
そして、夕方になり日向社長との夕食会に向かう。
「日向社長は、お一人で来るのでしょうか。」
参考までに、聞いてみる。
「初めて会うのだから、分からないな。」
全く参考にならない。
日向社長とは、繋がりがあるのかと思えば、ないらしい。
これは、日向社長に仕組まれたな。そう思った。
きっと、営業かけられるな。
そう思わずにはいられなかった。
お店の前に着いて、タクシーを降りたら、日向社長が立っていた。
「真田社長。初めまして、日向です。」
相手は、50過ぎのおじさんなのに、20代半ばの社長に、頭を下げている。
「初めまして。真田です。」
心配したけれど、社長も深々と頭を下げた。
どうやら、礼儀はしっているみたい。
「では、こちらへ。」
「はい。」
ちらっと見たけれど、日向社長も秘書を連れて来たみたい。
「こんばんは。」
その秘書の方に、挨拶をされた。
「初めましてですよね。真田の秘書の依田と申します。」
「砂川です。宜しくお願いします。」
眼鏡をかけて、知的な感じ。
私と同じくらいの世代かな。
さすがは日向社長。若手の育成にも頑張っているんだ。
「どうぞ、こちらのお部屋です。」
「ありがとうございます。」
見て見ると、食事の用意は二人分だけだった。
それを見て、私と砂川さんは、部屋に入らずに廊下に座った。
ふと砂川さんと目が合う。
ニコッと笑った砂川さんに、私も微笑み返す。
「どうです?私達も、別室でお食事でも。」
「えっ……」
「さあ、遠慮せずに。」
砂川さんに腕を掴まれ、無理矢理立たされた。
「あの……すみません。私……」
一瞬、社長を見たけれど、今は日向社長との話に夢中だ。
その瞬間、砂川さんに抱き寄せられた。
「あなただって、大人でしょう。こういう場所に来て、分かっていますよね。」
何!?こういう場所って、どんな場所よおおおお!
その時だった。
砂川さんが、私から離れた。
「俺の秘書に、不埒な事はしないでもらいたい。」
見ると、社長が砂川さんの襟を引っ張っていた。
社長‼相手は明らかに、自分よりも年上の人ですよ!
「すみません。」
大人の砂川さんは、素直に謝る。
だけど、社長はそんな砂川さんを睨みつけた。
「謝れば済むって問題じゃないでしょ。」
社長、私の為に怒ってくれている。
「まあまあ、真田社長。落ち着いて。」
事態を重く見た日向社長は、間に入った。
「申し訳ない。ウチの秘書がバカな事をして。」
日向社長も、砂川さんも頭を下げている。
「今後、気を付けて下さい。」
「分かった。」
そして、日向社長は砂川さんを、怒りに行った。
「社長、ありがとうございます。」
まさか、年上の人相手に、ここまでするとは思っていなかった。
「いいんだよ。社員を守るのは、社長の仕事だからな。」
その柔らかい笑顔に、キュンとした。
「……社長、毅然としていて、カッコよかったです。」
「本当?ほら俺、チャラく見られるから、よかった。」
私は社長に、はにかんだ笑顔を見せた。
「何それ、反則。」
「えっ?」
その時、日向社長が戻って来た。
「申し訳ない。どうもイイ女を見ると、直ぐ口説く癖があって。よく叱っておきましたから。」
イイ女と言われれば、私も怒りようがない。
上手いな。やっぱり社長と言われる人は。
「どうかな。お詫びに、一緒に食事でも。」
私と社長は、顔を見合わせて笑った。
「次の仕事は?」
「営業部の部長達と、会議です。」
代表取締役に就任したばかりの社長は、大忙しだ。
「それから、今夜は日向社長との夕食会が入っています。」
「日向社長って?」
「事務用品のペリーズの社長です。」
夕食会の相手をリサーチするのも、秘書の役目だ。
「君は来ないのか。」
私は迷った。
確かに、夕食会は仕事だ。
「……残業代が出るのであれば。」
「出さなきゃ、労働基準監督署に言われるだろう。」
「では、行きます。」
本当は遅い時間まで、この社長と一緒にはいたくないんだけど。
高身長で、イケメン。そして社長。
ハイスペックなこの人に、一瞬でもドキッとした自分が、愚かに思う。
7歳も年下だと言うのに、有り得ない。
