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第四章-月齢27.5-
第4章 第42話
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――がさり――
何者かが灌木を、あるいは下生えを掻き分ける音が、唐突にペーター少尉の耳に届いた。
あるいは、もっと前からその音は聞こえていたのかもしれない。しかし、メモ帳片手に思案と書き付けに集中していたペーター少尉の脳は、ある程度大きくなるまで、その音を認識していなかったのかも知れない。
びっくりして、ペーター少尉は胡坐をかいていた軍用ポンチョから腰を浮かせ、浮かせてから、自分の腰には拳銃があった事を、そして、何かあったら、うたた寝をしているドルマを庇わなければならないことを思い出す。
抜き撃ちに適さない、ストック兼用の木製ホルスターの蓋を開けて、ペーター少尉は拳銃――.30モーゼル弾ではなく、9mmパラベラム仕様のM1916、通称『レッド9』と呼ばれるモデル――のグリップに手をかける。
――がさり。がさり――
ゴクリと唾を飲み込んで、次第に近づく、薮を漕ぐ音の聞こえる方向を凝視していたペーター少尉は、低いが濃い灌木の暗がりから顔を出した意外な生き物の姿に、間の抜けた声を出した。
「……え?」
「あれ?ペーター少尉殿?」
「あら、奇遇ね?」
薮から顔を出した雪風と、雪風におんぶされているユモは、ほぼ同時にペーター少尉に声をかけた。
「いやあ、なんかコーヒーのいい匂いがするな~って思って来てみたら、ペーター少尉だったんですか」
おぶったユモを下ろし、前にかかえた背嚢も下ろしつつ、雪風が言う。
「なによ、コーヒー飲みながらピクニック?いいご身分じゃない?」
雪風の背中から降りたユモは、ライフルを担ぎ直しながら、ペーター少尉に近づく。
「しかもなによ、ドルマも一緒?あんたたち、いつの間にそんな仲になったのよ?」
腰に手を当てて、軽くかがみ込んで、うたた寝するドルマの顔を覗き込んだユモは、そのまま顔をペーター少尉に向けて、にやりとする。
「いや、別にそういう事では……」
「止しなさいよユモ、無粋だわよ」
「いやだからそうではなく」
「……何か……え?」
明らかにからかわれ慣れていないのを面白がっているユモと、真剣に反論しようとするペーター少尉。そのユモを諫めようとする雪風の軽い喧噪に気付いたのか、ドルマは物憂げに薄目を開け、そして目の前の光景に目を見開く。
「……え?」
「あんたも隅に置けないわね、でも、いい目の付け所だとは思うわよ、うん」
「止しなさいって。まあ、確かに少尉殿は物件としては超お買い得だとはあたしも思うけどさ」
「え?え?」
「からかわないでください。私は何も……」
「分かってるわよ」
腰に手を当て、胸を張って、ユモは言う。
「それより、あたし達にもコーヒー入れてくれないかしら?朝から歩きづめで喉カラカラなの」
「って、あんた八割方あたしがおんぶしてたじゃない」
「うさい。とにかく、あたし達四人分、コーヒー用意して頂戴。紹介したいお客さんが居るのよ」
「お客、ですか?」
「そうよ。オーガスト、ケシュカル、出て来なさい」
最初の、オーガストの名前には怪訝な顔をしたペーター少尉とドルマの顔色が、ケシュカルの名を耳にした途端に、変わった。
「……ご紹介いただけますか、ユモ・タンク嬢、ユキ・タキ嬢」
ユモの呼びかけに答えて木陰から出て来たその人影を見たペーター少尉の声は、硬い。
「その、アメリカ人の軍人を……私の記憶違いでなければ、将校、中佐とお見受けしますが?」
「そうね、紹介するわ。こちらは、合衆国陸軍軍医中佐、オーガスト・モーリー。オーガスト、こちらはドイツ国一般親衛隊少尉、ペーター・メークヴーディヒリーベ」
立ち上がり、姿勢を正していたペーター少尉は、ユモが言ったオーガストの所属階級を効くやいなや、敬礼――両者とも着帽であり、ペーターもナチス式ではなく、一般的な――をする。これに対し、オーガストは答礼し、そしてそのまま右手を差し出す。
「始めまして、メークヴーディヒリーベ少尉」
「ペーターで結構です、モーリー中佐」
短い握手――失礼のない範囲で、オーガストから手を離した――を交わし、
「こんな土地に、米軍が将校を派遣しているとは知りませんでした。お会い出来て光栄です」
ペーター少尉は、社交辞令を口にする。
「こちらこそ、このチベットの地で親衛隊の青年士官とお近づきになれるとは」
「はいはい!白々しい挨拶はそこまでよ!」
ユモが、大人二人の会話に割り込む。
「ユキ、キリがないからあんたがコーヒー淹れて頂戴。将校さん達も、とにかく座って話しましょ」
「結局こうなるのよね……」
有無を言わさない命令口調でテキパキと指示を出したユモは、振り向いてもう一言、指示を付け加えた。
「ケシュカルも、ビビってないでこっち来る!」
戦前戦中のドイツ軍では、兵士一人あたり一日、ライ麦パン700g程度の他、肉類150g前後、野菜類500g以上などの配給が定められていたが、これと同時にコーヒー豆10g弱、甘味1パック、場合により砂糖や塩、脱脂粉乳など適量も同時に配給されていた。
自分の体力をベースに、嗜好品を減らして三日分のカロリーをメインに食料を背嚢に詰め込んだペーター少尉と異なり、体力に自信のある雪風は、むしろ嗜好品――主にユモ用――を多めに二人分×三日分の糧食――水筒と飯盒も二人分――を用意し、ギッチギチに背嚢と雑嚢に詰め込んでいた。
おかげさまで、無意識に匂いを頼りに調理する雪風の手腕もあって、六人分のコーヒー、うち二人分は砂糖とミルク入りが滞りなく用意された。
「……ケシュカル君、見つけてくれて、連れて来ていただいて、本当にありがとうございます」
適当に車座になった一同の、変な沈黙を破って、ドルマが口を開いた。
「あたし達が連れてきたんじゃないわ」
水筒の蓋に注いだ、砂糖たっぷり、ミルク無しのコーヒーを一口飲んでから、ユモは何でもないことのように答える。
「ケシュカルが、自分で決めて、自分で歩いてきたのよ」
飯盒の蓋に入れた、砂糖無しミルク無し、ブラックコーヒーを啜ってから、雪風も言う。ドルマの目を見て。
「……そうね」
ミルクコーヒーの注がれた水筒の蓋を両手で持ったドルマは、雪風の目を見つめ返してそう言ってから、コーヒーを一口啜る。
「……苦い。けど、甘くて、優しい……」
「お気に召しましたか?」
ドルマの口元が緩んだ事に目ざとく気付いたペーター少尉が、聞く。
「はい。これなら、確かに癖になってしまいそうです」
「それは良かった。時に、中佐殿はお口に合いませんでしたか?」
「あ、いえ、そう言うことではなく」
あえてユモが仕切って、ペーター少尉と隣り合わせて座らせられたオーガストは、ペーター少尉に問いかけられて、慌てて否定する。
「私は、大変な猫舌でして。お恥ずかしい限りです」
『イタクァの眷属』に成り果てたオーガスト・モーリーは、低圧低温、なんなら真空絶対零度にも耐性をもつ代わりに常温常圧であっても行動に制限が出てしまう。スラヴ魔女の『白熊の着ぐるみ』とユモの『五感を惑わす呪い』の相乗効果で短時間の握手なら「体温の低い人だな」くらいの認識に誤魔化せているが、人肌程度ならともかくアツアツのコーヒーを飲むのはヘタをすると命にかかわる。
実は、昨夜の夕飯時にも似たような会話があり、その時はユモの魔法で即座にアイスコーヒーにしたのだが、今この場で同じ事をするわけには行かない。
「この白人のお茶、苦いけど甘くて、俺は好きだ」
夕べも同じものを飲んだケシュカルは、ミルクコーヒーを飲み干して、言う。
「俺、もっとこういうの、知りたいな」
「そうね。チベットに無い味だし、こういうのが、外国の文化を知るという事なんでしょうね」
「外国……」
ドルマに同意され、しかしケシュカルは、考え込む。
「……俺、お坊様に怒られるかな?」
「どうして?」
「だって、外国のことは……」
「ああ……」
ケシュカルの心配に思い当たったドルマは、頷いて、しかし言葉が出ない。
「大丈夫よ」
そのケシュカルに、ユモはうけあう。
「あたし達と一緒に居て、今更どうこう言わせないわよ。なんなら、あたしがあの四角い石頭に掛け合ってあげるわ」
ケシュカルの顔が、輝く。ドルマは、ユモとケシュカルを交互に見て、苦笑する。
「偉そうに大見得切るじゃない?」
「うさいわね、この……ユモ様に不可能はないわ」
雪風にチャチャを入れられて、思わず余計な事を言いそうになったユモは、間一髪でその部分を飲み込んで言い返す。
「……中佐殿は、あの二人とお知り合いだったのですか?」
その様子を微笑ましく並んで見ながら、ペーター少尉はオーガストに尋ねる。
「そうですね、はい、知り合いではあります」
冷めてきたコーヒーをさらに吹きながら、オーガストは答える。
「……恩人でもありますね」
「恩人、ですか」
一言だけ言い、しかしそれ以上は聞こうとしないペーター少尉に、オーガストは言う。
「いずれ、お話し出来る機会もあるでしょう、いずれ……」
何者かが灌木を、あるいは下生えを掻き分ける音が、唐突にペーター少尉の耳に届いた。
あるいは、もっと前からその音は聞こえていたのかもしれない。しかし、メモ帳片手に思案と書き付けに集中していたペーター少尉の脳は、ある程度大きくなるまで、その音を認識していなかったのかも知れない。
びっくりして、ペーター少尉は胡坐をかいていた軍用ポンチョから腰を浮かせ、浮かせてから、自分の腰には拳銃があった事を、そして、何かあったら、うたた寝をしているドルマを庇わなければならないことを思い出す。
抜き撃ちに適さない、ストック兼用の木製ホルスターの蓋を開けて、ペーター少尉は拳銃――.30モーゼル弾ではなく、9mmパラベラム仕様のM1916、通称『レッド9』と呼ばれるモデル――のグリップに手をかける。
――がさり。がさり――
ゴクリと唾を飲み込んで、次第に近づく、薮を漕ぐ音の聞こえる方向を凝視していたペーター少尉は、低いが濃い灌木の暗がりから顔を出した意外な生き物の姿に、間の抜けた声を出した。
「……え?」
「あれ?ペーター少尉殿?」
「あら、奇遇ね?」
薮から顔を出した雪風と、雪風におんぶされているユモは、ほぼ同時にペーター少尉に声をかけた。
「いやあ、なんかコーヒーのいい匂いがするな~って思って来てみたら、ペーター少尉だったんですか」
おぶったユモを下ろし、前にかかえた背嚢も下ろしつつ、雪風が言う。
「なによ、コーヒー飲みながらピクニック?いいご身分じゃない?」
雪風の背中から降りたユモは、ライフルを担ぎ直しながら、ペーター少尉に近づく。
「しかもなによ、ドルマも一緒?あんたたち、いつの間にそんな仲になったのよ?」
腰に手を当てて、軽くかがみ込んで、うたた寝するドルマの顔を覗き込んだユモは、そのまま顔をペーター少尉に向けて、にやりとする。
「いや、別にそういう事では……」
「止しなさいよユモ、無粋だわよ」
「いやだからそうではなく」
「……何か……え?」
明らかにからかわれ慣れていないのを面白がっているユモと、真剣に反論しようとするペーター少尉。そのユモを諫めようとする雪風の軽い喧噪に気付いたのか、ドルマは物憂げに薄目を開け、そして目の前の光景に目を見開く。
「……え?」
「あんたも隅に置けないわね、でも、いい目の付け所だとは思うわよ、うん」
「止しなさいって。まあ、確かに少尉殿は物件としては超お買い得だとはあたしも思うけどさ」
「え?え?」
「からかわないでください。私は何も……」
「分かってるわよ」
腰に手を当て、胸を張って、ユモは言う。
「それより、あたし達にもコーヒー入れてくれないかしら?朝から歩きづめで喉カラカラなの」
「って、あんた八割方あたしがおんぶしてたじゃない」
「うさい。とにかく、あたし達四人分、コーヒー用意して頂戴。紹介したいお客さんが居るのよ」
「お客、ですか?」
「そうよ。オーガスト、ケシュカル、出て来なさい」
最初の、オーガストの名前には怪訝な顔をしたペーター少尉とドルマの顔色が、ケシュカルの名を耳にした途端に、変わった。
「……ご紹介いただけますか、ユモ・タンク嬢、ユキ・タキ嬢」
ユモの呼びかけに答えて木陰から出て来たその人影を見たペーター少尉の声は、硬い。
「その、アメリカ人の軍人を……私の記憶違いでなければ、将校、中佐とお見受けしますが?」
「そうね、紹介するわ。こちらは、合衆国陸軍軍医中佐、オーガスト・モーリー。オーガスト、こちらはドイツ国一般親衛隊少尉、ペーター・メークヴーディヒリーベ」
立ち上がり、姿勢を正していたペーター少尉は、ユモが言ったオーガストの所属階級を効くやいなや、敬礼――両者とも着帽であり、ペーターもナチス式ではなく、一般的な――をする。これに対し、オーガストは答礼し、そしてそのまま右手を差し出す。
「始めまして、メークヴーディヒリーベ少尉」
「ペーターで結構です、モーリー中佐」
短い握手――失礼のない範囲で、オーガストから手を離した――を交わし、
「こんな土地に、米軍が将校を派遣しているとは知りませんでした。お会い出来て光栄です」
ペーター少尉は、社交辞令を口にする。
「こちらこそ、このチベットの地で親衛隊の青年士官とお近づきになれるとは」
「はいはい!白々しい挨拶はそこまでよ!」
ユモが、大人二人の会話に割り込む。
「ユキ、キリがないからあんたがコーヒー淹れて頂戴。将校さん達も、とにかく座って話しましょ」
