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恋人が他の人と結婚
④
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自分でも、よく怒りを抑えたと思う。
そうよ。ちょうどいい機会だったじゃない。
「昇進って、主任にですか?」
「そうよ。急に課長にはなれないでしょ。」
すると原田君は、つまんなそうにため息をついた。
「俺、役職とかいらないです。」
「えっ?どういう事?」
原田君ぐらい仕事できる人だったら、当然主任になりたいと思っていたけど。
「責任だけ負わされて、やってること報われないって、使い捨てみたいじゃないですか。」
唖然とした。今の若い人って、こういう考えなの?
「報われないって……少なくても、給与には反映されるわよ。役職手当がつくから。」
「いくらですか?」
「確か、3万円くらいだったかな。」
「たったの3万ですか。はぁっー。」
何なの?何なの⁉何なの‼
それは何?コスパの問題⁉それか、今の新人世代のタイパ⁉
私には、ついていけないっ!
その時、結城の声が聞こえた。
「……おい、原田。」
「はい。」
「少なくても、主任に上がるには、その程度の仕事ができているか判断される。役職だけ上げて、責任だけ負わす事はしないよ。」
「そうなんですか。」
「ああ。浅見は原田の能力を買ってるんだから、期待に応えろよ。」
「期待……ですか。頑張ってみます。」
私の胸の中は、じーんと熱くなった。
こういう時、フォローしてくれるのが、結城なんだよね。
「ありがとう、結城。」
「いや、困ったら俺に言えよ。助けるから。」
私は結城を見て、改めてこいつが社長になったら、いい会社になるんじゃないかと思った。
普通、協力するとは言えるけれど、助けるなんて言えないもんね。
今、ありがとうだけでは足りないくらいの感謝を、結城に感じていた。
そして昼休み。
私は結城の言葉を、まだ脳内でリピートしていた。
― 助けるから -
それだけで、胸が温かくなる。
結城って、私の事どう思っているんだろう。
その時だった。
『たった今入ってきました。ホットなニュースです。人気俳優・松本裕人さんが、元アイドルの方と入籍したと発表しました。』
息が止まった。
「えっ?」
私はニュースが流れているテレビを、凝視した。
そこには、裕人の顔が映っていた。
『いやー、交際わずか2か月でのスピード婚。さすが、人気俳優は決断も早いですね。』
『お相手の方は、妊娠されてるんでしょうか。』
『それがしていないんですよ。そこもポイントですよね。』
私は、急いで裕人に電話を掛けた。
本人は、案外直ぐに電話に出た。
「ちょっと裕人。どういう事?」
「ああ、結婚の事?ニュースで見た?そういう事だから。」
「だから!私と付き合ってるのに、結婚ってどういう事?二股かけてたの⁉」
「そうなるかなぁ。」
「そうなるかなって、どうして黙ってるの⁉」
問い詰める質問は、怒りの分だけ続く。
「いや、結婚の事。昨日の夜言おうとしたけど、恭香さん、寝ちゃったしね。」
「それはっ!……激しかったからっ!」
あんなに攻められたら、体力追いつかなくて、寝落ちするわ!
「でも、昨日。いい思いしたでしょ。最後の思い出にしちゃあ、俺頑張ったと思わない?」
「最後の思い出?」
「というわけで、これでバイバイね。」
電話は無情にも切れた。
えっ……これで、終わり?
裕人君との付き合いが終わり?
こんなあっさり、他の女に取られるの?
なんか、魂が抜かれたように呆然としてしまった。
「どうした?浅見。」
そんな呆然としている私に、躊躇なく話しかけてくるのも、結城だ。
「……彼氏が、他の女と結婚した。」
「何⁉二股⁉しかも浅見が浮気相手⁉」
私がっ!浮気相手だった⁉
私はファンデーションで隠したキスマークに触れた。
だから、あんなに激しかったの?最後の夜だったから⁉
その計画的犯罪に、私は何も言えなかった。
「まあ……悪い男に捕まったと思って、諦めろよ。浅見だったら、直ぐにいい男が見つかるから。」
私は、ボロボロと泣き出した。
「裕人君以外に、いい男なんていないもん。」
裕人君との出会いは、運命だって信じていたのに。
そうよ。ちょうどいい機会だったじゃない。
「昇進って、主任にですか?」
「そうよ。急に課長にはなれないでしょ。」
すると原田君は、つまんなそうにため息をついた。
「俺、役職とかいらないです。」
「えっ?どういう事?」
原田君ぐらい仕事できる人だったら、当然主任になりたいと思っていたけど。
「責任だけ負わされて、やってること報われないって、使い捨てみたいじゃないですか。」
唖然とした。今の若い人って、こういう考えなの?
