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第一章 天使の剣に選ばれてしまった魔王
3 『アタシはエリンよろしくね!』
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「――っここが人間界【ディネッシュ】か、明るすぎて目が痛い……」
ゲートはうまくいったみたいだが薄暗い魔界とは違って明るすぎる、人間共はよくこんなとこで生きていけるものだ……。
「え~と。アルフレドの人間界の報告書はっと、あったあった」
……これを見るたびあの時のアルフレドの顔が思い出す、人間界に侵攻したての頃アルフレドに人間界の情報をまとめとけと言ったら「いまさら!?」と言葉に出してはなかったが顔がそう言っていた、妙に屈辱的になったせいか忘れられん、いまさらと言うなら人間界に来たのも今回が初めてなんだよな。
※
この世界も同類が争う血の歴史があったらしい、種族が違えど争い後とは何処も変わらんものだな。
それから先代の王達により和解がなされ東西南北で国境線を区切り、北国[カルリック]、南国[アルムガム]、西国[バルガス]、と王国が建てられたと……我輩は理解できぬな、支配者はただ一人で十分だと思うのだが。
そして我輩の目の前に見える街は儀式が行われる南国[アルムガム]、石を削って組まれた外壁に城下町の中央に見えるのは城か、我輩の城の方がもっと大きくかっこいいな。
だがこのクソ天使が作り出した結界……泡のようなものが城下町全体を覆っている、我輩たち魔族はどうしても入れないし破壊することも出来ない、どんな仕組みなのか。
とわからんものを考えても仕方あるまい入ってみるか……ドキドキするな。
「お、チョッハハ! 見事に入れたな」
※
作戦通りに入れたのはいいが……。
「う~む、ここはどこだ?」
我輩としたことがつい物珍しさからフラフラと右往左往してしまい、その結果この迷路のような路地裏に入ってしまった。
「……まぁいい城は見えているのだ。そっちに向かえばなんとか着くだろ」
顔を上げているだけで城が見えている、こんなさっさと抜けてまおう。
「ちょっと!! そこどいて!」
「あん!?」
茶色い頭をした小僧がこっちに向かって走って来た、ふん! 我輩に向かってどけだと? 笑止、何故我輩がお前なんぞに道を譲らねばならぬのだ、逆に跳ね飛ばしてや――。
「ってそうだった今は人間の体だった! ぐへぇ!!」
茶色い頭が思いっきり腹に減り込んできた上、その勢いでこけて頭を打ってしまった。
このダブルパンチは相当痛い……。
「ぐおおおおおおお、きっ貴様!!! どこを見ている!!」
「つ~だからそこをどけと、って貴様こそどっどこをさわっている!!」
どこって我輩の手の位置は小僧の胸のにあるが女ならともかく男にそんな趣味ないぞ、むしろ男のこいつがおかしいのではないか。
「男が胸を触られただけで何をいっ――はぶ!?」
何故か赤面していた小僧が我輩の言葉で一瞬にして般若のような顔になり鉄拳が飛んできた、見事に我輩の顔面に決まり宙を舞った……そうそう目から火花が出ると聞いた事があったが今日生まれて始めてそれを見た。
「私は女だ!! あーもー! 貴様にかまっている時間はない、今日はこの一発で許してあげるよ。感謝しな」
そう言い残して小僧……もとい小娘はまた猛ダッシュで路地裏をかけていった。
「フガ、一体なんなのだ!? 絶対に許さん! 今度あったら始末してくれるわ!」
くそっ鼻の先が痛い、何故我輩がこんな目にあわなければならない――っとようやく大通りに出られたか。
「おい、そろそろ儀式が始まるらしいぞ」
「やっとか、よし見に行くぞ!」
なんとタイミングがいいあいつらに付いて行けば儀式の場所に行けるではないか。
「チョッハハハハハハ、とうとう始まるのだな! 絶望の時が!!」
ここは城前の広場か……あたり一面人だらけだな、一体どこからこんなにわいて出たのだ。
そして祭壇に突き刺さっている輝く剣……あれが天使の剣とみて間違いはないな。
ん? 剣に近づいて来る奴がいる、王冠に豪華なマントに立派な口髭を生やした初老の男……あやつがアルムガムの王【ライリー・アルムガム3世】か。
「それではただいまより儀式を始める!!」
《わーーーーー!》
王の一言で観衆が沸き、儀式が始まる。それが我輩により悲鳴に変わるのが楽しみだ!