「結局こうなるのよね……」
有無を言わさない命令口調でテキパキと指示を出したユモは、振り向いてもう一言、指示を付け加えた。
「ケシュカルも、ビビってないでこっち来る!」
戦前戦中のドイツ軍では、兵士一人あたり一日、ライ麦パン700g程度の他、肉類150g前後、野菜類500g以上などの配給が定められていたが、これと同時にコーヒー豆10g弱、甘味1パック、場合により砂糖や塩、脱脂粉乳など適量も同時に配給されていた。
自分の体力をベースに、嗜好品を減らして三日分のカロリーをメインに食料を背嚢に詰め込んだペーター少尉と異なり、体力に自信のある雪風は、むしろ嗜好品――主にユモ用――を多めに二人分×三日分の糧食――水筒と飯盒も二人分――を用意し、ギッチギチに背嚢と雑嚢に詰め込んでいた。
おかげさまで、無意識に匂いを頼りに調理する雪風の手腕もあって、六人分のコーヒー、うち二人分は砂糖とミルク入りが滞りなく用意された。
「……ケシュカル君、見つけてくれて、連れて来ていただいて、本当にありがとうございます」
適当に車座になった一同の、変な沈黙を破って、ドルマが口を開いた。
「あたし達が連れてきたんじゃないわ」
水筒の蓋に注いだ、砂糖たっぷり、ミルク無しのコーヒーを一口飲んでから、ユモは何でもないことのように答える。
「ケシュカルが、自分で決めて、自分で歩いてきたのよ」
飯盒の蓋に入れた、砂糖無しミルク無し、ブラックコーヒーを啜ってから、雪風も言う。ドルマの目を見て。
「……そうね」
ミルクコーヒーの注がれた水筒の蓋を両手で持ったドルマは、雪風の目を見つめ返してそう言ってから、コーヒーを一口啜る。
「……苦い。けど、甘くて、優しい……」
「お気に召しましたか?」
ドルマの口元が緩んだ事に目ざとく気付いたペーター少尉が、聞く。
「はい。これなら、確かに癖になってしまいそうです」
「それは良かった。時に、中佐殿はお口に合いませんでしたか?」
「あ、いえ、そう言うことではなく」
あえてユモが仕切って、ペーター少尉と隣り合わせて座らせられたオーガストは、ペーター少尉に問いかけられて、慌てて否定する。
「私は、大変な猫舌でして。お恥ずかしい限りです」
『イタクァの眷属』に成り果てたオーガスト・モーリーは、低圧低温、なんなら真空絶対零度にも耐性をもつ代わりに常温常圧であっても行動に制限が出てしまう。スラヴ魔女の『白熊の着ぐるみ』とユモの『五感を惑わす呪い』の相乗効果で短時間の握手なら「体温の低い人だな」くらいの認識に誤魔化せているが、人肌程度ならともかくアツアツのコーヒーを飲むのはヘタをすると命にかかわる。
実は、昨夜の夕飯時にも似たような会話があり、その時はユモの魔法で即座にアイスコーヒーにしたのだが、今この場で同じ事をするわけには行かない。
「この白人のお茶、苦いけど甘くて、俺は好きだ」
夕べも同じものを飲んだケシュカルは、ミルクコーヒーを飲み干して、言う。
「俺、もっとこういうの、知りたいな」
「そうね。チベットに無い味だし、こういうのが、外国の文化を知るという事なんでしょうね」
「外国……」
ドルマに同意され、しかしケシュカルは、考え込む。
「……俺、お坊様に怒られるかな?」
「どうして?」
「だって、外国のことは……」
「ああ……」
ケシュカルの心配に思い当たったドルマは、頷いて、しかし言葉が出ない。
「大丈夫よ」
そのケシュカルに、ユモはうけあう。
「あたし達と一緒に居て、今更どうこう言わせないわよ。なんなら、あたしがあの四角い石頭に掛け合ってあげるわ」
ケシュカルの顔が、輝く。ドルマは、ユモとケシュカルを交互に見て、苦笑する。
「偉そうに大見得切るじゃない?」
「うさいわね、この……ユモ様に不可能はないわ」
雪風にチャチャを入れられて、思わず余計な事を言いそうになったユモは、間一髪でその部分を飲み込んで言い返す。
「……中佐殿は、あの二人とお知り合いだったのですか?」
その様子を微笑ましく並んで見ながら、ペーター少尉はオーガストに尋ねる。
「そうですね、はい、知り合いではあります」
冷めてきたコーヒーをさらに吹きながら、オーガストは答える。
「……恩人でもありますね」
「恩人、ですか」
一言だけ言い、しかしそれ以上は聞こうとしないペーター少尉に、オーガストは言う。
「いずれ、お話し出来る機会もあるでしょう、いずれ……」
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