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砂人形の怪異編
第五話 ガーディアン
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「お前の名前思いついたよ。ガーディアン、俺たちでこの町を守る!」
悠斗は町に迫る危機と戦う事を覚悟したのだった。
そして2日の時が経ち記憶を弄った効果もあってか悠斗の心にはかなりの余裕が出来たのだった。
「今日こそは打ち明ける....打ち明けて見せる!」悠斗はドスドスと廊下を歩いていった。
ガチャりと教室の扉を開けるとそこには教室に一人で佇んでいた公正の姿があった。
「悠斗.....どうしたんだ。こんな急に。」
「すまない、公正。手っ取り早く行くぞ!!」そう言うと悠斗は自分の体からガーディアンを出して見せた。
やはり公正はそのガーディアンが見えている様子である。
「公正、お前やはり見えているな?」
「お前も見えるのか!? 俺がおかしいわけじゃあなくて....!?」
公正は動揺を隠せない様子だった。
「詳しく話すよ....コイツについて...」
「つまり、コイツは宇宙人である日お前に寄生したと....でお前を守ってくれていると....」
「あぁそうだぞ!!俺はこれにガーディアンと名付けた!」悠斗は思ったよりも驚かない公正に疑問を抱いた。
「すぐ受け入れてくれるんだな公正。」
「あ、あぁ....実は最近俺にもとある能力が芽生えてな.....」まさかのカミングアウトに逆に悠斗が度肝を抜かされてしまった。
「の、能力!? えっと....どんな!?」
公正の家は古くから水上流という武術を継承しており公正も幼き頃から学んでいた。
水上流とは水のようなしなやかな動きが特徴の武術で初代水上流はなんとエネルギーが活性化され体から水流を生み出し手足へ纏う事ができたらしい。
だがこれは伝説のようなもので人間にこんな事が出来るはずはないと公正は思っていた。しかし2日前いつものように型の練習をしていたところ、いきなり体から水が溢れ出した。その水はピンと突き出した掌にどんどんと集まっていき水流になった。慌てて型を辞めると水はスゥっと消滅した。
気になった公正はサンドバックの前で再び型を出してみた。するとさっきのようにまた水が掌に集まったので公正は目の前のサンドバッグを思いっきり張り手で突いてみた。水流のエネルギーを纏った掌はいつもの何倍もの力となりサンドバッグが粉々に粉砕されてしまった。
「もしかして俺と同じ種類の能力なのか...!? ちょっと出してみてくれよこんな感じのやつを。」悠斗はさっきから出しっぱなしにしているガーディアンを指差し言った。
「出す...!? 出せって言われても何をどう出すかわからないしなぁ...」そもそも何を出せばいいのかも分からないのだった。
「いや、やっぱりいいや。お前は俺のこれとは違うようだね。水上流って凄いな!!」頭を抱えながら言った。
「お前のその宇宙人の方がよっぽど凄いだろ。何言ってんだよ。」
今日、悠斗と公正は一緒に下校することにした。何年振りだろうか。
「この町には危機が迫っているんだよ。とんでもなくタチが悪い何かがな。」
しばらく続いた沈黙の中悠斗が口を開いた。
「危機....ねぇ...」公正は軽く受け流した。
「そんでさ、俺たちって両方能力者なわけじゃん。俺たちで何か行動が起こせないかなってさ。」
「行動って言ったってお前、俺にはどんな危機かもわからないぞ。」なかなか受け入れてくれない公正に悠斗は頭を抱えた。
「やっと見つけたぞ...。」突然見知らぬ男が悠斗たちの前に現れ声をかけてきた。
「悠斗、この人はお前の知り合いか!?」不気味な雰囲気を醸し出している男に少し不安になる。
「いや全く知らねぇ。誰ですか?あんた。」
その男、身長は180ほどで黒いコートを着ており髪は銀髪である。そして何やら大きな楽器ケースのような物を背中に背負っている。顔を見る限り年齢は30代か20代後半に見える。
「俺はずっと探していた...この町の異変に気づく者を。そして見つけたぞ!松岡悠斗!!」男は笑みを浮かべ悠斗を指さしジリジリと向かってきた。
「に、逃げるぞ! 悠斗!!」公正は悠斗の手を取り走り出した。
とりあえず出来るだけ遠くへ、あの男へ追いつかれないように悠斗たちは逃げた。もはや自分たちがどれほど遠くへ逃げたのかも分からなくなってきた。
しかしあの男はまだ追跡をやめなかった。
後ろを振り返るとこちらに向かって走るあの男が見えた為、悠斗たちは路地裏からとある住宅街に入った。
「ここは見る限りかなり入り組んでいる。ここまでくれば大丈夫だろう....」
辺りを見回しあの男の気配がない為二人は安心していた。
するとそんな中、サラ、サラ、サラと砂が落ちていく音がする事に気がついた。
「なんだ? なんの音だこれは?」音に気になった二人は比較的住宅がばらけた広い方へ向かった。
うぁぁぁあああ
何やらうめき声がする。
「どこだ? どこから聞こえるんだ!?この声は!?」悠斗が辺りを見回している。
「避けろ!!悠斗!! 後ろだ!!」
公正の声に驚いた悠斗は咄嗟に後ろを向いた。
そこにいたのはなんとも奇妙な存在だった。
悠斗よりも一回りはでかい砂人形が両手を広げこちらを襲おうとしていた。
砂が爆発し悠斗と公正の体に纏わり付いた。
爆発したなおもその砂人形はこちらを襲おうと向かってきた。
「悠斗、さっきの宇宙人だ。あれを出すんだ!!」
「ダメだ...体中に砂がついて固まり、全然動けねぇ....」襲われる瞬間にガーディアンを出してしまったせいかガーディアンにも大量の砂が付着してしまい悠斗とガーディアン両方とも全く身動きが取れない。
「まずいぞ...僕も全く動けない悠斗。」
2人の四肢にがっちりと砂は纏わり付き離さない。しかし砂人形の怪物は足を止めず迫ってきた。
なす術がないと感じた公正は目を瞑った。
するとザシュ、ザシュと斬撃音があたりに響いた。
目を開くと四肢に纏わりき固まった砂は切断面から崩れ去りようやく体が動かせるようになった。
そしてそこにいたのはさっきの男だった。
「全く....何で逃げるかねぇ。俺は仲間なのになぁ...」
第5話 完 第6話に続く
悠斗は町に迫る危機と戦う事を覚悟したのだった。
そして2日の時が経ち記憶を弄った効果もあってか悠斗の心にはかなりの余裕が出来たのだった。
「今日こそは打ち明ける....打ち明けて見せる!」悠斗はドスドスと廊下を歩いていった。
ガチャりと教室の扉を開けるとそこには教室に一人で佇んでいた公正の姿があった。
「悠斗.....どうしたんだ。こんな急に。」
「すまない、公正。手っ取り早く行くぞ!!」そう言うと悠斗は自分の体からガーディアンを出して見せた。
やはり公正はそのガーディアンが見えている様子である。
「公正、お前やはり見えているな?」
「お前も見えるのか!? 俺がおかしいわけじゃあなくて....!?」
公正は動揺を隠せない様子だった。
「詳しく話すよ....コイツについて...」
「つまり、コイツは宇宙人である日お前に寄生したと....でお前を守ってくれていると....」
「あぁそうだぞ!!俺はこれにガーディアンと名付けた!」悠斗は思ったよりも驚かない公正に疑問を抱いた。
「すぐ受け入れてくれるんだな公正。」
「あ、あぁ....実は最近俺にもとある能力が芽生えてな.....」まさかのカミングアウトに逆に悠斗が度肝を抜かされてしまった。
「の、能力!? えっと....どんな!?」
公正の家は古くから水上流という武術を継承しており公正も幼き頃から学んでいた。
水上流とは水のようなしなやかな動きが特徴の武術で初代水上流はなんとエネルギーが活性化され体から水流を生み出し手足へ纏う事ができたらしい。
だがこれは伝説のようなもので人間にこんな事が出来るはずはないと公正は思っていた。しかし2日前いつものように型の練習をしていたところ、いきなり体から水が溢れ出した。その水はピンと突き出した掌にどんどんと集まっていき水流になった。慌てて型を辞めると水はスゥっと消滅した。
気になった公正はサンドバックの前で再び型を出してみた。するとさっきのようにまた水が掌に集まったので公正は目の前のサンドバッグを思いっきり張り手で突いてみた。水流のエネルギーを纏った掌はいつもの何倍もの力となりサンドバッグが粉々に粉砕されてしまった。
「もしかして俺と同じ種類の能力なのか...!? ちょっと出してみてくれよこんな感じのやつを。」悠斗はさっきから出しっぱなしにしているガーディアンを指差し言った。
「出す...!? 出せって言われても何をどう出すかわからないしなぁ...」そもそも何を出せばいいのかも分からないのだった。
「いや、やっぱりいいや。お前は俺のこれとは違うようだね。水上流って凄いな!!」頭を抱えながら言った。
「お前のその宇宙人の方がよっぽど凄いだろ。何言ってんだよ。」
今日、悠斗と公正は一緒に下校することにした。何年振りだろうか。
「この町には危機が迫っているんだよ。とんでもなくタチが悪い何かがな。」
しばらく続いた沈黙の中悠斗が口を開いた。
「危機....ねぇ...」公正は軽く受け流した。
「そんでさ、俺たちって両方能力者なわけじゃん。俺たちで何か行動が起こせないかなってさ。」
「行動って言ったってお前、俺にはどんな危機かもわからないぞ。」なかなか受け入れてくれない公正に悠斗は頭を抱えた。
「やっと見つけたぞ...。」突然見知らぬ男が悠斗たちの前に現れ声をかけてきた。
「悠斗、この人はお前の知り合いか!?」不気味な雰囲気を醸し出している男に少し不安になる。
「いや全く知らねぇ。誰ですか?あんた。」
その男、身長は180ほどで黒いコートを着ており髪は銀髪である。そして何やら大きな楽器ケースのような物を背中に背負っている。顔を見る限り年齢は30代か20代後半に見える。
「俺はずっと探していた...この町の異変に気づく者を。そして見つけたぞ!松岡悠斗!!」男は笑みを浮かべ悠斗を指さしジリジリと向かってきた。
「に、逃げるぞ! 悠斗!!」公正は悠斗の手を取り走り出した。
とりあえず出来るだけ遠くへ、あの男へ追いつかれないように悠斗たちは逃げた。もはや自分たちがどれほど遠くへ逃げたのかも分からなくなってきた。
しかしあの男はまだ追跡をやめなかった。
後ろを振り返るとこちらに向かって走るあの男が見えた為、悠斗たちは路地裏からとある住宅街に入った。
「ここは見る限りかなり入り組んでいる。ここまでくれば大丈夫だろう....」
辺りを見回しあの男の気配がない為二人は安心していた。
するとそんな中、サラ、サラ、サラと砂が落ちていく音がする事に気がついた。
「なんだ? なんの音だこれは?」音に気になった二人は比較的住宅がばらけた広い方へ向かった。
うぁぁぁあああ
何やらうめき声がする。
「どこだ? どこから聞こえるんだ!?この声は!?」悠斗が辺りを見回している。
「避けろ!!悠斗!! 後ろだ!!」
公正の声に驚いた悠斗は咄嗟に後ろを向いた。
そこにいたのはなんとも奇妙な存在だった。
悠斗よりも一回りはでかい砂人形が両手を広げこちらを襲おうとしていた。
砂が爆発し悠斗と公正の体に纏わり付いた。
爆発したなおもその砂人形はこちらを襲おうと向かってきた。
「悠斗、さっきの宇宙人だ。あれを出すんだ!!」
「ダメだ...体中に砂がついて固まり、全然動けねぇ....」襲われる瞬間にガーディアンを出してしまったせいかガーディアンにも大量の砂が付着してしまい悠斗とガーディアン両方とも全く身動きが取れない。
「まずいぞ...僕も全く動けない悠斗。」
2人の四肢にがっちりと砂は纏わり付き離さない。しかし砂人形の怪物は足を止めず迫ってきた。
なす術がないと感じた公正は目を瞑った。
するとザシュ、ザシュと斬撃音があたりに響いた。
目を開くと四肢に纏わりき固まった砂は切断面から崩れ去りようやく体が動かせるようになった。
そしてそこにいたのはさっきの男だった。
「全く....何で逃げるかねぇ。俺は仲間なのになぁ...」
第5話 完 第6話に続く
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