上 下
21 / 39

21

しおりを挟む
「どうだ小僧?それがその娘の本性、よく見るが良い」
 背筋が、凍った。信仁に、この姿を見られている。言い訳できない。取り繕いようがない。
 この時のあたしは、打ちのめされたって言い方が、一番しっくりくる状態だった。
「実にあさましい、おぞましい姿だ。そうは思わんか?思うだろ?」
 嘲笑混じりにそう言う桐崎の言葉を聞きながら、あたしは振り向いた、ゆっくりと。
 信仁の顔を、目を見るのが怖かった。けど、振り向かずにもいられなかった。
 案の定、信仁は目を丸くしている。呆けてしまっている、と言っても良いように見えた。
「小僧、おまえ、その娘を好いていたのだろう?どうだ?お前の好いた娘は、おぞましいケダモノだぞ?どう……」
 桐崎の言葉を、銃声が遮った。割と顔の傍で――振り向いたあたしの顔と入れ替わるように伸ばした信仁の腕の先の銃は、あたしの頭の斜め後ろ三十センチちょいの所にあった――発砲されて、あたしは耳がキーンとする。
「だから、少し黙れって」
 桐崎の方を向かずに、あたしの目を見つめたまま信仁は発砲していた。
「……なんつーか、その、うん、やべぇな」
 桐崎に向けた銃口を動かさないまま、信仁は言った。何故か、嬉しそうな顔で。
「流石にちょっと予想外だったけど、うん。姐さん、惚れ直したぜ」

「な……何?」
 期せずして、あたしと桐崎の声が被った。
「え?信仁あんた、何?え?」
「……小僧おまえ、そのケダモノがおぞましく……」
 脇腹に一発食らっていた桐崎の言葉は、反対側の脇腹に着弾した銃声に再び遮られた。
「おぞましいのはお前だ、この最低のクソ下衆野郎が」
 弾倉を入れ替えながら、信仁が言う。
「おまえみたいなバケモンのやる事に、いちいち真に受けていられるかよ。大方あれだろ、姐さんのこんな姿見せて俺を絶望させて、その隙に俺の精気でも吸おうって魂胆だろう?そうは行かねぇよ、手の内は大体読めてんだバカが」
「なん……だと?」
 脇腹を押さえつつ、桐崎が聞き返す。
「おかげさまで姐さんのケガも治ってるし、大助かりだから撃ち殺さないどいてやるけどな。おまえ、夢魔だっつったな?やり方にひねりが無いんだよ。長生きしてるみたいな口ぶりだけど、人生無駄に過ごしてんじゃねぇよ」
 いつもの信仁の煽り文句。こういうの、何度も聞いている。小物ほど、載せられてペースにはめられる、とはいえ。この状況で普段通りにそれが出る信仁に、あたしもどう反応していいか混乱した。
「小僧……馬鹿にしおって!」
「あ、怒った?悪いな、ホントのバカにバカってホントのこと言っちまってよ」
「小僧!」
 二発ずつ二回、計四発の銃声がリズミカルに響く。二発は桐崎の股関節あたりに、二発は桐崎の頭上の槍のような物に。
「逃げるぞ姐さん!」
「え?ちょ!」
 姿勢を崩す桐崎と、バランスを崩して床に刺さる槍に目もくれず、信仁はあたしの手を掴むと、道場の裏口に向かって一目散に走り出した。

