52 / 66
9章 奴を捕まえろ!
4、異世界の食虫植物
しおりを挟む
初めて来た、無人島の北西辺り。
パッと見たところ他の場所とあまり変わりがないな。
何か新しい発見があるかもと思ったんだけど……。
「……ん? スンスン」
なんだろう、ほのかに甘い匂いがするぞ。
これはフローラル系かな……?
近くに花でも咲いているのだろうか。
「……この匂い、もしかして……」
「な、何の匂いかわかるの?」
「たぶん、ラファイスルだと、思う」
ラファイスル? ……ああ、アリサの言っていた食虫植物か。
確か僕の身長の2倍くらいある、大きくて真っ赤な花だったよな。
「この近くにあるのかな?」
「匂い、かすかだから、まだ遠いわね」
マジかよ、これでかすかなのか。
匂い的に十分な気がするんだけどな。
「風向きから、こっちにある、と思うけど……どうする? 行ってみる?」
んー別に危害を加えるタイプじゃないみたいだし、どんなものか見てみたい。
どの道、除去対象だし行ってみるか。
「う、うん。行ってみよう」
「わかった、いってみましょう」
僕達は、匂いがする方へと歩いて行った。
※
歩いて10分くらいたっただろうか。
一向にラファイスルがある場所につかない。
本当に近くに無かったんだな。
けど、どんどん匂いが強くなってきているから、確実に近づいてはいる。
それにしても、不思議だ。
蜜のような甘ったるい匂いがしたと思えば、いきなり肉が腐った様な悪臭に変わり、そこから青臭い葉っぱの様な匂いになって、柑橘系の酸っぱい匂いになるとめちゃくちゃだ。
あらゆる虫が匂いに寄って来るっていうのもうなづける。
これならこの島から虫が消えたり、生態系を壊すっていうのもわかるわ。
異世界の食虫植物って怖いなー。
「……ん?」
目の前に、なにか浮いて動いているのが見えるぞ。
黄と黒のしましま模様の虫……あれはハチか?
けど、僕の知っているハチとはだいぶ違う。
黄と黒のしましま模様、大きさスズメバチほどくらいしか共通点が無い。
まず、一番おかしいのは手足の数と異常な長さだ。
簡単に言えば蜂の体に蜘蛛の足が生えている感じ……あまりにも不気味過ぎる。
そして、針が出るしっぽの部分から緑色の細くて長い紐みたいなのが出ている。
一応はちのこは食用に出来るけど、あの姿を見ると食べたくないな。
「あ、あれって……虫……だよね?」
「うん。ジーイック、だね」
あのクモハチはジーイックっていうんだ。
この島では全く見なかったけど、来たばかりでラファイスルの匂いに誘われたのかな。
「ラファイスルに、捕食されて、囮にされてるわね……」
「捕食? 囮?」
あんなに元気に飛び回っているのに、捕食だなんて…………待てよ。
よく見ると、あのクジーイックはなんで羽を動かさずに空中を飛んで動き回っているんだ。
羽が早く動きすぎて止まって見えているなんて事はあり得ないよな。
「……まさか」
僕は嫌な想像をしつつ、気になっていたしっぽから出ている緑の紐を目線で追って行った。
その先は地面と繋がっていた。
いや、地面から生えていると言った方がいい。
「……あの、ジーイックのしっぽから出ている緑色の紐って……」
「そう、ラファイスルの、蔓よ。捕まえたジーイックの中身だけ溶かして、ガワを自分の蔓につけて、飛んでいる様に、見せているの」
「うげぇ……やっぱり……」
これが捕まえた虫までも利用するってやつか。
おいおい、なんて惨い事をしているんだ。
「それでおびき寄せたのを、別の粘着質の強い蔓で捕まえて、口の部分に運ぶわけ」
それは本当に植物ですか。
もうモンスターにしか思えないんですけど。
「匂いもだいぶ強いし、囮もあった。周りの蔓も、多くなって来たという事は、ラファイスル、近くにあるわね」
アリサの言葉で辺りを見渡すと、木という木に蔓が絡みついていた。
これ全部ラファイスルの蔓って事なのか。
「さっ、進むわよ」
アリサがすたすたと進み始めた。
僕は恐怖を感じつつ、後ろから続いた。
囮のジーイックを過ぎると、匂いがかなり強くなり、蔓の絡み具合もすごい量になって来た。
この絡み具合、完全にホラーな場所なんですけど。
「……あったわ」
アリサが大きくて太い1本の木の前に立ち止まり、見上げた。
僕も見上げてみると……。
「えええ……こ、これが……ラファイスル……」
匂いを出す巨大な花という事で、僕はラフレシアの様な花のイメージを持っていた。
だから地面に生えていて、大きな花1つドーンとあるとばかり思っていた。
けど、目の前にあるのは全く違っていた。
ラファイスルは、1本の太くて大きな木に絡みついていて赤くて巨大なチューリップみたいな花だった。
それも花は1つだけではなく別の木1本に対して1つ、全部で6つもある。
そうか……色んな匂いが出せるのは、それぞれ花から匂いを出しているからか。
で、辺りでニチャニチャと粘着質な音を出して動いているのが、獲物を捕まえる為の蔓ってわけね。
「ちなみに口は、それぞれの花の中にあるわ。うち達、みたいなのがね」
……それを聞いて、ますます植物だとは思えなくなってきた。
やっぱりモンスターじゃないか!
「ほ、本当にラファイスルって人を襲わないの!?」
全然信じられない。
普通に人を捕食してそうなんですけど。
「大丈夫、だって。そもそも、襲ってくるんだったら、もうとっくに襲われてるわよ」
「……あ、そうか」
言われたら確かにそうだ。
とはいえ、恐ろしいものは恐ろしい。
さっさと除去してしまおう。
「ど、どうやってラファイスルを除去しているの?」
「簡単よ。寄生している木から、水分を取ってるから、その部分を切れば、枯れるわ」
なるほど、ただ絡みついているんじゃなくて水分を取る為にくっ付いているのか。
本当にすごい食虫植物だな。
「じゃ、じゃあさっさと切って……って、それはどこにあるの?」
蔓が木に絡まりすぎて、何処から水分を吸い取っているのか全く分からない。
手あたり次第に切ってもいいけど、鱗斧じゃあ簡単に切れないだろうから相当時間と労力がかかるのは目に見えている。
だから、ここだって所をピンポイントでやらないと辛いぞ。
「……え~と……………………何処だと、思う?」
現地人のアリサがわからないのに、僕がわかるわけないでしょうに。
