上 下
6 / 7
砂人形の怪異編

第五話 ガーディアン

しおりを挟む
「お前の名前思いついたよ。ガーディアン、俺たちでこの町を守る!」
悠斗は町に迫る危機と戦う事を覚悟したのだった。

そして2日の時が経ち記憶を弄った効果もあってか悠斗の心にはかなりの余裕が出来たのだった。

「今日こそは打ち明ける....打ち明けて見せる!」悠斗はドスドスと廊下を歩いていった。
ガチャりと教室の扉を開けるとそこには教室に一人で佇んでいた公正の姿があった。
「悠斗.....どうしたんだ。こんな急に。」
「すまない、公正。手っ取り早く行くぞ!!」そう言うと悠斗は自分の体からガーディアンを出して見せた。
やはり公正はそのガーディアンが見えている様子である。
「公正、お前やはり見えているな?」
「お前も見えるのか!? 俺がおかしいわけじゃあなくて....!?」
公正は動揺を隠せない様子だった。
「詳しく話すよ....コイツについて...」



「つまり、コイツは宇宙人である日お前に寄生したと....でお前を守ってくれていると....」
「あぁそうだぞ!!俺はこれにガーディアンと名付けた!」悠斗は思ったよりも驚かない公正に疑問を抱いた。
「すぐ受け入れてくれるんだな公正。」

「あ、あぁ....実は最近俺にもとある能力が芽生えてな.....」まさかのカミングアウトに逆に悠斗が度肝を抜かされてしまった。
「の、能力!? えっと....どんな!?」


公正の家は古くから水上流という武術を継承しており公正も幼き頃から学んでいた。
水上流とは水のようなしなやかな動きが特徴の武術で初代水上流はなんとエネルギーが活性化され体から水流を生み出し手足へ纏う事ができたらしい。
だがこれは伝説のようなもので人間にこんな事が出来るはずはないと公正は思っていた。しかし2日前いつものように型の練習をしていたところ、いきなり体から水が溢れ出した。その水はピンと突き出した掌にどんどんと集まっていき水流になった。慌てて型を辞めると水はスゥっと消滅した。
気になった公正はサンドバックの前で再び型を出してみた。するとさっきのようにまた水が掌に集まったので公正は目の前のサンドバッグを思いっきり張り手で突いてみた。水流のエネルギーを纏った掌はいつもの何倍もの力となりサンドバッグが粉々に粉砕されてしまった。


「もしかして俺と同じ種類の能力なのか...!? ちょっと出してみてくれよこんな感じのやつを。」悠斗はさっきから出しっぱなしにしているガーディアンを指差し言った。
「出す...!? 出せって言われても何をどう出すかわからないしなぁ...」そもそも何を出せばいいのかも分からないのだった。
「いや、やっぱりいいや。お前は俺のこれとは違うようだね。水上流って凄いな!!」頭を抱えながら言った。
「お前のその宇宙人の方がよっぽど凄いだろ。何言ってんだよ。」


今日、悠斗と公正は一緒に下校することにした。何年振りだろうか。
「この町には危機が迫っているんだよ。とんでもなくタチが悪い何かがな。」
しばらく続いた沈黙の中悠斗が口を開いた。
「危機....ねぇ...」公正は軽く受け流した。
「そんでさ、俺たちって両方能力者なわけじゃん。俺たちで何か行動が起こせないかなってさ。」
「行動って言ったってお前、俺にはどんな危機かもわからないぞ。」なかなか受け入れてくれない公正に悠斗は頭を抱えた。

「やっと見つけたぞ...。」突然見知らぬ男が悠斗たちの前に現れ声をかけてきた。
「悠斗、この人はお前の知り合いか!?」不気味な雰囲気を醸し出している男に少し不安になる。
「いや全く知らねぇ。誰ですか?あんた。」
その男、身長は180ほどで黒いコートを着ており髪は銀髪である。そして何やら大きな楽器ケースのような物を背中に背負っている。顔を見る限り年齢は30代か20代後半に見える。
「俺はずっと探していた...この町の異変に気づく者を。そして見つけたぞ!松岡悠斗!!」男は笑みを浮かべ悠斗を指さしジリジリと向かってきた。
「に、逃げるぞ! 悠斗!!」公正は悠斗の手を取り走り出した。

とりあえず出来るだけ遠くへ、あの男へ追いつかれないように悠斗たちは逃げた。もはや自分たちがどれほど遠くへ逃げたのかも分からなくなってきた。
しかしあの男はまだ追跡をやめなかった。
後ろを振り返るとこちらに向かって走るあの男が見えた為、悠斗たちは路地裏からとある住宅街に入った。
「ここは見る限りかなり入り組んでいる。ここまでくれば大丈夫だろう....」
辺りを見回しあの男の気配がない為二人は安心していた。
するとそんな中、サラ、サラ、サラと砂が落ちていく音がする事に気がついた。
「なんだ? なんの音だこれは?」音に気になった二人は比較的住宅がばらけた広い方へ向かった。

うぁぁぁあああ

何やらうめき声がする。
「どこだ? どこから聞こえるんだ!?この声は!?」悠斗が辺りを見回している。
「避けろ!!悠斗!! 後ろだ!!」
公正の声に驚いた悠斗は咄嗟に後ろを向いた。
そこにいたのはなんとも奇妙な存在だった。
悠斗よりも一回りはでかい砂人形が両手を広げこちらを襲おうとしていた。
砂が爆発し悠斗と公正の体に纏わり付いた。
爆発したなおもその砂人形はこちらを襲おうと向かってきた。
「悠斗、さっきの宇宙人だ。あれを出すんだ!!」
「ダメだ...体中に砂がついて固まり、全然動けねぇ....」襲われる瞬間にガーディアンを出してしまったせいかガーディアンにも大量の砂が付着してしまい悠斗とガーディアン両方とも全く身動きが取れない。
「まずいぞ...僕も全く動けない悠斗。」
2人の四肢にがっちりと砂は纏わり付き離さない。しかし砂人形の怪物は足を止めず迫ってきた。

なす術がないと感じた公正は目を瞑った。

するとザシュ、ザシュと斬撃音があたりに響いた。
目を開くと四肢に纏わりき固まった砂は切断面から崩れ去りようやく体が動かせるようになった。

そしてそこにいたのはさっきの男だった。
「全く....何で逃げるかねぇ。俺は仲間なのになぁ...」


第5話 完       第6話に続く
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

[恥辱]りみの強制おむつ生活

rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。 保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。

エロ・ファンタジー

フルーツパフェ
大衆娯楽
 物事は上手くいかない。  それは異世界でも同じこと。  夢と好奇心に溢れる異世界の少女達は、恥辱に塗れた現実を味わうことになる。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

100000累計pt突破!アルファポリスの収益 確定スコア 見込みスコアについて

ちゃぼ茶
エッセイ・ノンフィクション
皆様が気になる(ちゃぼ茶も)収益や確定スコア、見込みスコアについてわかる範囲、推測や経験談も含めて記してみました。参考になれればと思います。

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

【アルファポリスで稼ぐ】新社会人が1年間で会社を辞めるために収益UPを目指してみた。

紫蘭
エッセイ・ノンフィクション
アルファポリスでの収益報告、どうやったら収益を上げられるのかの試行錯誤を日々アップします。 アルファポリスのインセンティブの仕組み。 ど素人がどの程度のポイントを貰えるのか。 どの新人賞に応募すればいいのか、各新人賞の詳細と傾向。 実際に新人賞に応募していくまでの過程。 春から新社会人。それなりに希望を持って入社式に向かったはずなのに、そうそうに向いてないことを自覚しました。学生時代から書くことが好きだったこともあり、いつでも仕事を辞められるように、まずはインセンティブのあるアルファポリスで小説とエッセイの投稿を始めて見ました。(そんなに甘いわけが無い)

幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。

スタジオ.T
青春
 幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。  そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。    ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。

処理中です...