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スライム編
芳村 一孝 よしむら かずたか
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男性
34歳
テレフォンオペレーター
担当女神:レイア
攻撃:4
防御:30
速度:2
知能:14
幸運:10
「脆きスライムでも私の祝福でずいぶんと堅くなるものだ。守り勝て、スライムよ」
■■■テンセイ■GO■!■■■■■
「マイラはなんで、他の冒険者たちが助けに集まったのを見て逃げたのかしら」
「……ッ。言ってたんだ、『死に場所は自分で決める』って」
地上まで持たないと確信してたんだと思う、とガズが言った。
エーミィは下を向き、唇を噛む。
――転生した一孝は思った。
(洋画を途中から観てるみたいで、さっぱり話がわからん)
(どこかに「あらすじ」は書いてないのか。不親切だ!)
ぽにょんぽにょんと憤る。
ガチャっ。
(わっ、登場人物が増えた。キャラ紹介も出せ)
扉を開けて黒衣の男が入ってきた。
ガズとエーミィが部屋の角にいるのを見て、
「……」
無言で戻ろうとする。
慌ててエーミィが、
「すみません、今晩ここで過ごされます?」
「あるいは」
短く答える。
エーミィは黒衣の男のその態度に、強者の孤高を感じた。
ガズに向かって言う。
「ここにずっといてもマイラさん喜ばないよ。ガズがいっぱい強くなって、その銀のクナイで、今度はあたしを守ってほしい」
「……うん、わかった」
そしてふたりは、「おやすみなさい」と言って去って行った。
(いちばん強そうな人物が残った。どうすんだこれ……)
「ぽにょん……」
「ふう……子どもとは言え、冒険者がいると緊張する」
言いながら、黒衣の男は何かを床に並べていく。
部屋の中央からタイルを張るように、ぴっちりと。
(何か書いてある板? 何かの、模様……。ああもう、ほんとに説明がない)
「銀のクナイも拾ったようだな。魔法陣は……2時間経ったから消滅している。2時間というのは短いから、コストを考えるとこうなるわけだ」
完成――と低く言い、黒衣の男が何かを唱えた。
(え、え? これ、板の上が動き出したのか?)
黒衣の男は、誰にともなく説明を始める。
「この魔法陣は、1枚を除きすべて移動陣だ。移動陣は単純な仕組みなので半日持つ。どこか一ヶ所にでも乗れば自動的に流され、この――浄化の魔法陣まで運ばれるというわけだ」
(なるほど、ベルトコンベアーってわけか。ありがとう親切なひとり言!)
「では、今晩は楽にドロップアイテムを待つとしよう。そこのスライム、入ってみろ」
ジュバッ。
(えっ、目の前に黒い雷が落ちた。こっわ。こんなの当たると――あっ)
一孝が一歩横に動くと、そこは移動陣の上だった。
(あ、あ、あああ~!)
流されて流されて――
シュファ~。
(ちょっと楽しかったけど、この光……防御力とか関係ないのかも……駄目だ……)
「よし」
黒衣の男は小さくガッツポーズをすると、壁に背を預けて楽な姿勢をとった。
■■■ザンネン■マタ■ライセ■■■
34歳
テレフォンオペレーター
担当女神:レイア
攻撃:4
防御:30
速度:2
知能:14
幸運:10
「脆きスライムでも私の祝福でずいぶんと堅くなるものだ。守り勝て、スライムよ」
■■■テンセイ■GO■!■■■■■
「マイラはなんで、他の冒険者たちが助けに集まったのを見て逃げたのかしら」
「……ッ。言ってたんだ、『死に場所は自分で決める』って」
地上まで持たないと確信してたんだと思う、とガズが言った。
エーミィは下を向き、唇を噛む。
――転生した一孝は思った。
(洋画を途中から観てるみたいで、さっぱり話がわからん)
(どこかに「あらすじ」は書いてないのか。不親切だ!)
ぽにょんぽにょんと憤る。
ガチャっ。
(わっ、登場人物が増えた。キャラ紹介も出せ)
扉を開けて黒衣の男が入ってきた。
ガズとエーミィが部屋の角にいるのを見て、
「……」
無言で戻ろうとする。
慌ててエーミィが、
「すみません、今晩ここで過ごされます?」
「あるいは」
短く答える。
エーミィは黒衣の男のその態度に、強者の孤高を感じた。
ガズに向かって言う。
「ここにずっといてもマイラさん喜ばないよ。ガズがいっぱい強くなって、その銀のクナイで、今度はあたしを守ってほしい」
「……うん、わかった」
そしてふたりは、「おやすみなさい」と言って去って行った。
(いちばん強そうな人物が残った。どうすんだこれ……)
「ぽにょん……」
「ふう……子どもとは言え、冒険者がいると緊張する」
言いながら、黒衣の男は何かを床に並べていく。
部屋の中央からタイルを張るように、ぴっちりと。
(何か書いてある板? 何かの、模様……。ああもう、ほんとに説明がない)
「銀のクナイも拾ったようだな。魔法陣は……2時間経ったから消滅している。2時間というのは短いから、コストを考えるとこうなるわけだ」
完成――と低く言い、黒衣の男が何かを唱えた。
(え、え? これ、板の上が動き出したのか?)
黒衣の男は、誰にともなく説明を始める。
「この魔法陣は、1枚を除きすべて移動陣だ。移動陣は単純な仕組みなので半日持つ。どこか一ヶ所にでも乗れば自動的に流され、この――浄化の魔法陣まで運ばれるというわけだ」
(なるほど、ベルトコンベアーってわけか。ありがとう親切なひとり言!)
「では、今晩は楽にドロップアイテムを待つとしよう。そこのスライム、入ってみろ」
ジュバッ。
(えっ、目の前に黒い雷が落ちた。こっわ。こんなの当たると――あっ)
一孝が一歩横に動くと、そこは移動陣の上だった。
(あ、あ、あああ~!)
流されて流されて――
シュファ~。
(ちょっと楽しかったけど、この光……防御力とか関係ないのかも……駄目だ……)
「よし」
黒衣の男は小さくガッツポーズをすると、壁に背を預けて楽な姿勢をとった。
■■■ザンネン■マタ■ライセ■■■
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