パッと見たところ他の場所とあまり変わりがないな。
何か新しい発見があるかもと思ったんだけど……。
「……ん? スンスン」
なんだろう、ほのかに甘い匂いがするぞ。
これはフローラル系かな……?
近くに花でも咲いているのだろうか。
「……この匂い、もしかして……」
「な、何の匂いかわかるの?」
「たぶん、ラファイスルだと、思う」
ラファイスル? ……ああ、アリサの言っていた食虫植物か。
確か僕の身長の2倍くらいある、大きくて真っ赤な花だったよな。
「この近くにあるのかな?」
「匂い、かすかだから、まだ遠いわね」
マジかよ、これでかすかなのか。
匂い的に十分な気がするんだけどな。
「風向きから、こっちにある、と思うけど……どうする? 行ってみる?」
んー別に危害を加えるタイプじゃないみたいだし、どんなものか見てみたい。
どの道、除去対象だし行ってみるか。
「う、うん。行ってみよう」
「わかった、いってみましょう」
僕達は、匂いがする方へと歩いて行った。
※
歩いて10分くらいたっただろうか。
一向にラファイスルがある場所につかない。
本当に近くに無かったんだな。
けど、どんどん匂いが強くなってきているから、確実に近づいてはいる。
それにしても、不思議だ。
蜜のような甘ったるい匂いがしたと思えば、いきなり肉が腐った様な悪臭に変わり、そこから青臭い葉っぱの様な匂いになって、柑橘系の酸っぱい匂いになるとめちゃくちゃだ。
あらゆる虫が匂いに寄って来るっていうのもうなづける。
これならこの島から虫が消えたり、生態系を壊すっていうのもわかるわ。
異世界の食虫植物って怖いなー。
「……ん?」
目の前に、なにか浮いて動いているのが見えるぞ。
黄と黒のしましま模様の虫……あれはハチか?
けど、僕の知っているハチとはだいぶ違う。
黄と黒のしましま模様、大きさスズメバチほどくらいしか共通点が無い。
まず、一番おかしいのは手足の数と異常な長さだ。
簡単に言えば蜂の体に蜘蛛の足が生えている感じ……あまりにも不気味過ぎる。
そして、針が出るしっぽの部分から緑色の細くて長い紐みたいなのが出ている。
一応はちのこは食用に出来るけど、あの姿を見ると食べたくないな。
「あ、あれって……虫……だよね?」
「うん。ジーイック、だね」
あのクモハチはジーイックっていうんだ。
この島では全く見なかったけど、来たばかりでラファイスルの匂いに誘われたのかな。
「ラファイスルに、捕食されて、囮にされてるわね……」
「捕食? 囮?」
あんなに元気に飛び回っているのに、捕食だなんて…………待てよ。
よく見ると、あのクジーイックはなんで羽を動かさずに空中を飛んで動き回っているんだ。
羽が早く動きすぎて止まって見えているなんて事はあり得ないよな。
「……まさか」
僕は嫌な想像をしつつ、気になっていたしっぽから出ている緑の紐を目線で追って行った。
その先は地面と繋がっていた。
いや、地面から生えていると言った方がいい。
「……あの、ジーイックのしっぽから出ている緑色の紐って……」
「そう、ラファイスルの、蔓よ。捕まえたジーイックの中身だけ溶かして、ガワを自分の蔓につけて、飛んでいる様に、見せているの」
「うげぇ……やっぱり……」
これが捕まえた虫までも利用するってやつか。
おいおい、なんて惨い事をしているんだ。
「それでおびき寄せたのを、別の粘着質の強い蔓で捕まえて、口の部分に運ぶわけ」
それは本当に植物ですか。
もうモンスターにしか思えないんですけど。
「匂いもだいぶ強いし、囮もあった。周りの蔓も、多くなって来たという事は、ラファイスル、近くにあるわね」
アリサの言葉で辺りを見渡すと、木という木に蔓が絡みついていた。
これ全部ラファイスルの蔓って事なのか。
「さっ、進むわよ」
アリサがすたすたと進み始めた。
僕は恐怖を感じつつ、後ろから続いた。
囮のジーイックを過ぎると、匂いがかなり強くなり、蔓の絡み具合もすごい量になって来た。
この絡み具合、完全にホラーな場所なんですけど。
「……あったわ」
アリサが大きくて太い1本の木の前に立ち止まり、見上げた。
僕も見上げてみると……。
「えええ……こ、これが……ラファイスル……」
匂いを出す巨大な花という事で、僕はラフレシアの様な花のイメージを持っていた。
だから地面に生えていて、大きな花1つドーンとあるとばかり思っていた。
けど、目の前にあるのは全く違っていた。
ラファイスルは、1本の太くて大きな木に絡みついていて赤くて巨大なチューリップみたいな花だった。
それも花は1つだけではなく別の木1本に対して1つ、全部で6つもある。
そうか……色んな匂いが出せるのは、それぞれ花から匂いを出しているからか。
で、辺りでニチャニチャと粘着質な音を出して動いているのが、獲物を捕まえる為の蔓ってわけね。
「ちなみに口は、それぞれの花の中にあるわ。うち達、みたいなのがね」
……それを聞いて、ますます植物だとは思えなくなってきた。
やっぱりモンスターじゃないか!
「ほ、本当にラファイスルって人を襲わないの!?」
全然信じられない。
普通に人を捕食してそうなんですけど。
「大丈夫、だって。そもそも、襲ってくるんだったら、もうとっくに襲われてるわよ」
「……あ、そうか」
言われたら確かにそうだ。
とはいえ、恐ろしいものは恐ろしい。
さっさと除去してしまおう。
「ど、どうやってラファイスルを除去しているの?」
「簡単よ。寄生している木から、水分を取ってるから、その部分を切れば、枯れるわ」
なるほど、ただ絡みついているんじゃなくて水分を取る為にくっ付いているのか。
本当にすごい食虫植物だな。
「じゃ、じゃあさっさと切って……って、それはどこにあるの?」
蔓が木に絡まりすぎて、何処から水分を吸い取っているのか全く分からない。
手あたり次第に切ってもいいけど、鱗斧じゃあ簡単に切れないだろうから相当時間と労力がかかるのは目に見えている。
だから、ここだって所をピンポイントでやらないと辛いぞ。
「……え~と……………………何処だと、思う?」
現地人のアリサがわからないのに、僕がわかるわけないでしょうに。
1
お気に入りに追加
67
あなたにおすすめの小説

天才ピアニストでヴァイオリニストの二刀流の俺が死んだと思ったら異世界に飛ばされたので,世界最高の音楽を異世界で奏でてみた結果
yuraaaaaaa
ファンタジー
国際ショパンコンクール日本人初優勝。若手ピアニストの頂点に立った斎藤奏。世界中でリサイタルに呼ばれ,ワールドツアーの移動中の飛行機で突如事故に遭い墜落し死亡した。はずだった。目覚めるとそこは知らない場所で知らない土地だった。夢なのか? 現実なのか? 右手には相棒のヴァイオリンケースとヴァイオリンが……
知らない生物に追いかけられ見たこともない人に助けられた。命の恩人達に俺はお礼として音楽を奏でた。この世界では俺が奏でる楽器も音楽も知らないようだった。俺の音楽に引き寄せられ現れたのは伝説の生物黒竜。俺は突然黒竜と契約を交わす事に。黒竜と行動を共にし,街へと到着する。
街のとある酒場の端っこになんと,ピアノを見つける。聞くと伝説の冒険者が残した遺物だという。俺はピアノの存在を知らない世界でピアノを演奏をする。久々に弾いたピアノの音に俺は魂が震えた。異世界✖クラシック音楽という異色の冒険物語が今始まる。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
この作品は,小説家になろう,カクヨムにも掲載しています。

