18 / 34
今更あいつと
②
しおりを挟む
アラフォーになって、花柄のスカートはきつかったかな。
「……似合う。」
そして結城は、私の耳元で囁いた。
「キレイだよ。」
カァーっと顔が熱くなった。
「はい、どうぞ。」
そして助手席のドアを開けてくれる結城が、王子様に見えて仕方なかった。
「ありがと。」
助手席に乗ると、ドアまで閉めてくれる。
結城って、女に対していつもこんな事やってるの?
それはそれで、逆にすごいけれど。
車に乗った結城は、シートベルトを締めると、車を動かした。
「映画行く前に、家に帰って着替えていい?」
「いいよ。」
まさか休み取ってくれたのに、スーツで過ごせだなんて言えないもんね。
そしてこの前も思ったけれど、結城の運転はとても優しい。
「結城って、運転が丁寧ね。いつもなの?」
「いや。今日はおまえを乗せてるから。」
「えっ……」
「大事な女乗せてて、危ない目には遭わせませんよ。」
大事な女。胸のトクントクンという音が聞こえてくる。
「いつから?」
結城、どうしてそんなに私の事、大切にしてくれるの?
「いつから、私の事。そんな目で見てたの?」
私は少なくても、結城の事同期だとしか思ってなかったよ。
その時、車が停まった。
「車の中で待ってて。」
そう言うと結城は、車から降りて家に行ってしまった。
返事は聞けないまま。いつから私を特別に見てたのか、わからないまま。
しばらくして、運転席のドアが開いた。
結城が戻ってきたのだ。
「ううん。」
そして結城を見て、胸がキュンとした。
ジーンズにグレーのTシャツ。シンプルな服装なのに、オシャレに見えるのは、結城の体のラインをキレイに見せてるから?
Tシャツの上からでも分かる、細身の締まった体。長い手足。高価な時計にスニーカー。
どれもが結城のカッコよさを、際立たせる物だった。
「どうした?」
「あっ、ううん。何だか、カッコよくて見とれちゃって……」
そう言うと結城は、髪をかき上げてハンドルに両手を乗せた。
「その言葉、ズルい。」
私は思わず結城から目を反らした。
結城が照れてる。あの結城が!
「行くよ。」
車が発進して、私達は映画館に向かった。
何も話さない。でも、居心地のいい空間。
隣に結城がいる。
それだけなのに、私は幸せを感じていた。
映画館に行くと、案外席は埋まっていた。
結構ガラガラだと思っていたのに。
おかげで結城と隣同士に座っても、違和感がない。
ちなみに映画のチケットも、ポップコーンもコーラも。結城が奢ってくれた。
私も出すと言っているのに、いいと言って。
そして映画が始まる前に、スマホの電源をOFFにしようとしていた時だ。
スマホにメールが来てたらしい。
「ああ、会社からだ。」
そう言って結城は、席を立ち一旦ホールを抜け出して行った。
「あの人、カッコいいね。」
「一人かな。あとで声掛けてみようか。」
近くにいた女の子達が、結城を見てはしゃいでる。
他の女の子から見ても、結城はカッコいいと思う。
どうして私なんかと、結婚しようと思ったのだろうか。
まったくもって不思議だ。
しばらくして、結城が帰って来た。
「ごめん、恭香。」
私に手を挙げる勇気を見て、さっきの女の子達ががっかりしてる。
「なんだ、彼女と来てるの?」
「相手の女、ちょっとオバサンじゃない?」
おいおい、聞こえてますよ。悪かったわね、オバサンで。
その時、結城が私の肩を抱き寄せた。
「言わせておけ。」
「結城……」
「俺の恭香は、いい女だよ。」
結城を見ると、微笑んでいる。結城にも聞こえていたんだ。
聞こえていて、無視してた?
そんなにも、私に夢中なの?
それからずっと、結城の肩の中で映画を見ていた。
やっぱり仕事や恋愛に悩む主人公を見ていると、ものすごく共感するのは、私もそうだから?
それとも、今にも始まりそうな恋に悩んでいるから?
「……似合う。」
そして結城は、私の耳元で囁いた。
「キレイだよ。」
カァーっと顔が熱くなった。
「はい、どうぞ。」
そして助手席のドアを開けてくれる結城が、王子様に見えて仕方なかった。
「ありがと。」
助手席に乗ると、ドアまで閉めてくれる。
結城って、女に対していつもこんな事やってるの?
それはそれで、逆にすごいけれど。
車に乗った結城は、シートベルトを締めると、車を動かした。
「映画行く前に、家に帰って着替えていい?」
「いいよ。」
まさか休み取ってくれたのに、スーツで過ごせだなんて言えないもんね。
そしてこの前も思ったけれど、結城の運転はとても優しい。
「結城って、運転が丁寧ね。いつもなの?」
「いや。今日はおまえを乗せてるから。」
「えっ……」
「大事な女乗せてて、危ない目には遭わせませんよ。」
大事な女。胸のトクントクンという音が聞こえてくる。
「いつから?」
結城、どうしてそんなに私の事、大切にしてくれるの?
「いつから、私の事。そんな目で見てたの?」
私は少なくても、結城の事同期だとしか思ってなかったよ。
その時、車が停まった。
「車の中で待ってて。」
そう言うと結城は、車から降りて家に行ってしまった。
返事は聞けないまま。いつから私を特別に見てたのか、わからないまま。
しばらくして、運転席のドアが開いた。
結城が戻ってきたのだ。
「ううん。」
そして結城を見て、胸がキュンとした。
ジーンズにグレーのTシャツ。シンプルな服装なのに、オシャレに見えるのは、結城の体のラインをキレイに見せてるから?
Tシャツの上からでも分かる、細身の締まった体。長い手足。高価な時計にスニーカー。
どれもが結城のカッコよさを、際立たせる物だった。
「どうした?」
「あっ、ううん。何だか、カッコよくて見とれちゃって……」
そう言うと結城は、髪をかき上げてハンドルに両手を乗せた。
「その言葉、ズルい。」
私は思わず結城から目を反らした。
結城が照れてる。あの結城が!
「行くよ。」
車が発進して、私達は映画館に向かった。
何も話さない。でも、居心地のいい空間。
隣に結城がいる。
それだけなのに、私は幸せを感じていた。
映画館に行くと、案外席は埋まっていた。
結構ガラガラだと思っていたのに。
おかげで結城と隣同士に座っても、違和感がない。
ちなみに映画のチケットも、ポップコーンもコーラも。結城が奢ってくれた。
私も出すと言っているのに、いいと言って。
そして映画が始まる前に、スマホの電源をOFFにしようとしていた時だ。
スマホにメールが来てたらしい。
「ああ、会社からだ。」
そう言って結城は、席を立ち一旦ホールを抜け出して行った。
「あの人、カッコいいね。」
「一人かな。あとで声掛けてみようか。」
近くにいた女の子達が、結城を見てはしゃいでる。
他の女の子から見ても、結城はカッコいいと思う。
どうして私なんかと、結婚しようと思ったのだろうか。
まったくもって不思議だ。
しばらくして、結城が帰って来た。
「ごめん、恭香。」
私に手を挙げる勇気を見て、さっきの女の子達ががっかりしてる。
「なんだ、彼女と来てるの?」
「相手の女、ちょっとオバサンじゃない?」
おいおい、聞こえてますよ。悪かったわね、オバサンで。
その時、結城が私の肩を抱き寄せた。
「言わせておけ。」
「結城……」
「俺の恭香は、いい女だよ。」
結城を見ると、微笑んでいる。結城にも聞こえていたんだ。
聞こえていて、無視してた?
そんなにも、私に夢中なの?
それからずっと、結城の肩の中で映画を見ていた。
やっぱり仕事や恋愛に悩む主人公を見ていると、ものすごく共感するのは、私もそうだから?
それとも、今にも始まりそうな恋に悩んでいるから?
21
お気に入りに追加
141
あなたにおすすめの小説
森でオッサンに拾って貰いました。
来栖もよもよ&来栖もよりーぬ
恋愛
アパートの火事から逃げ出そうとして気がついたらパジャマで森にいた26歳のOLと、拾ってくれた40近く見える髭面のマッチョなオッサン(実は31歳)がラブラブするお話。ちと長めですが前後編で終わります。
ムーンライト、エブリスタにも掲載しております。
とろける程の甘美な溺愛に心乱されて~契約結婚でつむぐ本当の愛~
けいこ
恋愛
「絶対に後悔させない。今夜だけは俺に全てを委ねて」
燃えるような一夜に、私は、身も心も蕩けてしまった。
だけど、大学を卒業した記念に『最後の思い出』を作ろうなんて、あなたにとって、相手は誰でも良かったんだよね?
私には、大好きな人との最初で最後の一夜だったのに…
そして、あなたは海の向こうへと旅立った。
それから3年の時が過ぎ、私は再びあなたに出会う。
忘れたくても忘れられなかった人と。
持ちかけられた契約結婚に戸惑いながらも、私はあなたにどんどん甘やかされてゆく…
姉や友人とぶつかりながらも、本当の愛がどこにあるのかを見つけたいと願う。
自分に全く自信の無いこんな私にも、幸せは待っていてくれますか?
ホテル リベルテ 鳳条グループ 御曹司
鳳条 龍聖 25歳
×
外車販売「AYAI」受付
桜木 琴音 25歳
若き社長は婚約者の姉を溺愛する
椿蛍
恋愛
★宮ノ入シリーズ第1弾
【注意】改稿のため、一部非公開になります。(2023.5~)
継母と異母妹は前妻の子である姉の美桜を家政婦として扱っていた。
家を出ようとしても継母の実家の力で住む場所も決めることができず、友達は嫌がらせを受けてしまい、美桜は自分から自然と距離を置いた。
28歳になっても家から出してはくれず、黙々と家事をこなしていた。
23歳になった妹には見合い話がたくさんくるにも関わらず、美桜にはお見合い話はこない。
妹の梨沙は自慢げにお見合い話を美桜に見せつけていた。
欲しいのはそんなものではなく、自由なのに―――美桜はそれをなんの感情もなく見つめていた。
けれど、そんな美桜に一つだけ見合い話が持ち込まれた。
【初出】2020.8.3
私の婚活事情〜副社長の策に嵌まるまで〜
みかん桜(蜜柑桜)
恋愛
身長172センチ。
高身長であること以外はいたって平凡なアラサーOLの佐伯花音。
婚活アプリに登録し、積極的に動いているのに中々上手く行かない。
名前からしてもっと可愛らしい人かと…ってどういうこと? そんな人こっちから願い下げ。
−−−でもだからってこんなハイスペ男子も求めてないっ!!
イケメン副社長に振り回される毎日…気が付いたときには既に副社長の手の内にいた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる