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第四章 悪魔四天王「斬風のバルフライ」VS豪拳
1 『わ~あたり真っ白だね~』
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「こ、これは」
目の前にはベルトラ飯ではなくれっきとした夕飯がずらりと!
「……デール」
「……なんだ」
「ほっぺたを思いっきり引っ張ってみっいふぁいいふぁい!!」
この痛がりようは夢でも幻でもないという事だな。
「ちょっとデール! 何でアタシのほっぺたを引っ張るのさ!?」
何言っとるんだこいつ?
「今お前が引っ張れと言っただろう」
「ちっがうよ! デールのほっぺたを引っ張ってもいいって言うつもりだったんっいふぁいいふぁい! ひゃめへぇ!」
こいつはあああああああ!!
「何故お前に引っ張られないといけないのだ!?」
「だって~自分のだと痛いじゃん……もう痛いけど……」
まったくそれだと我輩が痛い目にあうだけではないか。
しかしいい匂いだ~食欲がそそられるな。
「えと……これからは皆様のお食事は私が精一杯、作らさせていただきますです」
ふおおおおおお!! それは素晴らしい! これでベルトラ飯から開放される!!
「ひゃっほおおおおおおおい!!」
エリン、うれしい気持ちはわかるが我輩の頭の上で飛び回るなよ。相変わらずうっとうしい。
「そんな、フェリシアさんに全てを任せるのも申し訳ないので私も――」
は!? ベルトラの奴、何を言い出すのだ!?
「それは却下!!」
「それは反対!!」
こんな素晴らしい事を潰されてたまるか!!
「2人とも何を言うんですか!?」
言うに決まっておるわ!
「料理に関したら手馴れているフェリシアが適任だと思うぞ!」
「そうだそうだ!」
「でもそれでは――」
しつこいな……自分が楽になるというのに。そもそも何故こんなに料理を作りたがるのだ。
もしかして、料理を作るのが好きなのか? だとしたら何故あそこまでひどいものしか出来ないのか謎だ。
「あの……ベルトラ様、実はこれ普通のお食事じゃないんです」
え? 違うの?
「え? 違うの? ――モグモグ……ん~別におかしなとこはないよ?」
このエリンの躊躇のなさは本当にすごいな。
「これは疲労回復や安眠作用といった様々な薬草を使った薬膳料理なんです。私は戦闘で皆様のお役に立つのは難しいです、なのでこういった形でサポートさせてほしいんです」
なるほど、フェリシアも出来る限りの事がしたいのだな。
「ベルトラ、フェリシアがせっかく我輩たちのためにしてくれるのだ。それでよいではないか」
さてどうだ、ここは折れてくれ。
「……わかりました、そこまでおっしゃるのであればお願いします」
良かった、納得してくれたようだ。
よし! これからは野宿の飯の心配はなくなったぞ! ――うむ、うまい!
「デール様、デール様」
「ん? どうした。エリンが言うとおり味に問題はないぞ?」
「あ、ありがとうございます。えと……お耳をよろしいですか?」
なんだ大きな声で言えない事なのか?
「あの……ベルトラ様の料理って……そんなにひどいんです?」
ああ、そうか……フェリシアは知らないものな、アレを。
「あ~ひどいも何も……あれを料理と呼んでいいものすら……」
思い出しただけでも吐き気が。
「そんなにですか。う~ん、それはそれで気になるです」
頭の花が激しく動いておるな~これは釘を刺したほうがよさそうだ。
「アレは興味本位で手を出すべき物ではない、ぜっっったい!! にやめておけよ」
触る祟りになんとやらというしな。
「……デール様がそこまでおっしゃるのなら……」
あ、花が枯れた……すごく残念そうだ。
※
「さて、食事も済みましたし皆さんお話いいですか? 次の目的地である北の国カルリックの事ですが」
次で3国目か、短いようで長いようでもう半分も来たのか。
「このまま道沿いに進んであの山を越えればカルリックの領域になります」
あの山と言われても真っ暗で何もわからん、まぁ明日になれば嫌でも見るはめになるか。
「それでですね山を越える為に……ってエリン!?」
「ク~カ~」
エリンの奴、食べるだけ食べて寝てしまったか。
「エリン! 起きて下さい、大事な話なんですよ!」
「放っておけ、こうなっては起きんと思うぞ」
久々にうまい飯が食べられて満足したんだな、気持ちはわからんでもないが……我輩も今夜は幸せに眠れそうだ。
「ですが……」
「話ならこいつ抜きでもいいだろ、どうせ起きていても話を聞いているか怪しいぞ」
「……それもそうですね、では話の続きを――」
普通に納得しちゃったよ。
※
『わ~あたり真っ白だね~』
「……」
『あ、あれはなんだろ?』
「……」
『ねぇ~デールってば~聞いてる~?』
「……………………おい、エリン」
『ん? な~に~?』
「剣の外に出ろ……」
『やだ! 外寒いもん!!』
「もん!! じゃない!! 自分だけ寒さを防ぎおって! 何で剣の中だと寒さを感じないんだ!?」
『そんなのわかんないよ、たぶん別空間だからじゃないかな?』
本人も知らないとか! くそおおおお!! 我輩もその別空間の中に入りたいぞ!!
まさかここまで雪に覆われた地域だったとは!! 寒すぎる!!
『ハッしまった! マレリスの時も中に入っとけば暑さ防げたんじゃ!? もっと早く気が付けばあああああ!!』
マレリスの時は戦闘以外の外にいたからな、今回は偶然入って気が付いたみたいだが……ん? ちょっと待ておかしい事があるぞ?
「エリン」
『絶対出ないからね!』
「その話はもういい、一つ気になったのだが……何故お前は外に出たり入ったりをするのだ? ずっと中にいればいいではないか。言いたくないがその方が何かと楽じゃないのか」
『チッチッチ~デールはわかってないな~今は出たくないだけで我慢しているけど、中は身動きが出来なくてさ。アタシは外で自由に体が動かせるが好きなの! だから外に出るの! おわかり?』
中がどうなっているかわからんかったがそうなっていたのか、で普段から落ち着きがない理由もよくわかったわ。
「だったら今すぐ出ろ」
『やだ』
……引っ張り出してぇ!!
「なんじゃいなんじゃい、このくらいの寒さくらいでやかましい」
このくらいだと!? 防寒着を着ていても凍死してしまいそうなくらい寒いわ! いやそれよりも――。
「やかましいついでに言ってやる! 爺さんの格好のせいで見ているこっちが余計寒く思うんだよ!!」
「あん? わしのどこがおかしい」
自覚がないのか、このジジィは!?
「おかしいもおかしいわ!! こんなクソ寒い所で【その】防寒着一枚だけで何故平気なのだ!?」
パッツンパッツンで今にも張り裂けそうな体にあっていない防寒着だぞ!?
「そればっかりは決まった事だからな、なんともいえんわい」
甘かった、まさかこんなに寒いとは。
あの時の判断は完全に間違っておった!!
目の前にはベルトラ飯ではなくれっきとした夕飯がずらりと!
「……デール」
「……なんだ」
「ほっぺたを思いっきり引っ張ってみっいふぁいいふぁい!!」
この痛がりようは夢でも幻でもないという事だな。
「ちょっとデール! 何でアタシのほっぺたを引っ張るのさ!?」
何言っとるんだこいつ?
「今お前が引っ張れと言っただろう」
「ちっがうよ! デールのほっぺたを引っ張ってもいいって言うつもりだったんっいふぁいいふぁい! ひゃめへぇ!」
こいつはあああああああ!!
「何故お前に引っ張られないといけないのだ!?」
「だって~自分のだと痛いじゃん……もう痛いけど……」
まったくそれだと我輩が痛い目にあうだけではないか。
しかしいい匂いだ~食欲がそそられるな。
「えと……これからは皆様のお食事は私が精一杯、作らさせていただきますです」
ふおおおおおお!! それは素晴らしい! これでベルトラ飯から開放される!!
「ひゃっほおおおおおおおい!!」
エリン、うれしい気持ちはわかるが我輩の頭の上で飛び回るなよ。相変わらずうっとうしい。
「そんな、フェリシアさんに全てを任せるのも申し訳ないので私も――」
は!? ベルトラの奴、何を言い出すのだ!?
「それは却下!!」
「それは反対!!」
こんな素晴らしい事を潰されてたまるか!!
「2人とも何を言うんですか!?」
言うに決まっておるわ!
「料理に関したら手馴れているフェリシアが適任だと思うぞ!」
「そうだそうだ!」
「でもそれでは――」
しつこいな……自分が楽になるというのに。そもそも何故こんなに料理を作りたがるのだ。
もしかして、料理を作るのが好きなのか? だとしたら何故あそこまでひどいものしか出来ないのか謎だ。
「あの……ベルトラ様、実はこれ普通のお食事じゃないんです」
え? 違うの?
「え? 違うの? ――モグモグ……ん~別におかしなとこはないよ?」
このエリンの躊躇のなさは本当にすごいな。
「これは疲労回復や安眠作用といった様々な薬草を使った薬膳料理なんです。私は戦闘で皆様のお役に立つのは難しいです、なのでこういった形でサポートさせてほしいんです」
なるほど、フェリシアも出来る限りの事がしたいのだな。
「ベルトラ、フェリシアがせっかく我輩たちのためにしてくれるのだ。それでよいではないか」
さてどうだ、ここは折れてくれ。
「……わかりました、そこまでおっしゃるのであればお願いします」
良かった、納得してくれたようだ。
よし! これからは野宿の飯の心配はなくなったぞ! ――うむ、うまい!
「デール様、デール様」
「ん? どうした。エリンが言うとおり味に問題はないぞ?」
「あ、ありがとうございます。えと……お耳をよろしいですか?」
なんだ大きな声で言えない事なのか?
「あの……ベルトラ様の料理って……そんなにひどいんです?」
ああ、そうか……フェリシアは知らないものな、アレを。
「あ~ひどいも何も……あれを料理と呼んでいいものすら……」
思い出しただけでも吐き気が。
「そんなにですか。う~ん、それはそれで気になるです」
頭の花が激しく動いておるな~これは釘を刺したほうがよさそうだ。
「アレは興味本位で手を出すべき物ではない、ぜっっったい!! にやめておけよ」
触る祟りになんとやらというしな。
「……デール様がそこまでおっしゃるのなら……」
あ、花が枯れた……すごく残念そうだ。
※
「さて、食事も済みましたし皆さんお話いいですか? 次の目的地である北の国カルリックの事ですが」
次で3国目か、短いようで長いようでもう半分も来たのか。
「このまま道沿いに進んであの山を越えればカルリックの領域になります」
あの山と言われても真っ暗で何もわからん、まぁ明日になれば嫌でも見るはめになるか。
「それでですね山を越える為に……ってエリン!?」
「ク~カ~」
エリンの奴、食べるだけ食べて寝てしまったか。
「エリン! 起きて下さい、大事な話なんですよ!」
「放っておけ、こうなっては起きんと思うぞ」
久々にうまい飯が食べられて満足したんだな、気持ちはわからんでもないが……我輩も今夜は幸せに眠れそうだ。
「ですが……」
「話ならこいつ抜きでもいいだろ、どうせ起きていても話を聞いているか怪しいぞ」
「……それもそうですね、では話の続きを――」
普通に納得しちゃったよ。
※
『わ~あたり真っ白だね~』
「……」
『あ、あれはなんだろ?』
「……」
『ねぇ~デールってば~聞いてる~?』
「……………………おい、エリン」
『ん? な~に~?』
「剣の外に出ろ……」
『やだ! 外寒いもん!!』
「もん!! じゃない!! 自分だけ寒さを防ぎおって! 何で剣の中だと寒さを感じないんだ!?」
『そんなのわかんないよ、たぶん別空間だからじゃないかな?』
本人も知らないとか! くそおおおお!! 我輩もその別空間の中に入りたいぞ!!
まさかここまで雪に覆われた地域だったとは!! 寒すぎる!!
『ハッしまった! マレリスの時も中に入っとけば暑さ防げたんじゃ!? もっと早く気が付けばあああああ!!』
マレリスの時は戦闘以外の外にいたからな、今回は偶然入って気が付いたみたいだが……ん? ちょっと待ておかしい事があるぞ?
「エリン」
『絶対出ないからね!』
「その話はもういい、一つ気になったのだが……何故お前は外に出たり入ったりをするのだ? ずっと中にいればいいではないか。言いたくないがその方が何かと楽じゃないのか」
『チッチッチ~デールはわかってないな~今は出たくないだけで我慢しているけど、中は身動きが出来なくてさ。アタシは外で自由に体が動かせるが好きなの! だから外に出るの! おわかり?』
中がどうなっているかわからんかったがそうなっていたのか、で普段から落ち着きがない理由もよくわかったわ。
「だったら今すぐ出ろ」
『やだ』
……引っ張り出してぇ!!
「なんじゃいなんじゃい、このくらいの寒さくらいでやかましい」
このくらいだと!? 防寒着を着ていても凍死してしまいそうなくらい寒いわ! いやそれよりも――。
「やかましいついでに言ってやる! 爺さんの格好のせいで見ているこっちが余計寒く思うんだよ!!」
「あん? わしのどこがおかしい」
自覚がないのか、このジジィは!?
「おかしいもおかしいわ!! こんなクソ寒い所で【その】防寒着一枚だけで何故平気なのだ!?」
パッツンパッツンで今にも張り裂けそうな体にあっていない防寒着だぞ!?
「そればっかりは決まった事だからな、なんともいえんわい」
甘かった、まさかこんなに寒いとは。
あの時の判断は完全に間違っておった!!
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