「報われないって……少なくても、給与には反映されるわよ。役職手当がつくから。」
「いくらですか?」
「確か、3万円くらいだったかな。」
「たったの3万ですか。はぁっー。」
何なの?何なの⁉何なの‼
それは何?コスパの問題⁉それか、今の新人世代のタイパ⁉
私には、ついていけないっ!
その時、結城の声が聞こえた。
「……おい、原田。」
「はい。」
「少なくても、主任に上がるには、その程度の仕事ができているか判断される。役職だけ上げて、責任だけ負わす事はしないよ。」
「そうなんですか。」
「ああ。浅見は原田の能力を買ってるんだから、期待に応えろよ。」
「期待……ですか。頑張ってみます。」
私の胸の中は、じーんと熱くなった。
こういう時、フォローしてくれるのが、結城なんだよね。
「ありがとう、結城。」
「いや、困ったら俺に言えよ。助けるから。」
私は結城を見て、改めてこいつが社長になったら、いい会社になるんじゃないかと思った。
普通、協力するとは言えるけれど、助けるなんて言えないもんね。
今、ありがとうだけでは足りないくらいの感謝を、結城に感じていた。
そして昼休み。
私は結城の言葉を、まだ脳内でリピートしていた。
― 助けるから -
それだけで、胸が温かくなる。
結城って、私の事どう思っているんだろう。
その時だった。
『たった今入ってきました。ホットなニュースです。人気俳優・松本裕人さんが、元アイドルの方と入籍したと発表しました。』
息が止まった。
「えっ?」
私はニュースが流れているテレビを、凝視した。
そこには、裕人の顔が映っていた。
『いやー、交際わずか2か月でのスピード婚。さすが、人気俳優は決断も早いですね。』
『お相手の方は、妊娠されてるんでしょうか。』
『それがしていないんですよ。そこもポイントですよね。』
私は、急いで裕人に電話を掛けた。
本人は、案外直ぐに電話に出た。
「ちょっと裕人。どういう事?」
「ああ、結婚の事?ニュースで見た?そういう事だから。」
「だから!私と付き合ってるのに、結婚ってどういう事?二股かけてたの⁉」
「そうなるかなぁ。」
「そうなるかなって、どうして黙ってるの⁉」
問い詰める質問は、怒りの分だけ続く。
「いや、結婚の事。昨日の夜言おうとしたけど、恭香さん、寝ちゃったしね。」
「それはっ!……激しかったからっ!」
あんなに攻められたら、体力追いつかなくて、寝落ちするわ!
「でも、昨日。いい思いしたでしょ。最後の思い出にしちゃあ、俺頑張ったと思わない?」
「最後の思い出?」
「というわけで、これでバイバイね。」
電話は無情にも切れた。
えっ……これで、終わり?
裕人君との付き合いが終わり?
こんなあっさり、他の女に取られるの?
なんか、魂が抜かれたように呆然としてしまった。
「どうした?浅見。」
そんな呆然としている私に、躊躇なく話しかけてくるのも、結城だ。
「……彼氏が、他の女と結婚した。」
「何⁉二股⁉しかも浅見が浮気相手⁉」
私がっ!浮気相手だった⁉
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だから、あんなに激しかったの?最後の夜だったから⁉
その計画的犯罪に、私は何も言えなかった。
「まあ……悪い男に捕まったと思って、諦めろよ。浅見だったら、直ぐにいい男が見つかるから。」
私は、ボロボロと泣き出した。
「裕人君以外に、いい男なんていないもん。」
裕人君との出会いは、運命だって信じていたのに。
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