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剣士が消える町
第八話 油断大敵
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前回までのあらすじ
ついに海南町に到着したサイガと劉生。
しかし町の様子は以前とは似ても似つかない物だった。
町に住む少女ミナによるとあしゅらという男が剣士や住民を虐殺している模様である。
サイガと劉生もあしゅらと遭遇し交戦するが間一髪の所であしゅらに逃げれてしまった。
テーブルにはミナが用意したご馳走が並んでいる。
それを3人で食べながら劉生たちは作戦を練っていた。
「さて、どうしたものかね。奴の力は今まで戦ってきた中でもかなり高い部類だ。甘く見ているとこちらがやられる...」最初に口を開いたのはサイガだった。
「さっきと同じ手が奴に効くとも思えないですしね...」
「劉生、お前の力では奴と交戦もままならないだろう。実際にあしゅらと刀を交えるのは俺になる。お前には裏どりを頼む。」
「裏どり...ですか?」聴き慣れない単語に劉生は聞き返す。
「あぁ、俺と奴が戦っているのをじっと側で観察しあしゅらに隙ができれば咄嗟にとどめを刺す。これが裏どりだ。」
(良いように聞こえるが結局はサイガさんがしくじった時の最終手段という事なんだろう。まぁ仕方がない...僕の力は大したものではないからな。)
「わかりました、引き受けましょう。ですが裏どりだけでは力が有り余るってもんです。僕にミナの護衛もさせてください!!」劉生は深く頭を下げた。
少しでも役に立ちないのだろう。サイガはその劉生の気持ちを汲み取り承諾した。
明日に備え劉生が寝ようとしていた時 ミナが訪ねてきた。
「劉生さん、良ければ今日一緒に寝てくれないですか...」震えた声でミナは言ってきた。
(父と母をこの短期間で失ったんだ。今までは悲しみと恐怖を噛み殺す為、強く振る舞ってきた。けど、サイガさんや僕がここにきた事によって緊張が解け気持ちが溢れ出たんだろうな....)
今晩 劉生はミナと同じ布団で眠った。歳が少し近かったミナを劉生は妹のような気持ちで接する事にした。
次の日の朝 劉生は出来るだけ早く起きて周りを観察していたがあしゅらは一向に来る気配がなかった。
朝食を済ませ昼、夕暮れといくら時間が経ってもあしゅらは来なかった。
「奴め、一体何を考えているんだ...」気持ちをリラックスさせる為にサイガは顔を洗う事にした。
「あれ、出ないぞ。」蛇口を捻っても水は出なかった。
「きっと水道管にゴミでも引っ掛かったのよ。私見てくるわ!!」ミナが水道管を調べに外に向かおうとした。
「力仕事になりそうだから一応僕も行くよ!!」劉生もついていく事にした。
「なんだろう、これ...水道管に思いっきり穴が開いている。」ミナと劉生が水道管を弄っていると水道管の中央に強く切断されたような穴がある事に気がついた。
「随分とボロい水道管だな..経年劣化かい?」劉生はミナに聞いた。が返答はなかった。
疑問に思い劉生は振り返った。
「おほほほほほほ。やっぱり出てきた....」
なんとそこに居たのはあしゅらだった。あしゅらはミナの口元をがっちり塞ぎ残りの三本の腕それぞれに刀を持たせていた。
「ベラベラ話されると面倒だ...とりあえずこの女のガキは始末する。」そう言うとあしゅらは町の西の方に逃げって行った。
(俺は....ミナの護衛すらできないのか!?いや、絶対に諦めない!!)
「オラァア!!」
劉生は飛び跳ね、逃げようとするあしゅらに向かって思いっきり自分の刀を投げつけた。
なんと劉生の刀はあしゅらの右腕に直撃した!!
しかしあしゅらは逃げるのをやめず更に遠くへ行ってしまった。
そこへ遅れてサイガはやって来た。
「サイガさん!!ミナが連れて行かれました!!」焦りながら報告する劉生。
「奴の向かっている位置はわかるのか!?」
「わかりません。ですが奴は僕の攻撃を喰らった事により血を流している。」
劉生は地面にできた血の道筋を指した。
「これを辿れば奴の位置がわかるはずです!!」
サイガと劉生は全速力で後を追った。
第八話 完 第九話に続く
ついに海南町に到着したサイガと劉生。
しかし町の様子は以前とは似ても似つかない物だった。
町に住む少女ミナによるとあしゅらという男が剣士や住民を虐殺している模様である。
サイガと劉生もあしゅらと遭遇し交戦するが間一髪の所であしゅらに逃げれてしまった。
テーブルにはミナが用意したご馳走が並んでいる。
それを3人で食べながら劉生たちは作戦を練っていた。
「さて、どうしたものかね。奴の力は今まで戦ってきた中でもかなり高い部類だ。甘く見ているとこちらがやられる...」最初に口を開いたのはサイガだった。
「さっきと同じ手が奴に効くとも思えないですしね...」
「劉生、お前の力では奴と交戦もままならないだろう。実際にあしゅらと刀を交えるのは俺になる。お前には裏どりを頼む。」
「裏どり...ですか?」聴き慣れない単語に劉生は聞き返す。
「あぁ、俺と奴が戦っているのをじっと側で観察しあしゅらに隙ができれば咄嗟にとどめを刺す。これが裏どりだ。」
(良いように聞こえるが結局はサイガさんがしくじった時の最終手段という事なんだろう。まぁ仕方がない...僕の力は大したものではないからな。)
「わかりました、引き受けましょう。ですが裏どりだけでは力が有り余るってもんです。僕にミナの護衛もさせてください!!」劉生は深く頭を下げた。
少しでも役に立ちないのだろう。サイガはその劉生の気持ちを汲み取り承諾した。
明日に備え劉生が寝ようとしていた時 ミナが訪ねてきた。
「劉生さん、良ければ今日一緒に寝てくれないですか...」震えた声でミナは言ってきた。
(父と母をこの短期間で失ったんだ。今までは悲しみと恐怖を噛み殺す為、強く振る舞ってきた。けど、サイガさんや僕がここにきた事によって緊張が解け気持ちが溢れ出たんだろうな....)
今晩 劉生はミナと同じ布団で眠った。歳が少し近かったミナを劉生は妹のような気持ちで接する事にした。
次の日の朝 劉生は出来るだけ早く起きて周りを観察していたがあしゅらは一向に来る気配がなかった。
朝食を済ませ昼、夕暮れといくら時間が経ってもあしゅらは来なかった。
「奴め、一体何を考えているんだ...」気持ちをリラックスさせる為にサイガは顔を洗う事にした。
「あれ、出ないぞ。」蛇口を捻っても水は出なかった。
「きっと水道管にゴミでも引っ掛かったのよ。私見てくるわ!!」ミナが水道管を調べに外に向かおうとした。
「力仕事になりそうだから一応僕も行くよ!!」劉生もついていく事にした。
「なんだろう、これ...水道管に思いっきり穴が開いている。」ミナと劉生が水道管を弄っていると水道管の中央に強く切断されたような穴がある事に気がついた。
「随分とボロい水道管だな..経年劣化かい?」劉生はミナに聞いた。が返答はなかった。
疑問に思い劉生は振り返った。
「おほほほほほほ。やっぱり出てきた....」
なんとそこに居たのはあしゅらだった。あしゅらはミナの口元をがっちり塞ぎ残りの三本の腕それぞれに刀を持たせていた。
「ベラベラ話されると面倒だ...とりあえずこの女のガキは始末する。」そう言うとあしゅらは町の西の方に逃げって行った。
(俺は....ミナの護衛すらできないのか!?いや、絶対に諦めない!!)
「オラァア!!」
劉生は飛び跳ね、逃げようとするあしゅらに向かって思いっきり自分の刀を投げつけた。
なんと劉生の刀はあしゅらの右腕に直撃した!!
しかしあしゅらは逃げるのをやめず更に遠くへ行ってしまった。
そこへ遅れてサイガはやって来た。
「サイガさん!!ミナが連れて行かれました!!」焦りながら報告する劉生。
「奴の向かっている位置はわかるのか!?」
「わかりません。ですが奴は僕の攻撃を喰らった事により血を流している。」
劉生は地面にできた血の道筋を指した。
「これを辿れば奴の位置がわかるはずです!!」
サイガと劉生は全速力で後を追った。
第八話 完 第九話に続く
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