そして私は、二度と”社長”とは、恋愛しないと決めたのだ。
そして、夕方になり日向社長との夕食会に向かう。
「日向社長は、お一人で来るのでしょうか。」
参考までに、聞いてみる。
「初めて会うのだから、分からないな。」
全く参考にならない。
日向社長とは、繋がりがあるのかと思えば、ないらしい。
これは、日向社長に仕組まれたな。そう思った。
きっと、営業かけられるな。
そう思わずにはいられなかった。
お店の前に着いて、タクシーを降りたら、日向社長が立っていた。
「真田社長。初めまして、日向です。」
相手は、50過ぎのおじさんなのに、20代半ばの社長に、頭を下げている。
「初めまして。真田です。」
心配したけれど、社長も深々と頭を下げた。
どうやら、礼儀はしっているみたい。
「では、こちらへ。」
「はい。」
ちらっと見たけれど、日向社長も秘書を連れて来たみたい。
「こんばんは。」
その秘書の方に、挨拶をされた。
「初めましてですよね。真田の秘書の依田と申します。」
「砂川です。宜しくお願いします。」
眼鏡をかけて、知的な感じ。
私と同じくらいの世代かな。
さすがは日向社長。若手の育成にも頑張っているんだ。
「どうぞ、こちらのお部屋です。」
「ありがとうございます。」
見て見ると、食事の用意は二人分だけだった。
それを見て、私と砂川さんは、部屋に入らずに廊下に座った。
ふと砂川さんと目が合う。
ニコッと笑った砂川さんに、私も微笑み返す。
「どうです?私達も、別室でお食事でも。」
「えっ……」
「さあ、遠慮せずに。」
砂川さんに腕を掴まれ、無理矢理立たされた。
「あの……すみません。私……」
一瞬、社長を見たけれど、今は日向社長との話に夢中だ。
その瞬間、砂川さんに抱き寄せられた。
「あなただって、大人でしょう。こういう場所に来て、分かっていますよね。」
何!?こういう場所って、どんな場所よおおおお!
その時だった。
砂川さんが、私から離れた。
「俺の秘書に、不埒な事はしないでもらいたい。」
見ると、社長が砂川さんの襟を引っ張っていた。
社長‼相手は明らかに、自分よりも年上の人ですよ!
「すみません。」
大人の砂川さんは、素直に謝る。
だけど、社長はそんな砂川さんを睨みつけた。
「謝れば済むって問題じゃないでしょ。」
社長、私の為に怒ってくれている。
「まあまあ、真田社長。落ち着いて。」
事態を重く見た日向社長は、間に入った。
「申し訳ない。ウチの秘書がバカな事をして。」
日向社長も、砂川さんも頭を下げている。
「今後、気を付けて下さい。」
「分かった。」
そして、日向社長は砂川さんを、怒りに行った。
「社長、ありがとうございます。」
まさか、年上の人相手に、ここまでするとは思っていなかった。
「いいんだよ。社員を守るのは、社長の仕事だからな。」
その柔らかい笑顔に、キュンとした。
「……社長、毅然としていて、カッコよかったです。」
「本当?ほら俺、チャラく見られるから、よかった。」
私は社長に、はにかんだ笑顔を見せた。
「何それ、反則。」
「えっ?」
その時、日向社長が戻って来た。
「申し訳ない。どうもイイ女を見ると、直ぐ口説く癖があって。よく叱っておきましたから。」
イイ女と言われれば、私も怒りようがない。
上手いな。やっぱり社長と言われる人は。
「どうかな。お詫びに、一緒に食事でも。」
私と社長は、顔を見合わせて笑った。
1
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説
恋に異例はつきもので ~会社一の鬼部長は初心でキュートな部下を溺愛したい~
泉南佳那
恋愛
「よっしゃー」が口癖の
元気いっぱい営業部員、辻本花梨27歳
×
敏腕だけど冷徹と噂されている
俺様部長 木沢彰吾34歳
ある朝、花梨が出社すると
異動の辞令が張り出されていた。
異動先は木沢部長率いる
〝ブランディング戦略部〟
なんでこんな時期に……
あまりの〝異例〟の辞令に
戸惑いを隠せない花梨。
しかも、担当するように言われた会社はなんと、元カレが社長を務める玩具会社だった!
花梨の前途多難な日々が、今始まる……
***
元気いっぱい、はりきりガール花梨と
ツンデレ部長木沢の年の差超パワフル・ラブ・ストーリーです。
最後の恋って、なに?~Happy wedding?~
氷萌
恋愛
彼との未来を本気で考えていた―――
ブライダルプランナーとして日々仕事に追われていた“棗 瑠歌”は、2年という年月を共に過ごしてきた相手“鷹松 凪”から、ある日突然フラれてしまう。
それは同棲の話が出ていた矢先だった。
凪が傍にいて当たり前の生活になっていた結果、結婚の機を完全に逃してしまい更に彼は、同じ職場の年下と付き合った事を知りショックと動揺が大きくなった。
ヤケ酒に1人酔い潰れていたところ、偶然居合わせた上司で支配人“桐葉李月”に介抱されるのだが。
実は彼、厄介な事に大の女嫌いで――
元彼を忘れたいアラサー女と、女嫌いを克服したい35歳の拗らせ男が織りなす、恋か戦いの物語―――――――
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
【完結】maybe 恋の予感~イジワル上司の甘いご褒美~
蓮美ちま
恋愛
会社のなんでも屋さん。それが私の仕事。
なのに突然、企画部エースの補佐につくことになって……?!
アイドル顔負けのルックス
庶務課 蜂谷あすか(24)
×
社内人気NO.1のイケメンエリート
企画部エース 天野翔(31)
「会社のなんでも屋さんから、天野さん専属のなんでも屋さんってこと…?」
女子社員から妬まれるのは面倒。
イケメンには関わりたくないのに。
「お前は俺専属のなんでも屋だろ?」
イジワルで横柄な天野さんだけど、仕事は抜群に出来て人望もあって
人を思いやれる優しい人。
そんな彼に認められたいと思う反面、なかなか素直になれなくて…。
「私、…役に立ちました?」
それなら…もっと……。
「褒めて下さい」
もっともっと、彼に認められたい。
「もっと、褒めて下さ…っん!」
首の後ろを掬いあげられるように掴まれて
重ねた唇は煙草の匂いがした。
「なぁ。褒めて欲しい?」
それは甘いキスの誘惑…。
隠れオタクの女子社員は若社長に溺愛される
永久保セツナ
恋愛
【最終話まで毎日20時更新】
「少女趣味」ならぬ「少年趣味」(プラモデルやカードゲームなど男性的な趣味)を隠して暮らしていた女子社員・能登原こずえは、ある日勤めている会社のイケメン若社長・藤井スバルに趣味がバレてしまう。
しかしそこから二人は意気投合し、やがて恋愛関係に発展する――?
肝心のターゲット層である女性に理解できるか分からない異色の女性向け恋愛小説!
地味系秘書と氷の副社長は今日も仲良くバトルしてます!
めーぷる
恋愛
見た目はどこにでもいそうな地味系女子の小鳥風音(おどりかざね)が、ようやく就職した会社で何故か社長秘書に大抜擢されてしまう。
秘書検定も持っていない自分がどうしてそんなことに……。
呼び出された社長室では、明るいイケメンチャラ男な御曹司の社長と、ニコリともしない銀縁眼鏡の副社長が風音を待ち構えていた――
地味系女子が色々巻き込まれながら、イケメンと美形とぶつかって仲良くなっていく王道ラブコメなお話になっていく予定です。
ちょっとだけ三角関係もあるかも?
・表紙はかんたん表紙メーカーで作成しています。
・毎日11時に投稿予定です。
・勢いで書いてます。誤字脱字等チェックしてますが、不備があるかもしれません。
・公開済のお話も加筆訂正する場合があります。
私を溺愛してくれたのは同期の御曹司でした
日下奈緒
恋愛
課長としてキャリアを積む恭香。
若い恋人とラブラブだったが、その恋人に捨てられた。
40歳までには結婚したい!
婚活を決意した恭香を口説き始めたのは、同期で仲のいい柊真だった。
今更あいつに口説かれても……
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる