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リュールカ第二部 冒頭試作
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その気配に気付いて、リュールカ・ツマンスカヤは目を開けた。
リュールカのお気に入りの寝室である、天窓のある屋根裏部屋。その天窓からは満天の星空が覗き、部屋の中は星明かりの照り返しに溢れている。
冬の近づくこの季節、寒村の空気は日に日に冷たさを増す。リュールカお気に入りの天窓ではあるが、満天の星空と引き換えに、冷気の忍び込みもまたひとしおでもあった。
毛布にくるまったまま、リュールカは、ベッドのサイドテーブルに載せてある時計を見る。ほんのわずかな源始力に反応して淡い光を放つその文字盤は、今は午前二時を少し回った時間である事を示している。
やれやれと頭を振り、リュールカはベッドから抜け出す。いくら農村とはいえ、この時間に起きて畑仕事に出かける村人はまず居ない。「まともな」商人や旅人の類いも、同じ理由で論外。だとすれば、この気配は……無意識に考え込もうとしたリュールカは、冷えきった夜気に急速に素肌から温もりを奪われ、小さく身震いする。
ベッドサイドの椅子にかけておいたガウンを寝間着の上に羽織り、リュールカは部屋の隅にある床のハッチを開け、まだ半ば寝ぼけている足が梯子階段を踏み外さないよう慎重に、階下に降りた。
「おはようございます、御主人様。熱いコーヒーをご用意しましょうか?」
既に火がおこされ、暖まっていた台所では、身支度を調えたヴィルベルヴィントがコンロにポットをかけていた。身支度と言っても、こう見えても高度な人工人格を持つ魔法の箒であるヴィルベルヴィントは、寝間着からの着替えを必要としないし、そもそも、寝るという事自体がない。だから、主人が感じたものと同じ気配を同時に感じ取り、即座に、主人が次にどうするかを想定して行動を開始していた。
「ありがとう、ヴィルベルヴィント。ブリュンヒルトは?」
食卓の定位置につきながら、リュールカは男性形の人型に変化している魔法の箒に、対になる女性形のもう一つの箒の所在を尋ねる。
「御主人様のお召し替えの用意をしてます。今朝はかなり冷え込んでますから、暖かい肌着と外套を出してくるそうです」
湯が沸くまでの間にコーヒーを落とす準備を整えつつ、ヴィルベルヴィントが答える。台所仕事も本来ならブリュンヒルトの担当だが、女性である主人のお召し物を、人工人格とは言え男性型であるヴィルベルヴィントが用意するのは相応しくない、そう判断している箒達は、このような場合には柔軟にその仕事の割当を融通し合う。
時間優先で、あえて少量だけ湧かした湯で濃く落したコーヒーを小さめのカップに注ぎ、イチジクのジャムを載せたビスケットを添えて、青年の姿をした箒は主人にサーブする。頷いてそれを受け取り、リュールカはコーヒーを一口、すする。
悪魔のように黒く、地獄のように熱くて苦いそのカップの中の液体が、甘いビスケットをお伴に全て胃の腑に落ちた頃、台所の扉が開く。
「御主人様、お召し替えの用意が調いました」
「それでは、僕は鞍の用意を」
交互に報告する箒達に、リュールカは軽く微笑んで答えると、席を立った。
「……こんな夜更けに、夜盗の類いかしらね……」
鞍を置いた箒に乗って低空を進みつつ、リュールカがつぶやく。
「我々では分かりかねますが……森の端から動いていませんね」
リュールカの外套の胸ポケットから、本来の姿である卓上ブラシに姿を戻したブリュンヒルトの声がする。
「悪意のあるものではない感じはしますが……このご時世ですから」
リュールカが跨がる飛行箒、ヴィルベルヴィントも、主人がつぶやいた疑問に返事をする。
もう少し暖かい時期であれば、あるいは昼間であれば、リュールカはサイドカーで村の中を見回るのを好むのだが、深夜に排気音を響かせるのも気が引け、また霜が降りそうなほど空気が冷え込んでいることもあり、ヴィルベルヴィントに跨がったリュールカは、地面すれすれを顔が冷たくならない程度の速度で飛ぶ。
村と森の境界に仕込んだいくつもの警報の呪いの、何者かに反応したその一点に向かって。
「何にせよ、よ。私の呪いに反応したのなら、それなりの訳ありという事よ」
外套の胸元をかき寄せながら、リュールカは言った。
「訳ありのその訳がろくでもないものなら、このご時世だもの、村に入れるわけにはいかないわ……」
村はずれの、牧草地帯の丘の頂点を越えようとする所で、リュールカは箒から降りた。自力で直立した庭箒と、リュールカが外套の胸ポケットから取り出して宙に放ったテーブルブラシが、それぞれ黒髪と赤毛の人型に変ずる。
この丘を下った先が、村の境界であり、森の際でもある。どうと言う事の無い緩い丘だが、今リュールカ達が居る位置は、丘の下、森との境界からは死角になっている。
もし、今その森の境界で私の呪いを引っかけた者がただの人間だったなら。ここから歩いて行けば、私たちの正体を知られることは、まずあり得ない。
もし、私の呪いを引っかけたのが只の人間ではなかったとしても。よほど源始力に敏感な何者かでない限り、早足ほどで飛ぶヴィルベルヴィントは普通の人の駆け足ほども源始力を消費しないから、この程度の距離があれば、気付かれる事は考えにくい。
そう思って、リュールカは外套の下から懐中電灯――源始力を消費する魔法の灯り、ではなく、乾電池を使うごく普通の懐中電灯――を取り出し、一つ深呼吸して、言った。
「……じゃあ、行きましょ」
近づくにつれ見えてきた、そこにある光景をどう理解したものか、リュールカは頭の片隅で考えながら歩いていた。
最初に見えたのは、遠くからでも分かる、懐中電灯の光を反射する何か。すぐに、それは車のヘッドライト、消灯しているが反射板が光を返しているのだと気付く。瞬間、そのすぐ側に、小さいが鋭く光を反射した何かがあったように見えたが、詮索する間もなくそれは見えなくなる。もう数歩近づいて、それはきっと、この車の何かのパーツが光ったのだろう、そう思える程度に、車のディテールがはっきりし、懐中電灯の光を反射する箇所が増えてくる。
それは、直線基調の、見るからに戦闘用の簡素な乗用車だった。その類いのものには興味の無いリュールカは名前こそ知らなかったが、戦争が始まってから、何度かは村の近くや、ごくまれに村の中で見かけることはあった。
やがて、その車の運転席のドアが開いていること、その開いたドアにもたれるように誰かが倒れかかり、後席にはさらに二人、すわったままピクリとも動かず、仰向けにのけぞっているのが見えてくる。さらに近づけば、三人とも見慣れた軍服こそ着ているものの東洋人であり、後ろの二人は壮年の男性、運転席ドアにもたれかかるもう一人はどうやら若い女性であるらしいことがわかる。
見たところ車には大きなダメージはないようであるが、どうしたことか森を出たあたりで小道を脱輪しており、ドアにもたれかかる女の足下を辿れば深い足跡がいくつか小道沿いに続いていることから、脱輪した車を小道沿いに、森から丘に向かってゆるい上り坂を押して行きつつ道に戻ろうと努力し、力尽きてしまった様子が見て取れた。
しかしながら、そうであったならば、では何故、後席の男性兵士は一緒に車を押さなかったのか?懐中電灯の光を頼りに顔の判別がつくほどに近づきつつ、リュールカは疑問に思う。女だけに押させるとは、男の風上にも置けない、とも。
「……死んで……は、いないようですが」
恐らくは後ろの二人の事を言ったのだろう、ヴィルベルヴィントがつぶやく。人工人格である箒達は、主人同様、動植物の源始力の変化に敏感だ。死んでいるならば源始力の変化は起こらないが、動物であろうが植物であろうが、生命活動にはそれに応じた源始力の生成と消費が必ずついて回る。そのゆらぎを捕らえて、ヴィルベルヴィントはその男達は死んでいないと判断したのだ。
「そのようだけど……」
リュールカも、その事には気付いている。しかし、それと同時に、その源始力の揺らぎ方と、源始力の消費に伴い放出される放射閃のパターンに違和感を持っていた。
「……死んだ方がまし、だったかもね……」
「……酷い事言わないで頂戴……」
突然、開いた運転席ドアにもたれかかっていた女が、口をきいた。充分に流暢ではあるが、言葉に、わずかだが母国語ではないたどたどしさ、不自然さがある。
東洋人にしては珍しい栗色の髪の東洋人のその女は、疲れ果て、脂汗でべったりと汚れた顔を上げ、やっとこさかき集めた最後の努力でほんのわずかな微笑みを作ると、言葉を継いだ。
「苦労してここまで来たのよ……ごめんなさいね、勝手にお邪魔したみたいね。なるべく早く消えるから、ちょっとだけ、休んだら、すぐに……」
そう言って、女はそのまま、滑り落ちるように地面に伏した。いくらも待たず、静かな寝息が聞こえてくる。
リュールカは、その様子をしばらく見つめ、懐中電灯を消すと、深いため息の後に大きく息を吸ってから、言った。
「ヴィルベルヴィント、店に戻ってサイドカーを持って来て頂戴。ブリュンヒルト、ヴィルベルヴィントと一緒に戻って、客間を用意して。二人とも、大急ぎでお願い」
「……参ったわね……」
薄暗い、という言葉が生やさしい程度に暗い、殺風景な部屋を見まわして、簡素だが清潔なベッドに半身を起こしたその女は、言った。
遮光性だろうカーテンの引かれた部屋の中は、ほんのわずかにそのカーテンの隙間から差す光では到底光量が足りないが、それでも、暗闇に慣れた彼女の瞳はその部屋がおよそ十畳ほどの広さであり、調度品の類いはほとんど無く、ただ自分を含めたベッドが三つあるだけ、という事は見て取っていた。そして、彼女の鋭敏な嗅覚は、その部屋に残る薬品の匂い、いくつかは嗅いだことのある薬草、それより多いいくつかは嗅いだことのない何らかの薬品である事もまた、感じ取ってた。
「……参りました……ここは一体、どこなんでしょう?」
女の声を待っていたかのように、隣のベッドから男の声が、疲れ切り、しゃべるのがやっと、といった感じの声がした。
「あらやだ、岩崎大佐、起きていらしたのですか?」
声のした方を向き、女は声をかける。彼女を中心に、ベッドは川の字に三つ。声がしたのは、彼女から見て左手のベッドからだった。
「少し前からうつらうつらしていたようですが、如月さん、あなたの声で目が覚めたようです」
男が、言葉を返す。少しずつだが、その声に生気が戻って来ている。
「それは失礼しました、起こしてしまいました?」
「いや、どのみち起きる頃合いでしょう、あれからどれくらい経ったのか……現状を把握する必要があります」
毛布をはぐる音、薄暗闇の中で、半身を起こす痩せぎすの人影。如月と呼ばれた女は、それが声の主、岩崎賢一陸軍大佐に相違ないことを、聴覚で、視覚で、そして嗅覚で確認する。
「……お体の具合は?」
「万全、とは言いがたいですが、まだ死んではいないようです」
尋ねる如月に、岩崎は自嘲気味に答え、
「時に、狩野は?」
同僚の様子を尋ねる。
「まだお休みのようです、寝息は静かですので、容態としてはとりあえず心配は無いようです」
岩崎の反対側、自分から見て右側のベッドに視線を移し、如月が答える。その視線の先には、毛布越しにもわかる、岩崎と対照的に恰幅のよい男がベッドに仰向けに横たわり、毛布を掛けられ、寝息をたてている。
「そうか……」
よかったと言うべきなのかどうか判断出来ず、一言だけ言って、岩崎は再びベッドに横たわる。
「……すみません、起きなければとは思うのですが、体が……」
「ご無理なさらず。そのために、私が居るようなものですから」
「しかし……」
詫びの言葉を口にした岩崎に、如月は微笑混じりに答え、何を思うのか岩崎はそこに何らかの反論をしようとした。
その岩崎の言葉を、如月はぱっと立てて差し出した左手の手のひらと、咄嗟に厳しくした気配で制した。岩崎にはその瞬間、如月の目が、薄暗闇の中でもなお明るく、鋭く光った、ように見えた。
如月が岩崎を制して程なく、壁の向こうで足音が近づいてくるのが聞こえ、続いて、ドアをノックする音がした。
「失礼します。お目覚めでしょうか?もしよろしければ、御主人様がお話しをしたいそうですが、御足労願えますでしょうか?」
「この度は、なんとお礼を申し上げればよいか……」
『魔女の家』の書斎で、本棚を背にした大きな机の前で、如月茉莉花はそう言うと同時に最敬礼をした。
「まあ、そうお気になさらず。まずはお掛け下さい。少々お話しを聞かせていただきたいので……」
その机の向こうには、大きな椅子に埋もれるように、黒髪の少女が座っている。机に肘をつき、顎を組んだ手のひらに載せたその少女は大きな眼鏡をかけ、その黒髪は、左のこめかみの前の一房だけが、金色に光る。
「申し遅れました。私はリュールカ。リュールカ・ツマンスカヤ。この雑貨店の 主です」
背筋を伸ばし、座ったまま軽く礼をしてリュールカは名乗る。
「私はマリカ・キサラギと言います。大日本帝国公使館にて通訳をしております」
なるほど。言葉が達者な理由はそれか。マリカと名乗ったその東洋人の女性を見つつ、リュールカは思う。顔の彫りが深くないせいだろう、東洋人は一般に西欧人に比べて若く、というより幼く見える。ぱっと見、このマリカという女性はリュールカから見て二十歳そこそこに見えるが、恐らくはもう少し年上、二十代後半と言ったところだろう。リュールカは、そうアタリを付ける。
主人が名乗った頃合いを見計らったように、先ほど自分を起こしに来た女中が茶器を持って入って来たのを、如月茉莉花はちらりと一瞥する。やや癖のある赤毛を肩の上で切りそろえ、オーバーオールを着たその娘は、型式ばった作法でこそないものの、そつの無い動作でコーヒーを用意し、茉莉花にサーブする。してみると、この娘はただの奉公人でもなく、その主人だという目の前の少女、いかにもな黒いローブに身を包んだ年端もいかない少女も、ただの田舎娘ではない、ということか。茉莉花は、この女主人だという少女が、あえてそれを気付かせようとしているのだと、その意図をくみ取る。
「それで、早速ですが、マリカさん。何故、あんな時間に、そんな格好で、あんな場所に?」
ブリュンヒルトが入れたコーヒーをひと啜りしてから、リュールカは茉莉花に聞く。
そんな格好。言われて、茉莉花はちらりと自分の服を見下ろす。それは、行きがけの駄賃に奪い取ってきただけの、どこぞの兵士が着ていた上着と外套。ズボンもスカートも、ブラウスどころか下着すら着けていない自分の格好は、さぞかし奇異なものに映っていることだろう。
だが。恐らくは、この少女こそが、謎めかして指示された、その目的の少女なのだ。如月茉莉花は、状況証拠からそう判断して、事の発端をこの少女に話す決心をする。
「……どこから話したもんだか……少々長い話になりますが、よろしいですか?」
「でしたら」
リュールカは、緊張の抜けきっていない如月茉莉花に微笑みかけつつ、一つ提案をする。
「少々遅くなりましたが、ちょうど昼食時です。マリカさんもお腹がすいておいででしょうから、何か召し上がってからになさいませんか?よろしければ、食事をご用意する間に、お湯を使われては?」
言われて、如月茉莉花は、着の身着のまま汗まみれの自分を見下ろし、情けなさそうに力なく微笑むと、答えた。
「……お言葉に甘えさせていただきます」
※とりあえず、冒頭部分のプロトタイプを公開させていただきました。
※次は何時になるか、どうなるか、気長にお待ちいただきたく、また、ある程度先が見えた段階で改訂する可能性もありますので、ご容赦ください。
※20220101:年明け早々、後段との整合をとるため、茉莉花の髪の色を訂正しました。
リュールカのお気に入りの寝室である、天窓のある屋根裏部屋。その天窓からは満天の星空が覗き、部屋の中は星明かりの照り返しに溢れている。
冬の近づくこの季節、寒村の空気は日に日に冷たさを増す。リュールカお気に入りの天窓ではあるが、満天の星空と引き換えに、冷気の忍び込みもまたひとしおでもあった。
毛布にくるまったまま、リュールカは、ベッドのサイドテーブルに載せてある時計を見る。ほんのわずかな源始力に反応して淡い光を放つその文字盤は、今は午前二時を少し回った時間である事を示している。
やれやれと頭を振り、リュールカはベッドから抜け出す。いくら農村とはいえ、この時間に起きて畑仕事に出かける村人はまず居ない。「まともな」商人や旅人の類いも、同じ理由で論外。だとすれば、この気配は……無意識に考え込もうとしたリュールカは、冷えきった夜気に急速に素肌から温もりを奪われ、小さく身震いする。
ベッドサイドの椅子にかけておいたガウンを寝間着の上に羽織り、リュールカは部屋の隅にある床のハッチを開け、まだ半ば寝ぼけている足が梯子階段を踏み外さないよう慎重に、階下に降りた。
「おはようございます、御主人様。熱いコーヒーをご用意しましょうか?」
既に火がおこされ、暖まっていた台所では、身支度を調えたヴィルベルヴィントがコンロにポットをかけていた。身支度と言っても、こう見えても高度な人工人格を持つ魔法の箒であるヴィルベルヴィントは、寝間着からの着替えを必要としないし、そもそも、寝るという事自体がない。だから、主人が感じたものと同じ気配を同時に感じ取り、即座に、主人が次にどうするかを想定して行動を開始していた。
「ありがとう、ヴィルベルヴィント。ブリュンヒルトは?」
食卓の定位置につきながら、リュールカは男性形の人型に変化している魔法の箒に、対になる女性形のもう一つの箒の所在を尋ねる。
「御主人様のお召し替えの用意をしてます。今朝はかなり冷え込んでますから、暖かい肌着と外套を出してくるそうです」
湯が沸くまでの間にコーヒーを落とす準備を整えつつ、ヴィルベルヴィントが答える。台所仕事も本来ならブリュンヒルトの担当だが、女性である主人のお召し物を、人工人格とは言え男性型であるヴィルベルヴィントが用意するのは相応しくない、そう判断している箒達は、このような場合には柔軟にその仕事の割当を融通し合う。
時間優先で、あえて少量だけ湧かした湯で濃く落したコーヒーを小さめのカップに注ぎ、イチジクのジャムを載せたビスケットを添えて、青年の姿をした箒は主人にサーブする。頷いてそれを受け取り、リュールカはコーヒーを一口、すする。
悪魔のように黒く、地獄のように熱くて苦いそのカップの中の液体が、甘いビスケットをお伴に全て胃の腑に落ちた頃、台所の扉が開く。
「御主人様、お召し替えの用意が調いました」
「それでは、僕は鞍の用意を」
交互に報告する箒達に、リュールカは軽く微笑んで答えると、席を立った。
「……こんな夜更けに、夜盗の類いかしらね……」
鞍を置いた箒に乗って低空を進みつつ、リュールカがつぶやく。
「我々では分かりかねますが……森の端から動いていませんね」
リュールカの外套の胸ポケットから、本来の姿である卓上ブラシに姿を戻したブリュンヒルトの声がする。
「悪意のあるものではない感じはしますが……このご時世ですから」
リュールカが跨がる飛行箒、ヴィルベルヴィントも、主人がつぶやいた疑問に返事をする。
もう少し暖かい時期であれば、あるいは昼間であれば、リュールカはサイドカーで村の中を見回るのを好むのだが、深夜に排気音を響かせるのも気が引け、また霜が降りそうなほど空気が冷え込んでいることもあり、ヴィルベルヴィントに跨がったリュールカは、地面すれすれを顔が冷たくならない程度の速度で飛ぶ。
村と森の境界に仕込んだいくつもの警報の呪いの、何者かに反応したその一点に向かって。
「何にせよ、よ。私の呪いに反応したのなら、それなりの訳ありという事よ」
外套の胸元をかき寄せながら、リュールカは言った。
「訳ありのその訳がろくでもないものなら、このご時世だもの、村に入れるわけにはいかないわ……」
村はずれの、牧草地帯の丘の頂点を越えようとする所で、リュールカは箒から降りた。自力で直立した庭箒と、リュールカが外套の胸ポケットから取り出して宙に放ったテーブルブラシが、それぞれ黒髪と赤毛の人型に変ずる。
この丘を下った先が、村の境界であり、森の際でもある。どうと言う事の無い緩い丘だが、今リュールカ達が居る位置は、丘の下、森との境界からは死角になっている。
もし、今その森の境界で私の呪いを引っかけた者がただの人間だったなら。ここから歩いて行けば、私たちの正体を知られることは、まずあり得ない。
もし、私の呪いを引っかけたのが只の人間ではなかったとしても。よほど源始力に敏感な何者かでない限り、早足ほどで飛ぶヴィルベルヴィントは普通の人の駆け足ほども源始力を消費しないから、この程度の距離があれば、気付かれる事は考えにくい。
そう思って、リュールカは外套の下から懐中電灯――源始力を消費する魔法の灯り、ではなく、乾電池を使うごく普通の懐中電灯――を取り出し、一つ深呼吸して、言った。
「……じゃあ、行きましょ」
近づくにつれ見えてきた、そこにある光景をどう理解したものか、リュールカは頭の片隅で考えながら歩いていた。
最初に見えたのは、遠くからでも分かる、懐中電灯の光を反射する何か。すぐに、それは車のヘッドライト、消灯しているが反射板が光を返しているのだと気付く。瞬間、そのすぐ側に、小さいが鋭く光を反射した何かがあったように見えたが、詮索する間もなくそれは見えなくなる。もう数歩近づいて、それはきっと、この車の何かのパーツが光ったのだろう、そう思える程度に、車のディテールがはっきりし、懐中電灯の光を反射する箇所が増えてくる。
それは、直線基調の、見るからに戦闘用の簡素な乗用車だった。その類いのものには興味の無いリュールカは名前こそ知らなかったが、戦争が始まってから、何度かは村の近くや、ごくまれに村の中で見かけることはあった。
やがて、その車の運転席のドアが開いていること、その開いたドアにもたれるように誰かが倒れかかり、後席にはさらに二人、すわったままピクリとも動かず、仰向けにのけぞっているのが見えてくる。さらに近づけば、三人とも見慣れた軍服こそ着ているものの東洋人であり、後ろの二人は壮年の男性、運転席ドアにもたれかかるもう一人はどうやら若い女性であるらしいことがわかる。
見たところ車には大きなダメージはないようであるが、どうしたことか森を出たあたりで小道を脱輪しており、ドアにもたれかかる女の足下を辿れば深い足跡がいくつか小道沿いに続いていることから、脱輪した車を小道沿いに、森から丘に向かってゆるい上り坂を押して行きつつ道に戻ろうと努力し、力尽きてしまった様子が見て取れた。
しかしながら、そうであったならば、では何故、後席の男性兵士は一緒に車を押さなかったのか?懐中電灯の光を頼りに顔の判別がつくほどに近づきつつ、リュールカは疑問に思う。女だけに押させるとは、男の風上にも置けない、とも。
「……死んで……は、いないようですが」
恐らくは後ろの二人の事を言ったのだろう、ヴィルベルヴィントがつぶやく。人工人格である箒達は、主人同様、動植物の源始力の変化に敏感だ。死んでいるならば源始力の変化は起こらないが、動物であろうが植物であろうが、生命活動にはそれに応じた源始力の生成と消費が必ずついて回る。そのゆらぎを捕らえて、ヴィルベルヴィントはその男達は死んでいないと判断したのだ。
「そのようだけど……」
リュールカも、その事には気付いている。しかし、それと同時に、その源始力の揺らぎ方と、源始力の消費に伴い放出される放射閃のパターンに違和感を持っていた。
「……死んだ方がまし、だったかもね……」
「……酷い事言わないで頂戴……」
突然、開いた運転席ドアにもたれかかっていた女が、口をきいた。充分に流暢ではあるが、言葉に、わずかだが母国語ではないたどたどしさ、不自然さがある。
東洋人にしては珍しい栗色の髪の東洋人のその女は、疲れ果て、脂汗でべったりと汚れた顔を上げ、やっとこさかき集めた最後の努力でほんのわずかな微笑みを作ると、言葉を継いだ。
「苦労してここまで来たのよ……ごめんなさいね、勝手にお邪魔したみたいね。なるべく早く消えるから、ちょっとだけ、休んだら、すぐに……」
そう言って、女はそのまま、滑り落ちるように地面に伏した。いくらも待たず、静かな寝息が聞こえてくる。
リュールカは、その様子をしばらく見つめ、懐中電灯を消すと、深いため息の後に大きく息を吸ってから、言った。
「ヴィルベルヴィント、店に戻ってサイドカーを持って来て頂戴。ブリュンヒルト、ヴィルベルヴィントと一緒に戻って、客間を用意して。二人とも、大急ぎでお願い」
「……参ったわね……」
薄暗い、という言葉が生やさしい程度に暗い、殺風景な部屋を見まわして、簡素だが清潔なベッドに半身を起こしたその女は、言った。
遮光性だろうカーテンの引かれた部屋の中は、ほんのわずかにそのカーテンの隙間から差す光では到底光量が足りないが、それでも、暗闇に慣れた彼女の瞳はその部屋がおよそ十畳ほどの広さであり、調度品の類いはほとんど無く、ただ自分を含めたベッドが三つあるだけ、という事は見て取っていた。そして、彼女の鋭敏な嗅覚は、その部屋に残る薬品の匂い、いくつかは嗅いだことのある薬草、それより多いいくつかは嗅いだことのない何らかの薬品である事もまた、感じ取ってた。
「……参りました……ここは一体、どこなんでしょう?」
女の声を待っていたかのように、隣のベッドから男の声が、疲れ切り、しゃべるのがやっと、といった感じの声がした。
「あらやだ、岩崎大佐、起きていらしたのですか?」
声のした方を向き、女は声をかける。彼女を中心に、ベッドは川の字に三つ。声がしたのは、彼女から見て左手のベッドからだった。
「少し前からうつらうつらしていたようですが、如月さん、あなたの声で目が覚めたようです」
男が、言葉を返す。少しずつだが、その声に生気が戻って来ている。
「それは失礼しました、起こしてしまいました?」
「いや、どのみち起きる頃合いでしょう、あれからどれくらい経ったのか……現状を把握する必要があります」
毛布をはぐる音、薄暗闇の中で、半身を起こす痩せぎすの人影。如月と呼ばれた女は、それが声の主、岩崎賢一陸軍大佐に相違ないことを、聴覚で、視覚で、そして嗅覚で確認する。
「……お体の具合は?」
「万全、とは言いがたいですが、まだ死んではいないようです」
尋ねる如月に、岩崎は自嘲気味に答え、
「時に、狩野は?」
同僚の様子を尋ねる。
「まだお休みのようです、寝息は静かですので、容態としてはとりあえず心配は無いようです」
岩崎の反対側、自分から見て右側のベッドに視線を移し、如月が答える。その視線の先には、毛布越しにもわかる、岩崎と対照的に恰幅のよい男がベッドに仰向けに横たわり、毛布を掛けられ、寝息をたてている。
「そうか……」
よかったと言うべきなのかどうか判断出来ず、一言だけ言って、岩崎は再びベッドに横たわる。
「……すみません、起きなければとは思うのですが、体が……」
「ご無理なさらず。そのために、私が居るようなものですから」
「しかし……」
詫びの言葉を口にした岩崎に、如月は微笑混じりに答え、何を思うのか岩崎はそこに何らかの反論をしようとした。
その岩崎の言葉を、如月はぱっと立てて差し出した左手の手のひらと、咄嗟に厳しくした気配で制した。岩崎にはその瞬間、如月の目が、薄暗闇の中でもなお明るく、鋭く光った、ように見えた。
如月が岩崎を制して程なく、壁の向こうで足音が近づいてくるのが聞こえ、続いて、ドアをノックする音がした。
「失礼します。お目覚めでしょうか?もしよろしければ、御主人様がお話しをしたいそうですが、御足労願えますでしょうか?」
「この度は、なんとお礼を申し上げればよいか……」
『魔女の家』の書斎で、本棚を背にした大きな机の前で、如月茉莉花はそう言うと同時に最敬礼をした。
「まあ、そうお気になさらず。まずはお掛け下さい。少々お話しを聞かせていただきたいので……」
その机の向こうには、大きな椅子に埋もれるように、黒髪の少女が座っている。机に肘をつき、顎を組んだ手のひらに載せたその少女は大きな眼鏡をかけ、その黒髪は、左のこめかみの前の一房だけが、金色に光る。
「申し遅れました。私はリュールカ。リュールカ・ツマンスカヤ。この雑貨店の 主です」
背筋を伸ばし、座ったまま軽く礼をしてリュールカは名乗る。
「私はマリカ・キサラギと言います。大日本帝国公使館にて通訳をしております」
なるほど。言葉が達者な理由はそれか。マリカと名乗ったその東洋人の女性を見つつ、リュールカは思う。顔の彫りが深くないせいだろう、東洋人は一般に西欧人に比べて若く、というより幼く見える。ぱっと見、このマリカという女性はリュールカから見て二十歳そこそこに見えるが、恐らくはもう少し年上、二十代後半と言ったところだろう。リュールカは、そうアタリを付ける。
主人が名乗った頃合いを見計らったように、先ほど自分を起こしに来た女中が茶器を持って入って来たのを、如月茉莉花はちらりと一瞥する。やや癖のある赤毛を肩の上で切りそろえ、オーバーオールを着たその娘は、型式ばった作法でこそないものの、そつの無い動作でコーヒーを用意し、茉莉花にサーブする。してみると、この娘はただの奉公人でもなく、その主人だという目の前の少女、いかにもな黒いローブに身を包んだ年端もいかない少女も、ただの田舎娘ではない、ということか。茉莉花は、この女主人だという少女が、あえてそれを気付かせようとしているのだと、その意図をくみ取る。
「それで、早速ですが、マリカさん。何故、あんな時間に、そんな格好で、あんな場所に?」
ブリュンヒルトが入れたコーヒーをひと啜りしてから、リュールカは茉莉花に聞く。
そんな格好。言われて、茉莉花はちらりと自分の服を見下ろす。それは、行きがけの駄賃に奪い取ってきただけの、どこぞの兵士が着ていた上着と外套。ズボンもスカートも、ブラウスどころか下着すら着けていない自分の格好は、さぞかし奇異なものに映っていることだろう。
だが。恐らくは、この少女こそが、謎めかして指示された、その目的の少女なのだ。如月茉莉花は、状況証拠からそう判断して、事の発端をこの少女に話す決心をする。
「……どこから話したもんだか……少々長い話になりますが、よろしいですか?」
「でしたら」
リュールカは、緊張の抜けきっていない如月茉莉花に微笑みかけつつ、一つ提案をする。
「少々遅くなりましたが、ちょうど昼食時です。マリカさんもお腹がすいておいででしょうから、何か召し上がってからになさいませんか?よろしければ、食事をご用意する間に、お湯を使われては?」
言われて、如月茉莉花は、着の身着のまま汗まみれの自分を見下ろし、情けなさそうに力なく微笑むと、答えた。
「……お言葉に甘えさせていただきます」
※とりあえず、冒頭部分のプロトタイプを公開させていただきました。
※次は何時になるか、どうなるか、気長にお待ちいただきたく、また、ある程度先が見えた段階で改訂する可能性もありますので、ご容赦ください。
※20220101:年明け早々、後段との整合をとるため、茉莉花の髪の色を訂正しました。
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