※
楽しみだったのだが……幾多の猛者達が剣を抜こうとするがまったく抜ける気配がない、もう半日ほどたったか、立っているのがつらくなってきた。
「おいおい……全然剣を抜ける様子がないぞ……」
「大丈夫なのか……?」
観衆がざわめき出し、ライリーも焦りが顔に出ているな。
駄目だな、王たるものそんな顔をしては。
「……今ので最後でございます」
「なんだと!? 言い伝えは間違いだったというのか……このままでは……」
ライリーが両手で顔を押さえ落胆している、失敗したのかだろうか。
だとしたら我輩、人間になり半日も立っていた意味がない。
む、ライリーの横にいた大柄の騎士が動いたな、たしか国王親衛隊隊長のデーヴァン・デュークだったか。
「恐れながら、観客も参加というのはどうでしょうか? もしもの可能性も……」
「……観客にもか……よし、全員参加させよ」
「はっ! ――聞け! 今より全ての者に儀式の参加を許可する! 天使の剣に集え!!」
今の一言で人が祭壇に向かって動き出したな、巻き込まれる前に脱出を……脱出……って出来ない、まずい完全に出るタイミングを逃してしまった。
「ちょっとまて! 押すな! 我輩は行く気などないのだ! ええい! そこをどけぇ!」
※
「おい、何をしている。次はお前の番だぞ?」
「どけと……へ? 我輩?」
「そうだ」
逃げられないまま進んでしまった結果いつの間にか我輩の順番に回ってしまったらしい。
仕方あるまい目の前に剣があるのだ、こっちを破壊しておこう。
さて、天使の剣よこのデイルワッツ様の手によって粉々に砕けるがいい!!
「ぬおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!? な、なんだこれは!?」
天使の剣を掴むなり我輩の魔力を吸収しだしただと!? くそ、手を離そうにもぴったりとくっついてはなれない!!
なんだ!? 天使の剣から虹色に輝く粒子が溢れ出て、それが人のような形になっていっている?
――ポンッ
一瞬目が開けられないほど光と同時におかしな音がしたが一体何が……って目の前に15~6歳の少女が蝶のような虹色の羽を広げふわふわと浮いている。
身長は今の我輩より少し低いので160cm半ばか、白いワンピースの胸にはでかい紫のリボンがやけに目立つ、淡い青色のストレートな髪から尖ったたれ耳が飛び出し、毛先をでかい紫のリボンで結んでいる、蝶のような羽があるため人間では絶対ない。
「な、なんだ貴様は!?」
「アタシ? アタシはエリンよろしくね!」
エリンとかいう奴がにこやかに笑って気がついてしまった……こいつは危険だ、我輩のチャームポイントであるギザギザの歯がこやつにもある!
ゲートはうまくいったみたいだが薄暗い魔界とは違って明るすぎる、人間共はよくこんなとこで生きていけるものだ……。
「え~と。アルフレドの人間界の報告書はっと、あったあった」
……これを見るたびあの時のアルフレドの顔が思い出す、人間界に侵攻したての頃アルフレドに人間界の情報をまとめとけと言ったら「いまさら!?」と言葉に出してはなかったが顔がそう言っていた、妙に屈辱的になったせいか忘れられん、いまさらと言うなら人間界に来たのも今回が初めてなんだよな。
※
この世界も同類が争う血の歴史があったらしい、種族が違えど争い後とは何処も変わらんものだな。
それから先代の王達により和解がなされ東西南北で国境線を区切り、北国[カルリック]、南国[アルムガム]、西国[バルガス]、と王国が建てられたと……我輩は理解できぬな、支配者はただ一人で十分だと思うのだが。
そして我輩の目の前に見える街は儀式が行われる南国[アルムガム]、石を削って組まれた外壁に城下町の中央に見えるのは城か、我輩の城の方がもっと大きくかっこいいな。
だがこのクソ天使が作り出した結界……泡のようなものが城下町全体を覆っている、我輩たち魔族はどうしても入れないし破壊することも出来ない、どんな仕組みなのか。
とわからんものを考えても仕方あるまい入ってみるか……ドキドキするな。
「お、チョッハハ! 見事に入れたな」
※
作戦通りに入れたのはいいが……。
「う~む、ここはどこだ?」
我輩としたことがつい物珍しさからフラフラと右往左往してしまい、その結果この迷路のような路地裏に入ってしまった。
「……まぁいい城は見えているのだ。そっちに向かえばなんとか着くだろ」
顔を上げているだけで城が見えている、こんなさっさと抜けてまおう。
「ちょっと!! そこどいて!」
「あん!?」
茶色い頭をした小僧がこっちに向かって走って来た、ふん! 我輩に向かってどけだと? 笑止、何故我輩がお前なんぞに道を譲らねばならぬのだ、逆に跳ね飛ばしてや――。
「ってそうだった今は人間の体だった! ぐへぇ!!」
茶色い頭が思いっきり腹に減り込んできた上、その勢いでこけて頭を打ってしまった。
このダブルパンチは相当痛い……。
「ぐおおおおおおお、きっ貴様!!! どこを見ている!!」
「つ~だからそこをどけと、って貴様こそどっどこをさわっている!!」
どこって我輩の手の位置は小僧の胸のにあるが女ならともかく男にそんな趣味ないぞ、むしろ男のこいつがおかしいのではないか。
「男が胸を触られただけで何をいっ――はぶ!?」
何故か赤面していた小僧が我輩の言葉で一瞬にして般若のような顔になり鉄拳が飛んできた、見事に我輩の顔面に決まり宙を舞った……そうそう目から火花が出ると聞いた事があったが今日生まれて始めてそれを見た。
「私は女だ!! あーもー! 貴様にかまっている時間はない、今日はこの一発で許してあげるよ。感謝しな」
そう言い残して小僧……もとい小娘はまた猛ダッシュで路地裏をかけていった。
「フガ、一体なんなのだ!? 絶対に許さん! 今度あったら始末してくれるわ!」
くそっ鼻の先が痛い、何故我輩がこんな目にあわなければならない――っとようやく大通りに出られたか。
「おい、そろそろ儀式が始まるらしいぞ」
「やっとか、よし見に行くぞ!」
なんとタイミングがいいあいつらに付いて行けば儀式の場所に行けるではないか。
「チョッハハハハハハ、とうとう始まるのだな! 絶望の時が!!」
ここは城前の広場か……あたり一面人だらけだな、一体どこからこんなにわいて出たのだ。
そして祭壇に突き刺さっている輝く剣……あれが天使の剣とみて間違いはないな。
ん? 剣に近づいて来る奴がいる、王冠に豪華なマントに立派な口髭を生やした初老の男……あやつがアルムガムの王【ライリー・アルムガム3世】か。
「それではただいまより儀式を始める!!」
《わーーーーー!》
王の一言で観衆が沸き、儀式が始まる。それが我輩により悲鳴に変わるのが楽しみだ!
※
楽しみだったのだが……幾多の猛者達が剣を抜こうとするがまったく抜ける気配がない、もう半日ほどたったか、立っているのがつらくなってきた。
「おいおい……全然剣を抜ける様子がないぞ……」
「大丈夫なのか……?」
観衆がざわめき出し、ライリーも焦りが顔に出ているな。
駄目だな、王たるものそんな顔をしては。
「……今ので最後でございます」
「なんだと!? 言い伝えは間違いだったというのか……このままでは……」
ライリーが両手で顔を押さえ落胆している、失敗したのかだろうか。
だとしたら我輩、人間になり半日も立っていた意味がない。
む、ライリーの横にいた大柄の騎士が動いたな、たしか国王親衛隊隊長のデーヴァン・デュークだったか。
「恐れながら、観客も参加というのはどうでしょうか? もしもの可能性も……」
「……観客にもか……よし、全員参加させよ」
「はっ! ――聞け! 今より全ての者に儀式の参加を許可する! 天使の剣に集え!!」
今の一言で人が祭壇に向かって動き出したな、巻き込まれる前に脱出を……脱出……って出来ない、まずい完全に出るタイミングを逃してしまった。
「ちょっとまて! 押すな! 我輩は行く気などないのだ! ええい! そこをどけぇ!」
※
「おい、何をしている。次はお前の番だぞ?」
「どけと……へ? 我輩?」
「そうだ」
逃げられないまま進んでしまった結果いつの間にか我輩の順番に回ってしまったらしい。
仕方あるまい目の前に剣があるのだ、こっちを破壊しておこう。
さて、天使の剣よこのデイルワッツ様の手によって粉々に砕けるがいい!!
「ぬおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!? な、なんだこれは!?」
天使の剣を掴むなり我輩の魔力を吸収しだしただと!? くそ、手を離そうにもぴったりとくっついてはなれない!!
なんだ!? 天使の剣から虹色に輝く粒子が溢れ出て、それが人のような形になっていっている?
――ポンッ
一瞬目が開けられないほど光と同時におかしな音がしたが一体何が……って目の前に15~6歳の少女が蝶のような虹色の羽を広げふわふわと浮いている。
身長は今の我輩より少し低いので160cm半ばか、白いワンピースの胸にはでかい紫のリボンがやけに目立つ、淡い青色のストレートな髪から尖ったたれ耳が飛び出し、毛先をでかい紫のリボンで結んでいる、蝶のような羽があるため人間では絶対ない。
「な、なんだ貴様は!?」
「アタシ? アタシはエリンよろしくね!」
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