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終章 二人の書~アースとレイン~
二人の書~【アース】とレイン・5~
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オリバーがベリオーブだったんて、とても信じられない。
信じられないが……。
「それにしても、まだ生きてるとは思わなかったよ。最後に会ったのはいつだっけ?」
「あーいつじゃったかのぉ…………うーん、もう何百年と前じゃしわからんなぁ」
エイラとオリバーがこんなにも親しげに話している所を見る限り嘘ではないみたいだ。
あのベリオーブ・セイジが俺の目の前にいるなんて驚きだな。
つか、そうなるとオリバーって一体何百年生きているんだよ……。
「おっと、立ち話も何じゃ。皆をワシの家に招待しよう」
オリバーが床にある魔法陣に右手をおくと、魔法陣が光り出した。
本日3度目の真っ白い光に俺達は包まれた。
「…………え……? ここがオリバーの家なの!?」
光が収まるとレインが驚きの声をあげた。
それもそうだ、なにせ目の前には大きくて立派な屋敷が建っていたからだ。
「そうじゃよぉ。さ、入った入った」
オリバーは玄関を開け、俺達は躊躇しつつも屋敷の中へと入った。
屋敷の中はドアノブ、照明、飾られている壺など様々な所が豪華に装飾されキラキラと輝いている。
オリバーの私生活については全然話してなかったが、こんな趣味を持っていたのか。
「こっちが客室じゃ」
オリバーの案内で客室に入ると、この部屋もすごいキラキラしている。
なんだか落ち着かないな。
「よっこらせっと」
オリバーが客室に置いてある高そうなソファーに腰を下ろした。
俺達も気を使いながらソファーにゆっくりと腰を下ろす……ソファーに座るだけなのに何でこんなに気を使わないといけないんだよ。
「さて、何から話そうかのぉ」
「あっ! はいはい! いい加減、この状況をボクに教えてくれない!? 特に! どうしてレインが歩けなくなったデュラハンに肩を貸しているのさ!? というか、さっきアースって言ってたよね? アースって、あのアースなの!? もう訳がわからないんだけど!!」
ジョシュアが身を乗り出し大声で叫んだ。
こんなに大声を出して主張してくるのは初めて見たな。
まぁそうなるのも仕方ないか。
俺がジョシュアの立場だったら同じ様になっていたと思うし。
「あ~ごめんごめん、話の途中だったわね。え~とね、このプレートアーマーはデュラハンじゃなくて中身はアースだったわけよ。で、このアースを蘇らせたのは……」
「私でス。死霊魔術を使ってアース様を蘇らせましタ。どうして、プレートアーマーなのかハ……すみませン、私の家に人型がそれしかなかったからなんでス」
「………………マジ?」
「マジ」
「マジでス」
ジョシュアの言葉に即答するラティアとレイン。
「……そう……なんだ……これが……アース? ねぇ……」
これとか言うな。
とはいえ、信じるのも難しいよな。
レインに俺だってわかってもらえたのも奇跡みたいなものだし。
ラティアには申し訳ないが1から説明してもらおう。
『ラティア、すまないが1からみんなに説明してくれないか?』
「あ、はイ! お任せくださイ。え~ト……少しお時間が掛かりますが、アース様を蘇らせた日から今日までの旅の話をしますネ」
『え? いや、蘇らせた日だけで……』
「今も鮮明に覚えていまス。アース様の魂が鎧に定着させた瞬間! アース様が動き出し……」
ラティアが楽しそうに話し出し、他の3人も真剣にラティアの話を聞いている。
なんかここで止める方が野暮って感じがするな。
『……まぁいいか』
俺もラティアの話に耳を傾ける事にした。
蘇った日から今日までの旅の話を……。
※
「……と、こんな感ジ……ですかネ」
ラティアの話が終わった。
途中、レインの一言でとんでもない事がわかり話は予想以上に盛り上がった。
それはソフィーナさんがレインだったという事だ。
つまり俺達は何回か出会っていた……が、お互い気が付いていないというマヌケっぷり。
アカニ村の夜に俺とレインは手書きとはいえ世間話までしてたものな……。
「……なるほど……あのさ、話を聞いていて思ったんだけど、最初にラティアちゃんの言葉をレインが冷静になって聞いていれば、こんな事にはならなかったんじゃないの?」
それは確かに。
俺達が逃走しなくても済んだ訳だし。
「うぐっ! ……うっうるさいわね! あの時は興奮して……そっそうよ! しゃべれないアースが悪いのよ!」
『はあ?』
おいおい、こっちに矛先を向けるなよ。
「しゃべれないって……口も喉も無い金属の鎧がしゃべれるわけないぢゃん」
「ぐはあっ!!」
エイラの言葉にノックダウンするレイン。
「……うぐぐ……え~と……その~…………あっ! オリバーじゃなくて、ベリオーブ……さん? 聞きたい事があるんだけどさ!」
あ、こいつ!
自分の旗色が悪いからって話を変えて来やがった。
「そんな他人みたいになるなよ、オリバーでいい。なんじゃい?」
「そう? じゃあ……オリバーってさ、どうして偽名を使ってアタシ達と旅をしたの?」
それを言えばラティア、レイン、ジョシュアも偽名で旅をしていたけどな。
……そう考えると偽名軍団だな、ここは。
「あー……それか……それは責任を取る為、じゃよ」
責任? 責任ってなんだ。
「責任とは、どう事ですカ?」
「…………ファルベインはワシが造ったんじゃ」
『「「……ええっ!?」」』
思わず俺、レイン、ジョシュアが立ち上がってオリバーににじり寄った。
「ちょっと! それはどういう事よ!?」
「ちゃんと説明してよね!」
「…………疑似妖精は知っておるか?」
『疑似妖精?』
疑似妖精と言えばベリオーブ、つまりオリバーが研究していたやつだよな。
「もちろん。オリバーが昔、研究していた物だよね」
「そうじゃ。その失敗作がファルベインなんじゃよ……破棄したもののまだ生命機能は生きていたみたいでな、長い年月を得てファルベイン自ら体を作り、成長したみたいなんじゃ」
「……」
「なっ!」
「そ、そうだったんですカ」
『……マジかよ』
ファルベインの奴にそんな事実があったとはな。
「それを知った時、ワシは奴を倒そうと1人で挑んだ……じゃが、老いていてしまったこの身体では返り討ちにあってしまったんじゃ。そこで偽名を使って討伐軍に志願し、お主等……アース達と出会ったわけじゃよ」
そういう事だったのか。
「――っすまない! アース! ワシのせいでお主の命を奪ってしまった! 本当にすまない!!」
事情を話しているうちにオリバーの気持ちが爆発したのか、急に立ち上がったと思えば土下座をして来た。
『やっやめてくれ!! お前のせいなんかじゃない! だから、頭を上げて……って、ああ! くそっ!』
俺はオリバーのせいだとは一切思わない。
だから、土下座や謝罪の言葉は必要ない。
その言葉を自分の口で伝えたい……伝えたいのに伝えられない。
……レインの時と同じだ……辛い、辛すぎる。
「あ、アース様がオリバー様のせいじゃないから、頭を上げてほしいと言ってまス」
ラティアがオリバーに駆け寄り、俺の言葉をオリバーに伝えてくれた。
「……しかしじゃな……うう……」
「……ん~……いちいちアースの通訳をしないといけないのは面倒だねぇ」
「わっ私は別にそんな事は思ってないヨ」
「でもさ、実際ラティアちゃんか、エイラが居ないとアースとの会話は紙に言葉を書かないといけないわよね」
確かにな。
言葉が大事なのは身にして感じているぞ。
「…………肉体、か……ふむ……のうラティアちゃん、アースの魂を他に移動させられる事は可能かのぉ?」
「え? え~ト……」
ラティアが俺を見る。
話していいかどうか悩んでいる感じだな。
『俺の事は気にしないで、ちゃんと話してくれ』
「……はイ……それは出来まス。ただ、その為にはもう1回アース様には死んでもらう事になりますガ……」
『…………へっ? え!? ちょっ!』
なにそれ!
せっかく蘇ったのにもう1回だと!?
「……そうか……魂の移動は可能なのか……ならいけるかもしれんぞ」
「えト、なにがでしょうカ?」
「アースを蘇らせる事が出来るかもという事じゃ! 鉄の体じゃなく、肉体の方のな!」
信じられないが……。
「それにしても、まだ生きてるとは思わなかったよ。最後に会ったのはいつだっけ?」
「あーいつじゃったかのぉ…………うーん、もう何百年と前じゃしわからんなぁ」
エイラとオリバーがこんなにも親しげに話している所を見る限り嘘ではないみたいだ。
あのベリオーブ・セイジが俺の目の前にいるなんて驚きだな。
つか、そうなるとオリバーって一体何百年生きているんだよ……。
「おっと、立ち話も何じゃ。皆をワシの家に招待しよう」
オリバーが床にある魔法陣に右手をおくと、魔法陣が光り出した。
本日3度目の真っ白い光に俺達は包まれた。
「…………え……? ここがオリバーの家なの!?」
光が収まるとレインが驚きの声をあげた。
それもそうだ、なにせ目の前には大きくて立派な屋敷が建っていたからだ。
「そうじゃよぉ。さ、入った入った」
オリバーは玄関を開け、俺達は躊躇しつつも屋敷の中へと入った。
屋敷の中はドアノブ、照明、飾られている壺など様々な所が豪華に装飾されキラキラと輝いている。
オリバーの私生活については全然話してなかったが、こんな趣味を持っていたのか。
「こっちが客室じゃ」
オリバーの案内で客室に入ると、この部屋もすごいキラキラしている。
なんだか落ち着かないな。
「よっこらせっと」
オリバーが客室に置いてある高そうなソファーに腰を下ろした。
俺達も気を使いながらソファーにゆっくりと腰を下ろす……ソファーに座るだけなのに何でこんなに気を使わないといけないんだよ。
「さて、何から話そうかのぉ」
「あっ! はいはい! いい加減、この状況をボクに教えてくれない!? 特に! どうしてレインが歩けなくなったデュラハンに肩を貸しているのさ!? というか、さっきアースって言ってたよね? アースって、あのアースなの!? もう訳がわからないんだけど!!」
ジョシュアが身を乗り出し大声で叫んだ。
こんなに大声を出して主張してくるのは初めて見たな。
まぁそうなるのも仕方ないか。
俺がジョシュアの立場だったら同じ様になっていたと思うし。
「あ~ごめんごめん、話の途中だったわね。え~とね、このプレートアーマーはデュラハンじゃなくて中身はアースだったわけよ。で、このアースを蘇らせたのは……」
「私でス。死霊魔術を使ってアース様を蘇らせましタ。どうして、プレートアーマーなのかハ……すみませン、私の家に人型がそれしかなかったからなんでス」
「………………マジ?」
「マジ」
「マジでス」
ジョシュアの言葉に即答するラティアとレイン。
「……そう……なんだ……これが……アース? ねぇ……」
これとか言うな。
とはいえ、信じるのも難しいよな。
レインに俺だってわかってもらえたのも奇跡みたいなものだし。
ラティアには申し訳ないが1から説明してもらおう。
『ラティア、すまないが1からみんなに説明してくれないか?』
「あ、はイ! お任せくださイ。え~ト……少しお時間が掛かりますが、アース様を蘇らせた日から今日までの旅の話をしますネ」
『え? いや、蘇らせた日だけで……』
「今も鮮明に覚えていまス。アース様の魂が鎧に定着させた瞬間! アース様が動き出し……」
ラティアが楽しそうに話し出し、他の3人も真剣にラティアの話を聞いている。
なんかここで止める方が野暮って感じがするな。
『……まぁいいか』
俺もラティアの話に耳を傾ける事にした。
蘇った日から今日までの旅の話を……。
※
「……と、こんな感ジ……ですかネ」
ラティアの話が終わった。
途中、レインの一言でとんでもない事がわかり話は予想以上に盛り上がった。
それはソフィーナさんがレインだったという事だ。
つまり俺達は何回か出会っていた……が、お互い気が付いていないというマヌケっぷり。
アカニ村の夜に俺とレインは手書きとはいえ世間話までしてたものな……。
「……なるほど……あのさ、話を聞いていて思ったんだけど、最初にラティアちゃんの言葉をレインが冷静になって聞いていれば、こんな事にはならなかったんじゃないの?」
それは確かに。
俺達が逃走しなくても済んだ訳だし。
「うぐっ! ……うっうるさいわね! あの時は興奮して……そっそうよ! しゃべれないアースが悪いのよ!」
『はあ?』
おいおい、こっちに矛先を向けるなよ。
「しゃべれないって……口も喉も無い金属の鎧がしゃべれるわけないぢゃん」
「ぐはあっ!!」
エイラの言葉にノックダウンするレイン。
「……うぐぐ……え~と……その~…………あっ! オリバーじゃなくて、ベリオーブ……さん? 聞きたい事があるんだけどさ!」
あ、こいつ!
自分の旗色が悪いからって話を変えて来やがった。
「そんな他人みたいになるなよ、オリバーでいい。なんじゃい?」
「そう? じゃあ……オリバーってさ、どうして偽名を使ってアタシ達と旅をしたの?」
それを言えばラティア、レイン、ジョシュアも偽名で旅をしていたけどな。
……そう考えると偽名軍団だな、ここは。
「あー……それか……それは責任を取る為、じゃよ」
責任? 責任ってなんだ。
「責任とは、どう事ですカ?」
「…………ファルベインはワシが造ったんじゃ」
『「「……ええっ!?」」』
思わず俺、レイン、ジョシュアが立ち上がってオリバーににじり寄った。
「ちょっと! それはどういう事よ!?」
「ちゃんと説明してよね!」
「…………疑似妖精は知っておるか?」
『疑似妖精?』
疑似妖精と言えばベリオーブ、つまりオリバーが研究していたやつだよな。
「もちろん。オリバーが昔、研究していた物だよね」
「そうじゃ。その失敗作がファルベインなんじゃよ……破棄したもののまだ生命機能は生きていたみたいでな、長い年月を得てファルベイン自ら体を作り、成長したみたいなんじゃ」
「……」
「なっ!」
「そ、そうだったんですカ」
『……マジかよ』
ファルベインの奴にそんな事実があったとはな。
「それを知った時、ワシは奴を倒そうと1人で挑んだ……じゃが、老いていてしまったこの身体では返り討ちにあってしまったんじゃ。そこで偽名を使って討伐軍に志願し、お主等……アース達と出会ったわけじゃよ」
そういう事だったのか。
「――っすまない! アース! ワシのせいでお主の命を奪ってしまった! 本当にすまない!!」
事情を話しているうちにオリバーの気持ちが爆発したのか、急に立ち上がったと思えば土下座をして来た。
『やっやめてくれ!! お前のせいなんかじゃない! だから、頭を上げて……って、ああ! くそっ!』
俺はオリバーのせいだとは一切思わない。
だから、土下座や謝罪の言葉は必要ない。
その言葉を自分の口で伝えたい……伝えたいのに伝えられない。
……レインの時と同じだ……辛い、辛すぎる。
「あ、アース様がオリバー様のせいじゃないから、頭を上げてほしいと言ってまス」
ラティアがオリバーに駆け寄り、俺の言葉をオリバーに伝えてくれた。
「……しかしじゃな……うう……」
「……ん~……いちいちアースの通訳をしないといけないのは面倒だねぇ」
「わっ私は別にそんな事は思ってないヨ」
「でもさ、実際ラティアちゃんか、エイラが居ないとアースとの会話は紙に言葉を書かないといけないわよね」
確かにな。
言葉が大事なのは身にして感じているぞ。
「…………肉体、か……ふむ……のうラティアちゃん、アースの魂を他に移動させられる事は可能かのぉ?」
「え? え~ト……」
ラティアが俺を見る。
話していいかどうか悩んでいる感じだな。
『俺の事は気にしないで、ちゃんと話してくれ』
「……はイ……それは出来まス。ただ、その為にはもう1回アース様には死んでもらう事になりますガ……」
『…………へっ? え!? ちょっ!』
なにそれ!
せっかく蘇ったのにもう1回だと!?
「……そうか……魂の移動は可能なのか……ならいけるかもしれんぞ」
「えト、なにがでしょうカ?」
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