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異動してきた綺麗系男子

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総務部に戻ったら、村上想太は同僚に仕事を聞いていた。

今度課長になると言う事は、今まで係長だった訳で。

当たり前に、営業部では部下がいただろうに。

全く畑違いの総務部では、彼はまだ新入社員のようだ。


「皆さん、私から報告があります。」

私は村上想太を隣に呼んだ。

「来週から村上係長が、課長に昇進します。」

村上想太が頭を下げると、心のこもっていない拍手が送られる。

そうなるよね。

皆だって、総務部に来たばかりの印象が強い彼が、急に上司になるだなんて、納得できないよね。

「じゃあ、村上君。一言。」

「課長と言っても、まだまだ皆さんに教えて頂く事がたくさんありますので、これからもいろいろと教えて下さい。」

差支えのない挨拶で、彼の昇進報告は終わった。

「部長、昇進祝い。金曜日でいいですか?」

そう。総務部には、誰かが昇進した時に、皆で居酒屋に行って祝うのだ。

「ああ、そうだね。今度の金曜日。皆、来てね。」

はいと皆返事はするけれど、果たしてくるだろうか。


「村上君。金曜日は来れるよね。」

「主役が行かなくてどうするんですか?」

その時の彼の笑顔が、私を釘付けにした。

「ん?」

彼の視線が、私をハッとさせた。

「いや、どこがいいかな。結構飲む方?」

「はい。飲むのは好きです。」

心なしか、ほっとした。

皆の様子だと、がっかりしたんじゃないかって、思ったから。

そして金曜日。

近くの居酒屋で、総務部の皆が集まって、彼の昇進祝いをした。

久しぶりの飲み会で、皆もワイワイと楽しんでいる。

一つだけ。村上君の周りに誰も集まっていない事を除いては。

こうなると、気を遣うのは私の方だ。

「営業部の方でも、昇進祝いしてくれるの?」

「どうなんですかね。昇進祝い、して貰った事がなくて。」

うっ!と、思わずビールを零しそうになった。

「いいですね。総務部はアットホームで。そういう雰囲気、大切にしたいですね。」

彼は、一生懸命。

総務部に馴染もうとしている。

「営業部には、8年?」

「はい。大学卒業して、ずっと営業でした。」

それが異動になった時、彼は何を感じたのだろう。
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