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14章 二人の真実

コレットの書~真実・7~

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 体当たりに飛び蹴り……ケビンさんって乱暴者なのかしら。
 だとしたら、返事はちゃんとした方がいいわよね。

「そっそうですね……」

 本当は暴力の事で賛同したくはないけど……変にケビンさんの気を悪くさせてしまって、飛び蹴りされたらたまったものじゃないわ。

『あの時は……』

 あ、ケビンさんがあの日の事を語ろうとしているっぽい。
 自分から話題をふっといてあれだけど、これ以上あの時の話を続けたくない。

「……すみません……これ以上、あの日の事を思い出したくはないです……」

 特に、ジャイアントスネークの食べられてしまった時の感触とか臭いとか……。
 うぷっ……思い出しただけで、気分が悪くなってきた。

「……まさかとは思うが、あのゴールデン・スケルトンは……」

 いや、さすがにゴールデン・スケルトンとケビンさんとは別の骨でしょ。
 さすがに同じだと……。

『ああ、俺だ。金色でかっこよかっただろ?』
 
 ……ケビンさんのセンスがわからない。

「いや、あれは不気味だったぞ……それにしてもあの時もめちゃくちゃだったよな、天井が爆発するわ、お前が雷に打たれるわで」

 あの時も散々だったな。

『それは全て爺さんとナシャータが悪いんだよ! つか、不気味言うな!』

「おい! さらっとわしのせいにする!」

 金と言えば、黄金の剣の時もスケルトンが……。

「……えと、黄金繋がりですけど黄金の剣が飛んで来た時のは……」

『……俺だ』

 やっぱり、あの時のスケルトンも!

『てか、あれもナシャータのせいで……』

「おい! じゃからわしにのせいにするな!」

「その時、私に剣が当たって死にかけましたよ……」

 この魔力の鎧と漢方薬のおかげで助かったのよね。

『えっ、普通に立ち上がっていたじゃないか?』

「あの時は色々と偶然が重なって、なんとか助かったんですよ」

 それらが無かったら、今頃ここに立ってなかったな。

『そっそうだったのか……』

「危険な目と言えば、皮の鎧を着たスケルトンが俺達に襲い掛かって来たんだが……さすがに、あれはお前じゃないよな?」

 あの時も、死を覚悟したっけ。
 ……ここ数日、毎日の様に死を覚悟している気がする。

『体は俺だ。ただ、あの皮の鎧は寄生のモンスターでそいつに操られていたんだよ! 決して俺の意思じゃないんだ!』

 あ~あの拾った寄生の鎧にケビンさんってば操られていたんだ……。
 ああ! それで昨日リリクスにドラゴニュートが来たんだ。

「……ふむ、あの動きは異常だったが……寄生のモンスターねぇ……」

 本当にあんな皮の鎧だけであんな動きが出来るのかしら?
 グレイさんもそれを思っているのか疑いの顔をしている。
 だってスケルトンにしては……いや、今まで見て来たスケルトンがケビンさんだから異様な動きをしても不思議じゃない気も……。

『そうそう! 宝箱からコアを持って、飛び出たのは俺だったんだよ! 驚かせようとしたんだが、さすがに閃光弾が爆発するところまでは読めなかったぞ』

 ……マジデスカ。

「……あれもケビンさんだったんですか。その爆発に私もに巻き込まれて……死にそうになりました……」

『……え』

「……なぁケビン。お前、コレットに何の恨みがあるんだ?」

 私、なんの恨みでも買っちゃったのかしら。

『はあっ!? そんなものあるわけがないだろう!!』

 それは本当でしょうか。

「まぁそりゃそうだよな、お前はコレットの事を知らな――」

『あああああああっ!』

 なに!? ケビンさんが頭を両手で押さえて雄たけびをあげた!
 で、うずくまっちゃった。

「――うおっ! いきなりになんだ? 頭を両手で押さえて、うずくまったりなんかして」

「どこか具合でも悪いっスかね?」

「……骨の体で具合もなと思うが……とにかく、どうしたんだ?」

「ああ……いつものが出たのじゃ」

 いつもの?
 ケビンさんって持病持ちだったのかな。
 ……骨に?

「いつものだと? 俺はこんなケビン、初めて見るんだが」

「そりゃそうじゃ、スケルトンになってからじゃからな。普段は面倒くさいが、今は小娘がおるから大丈夫じゃ」

「……へっ? 私?」

 どういう事かしら。
 ケビンさんの持病と私に何の関係が……。

「ちょっと耳を貸すのじゃ」

「……はあ……」

「とりあえず、ケビンに励ます様な事を言うのじゃ」

「ふむふむ……」

 意味が分からない。

「え~と、それを言えば良いですか?」

「そうじゃ、笑顔を付けるとなおいいのじゃ」

「笑顔?」

 ますます意味が分からない。
 これでどうして大丈夫なの?

「……あの、どうしましょう……」

「何を言われたかわからんが、悪いがやるだけやってみてくれ。この状態だと話が進まん……」

 それもそうね。

「……わかりました」

『ああ……』

 う~ん、うずくまったままだと声を掛け辛いな~。
 肩でも叩いて、こっちに向いてもらおう。

「……あの、ケビンさん」

『……ほへっ!?』

 よし、こっちを向いた。
 後は励ます言葉を言えばいいのよね。

「え~と……げっ元気を出して下さい……ね?」

 で、笑顔っと。

『……おお……おおお……』

 自分でもわかる、すごいぎこちない笑顔。
 これで本当にいいのかしら?

『――っコレット!!』

「――はっはい!」

 ケビンさんが背筋を伸ばして立ちあがった。

「……本当に元気になったっぽい?」

 ドラゴニュートが言っていた通りね。

『すまなかった!』

「……へっ? あ、あの、突然どうしたんですか?」

 ケビンさんが頭を下げて謝ってきたけど。

『気が付かなかったとはいえ、今までコレットに怖い思いをさせてしまった! 本当にすまない! けど、信じてくれ! 本当に君に対して悪意なんてないんだ!』

「えっ? あ、いや、そんな、あの、その、えと……」

 誠意を込めて謝罪しているのはわかる、わかるんだけど……。
 何度も頭を上げ下げしているから、頭が取れちゃいそうで怖い!
 早く、止めないと!

『コレットがゾンビと戦っている所を見た時から、俺はきっ君の……事が……』

「……ん? ゾンビ……?」

 それって……まさか……。

『……事が……って、どうかしたか?』

 すごく、すっごく嫌な予感がしてきたんですけど!
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