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「ま、その話はいいとして。それで、五月ちゃんはちゃんと一人暮らし、出来てたの?」
隼子に冷酒を注いでもらいながら、円が五月に聞く。
「最初のうちは結構キツかったですけど、まあ、慣れればどうにか。占いの仕事だけじゃ、全然食べて行けなかったですけど。拝み屋の仕事も、そうしょっちゅうあるものでも無いし」
「それで、夜のバイト?」
「ええ、まあ。一番実入りはいいんで」
「で、練習と実益で客相手に占い?」
「いえ、よく分からないんですけど、それやっちゃうとバーじゃなくてキャバレーになっちゃうとか何とかで」
「それ、風営法の分類ですね、はい」
蒲田巡査長が、横合いから助け船を出す。
「簡単に言うと、お酒出すだけのお店は飲食業なんですが、お酌したりすると接待と見なされて風営法の範疇になるんです、はい」
「そうそう、お上からそんな事言われてるねぇ。うちみたいな料理出す店はそんなに厳しく言われないけど」
思い出したように、隼子も言葉を繋ぐ。
「上の階のロク子もたまにぼやいてるけど、女の子メインのお店は、色々めんどくさいみたいだねぇ」
「なんで、お店ではおおっぴらには占いはしてないんです。「伯林」でも、あくまで私が勝手にやってるのを、お客さんが横から見てるって体で」
もう1軒の、バイトの掛け持ちしているバーの話を五月は持ち出す。
「ああ、だから、俺の時も、練習って体だったのか」
酒井も、五月と初めて会った時のことを思い出し、呟く。五月は、それに頷きながら、
「初めの頃は、その辺のさじ加減もよく分からなくて。ホステス仲間を占って、それが仕事に繋がったり、トラブルになったりあって。なんで、あんまり長いことは、同じ店に居なかったです。「伯林」に移ってからですね、その辺のバランスが安定したのって」
過去の失敗などを思い出しつつ、苦笑して答える。
「いつ頃から、あそこに居るんだい?」
長くこの界隈にいるだけあって、ある意味顔役的な立場に居る隼子が、五月に尋ねる。
「三年前、ですね。その前に居たお店で、やっぱりちょっとトラブルになりかけて」
「あー。なんか、わかる、それ」
円が、横合いから口を出す。
「五月ちゃん、あんた、女に嫌われるタイプっぽいもん」
にやにやしながら言う円に、五月は口を尖らせる。
「何ですかそれ。ケンカ売ってます?」
出会いからして最悪だったためか、五月は円に対して馴染みきれていない。つい、言動が攻撃的になる。
「だって五月ちゃん、すごい男好きするタイプだもん。トラブルの原因、それでしょ?」
ずけずけと、円は言いきる。
「ちょ、男好きって……」
「……あたしも思ったよ、それ。五月あんた、自覚無いなら少し気を付けた方がいいよ?」
この時と思ったか、円にのっかって、隼子ママも言葉に詰まっている従業員に箴言する。
「あの……具体的にどこがどう、五月様が同性に嫌われるのですか?私は全くわからないのですが……」
「えっと……」
隣の玲子に真顔で尋ねられて、北条柾木は答えに窮する。
「……なんて言うんだろう?仕草とか受け答えというか、こう、この娘俺に気があるだろって男が誤解し易いというか」
「え?私、そんな感じ?」
自分の隣、玲子の反対側に座る五月に気を使いつつ答えた柾木の言葉と、思わず頷いた男達の反応に、五月は驚いて声をあげる。
「あらやだ、五月あんた、本当に自覚ないのかい?」
隼子が、目を丸くして聞き直す。
「え?やだ、ホントに?ママ、私、どうしたらいいんです?」
滅多に酒では赤くならない五月が、顔を真っ赤にして隼子に聞く。
「どうもこうもあんた、その歳で今更性格変えようったってどうしょうもないよ。いっそ、さっさと身を固めてガード固めちまいなよ」
長く接客業をしてきて、いろんな娘を雇って見てきたであろう隼子が、ため息交じりに返す。
「店としちゃ繁盛するのはうれしいけど、店に来る若いのがその気になられても困るからねえ」
「身を固めるって、え?」
思わず素で酒井を見てしまう五月を見て、高校を卒業する頃には既に伴侶を決めていた孫娘の上から二人に視線を移しつつ、円も呟く。
「……この可愛げが、この娘達にもありゃあねぇ……」
「それで、東京に出てきて、仇が見つかったって事ですか?」
色々と話の枝葉に興味は尽きないが、話が進まないのも何なので、タイミングを見計らって北条柾木は五月に声をかけた。
「え?あ、うん。えっと」
テンパりかけた状態の五月は、あらぬ方向からの柾木の問いかけに虚を突かれ、一瞬思考をまとめ直してから答える。
「正直言うと、こっち出てきてからは、そんなに積極的に探してたわけじゃなかったんだけど。初めのうちは、とにかく生活の拠点作るのが優先だったし。で、色々あって「伯林」に移ったのが三年くらい前なんだけど、移って半年したくらいの時、その前のお店で一緒だった娘から連絡があったの」
話しながら、五月は急速に落ち着きを取り戻す。
「その前のお店、錦糸町だったんだけど……まあ、そうね、確かにちょっとギスギスしてきたんで辞めたんだけど、それでも割と仲の良い娘は居たのよ。で、その娘から、ちょっと相談があるんだけどって連絡が来て。付き合ってる男が居るんだけど、このまま付き合って良いものかどうか、占って欲しいって」
「前の店でも、占い、やってたんです?」
成り行き上、柾木は合いの手を入れる。
「さっきも言ったけど、なるべく目立たないようにはしてたつもりだったけど、それ目当ての客も居たから、そういうのがトラブルの元だって思ってたんだけど……ホステス仲間で占うこともあったから。自慢じゃないけど、私の占いは当たるもの。だから、その娘の事を占ったことも何度かあったし、それを覚えていて、半年も経ってから連絡してきたんだって言ってた。お店換わったのにごめんって。良い娘だったんだけど、その分男に尽くして結局逃げられるタイプだったわね……」
思い出すように視線を泳がせ、五月はウィスキーのグラスを回す。
「まあ、私もその娘とは何かあったわけじゃないから、確かどっかのファミレスで、深夜に落ち合って占ってみたんだっけ。で、占うには相手の男の事聞くじゃない?メモ取りながら、なんかちょっと引っかかることがあって。」
その時は、その瞬間は気付かなかった。ただ、頭の中と言うより、胸の奥のどこかに、どす黒い、不快な塊があるような違和感が、その娘、亮子の話を聞いている間中つきまとっていた。
だから、その場では占いはせず――とてもじゃないけど、こんなに不快感を抱えたままじゃ、まともな占いなんて出来る気がしなかった――日を改めてキチンとやるから、私の部屋に来てくれないかって、私は亮子に頼んでみた。
亮子は、きっとその時誤解したんだと思う。私が、どうにもしっくりこないから先延ばしにしたのを、親身になって本気で占ってくれるんだと思い違いしたように思える。私としてはちょっと申し訳なかったけど、亮子はそういう底抜けに人のいいところがあって、私が亮子と同じ店に居た一年あまりの間に、私が知る範囲で二回、男に捨てられてた。私がお店に入って二ヶ月目くらいに一度、その一月後には新しい男を作っていて、私がお店を辞める二月前にはまた振られて、私が辞める直前にまた新しい男を見つけたって嬉しそうにしていた。してみると、その新しい男ってのが、この、どうにも私がすっきりしない男なんだろう。
始発で家に帰って、本当は疲れてるはずだから寝た方が良いんだけど、どうにも目は冴えて、気分がイラついて仕方なくて、私はとにかく気分転換しようとお風呂を浴びた。そのお風呂の中で、一体何に私はこんなにイラついている、しこりを感じているんだろうと考え込んでしまって、ふと、風呂場の鏡の中の自分の顔、いくらか母の面影のある、いくらか母に似てきた自分の顔を見て、私は、思い出した。
その男の名前は、桐崎快人。母が残した、仕事の内容を記録した手帳の、最後に書いてある除霊対象者と同姓同名だった、と。
隼子に冷酒を注いでもらいながら、円が五月に聞く。
「最初のうちは結構キツかったですけど、まあ、慣れればどうにか。占いの仕事だけじゃ、全然食べて行けなかったですけど。拝み屋の仕事も、そうしょっちゅうあるものでも無いし」
「それで、夜のバイト?」
「ええ、まあ。一番実入りはいいんで」
「で、練習と実益で客相手に占い?」
「いえ、よく分からないんですけど、それやっちゃうとバーじゃなくてキャバレーになっちゃうとか何とかで」
「それ、風営法の分類ですね、はい」
蒲田巡査長が、横合いから助け船を出す。
「簡単に言うと、お酒出すだけのお店は飲食業なんですが、お酌したりすると接待と見なされて風営法の範疇になるんです、はい」
「そうそう、お上からそんな事言われてるねぇ。うちみたいな料理出す店はそんなに厳しく言われないけど」
思い出したように、隼子も言葉を繋ぐ。
「上の階のロク子もたまにぼやいてるけど、女の子メインのお店は、色々めんどくさいみたいだねぇ」
「なんで、お店ではおおっぴらには占いはしてないんです。「伯林」でも、あくまで私が勝手にやってるのを、お客さんが横から見てるって体で」
もう1軒の、バイトの掛け持ちしているバーの話を五月は持ち出す。
「ああ、だから、俺の時も、練習って体だったのか」
酒井も、五月と初めて会った時のことを思い出し、呟く。五月は、それに頷きながら、
「初めの頃は、その辺のさじ加減もよく分からなくて。ホステス仲間を占って、それが仕事に繋がったり、トラブルになったりあって。なんで、あんまり長いことは、同じ店に居なかったです。「伯林」に移ってからですね、その辺のバランスが安定したのって」
過去の失敗などを思い出しつつ、苦笑して答える。
「いつ頃から、あそこに居るんだい?」
長くこの界隈にいるだけあって、ある意味顔役的な立場に居る隼子が、五月に尋ねる。
「三年前、ですね。その前に居たお店で、やっぱりちょっとトラブルになりかけて」
「あー。なんか、わかる、それ」
円が、横合いから口を出す。
「五月ちゃん、あんた、女に嫌われるタイプっぽいもん」
にやにやしながら言う円に、五月は口を尖らせる。
「何ですかそれ。ケンカ売ってます?」
出会いからして最悪だったためか、五月は円に対して馴染みきれていない。つい、言動が攻撃的になる。
「だって五月ちゃん、すごい男好きするタイプだもん。トラブルの原因、それでしょ?」
ずけずけと、円は言いきる。
「ちょ、男好きって……」
「……あたしも思ったよ、それ。五月あんた、自覚無いなら少し気を付けた方がいいよ?」
この時と思ったか、円にのっかって、隼子ママも言葉に詰まっている従業員に箴言する。
「あの……具体的にどこがどう、五月様が同性に嫌われるのですか?私は全くわからないのですが……」
「えっと……」
隣の玲子に真顔で尋ねられて、北条柾木は答えに窮する。
「……なんて言うんだろう?仕草とか受け答えというか、こう、この娘俺に気があるだろって男が誤解し易いというか」
「え?私、そんな感じ?」
自分の隣、玲子の反対側に座る五月に気を使いつつ答えた柾木の言葉と、思わず頷いた男達の反応に、五月は驚いて声をあげる。
「あらやだ、五月あんた、本当に自覚ないのかい?」
隼子が、目を丸くして聞き直す。
「え?やだ、ホントに?ママ、私、どうしたらいいんです?」
滅多に酒では赤くならない五月が、顔を真っ赤にして隼子に聞く。
「どうもこうもあんた、その歳で今更性格変えようったってどうしょうもないよ。いっそ、さっさと身を固めてガード固めちまいなよ」
長く接客業をしてきて、いろんな娘を雇って見てきたであろう隼子が、ため息交じりに返す。
「店としちゃ繁盛するのはうれしいけど、店に来る若いのがその気になられても困るからねえ」
「身を固めるって、え?」
思わず素で酒井を見てしまう五月を見て、高校を卒業する頃には既に伴侶を決めていた孫娘の上から二人に視線を移しつつ、円も呟く。
「……この可愛げが、この娘達にもありゃあねぇ……」
「それで、東京に出てきて、仇が見つかったって事ですか?」
色々と話の枝葉に興味は尽きないが、話が進まないのも何なので、タイミングを見計らって北条柾木は五月に声をかけた。
「え?あ、うん。えっと」
テンパりかけた状態の五月は、あらぬ方向からの柾木の問いかけに虚を突かれ、一瞬思考をまとめ直してから答える。
「正直言うと、こっち出てきてからは、そんなに積極的に探してたわけじゃなかったんだけど。初めのうちは、とにかく生活の拠点作るのが優先だったし。で、色々あって「伯林」に移ったのが三年くらい前なんだけど、移って半年したくらいの時、その前のお店で一緒だった娘から連絡があったの」
話しながら、五月は急速に落ち着きを取り戻す。
「その前のお店、錦糸町だったんだけど……まあ、そうね、確かにちょっとギスギスしてきたんで辞めたんだけど、それでも割と仲の良い娘は居たのよ。で、その娘から、ちょっと相談があるんだけどって連絡が来て。付き合ってる男が居るんだけど、このまま付き合って良いものかどうか、占って欲しいって」
「前の店でも、占い、やってたんです?」
成り行き上、柾木は合いの手を入れる。
「さっきも言ったけど、なるべく目立たないようにはしてたつもりだったけど、それ目当ての客も居たから、そういうのがトラブルの元だって思ってたんだけど……ホステス仲間で占うこともあったから。自慢じゃないけど、私の占いは当たるもの。だから、その娘の事を占ったことも何度かあったし、それを覚えていて、半年も経ってから連絡してきたんだって言ってた。お店換わったのにごめんって。良い娘だったんだけど、その分男に尽くして結局逃げられるタイプだったわね……」
思い出すように視線を泳がせ、五月はウィスキーのグラスを回す。
「まあ、私もその娘とは何かあったわけじゃないから、確かどっかのファミレスで、深夜に落ち合って占ってみたんだっけ。で、占うには相手の男の事聞くじゃない?メモ取りながら、なんかちょっと引っかかることがあって。」
その時は、その瞬間は気付かなかった。ただ、頭の中と言うより、胸の奥のどこかに、どす黒い、不快な塊があるような違和感が、その娘、亮子の話を聞いている間中つきまとっていた。
だから、その場では占いはせず――とてもじゃないけど、こんなに不快感を抱えたままじゃ、まともな占いなんて出来る気がしなかった――日を改めてキチンとやるから、私の部屋に来てくれないかって、私は亮子に頼んでみた。
亮子は、きっとその時誤解したんだと思う。私が、どうにもしっくりこないから先延ばしにしたのを、親身になって本気で占ってくれるんだと思い違いしたように思える。私としてはちょっと申し訳なかったけど、亮子はそういう底抜けに人のいいところがあって、私が亮子と同じ店に居た一年あまりの間に、私が知る範囲で二回、男に捨てられてた。私がお店に入って二ヶ月目くらいに一度、その一月後には新しい男を作っていて、私がお店を辞める二月前にはまた振られて、私が辞める直前にまた新しい男を見つけたって嬉しそうにしていた。してみると、その新しい男ってのが、この、どうにも私がすっきりしない男なんだろう。
始発で家に帰って、本当は疲れてるはずだから寝た方が良いんだけど、どうにも目は冴えて、気分がイラついて仕方なくて、私はとにかく気分転換しようとお風呂を浴びた。そのお風呂の中で、一体何に私はこんなにイラついている、しこりを感じているんだろうと考え込んでしまって、ふと、風呂場の鏡の中の自分の顔、いくらか母の面影のある、いくらか母に似てきた自分の顔を見て、私は、思い出した。
その男の名前は、桐崎快人。母が残した、仕事の内容を記録した手帳の、最後に書いてある除霊対象者と同姓同名だった、と。
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