1 / 18
プロローグ
しおりを挟む
懐かしい、学校の屋上に、あたしは居た。
こんな未来、ここに居る時は考えてもいなかった。
初めて会った時。初めて一緒に戦った時。
どれもこれも、予想外。思ってもいない所から、アイツはあたしの懐に入り込んできた。
そして。
アイツは、今、あたしの目の前に居る。
あの時、アイツはこう言ったっけ。
「姐さん。腕に覚えは?」
こないだ入学したばかりのアイツは、あたしにそう聞いた。
「そういうあんたはどうなんだい?」
あたしは、アイツに聞き返す。
「俺はケンカ弱いっすから。おっかねぇから、正々堂々とケンカなんかしないっすよ」
不適に笑いながら、アイツは言い返した。
自分は弱いと主張して。
今思えば、この時からあたしは無意識に、アイツのその「弱さ」ってやつを信用するようになってたのかも知れない。
でなけりゃ、このあたしが、全ての面であたしより弱いはずの下級生男子に背中を預けるなんて事、するわけがない。会って二週間にもならない、下級生男子になんて。
だから、きっと、そういうのに時間の長さって、あんまり関係ないんだと思う。そして、そういう直感的なやつって、きっと、信用して良いんだとも思う。
少なくとも、あたしにとっては、この時のそれは正しかったみたいだから。
こんな未来、ここに居る時は考えてもいなかった。
初めて会った時。初めて一緒に戦った時。
どれもこれも、予想外。思ってもいない所から、アイツはあたしの懐に入り込んできた。
そして。
アイツは、今、あたしの目の前に居る。
あの時、アイツはこう言ったっけ。
「姐さん。腕に覚えは?」
こないだ入学したばかりのアイツは、あたしにそう聞いた。
「そういうあんたはどうなんだい?」
あたしは、アイツに聞き返す。
「俺はケンカ弱いっすから。おっかねぇから、正々堂々とケンカなんかしないっすよ」
不適に笑いながら、アイツは言い返した。
自分は弱いと主張して。
今思えば、この時からあたしは無意識に、アイツのその「弱さ」ってやつを信用するようになってたのかも知れない。
でなけりゃ、このあたしが、全ての面であたしより弱いはずの下級生男子に背中を預けるなんて事、するわけがない。会って二週間にもならない、下級生男子になんて。
だから、きっと、そういうのに時間の長さって、あんまり関係ないんだと思う。そして、そういう直感的なやつって、きっと、信用して良いんだとも思う。
少なくとも、あたしにとっては、この時のそれは正しかったみたいだから。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?

番から逃げる事にしました
みん
恋愛
リュシエンヌには前世の記憶がある。
前世で人間だった彼女は、結婚を目前に控えたある日、熊族の獣人の番だと判明し、そのまま熊族の領地へ連れ去られてしまった。それからの彼女の人生は大変なもので、最期は番だった自分を恨むように生涯を閉じた。
彼女は200年後、今度は自分が豹の獣人として生まれ変わっていた。そして、そんな記憶を持ったリュシエンヌが番と出会ってしまい、そこから、色んな事に巻き込まれる事になる─と、言うお話です。
❋相変わらずのゆるふわ設定で、メンタルも豆腐並なので、軽い気持ちで読んで下さい。
❋独自設定有りです。
❋他視点の話もあります。
❋誤字脱字は気を付けていますが、あると思います。すみません。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる