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9章 二人の航海
レインの書~航海・2~
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◇◆アース歴9年 7月18日◇◆
今日も外は快晴、海も穏やか。
「……うう……み、水……を……」
けど、この部屋の中は全然穏やかじゃない。
ジョシュアは相変わらず2段ベッドの下で唸っている。
顔色もいつにもまして真っ白になっちゃってる。
「はあ……水ね。貰って来るから、ちょっと待ってて。あと何か食べやすい物がないかも聞いてくるわ」
戻しちゃうからと、ジョシュアはまともに昨日から食べ物を口にしていない。
気持ちはわかるけど流石にこのまま何も食べないのもまずいわ。
「……あっあり……がと……」
アタシは座っていたベッドから立ち上がり、部屋の外に出ようとした。
その瞬間――。
「――きゃっ!! なっなに!?』
いきなり船が大きく揺れ始めた。
「ぎゃああああああああああ!! 揺らさないでぇええええ!!」
その揺れでジョシュアが雄叫びをあげる。
「っ!!」
アタシは急いで部屋の窓際へ行き、外を見た。
「…………え?」
外は快晴のままで、海が荒れている様子も全くない。
つまり嵐が来たわけじゃない。
なのにこの揺れ……何かこの船に異変が起きたようね。
「ジョシュア! アタシは外に出て様子を見て来るから、大人しくててね!」
「……了……解……」
アタシは部屋から飛び出し、急いで甲板へと向かった。
「野郎ども! 今日こそこいつを討ち取るぞ!」
《おおおおおおおおおお!!》
甲板に出ると同時に、乗組員たちの雄叫びが響き渡った。
そこには数人の乗組員が海から飛び出した6本の大きく太い触手と戦っていた。
赤黒くて吸盤の付いた触手……という事は、この船はタコ型モンスターのクラーケンに襲われていたんだわ。
「どうしてこんな事に……あっ!」
アタシの目の前にプレートアーマーを着た人物が立っていた。
アーメットは綺麗だが、他の部分が薄汚れている。
そんなプレートアーマーを着た人物を、アタシは1人だけ知っている。
「アイリスさん!」
アタシの呼び声に反応して、プレートアーマーを着た人物がこちらを向いた。
やっぱりアイリスさんだった。
まさか同じ船に乗っていたなんて思いもしなかったわ。
それにしても、この人とはやたらと出会うわね……まるで引き寄せられている気分だわ。
「――っ!」
まずい! アイリスさんの背後から触手が襲って来てきている!
「危ない!」
アタシの言葉にアイリさんが即座に後ろへ飛び退いた。
直後、アイリさんのいた場所に触手が叩きつけられる。
反応してくれて良かったわ……っと、突っ立っている場合じゃない。
「大丈夫ですか!」
アタシは急いでアイリさんの傍へと駆け寄った。
「……」
あれ? なんで無言なんだろう?
一言くらい返してくれてもいいような……。
「……アイリスさん?」
アイリスさんは無言のまま片手を上げて、何ともないよって感じでアピールをした。
「……?」
これは一体どういう事? なんでしゃべってくれないのかしら。
……あっもしかして、さっきアタシが不要に声を掛けたせいで危険な目にあったから怒っちゃった?
それとも何か事情が……。
「――っ!」
あれこれと考えていると、いきなりアイリスさんがアタシを押し退けて持っていた剣を振った。
振った先には別の触手があり、斬られた触手は海の中へと逃げて行った。
どうやら今度はアタシの背後に触手が出て来て、アイリスさんが守ってくれたようだ。
体勢を崩して転んでしまったアタシにアイリスさんが右手を差し伸べてくれた。
「あ、ありがとうございます」
アタシはその手を取り起き上がった。
……その時アタシは変な違和感を感じた。
「……んん?」
その違和感を確かめる様に、にぎにぎとアイリスさんの右手を何回も握ってみる。
なんだろう……この違和感。
なんかこう生命? を感じない。
金属製のガントレットだから生命を感じるわけが無いんだけど……こうなんというか、軽いというか、中身が無いというか……。
「――っ! 船長!! 船首です!! 船首にクラーケンの頭が見えます!!」
マストの上の見張り台にいた乗組員が叫んだ。
っと、今はそんな事を気にしている場合じゃない!
今優先するべきはクラーケンだわ!
アイリスさんから手を離して船首の方へ目線を向けた。
船首を見ると、クラーケンの丸い頭が見えていた。
「なんだと! ……あの野郎、自分から顔を出すとは……」
これはチャンスだわ。
船底に張り付かれているとどうしようもないけど、海から顔を出しているのならこっちのもんよ。
アイリスさんも同じ事を考えていた様で剣を握りしめ戦闘態勢に入っていた。
「舐めやって……いいだろう!! その喧嘩、買っ――」
「ここは私達に任せて下さい!」
アタシとアイリスさんは、船首へ向かって走り出した。
「え? あっ! ちょっと!? そいつの相手は俺様が……」
流石にプレートアーマーを着たアイリスさんが後れを取る。
けど、その状態でアタシについてくるのはすごい。
プレートアーマーを着ずに走ったらアタシと同じか、速いかもしれないわね。
「――っ!」
クラーケンが走って来るアタシ達に気が付いた様だ。
2本の触手を先に走っていたアタシに向けて振り下ろして来た。
遅い……そんな攻撃でアタシの足を止めると思ったのかしら。
「――んっ!」
後ろでも左右に避けるでもなく、前へ踏み込んで向かって来た触手の回避をした。
アイリスさんの方は大丈夫かと少し後ろを見てみると、アタシが背後を取られない様に立ち回ったくれていた。
……その立ち回りは本当にありがたい。
おかげで背後を気にせず、目の前の敵に集中することが出来るもの!
「……あはっ!」
アタシは高揚しつつ触手を避けたりメイスで殴り飛ばしてクラーケンへと突撃していった。
何故だろう、アイリスさんにならアタシの背中を預けても大丈夫だと思える。
……まるでアースと共に戦っているかの様な安心感がそこにあった。
今日も外は快晴、海も穏やか。
「……うう……み、水……を……」
けど、この部屋の中は全然穏やかじゃない。
ジョシュアは相変わらず2段ベッドの下で唸っている。
顔色もいつにもまして真っ白になっちゃってる。
「はあ……水ね。貰って来るから、ちょっと待ってて。あと何か食べやすい物がないかも聞いてくるわ」
戻しちゃうからと、ジョシュアはまともに昨日から食べ物を口にしていない。
気持ちはわかるけど流石にこのまま何も食べないのもまずいわ。
「……あっあり……がと……」
アタシは座っていたベッドから立ち上がり、部屋の外に出ようとした。
その瞬間――。
「――きゃっ!! なっなに!?』
いきなり船が大きく揺れ始めた。
「ぎゃああああああああああ!! 揺らさないでぇええええ!!」
その揺れでジョシュアが雄叫びをあげる。
「っ!!」
アタシは急いで部屋の窓際へ行き、外を見た。
「…………え?」
外は快晴のままで、海が荒れている様子も全くない。
つまり嵐が来たわけじゃない。
なのにこの揺れ……何かこの船に異変が起きたようね。
「ジョシュア! アタシは外に出て様子を見て来るから、大人しくててね!」
「……了……解……」
アタシは部屋から飛び出し、急いで甲板へと向かった。
「野郎ども! 今日こそこいつを討ち取るぞ!」
《おおおおおおおおおお!!》
甲板に出ると同時に、乗組員たちの雄叫びが響き渡った。
そこには数人の乗組員が海から飛び出した6本の大きく太い触手と戦っていた。
赤黒くて吸盤の付いた触手……という事は、この船はタコ型モンスターのクラーケンに襲われていたんだわ。
「どうしてこんな事に……あっ!」
アタシの目の前にプレートアーマーを着た人物が立っていた。
アーメットは綺麗だが、他の部分が薄汚れている。
そんなプレートアーマーを着た人物を、アタシは1人だけ知っている。
「アイリスさん!」
アタシの呼び声に反応して、プレートアーマーを着た人物がこちらを向いた。
やっぱりアイリスさんだった。
まさか同じ船に乗っていたなんて思いもしなかったわ。
それにしても、この人とはやたらと出会うわね……まるで引き寄せられている気分だわ。
「――っ!」
まずい! アイリスさんの背後から触手が襲って来てきている!
「危ない!」
アタシの言葉にアイリさんが即座に後ろへ飛び退いた。
直後、アイリさんのいた場所に触手が叩きつけられる。
反応してくれて良かったわ……っと、突っ立っている場合じゃない。
「大丈夫ですか!」
アタシは急いでアイリさんの傍へと駆け寄った。
「……」
あれ? なんで無言なんだろう?
一言くらい返してくれてもいいような……。
「……アイリスさん?」
アイリスさんは無言のまま片手を上げて、何ともないよって感じでアピールをした。
「……?」
これは一体どういう事? なんでしゃべってくれないのかしら。
……あっもしかして、さっきアタシが不要に声を掛けたせいで危険な目にあったから怒っちゃった?
それとも何か事情が……。
「――っ!」
あれこれと考えていると、いきなりアイリスさんがアタシを押し退けて持っていた剣を振った。
振った先には別の触手があり、斬られた触手は海の中へと逃げて行った。
どうやら今度はアタシの背後に触手が出て来て、アイリスさんが守ってくれたようだ。
体勢を崩して転んでしまったアタシにアイリスさんが右手を差し伸べてくれた。
「あ、ありがとうございます」
アタシはその手を取り起き上がった。
……その時アタシは変な違和感を感じた。
「……んん?」
その違和感を確かめる様に、にぎにぎとアイリスさんの右手を何回も握ってみる。
なんだろう……この違和感。
なんかこう生命? を感じない。
金属製のガントレットだから生命を感じるわけが無いんだけど……こうなんというか、軽いというか、中身が無いというか……。
「――っ! 船長!! 船首です!! 船首にクラーケンの頭が見えます!!」
マストの上の見張り台にいた乗組員が叫んだ。
っと、今はそんな事を気にしている場合じゃない!
今優先するべきはクラーケンだわ!
アイリスさんから手を離して船首の方へ目線を向けた。
船首を見ると、クラーケンの丸い頭が見えていた。
「なんだと! ……あの野郎、自分から顔を出すとは……」
これはチャンスだわ。
船底に張り付かれているとどうしようもないけど、海から顔を出しているのならこっちのもんよ。
アイリスさんも同じ事を考えていた様で剣を握りしめ戦闘態勢に入っていた。
「舐めやって……いいだろう!! その喧嘩、買っ――」
「ここは私達に任せて下さい!」
アタシとアイリスさんは、船首へ向かって走り出した。
「え? あっ! ちょっと!? そいつの相手は俺様が……」
流石にプレートアーマーを着たアイリスさんが後れを取る。
けど、その状態でアタシについてくるのはすごい。
プレートアーマーを着ずに走ったらアタシと同じか、速いかもしれないわね。
「――っ!」
クラーケンが走って来るアタシ達に気が付いた様だ。
2本の触手を先に走っていたアタシに向けて振り下ろして来た。
遅い……そんな攻撃でアタシの足を止めると思ったのかしら。
「――んっ!」
後ろでも左右に避けるでもなく、前へ踏み込んで向かって来た触手の回避をした。
アイリスさんの方は大丈夫かと少し後ろを見てみると、アタシが背後を取られない様に立ち回ったくれていた。
……その立ち回りは本当にありがたい。
おかげで背後を気にせず、目の前の敵に集中することが出来るもの!
「……あはっ!」
アタシは高揚しつつ触手を避けたりメイスで殴り飛ばしてクラーケンへと突撃していった。
何故だろう、アイリスさんにならアタシの背中を預けても大丈夫だと思える。
……まるでアースと共に戦っているかの様な安心感がそこにあった。
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