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~
うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」
これしかないと思った!
自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。
奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。
得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。
直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。
このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。
そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。
アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。
助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います
町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。

【完結】異世界転移で、俺だけ魔法が使えない!
林檎茶
ファンタジー
俺だけ魔法が使えないとか、なんの冗談だ?
俺、相沢ワタルは平凡で一般的な高校二年生である。
成績は中の下。友達も少なく、誇れるような特技も趣味もこれといってない。
そんなつまらない日常は突如として幕を閉じた。
ようやく終わった担任の長話。喧騒に満ちた教室、いつもより浮き足立った放課後。
明日から待ちに待った春休みだというのに突然教室内が不気味な紅色の魔法陣で満ちたかと思えば、俺は十人のクラスメイトたちと共に異世界に転移してしまったのだ。
俺たちを召喚したのはリオーネと名乗る怪しい男。
そいつから魔法の存在を知らされたクラスメイトたちは次々に魔法の根源となる『紋章』を顕現させるが、俺の紋章だけは何故か魔法を使えない紋章、通称『死人の紋章』だった。
魔法という超常的な力に歓喜し興奮するクラスメイトたち。そいつらを見て嫉妬の感情をひた隠す俺。
そんな中クラスメイトの一人が使える魔法が『転移魔法』だと知るや否やリオーネの態度は急変した。
リオーネから危険を感じた俺たちは転移魔法を使っての逃亡を試みたが、不運にも俺はただ一人迷宮の最下層へと転移してしまう。
その先で邂逅した存在に、俺がこの異世界でやらなければならないことを突きつけられる。
挫折し、絶望し、苦悩した挙句、俺はなんとしてでも──『魔王』を倒すと決意する。

貧弱の英雄
カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。
貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。
自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる――
※修正要請のコメントは対処後に削除します。

バイトで冒険者始めたら最強だったっていう話
紅赤
ファンタジー
ここは、地球とはまた別の世界――
田舎町の実家で働きもせずニートをしていたタロー。
暢気に暮らしていたタローであったが、ある日両親から家を追い出されてしまう。
仕方なく。本当に仕方なく、当てもなく歩を進めて辿り着いたのは冒険者の集う街<タイタン>
「冒険者って何の仕事だ?」とよくわからないまま、彼はバイトで冒険者を始めることに。
最初は田舎者だと他の冒険者にバカにされるが、気にせずテキトーに依頼を受けるタロー。
しかし、その依頼は難度Aの高ランククエストであることが判明。
ギルドマスターのドラムスは急いで救出チームを編成し、タローを助けに向かおうと――
――する前に、タローは何事もなく帰ってくるのであった。
しかもその姿は、
血まみれ。
右手には討伐したモンスターの首。
左手にはモンスターのドロップアイテム。
そしてスルメをかじりながら、背中にお爺さんを担いでいた。
「いや、情報量多すぎだろぉがあ゛ぁ!!」
ドラムスの叫びが響く中で、タローの意外な才能が発揮された瞬間だった。
タローの冒険者としての摩訶不思議な人生はこうして幕を開けたのである。
――これは、バイトで冒険者を始めたら最強だった。という話――

無能な勇者はいらないと辺境へ追放されたのでチートアイテム【ミストルティン】を使って辺境をゆるりと開拓しようと思います
長尾 隆生
ファンタジー
仕事帰りに怪しげな占い師に『この先不幸に見舞われるが、これを持っていれば幸せになれる』と、小枝を500円で押し売りされた直後、異世界へ召喚されてしまうリュウジ。
しかし勇者として召喚されたのに、彼にはチート能力も何もないことが鑑定によって判明する。
途端に手のひらを返され『無能勇者』というレッテルを貼られずさんな扱いを受けた上に、一方的にリュウジは凶悪な魔物が住む地へ追放されてしまう。
しかしリュウジは知る。あの胡散臭い占い師に押し売りされた小枝が【ミストルティン】という様々なアイテムを吸収し、その力を自由自在に振るうことが可能で、更に経験を積めばレベルアップしてさらなる強力な能力を手に入れることが出来るチートアイテムだったことに。
「ミストルティン。アブソープション!」
『了解しましたマスター。レベルアップして新しいスキルを覚えました』
「やった! これでまた便利になるな」
これはワンコインで押し売りされた小枝を手に異世界へ突然召喚され無能とレッテルを貼られた男が幸せを掴む物語。
~ワンコインで買った万能アイテムで幸せな人生を目指します~

隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜
桜井正宗
ファンタジー
能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。
スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。
真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる