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あなただけの歌姫
②
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そして、調子に乗った皇太子殿下は、強硬手段をとった。
夜に、私の部屋を訪れたのだ。
「皇太子殿下?」
「エリカ。俺のモノになって欲しい。」
「えっ?」
信じられない言葉だった。
「恐れながら、皇太子殿下と私は、一回りも歳が離れておりますが。」
「それがどうした?」
背の高い皇太子殿下は、私を見降ろした。
「喜べ。俺の愛人にしてやる。」
「はあ?」
「どうせ、父上にもその身体を捧げているんだろう?」
皇太子殿下は、私の腰を抱き寄せた。
「止めて下さい!」
私は皇太子殿下の肩を、引き離そうとした。
「皇帝殿下は、そのような方ではありません!」
「嘘つけ!歌姫って言ったって、ただ歌を歌っているだけじゃないか!それだけで、宮廷に留まれるのか?」
悔しかった。
歌を歌っているだけなんて!
「エリカ!」
皇太子殿下に、ベッドに押し倒された。
「嫌です!」
思い余って、皇太子殿下を突き飛ばしてしまった。
「おまえ~!」
「お許しください!」
私はそう叫ぶと、自分の部屋を出た。
廊下を付き走ると、いつの間にかこう皇太子殿下の部屋の前に来ていた。
遠い扉。
私の為には、開かない重い扉。
「皇帝殿下……」
扉の前で、膝を着き泣いてしまった。
その時、扉が開いた。
「エリカ?」
「ああ、皇帝殿下……」
夢だと思った。
恋焦がれた皇帝殿下が、私の目の前にいる。
「どうした?」
まさか皇太子殿下に襲われたなんて、言えない。
「ああ……」
泣いている顔を両手で覆うと、皇帝殿下がそっと抱きしめてくれた。
「皇帝殿下……」
「何があったかは分からないが、エリカが泣いていると、私も悲しくなる。」
「そんな……」
「私が、エリカをこの宮廷に連れて来てしまった。君は、あのまま街で歌っていた方が、幸せだったのかと、時々思うんだ。」
私は、皇帝殿下の肩を抱きしめた。
「私は、皇帝殿下の歌姫になって、幸せです。」
「エリカ?」
「お慕いしている皇帝殿下の為だけに、歌いたいんです。」
その瞬間、皇帝殿下の瞳が私を射抜いた。
「殿下、あの……」
ドキドキする。そんなに見つめられると。
「エリカ、許して欲しい。」
夜に、私の部屋を訪れたのだ。
「皇太子殿下?」
「エリカ。俺のモノになって欲しい。」
「えっ?」
信じられない言葉だった。
「恐れながら、皇太子殿下と私は、一回りも歳が離れておりますが。」
「それがどうした?」
背の高い皇太子殿下は、私を見降ろした。
「喜べ。俺の愛人にしてやる。」
「はあ?」
「どうせ、父上にもその身体を捧げているんだろう?」
皇太子殿下は、私の腰を抱き寄せた。
「止めて下さい!」
私は皇太子殿下の肩を、引き離そうとした。
「皇帝殿下は、そのような方ではありません!」
「嘘つけ!歌姫って言ったって、ただ歌を歌っているだけじゃないか!それだけで、宮廷に留まれるのか?」
悔しかった。
歌を歌っているだけなんて!
「エリカ!」
皇太子殿下に、ベッドに押し倒された。
「嫌です!」
思い余って、皇太子殿下を突き飛ばしてしまった。
「おまえ~!」
「お許しください!」
私はそう叫ぶと、自分の部屋を出た。
廊下を付き走ると、いつの間にかこう皇太子殿下の部屋の前に来ていた。
遠い扉。
私の為には、開かない重い扉。
「皇帝殿下……」
扉の前で、膝を着き泣いてしまった。
その時、扉が開いた。
「エリカ?」
「ああ、皇帝殿下……」
夢だと思った。
恋焦がれた皇帝殿下が、私の目の前にいる。
「どうした?」
まさか皇太子殿下に襲われたなんて、言えない。
「ああ……」
泣いている顔を両手で覆うと、皇帝殿下がそっと抱きしめてくれた。
「皇帝殿下……」
「何があったかは分からないが、エリカが泣いていると、私も悲しくなる。」
「そんな……」
「私が、エリカをこの宮廷に連れて来てしまった。君は、あのまま街で歌っていた方が、幸せだったのかと、時々思うんだ。」
私は、皇帝殿下の肩を抱きしめた。
「私は、皇帝殿下の歌姫になって、幸せです。」
「エリカ?」
「お慕いしている皇帝殿下の為だけに、歌いたいんです。」
その瞬間、皇帝殿下の瞳が私を射抜いた。
「殿下、あの……」
ドキドキする。そんなに見つめられると。
「エリカ、許して欲しい。」
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