「やー、調子に乗ってちょーっと怒らせすぎたかな?」
 肩で息をしながら、北グラウンドを斜めに突っ切った対角線上にある講堂に逃げ込んだ信仁は、笑いながらそう言った。
「バカじゃないのあんたは!つかあんたこそバカだろ!何やってんのよ!」
 何から何まで、信仁の行動はあたしの理解の斜め上にあった。つか、どうして一般人がこの状況で、正体の分からない相手に対してあれだけ啖呵切って対抗出来るんだ?コイツ、よっぽどのバカか、さもなきゃ……
「だってよ、姐さんの親御さんの仇なんだろ?」
 唐突にまた思いがけない切り口から飛んできたその一言に、あたしも隙を突かれる。
「え?」
「自分で夢魔だって言ってたし、やり口も確かに下衆ゲス極まりねぇ。まあ、この程度で俺がビビると思ったら大間違いなんだがな。アニキさん達も、この調子じゃあどうせ利用されてるんだろうし、姐さんの親の仇ならなおさらだ、死なない程度にぶち殺さなきゃ腹の虫が治まらねぇ。姐さんのその姿も元に戻さにゃならないしな」
 あたしの目を見て、信仁は言う。
「姐さんの為、ってのもあるけど、とにかくああいうのは俺がどうにも許せねぇ。だから、精いっぱい力になりますぜ」
 顔が、近い。あたしは、思わず顔を引く。
「元に戻すって……え、ちょっと待って信仁」
 なんか、話が噛み合ってない気がする。
「あんた、あたしのこのカッコ見て、何とも思わないの?」
「いやだから、何とも思わないっつーか、ケモナーの俺としてはご褒美っつーか思うところはいっぱいあるけど、姐さん、アイツのせいでそういう風に変えられちゃったんだろ?」
 なんだよケモナーって。何それ知らないわよそんなの。確かに事実として、「奴」のせいだってのはそりゃそうなんだけど。間違いじゃないけど、多分、信仁の認識は、何か根本がズレてる。
 あたしは、結構頭がテンパっていたこともあって、信仁が事態をズレて認識している事に、あたしが凹んでる理由をわかってくれていないって事に、キレちゃった。
「違うわよ!気がつけよ!これがあたしの本性なんだよ!分かれよこの鈍感!バカ!」
 今思うと、全部「奴」のせいにしてごまかし通すっててもあったのかも知れないけど、その時のあたしは信仁の鈍感さというかズレっぷりに腹が立っていて、そんな冷静な判断はどっかに吹っ飛んでしまっていた。本性を見られた、知られたと思ったショックの八つ当たり、だったんだと思う。
「え?」
「あたしは人狼ひとおおかみなのよ!見りゃ分かるでしょ!」
「見りゃって、え?あ!」
「あたしは、あんたを騙してた、隠してたのよ!それを「奴」がバラして!そしたらあんたが絶望するかもって、そういう話よ!それを何よ!あんたわかってなかったの?もうホント最低!」
「いや待って姐さん、え?俺?俺が悪いの?」
「当たり前よ!あんたのせいよ鈍感!ほんっとにデリカシーがないんだから!」
「そう言う問題じゃ……」
「うるさいバカ!鈍感!」
「……すみません……」

「……すみません姐さん」
「何よ!」
「あの、ちょっと確認させて下さい。アイツが言ってたことなんだけど。半端者って、どういう……」
 あたしの罵詈雑言が一段落した後の、信仁のその一言は、キレてたあたしをある程度、冷静に引き戻した。
「……あたしが、人狼ひとおおかみとして不完全だって事よ」
 口に出すのも腹立たしいけど、勢いもあってあたしはそれを口に出していた。
「不完全?」
「あたしは混血だから、人狼ひとおおかみの力を半分も使えない、だから半端者、そういう事よ!」
「え?だって、悪い、今の姿は、それに、傷だって」
 一応信仁は気を使って聞いていたけど、その質問自体、あたしには酷だった。信仁が悪いわけじゃないんだけど。
「……「奴」に無理矢理変えられたのよ。あたしは、あたしの力じゃ獣の姿になれない半端者だから。あたしは、弱いから……」
「あ?あ……あー。なるほど、よくわからねぇけど、よくわかった」
 何かが腑に落ちたげに、信仁は言う。
「要するに、アイツは姐さんを舐めてるって事だ」

「……何言ってるの?どういう意味よ」
 その言い方がちょっと癪に障ったあたしのトゲのある返しに、信仁は苦笑して答える。
「だから、アイツは姐さんを弱いと思ってる、だから強くして、それでも圧倒出来る、どうだ、絶望しただろう、って言って姐さんをやっつけようと、こういう事だと」
「……そうよ」
 その指摘は、ほぼ間違い無い。
「あたしは、弱い。たまたま逃げ出せたけど、「奴」は本来ハンパない強いのよ。あたしじゃ、まるで歯が立たないくらい……」
「今までの姐さんなら、だろ?」
「……え?」
 その指摘も、あたしには斜め上だった。
「アイツが自分で言ったじゃんか。姐さんが弱いから、本来の力を出させた、みたいな事。その姿は、そういう事なんでしょ?」
「……そうだけど……」
 あたしは、改めて自分の姿を見下ろす。無意識に、信仁から一歩遠ざかろうとしてしまう。
 そのあたしの肩を、信仁の左手が抑えた。
「だったら、少なくともさっきまでより姐さんは強い、そういう事じゃないすか?さっきまではともかく、その姿でもまだ勝てない、とは限らないんじゃないか?」
「……」
 理屈は、あってる。現に、怪我が再生するスピードが段違いだった。今だって、今まで無かったくらい、力があふれてる感じはある。さっきだって、何ならあたしが信仁を抱えて倍の速度で走る事だって出来そうだった、つか多分、軽く出来た。
「だったら、アイツこそこっち舐めてんだ、後悔させてやりましょうや」
 弾倉を交換し、半端に残った弾丸を一つの弾倉にまとめながら信仁が軽く言う。
「そんな簡単な話じゃないのよ!だって……」
「したら、知ってる事全部、教えてくれ」
 事情を知らないから、あたしが決め手を欠いている事も、「奴」がどれだけ古強者かも知らないから、信仁は軽く考えているんだ。そう思って食ってかかろうとしたあたしを遮って、信仁が聞いた。
「絶対に何か手はある。希望は捨てるべきじゃない、違うか?」
「そりゃ……」
 護符タリスマンが反応した事は、多分かじかには伝わっている。そうなると、あの子がこっちの様子を見に来ないわけがない。携帯がつながらないとなればなおさらだ。そう言う意味では、時間稼ぎすりゃ援軍も期待出来ないこともない。あるいは、こいつが同意するかどうかはわからないけど、もう一度信仁に結界の外に出てもらって助けを呼んでもらう、という手も無くはない。確かに、手はない事はないとは思う。けど、素人の信仁にそんな事を指摘されると、ちょっと腹が立つ。
「それと、もう一つ」
「きゃ!」
 そんな事を考えていたあたしは、突然、信仁に抱きしめられていた。
「な、何!」
 思わず悲鳴を上げてしまい、悲鳴を上げてしまったこと自体にあたしはうろたえてしまう。
「言ったろ?俺は姐さんを嫁にもらうって決めてんだ。だから、姐さんの親の敵なら、俺の仇も同じだ」
「そうじゃなくて!ふざけないで!あたしは!」
 あたしは、てっきり、信仁がいつもの調子で言っているんだと思っていた。体の間に左腕をねじ込んで、信仁を振りほどこうとする。
「そんでもって、姐さんは姐さんだ!何も違わねぇよ。姿形は関係ねぇ」
 でも、あたしの左腕は、二人の間に割り込めない。力なら、はるかに今のあたしの方が上のはずなのに。
「それとも、ここに居るのは別の誰かなんスか?え?」
「そうじゃ……ないけど……」
 あたしの左腕は、割り込むのを諦める。木刀ゆぐどらしるを握る右手ともども、だらんと垂れ下がる。
「じゃあ、そういう事だ」
「……駄目よ。絶対に、駄目」
 あたしは、二人の間に割り込むのではなく、違う動きをしようとする両腕を、必至に押しとどめる。
「あたしは人じゃないのよ、あんたとは違う、だから……」
 受け入れては駄目。認めては駄目。認めてしまったら、きっともっと辛くなるから。辛い事が起きるのが、わかりきっているから。
 唐突に、信仁が体を離した。
「……クソ、残念だけど続きは後だ、時間がない。畜生、何が何でもアイツぶっちめて続きの時間つくらにゃ……ああそうだ、一つだけ言っとくわ、姐さん」
「……何よ」
 急に抱きしめられて、勝手に離されて、どういう顔していいかわからなかったあたしは、ぶっきらぼうに答えた。それでも、何か重要なヒントでも思いついたのかと、内心あたしはちょっとだけ期待してたんだけど。
 信仁は、完璧な笑顔で、言った。
「その格好の姐さんも、大好きだぜ」
「……何バカ言ってんのよこんな時に!」

「小僧はどこに隠れた?」
 正面から講堂に入ってきた桐崎は、舞台の上、演台の前のあたしに聞いた。
「さあて、とっくに逃げ出したんじゃないの?」
 あたしは、木刀ゆぐどらしるを中段に構えたまま、答える。木刀が纏う光が、強い。確かに、今の半獣の姿のあたしは、人の姿の時より、全てにおいて、強い。これが、妹達が手に入れていた、力。
――「奴」に、感謝すべきなのかしらね――
 あたしは、桐崎と対峙しながら、頭のほんの片隅で、思う。誰かがかけた封印ではなく、あたしが自分で課した制約、それを、「奴」はあたしの心に手を突っ込んで、悪意で捩じ切った。あたしのこの姿を信仁に見せ、信仁を絶望させ、そして信仁が絶望した姿をあたしに見せて、あたしを絶望させるために。
 でも、そうはならなかった。
――ああ、感謝するなら、信仁の方か――
 あたしは、思い直す。図太いのか単にバカなのか、信仁はあたしのこの姿を見ても退かなかった、受け入れた。それだけでも、あたしは救われた。自信を持って、この姿で闘える。
――ありがとう、信仁。それと、ごめんね――
 でも、どう転んでも、結局、必ず、あたしは信仁と別れなければならない。その事を意識し、意識した上で今は意識から追い出そうとしながら、あたしは木刀ゆぐどらしるを握り直した。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】私だけが知らない

綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです

青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。 しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。 婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。 さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。 失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。 目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。 二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。 一方、義妹は仕事でミスばかり。 闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。 挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。 ※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます! ※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。

骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方

ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。 注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。

身代わり婚~暴君と呼ばれる辺境伯に拒絶された仮初の花嫁

結城芙由奈 
恋愛
【決してご迷惑はお掛けしません。どうか私をここに置いて頂けませんか?】 妾腹の娘として厄介者扱いを受けていたアリアドネは姉の身代わりとして暴君として名高い辺境伯に嫁がされる。結婚すれば幸せになれるかもしれないと淡い期待を抱いていたのも束の間。望まぬ花嫁を押し付けられたとして夫となるべく辺境伯に初対面で冷たい言葉を投げつけらた。さらに城から追い出されそうになるものの、ある人物に救われて下働きとして置いてもらえる事になるのだった―。

宮廷外交官の天才令嬢、王子に愛想をつかれて婚約破棄されたあげく、実家まで追放されてケダモノ男爵に読み書きを教えることになりました

悠木真帆
恋愛
子爵令嬢のシャルティナ・ルーリックは宮廷外交官として日々忙しくはたらく毎日。 クールな見た目と頭の回転の速さからついたあだ名は氷の令嬢。 婚約者である王子カイル・ドルトラードを長らくほったらかしてしまうほど仕事に没頭していた。 そんなある日の夜会でシャルティナは王子から婚約破棄を宣言されてしまう。 そしてそのとなりには見知らぬ令嬢が⋯⋯ 王子の婚約者ではなくなった途端、シャルティナは宮廷外交官の立場まで失い、見かねた父の強引な勧めで冒険者あがりの男爵のところへ行くことになる。 シャルティナは宮廷外交官の実績を活かして辣腕を振るおうと張り切るが、男爵から命じられた任務は男爵に文字の読み書きを教えることだった⋯⋯

【12/29にて公開終了】愛するつもりなぞないんでしょうから

真朱
恋愛
この国の姫は公爵令息と婚約していたが、隣国との和睦のため、一転して隣国の王子の許へ嫁ぐことになった。余計ないざこざを防ぐべく、姫の元婚約者の公爵令息は王命でさくっと婚姻させられることになり、その相手として白羽の矢が立ったのは辺境伯家の二女・ディアナだった。「可憐な姫の後が、脳筋な辺境伯んとこの娘って、公爵令息かわいそうに…。これはあれでしょ?『お前を愛するつもりはない!』ってやつでしょ?」  期待も遠慮も捨ててる新妻ディアナと、好青年の仮面をひっ剥がされていく旦那様ラキルスの、『明日はどっちだ』な夫婦のお話。    ※なんちゃって異世界です。なんでもあり、ご都合主義をご容赦ください。  ※新婚夫婦のお話ですが色っぽさゼロです。Rは物騒な方です。  ※ざまあのお話ではありません。軽い読み物とご理解いただけると幸いです。 ※コミカライズにより12/29にて公開を終了させていただきます。

夫の書斎から渡されなかった恋文を見つけた話

束原ミヤコ
恋愛
フリージアはある日、夫であるエルバ公爵クライヴの書斎の机から、渡されなかった恋文を見つけた。 クライヴには想い人がいるという噂があった。 それは、隣国に嫁いだ姫サフィアである。 晩餐会で親し気に話す二人の様子を見たフリージアは、妻でいることが耐えられなくなり離縁してもらうことを決めるが――。

処理中です...