私を溺愛してくれたのは同期の御曹司でした

日下奈緒

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「ごめん。斉藤柚希ちゃんって、今年の新人だよね。」

「そう。一回り下の新人に手を出してるんだよ、あいつ。」

まさか、そんな若い子に手を出してるなんて。

「でも、なんで知ってるの?」

「それがな。斉藤の視線が、青川Loveなんだよ。」

思わず笑ってしまった。

「柊真の視線が、私Loveみたいに?」

「言うね。本当の事だけど。」

やっぱり、柊真と一緒にいると、愛されてる感がたまらない。

柊真。こんな私だけど、末永く宜しくね。


そして、週明けに部長の栄転、柊真の昇進、私の異動が告げられた。

「部長、いなくなると寂しいです。」

寺谷君は、部長の事お父さんと思っていたから、余計に寂しいよね。

「御曹司、部長になる。ですか。」

原田君は、柊真の事宗教みたいに扱っているし。

「ええ⁉浅見課長、一課に行くんですか?」

湯沢君は私の片腕だったから、微妙な表情している。

「それで、二課の新課長には、一課の青川係長が担当することになった。」

青川係長は、前に出てお辞儀をした。

「青川です。浅見課長の後は大変ですが、皆さんのお力を借りて、頼れる上司になりたいと思います。」

一課の皆は、嬉しそうに拍手してるけれど、二課の皆は“誰?青川係長って?”って表情している。

「青川係長、頼んだよ。」

「はい、ご期待に沿えるよう頑張ります。」

こうして見ると、キャラ変したみたいに、明るくなったな。

「どうだ?青川、変わっただろう?」

「う、うん。何か言ったの?結城から。」

「おまえはおまえの理想の上司になれって、言っただけだよ。」

「なるほどね。」

あれが青川係長の、理想とする上司ね。

理想を追うのはいい事だけど、いつまで続くのやら。

「では、しばし席替えをするけれど、皆は仕事をしていて。」

部長の一言で、皆は動き出した。

「浅見課長~っ!」

湯沢君、泣きそうな顔してる。

「湯沢君、何も隣に移るだけだから、いつでも話しかけに来てくれていいのよ。」

「でも……」

「今度は、新しい課長を支えてあげて。」

「誰でもいい訳じゃないですよ~。」

私が胸がジーンときた。

いい子だな。本当は湯沢君を、二課の課長にした方が私にとっては、都合がよかったかな。

私はチラッと、斉藤さんを見た。

隣で青川君が荷物の整理しているのを、寂しそうに見ている。

特に声を掛けたり、手伝っていたりはしない。

「じゃあ、斉藤さん。俺がいなくなっても頑張ってね。」

青川君もいくら交際を秘密にしてるからって、冷たい態度。

そして、青川君が荷物を持って、私の席にやってきた。

「ああ、ごめんね。今、荷物運ぶから。」

私が動こうとすると、青川君が荷物を箱に入れるのを手伝ってくれた。

「浅見課長は、二課の課長になって、何年目だったんですか?」

「ああ、ちょうど4年目よ。」

「そうですか。4年もいると、この席にも愛着が湧きますね。」

この子の笑顔を見ると、癒される。

だから、青川君の事。悪く言う人がいないんだと思う。

「青川課長は、何年あそこの席にいたの?」

「一年ちょっとですかね。」

「そう。じゃあ、新しい席に来るのは慣れているはね。」

「はい。おかげで移動も早かったです。」
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