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13章 二人の強奪と奪還
コレットの書~強奪・5~
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で、あの見たくない格好をした人は誰なのかしら?
アーメットを被っているから顔が全く見えない。
「ちょっとぉ誰かは知らないけど、乱暴に扉を開かないでちょうだい! 扉に傷がついちゃったらどうしてくれるのよぉ!」
えっ! いやいや、問題はそこじゃないでしょ!
あんなに怪しい姿の人が、突然お店に入って来たのに扉の心配している場合!?
「まったくぅ……それでぇ用件はなんのかしら?」
カルロスさんが指をポキポキ鳴らしながら鎧の人に近づいて行った。
脅している感じがするから、一応警戒はしているっぽい。
《――――――――――――――――――――!》
こっちを指さして何か言っているみたいだけど、アーメットのせいなのか声が小さいのか全く声が聞こえない。
「?」
カルロスさんの位置でも聞こえていないのか、首をかしげている。
どれだけ小さい声の人なんだか。
《――! ――――!》
鎧の人が地団駄を踏んでいるけど……もしかして怒ってるのかしら?
いやいや、声が聞こえないんだからしょうがないじゃない。
《――――! ――!》
鎧の人が身を低くして、右手を前に突き出して、左手を上にあげた。
よくわからない格好をしたけど……どこかの拳法の構えかしら?
だとしたら、あの人はカルロスさんと戦うつもりなの!? 元とはいえ四つ星級冒険者相手になんて無謀な。
これは止めた方がいいわね、じゃないとカルロスさんがお店の中で暴れたらめちゃくちゃになっちゃうわ
「あ――」
「あらぁ私と遣り合うつもりぃ? いいわぁ受けてたちましょう」
カルロスさんもやる気満々……これは止めるのは無理ね。
だとしたら、私のやる事は一つ。
――カウンターの後ろに隠れて行く末を見守るだけ。
「ただぁ、ここだと商品が壊れちゃうから外に――」
《――! ――――――――》
カルロスさんが外を見ている隙に、鎧の人が動いた!
なんてずるい!
《――――――――――――――!?》
あ、鎧の人がバランス崩したのか前のめりに倒れて……。
「えっ? ――アウッ!!!!」
「カルロスさああああああん!!」
カルロスさんの大事な部分に頭突きをかましちゃったし!
私には一生わからない男の人の痛み。
やっぱりカルロスさんも、そこは逃げられない定めだったか……。
「ブクブクブク……」
って、今はそんな事を思っている場合じゃない。
カルロスさんが泡を吹いて倒れちゃった!
「カルロスさん、大丈夫ですか!?」
「ブクブクブク……」
どっどうすれば!? そうだ、確かこういう場合は腰をトントンと叩けばいいんだっけ?
とりあえずやってみよう!
《――》
カルロスさん、早く目を覚まして!
鎧の人がこっちをじっと見ているんです!
《――》
「……え?」
目線を外して、カウンターの方に向かって歩いて行った。
私達は放置なのかな? だとしたら良かった、カルロスさんがこんな状態じゃどうしようもなかったし。
《――》
あっ鎧の人がカウンターの上に置いてあった、皮の鎧を手に取った。
もう鉄の鎧をつけているんだから、あんな皮の鎧を手にしたところで何を……。
《――!》
「ちょっ!?」
ええ! 皮の鎧を持ったまま走って店から出て行っちゃった!?
どっどうしよう、これは強盗だよね! 追いかけた方がいいのかしら?
あ~でも、この状態のカルロスさんを放っては行けないし……まぁしょせん皮の鎧だし追いかけなくてもいいか。
「カルロスさん!」
今はカルロスさんに目覚めてもらう事の方が大事だし。
「カルロスさんってば! しっかりしてください!」
「……うっ……コレッ……ちゃん……」
良かった、意識は戻ったみたい。
まだ目が泳いでいるのが気にはなるけど。
「……ああ……さすがに……今のは……効いた……わぁ……」
そりゃ泡を吹いて気絶してましたもの。
相当な痛みだったのは分かりますよ。
「良かったです、怪我が無くて」
いや、これは怪我が無いと言えることなのかしら。
痛みははまだ続いているだろうし……。
「……あの……鎧野郎……は?」
「えと、皮の鎧を持って逃げちゃいました」
「……なん……ですってぇ!?」
え、そんなに驚く事?
たかが皮の鎧ですよ。
「……うぐぐぐ……早く……追わないと……あたたた……」
「急に起き上がっちゃだめです!」
「……私の事は……いいから……コレットちゃん! ……あいつを……追って!」
「え、でも……」
たかが皮の鎧で、どうしてそんな必死なの?
「……早く! ……絶対に……あの鎧を……取り……返すのよ!!」
よくわからないけど、カルロスさんがここまでいうからには何かあるんだわ。
「わかりましたっ!!」
だとしたら、絶対に取り戻さないと!
「え~と、一体どっちに逃げたのかしら? 右? いや、左?」
しまった……店を出るとこはまでは見たけど、どの方角に逃げたのか見てなかった。
「あ~……とりあえず……右!」
で、あってればいいけど!
「あれ? コレットさん、どうしたんスか? そんなに慌てて……」
マークさんだ。
そうだ、もしかしたら鎧の人を見ているかも。
「マークさん! アーメットをかぶってゴツイ鎧を着た人がここを通りませんでしたか!?」
「へ? あーそいつならここを走って行ったっスね」
やった、目撃情報ゲット!
「どこに行きました!?」
「あっちに行ったっスよ」
マークさんの指をさした方向は……バザーのある場所よね。
「で、鑑定の方はどうだったっスか? お宝だったっスか?」
そうか、バザーの人込みの中に紛れて逃げるつもりなんだ!
だとしたらまずい、紛れ込まれたら見つけるのは難しくなっちゃう!
「マークさん! ありがとうございました!」
「ちょっコレットさん!? ……走って行っちゃった、何がどうなっているんだ?」
そうなる前に絶対に捕まなくちゃ!
アーメットを被っているから顔が全く見えない。
「ちょっとぉ誰かは知らないけど、乱暴に扉を開かないでちょうだい! 扉に傷がついちゃったらどうしてくれるのよぉ!」
えっ! いやいや、問題はそこじゃないでしょ!
あんなに怪しい姿の人が、突然お店に入って来たのに扉の心配している場合!?
「まったくぅ……それでぇ用件はなんのかしら?」
カルロスさんが指をポキポキ鳴らしながら鎧の人に近づいて行った。
脅している感じがするから、一応警戒はしているっぽい。
《――――――――――――――――――――!》
こっちを指さして何か言っているみたいだけど、アーメットのせいなのか声が小さいのか全く声が聞こえない。
「?」
カルロスさんの位置でも聞こえていないのか、首をかしげている。
どれだけ小さい声の人なんだか。
《――! ――――!》
鎧の人が地団駄を踏んでいるけど……もしかして怒ってるのかしら?
いやいや、声が聞こえないんだからしょうがないじゃない。
《――――! ――!》
鎧の人が身を低くして、右手を前に突き出して、左手を上にあげた。
よくわからない格好をしたけど……どこかの拳法の構えかしら?
だとしたら、あの人はカルロスさんと戦うつもりなの!? 元とはいえ四つ星級冒険者相手になんて無謀な。
これは止めた方がいいわね、じゃないとカルロスさんがお店の中で暴れたらめちゃくちゃになっちゃうわ
「あ――」
「あらぁ私と遣り合うつもりぃ? いいわぁ受けてたちましょう」
カルロスさんもやる気満々……これは止めるのは無理ね。
だとしたら、私のやる事は一つ。
――カウンターの後ろに隠れて行く末を見守るだけ。
「ただぁ、ここだと商品が壊れちゃうから外に――」
《――! ――――――――》
カルロスさんが外を見ている隙に、鎧の人が動いた!
なんてずるい!
《――――――――――――――!?》
あ、鎧の人がバランス崩したのか前のめりに倒れて……。
「えっ? ――アウッ!!!!」
「カルロスさああああああん!!」
カルロスさんの大事な部分に頭突きをかましちゃったし!
私には一生わからない男の人の痛み。
やっぱりカルロスさんも、そこは逃げられない定めだったか……。
「ブクブクブク……」
って、今はそんな事を思っている場合じゃない。
カルロスさんが泡を吹いて倒れちゃった!
「カルロスさん、大丈夫ですか!?」
「ブクブクブク……」
どっどうすれば!? そうだ、確かこういう場合は腰をトントンと叩けばいいんだっけ?
とりあえずやってみよう!
《――》
カルロスさん、早く目を覚まして!
鎧の人がこっちをじっと見ているんです!
《――》
「……え?」
目線を外して、カウンターの方に向かって歩いて行った。
私達は放置なのかな? だとしたら良かった、カルロスさんがこんな状態じゃどうしようもなかったし。
《――》
あっ鎧の人がカウンターの上に置いてあった、皮の鎧を手に取った。
もう鉄の鎧をつけているんだから、あんな皮の鎧を手にしたところで何を……。
《――!》
「ちょっ!?」
ええ! 皮の鎧を持ったまま走って店から出て行っちゃった!?
どっどうしよう、これは強盗だよね! 追いかけた方がいいのかしら?
あ~でも、この状態のカルロスさんを放っては行けないし……まぁしょせん皮の鎧だし追いかけなくてもいいか。
「カルロスさん!」
今はカルロスさんに目覚めてもらう事の方が大事だし。
「カルロスさんってば! しっかりしてください!」
「……うっ……コレッ……ちゃん……」
良かった、意識は戻ったみたい。
まだ目が泳いでいるのが気にはなるけど。
「……ああ……さすがに……今のは……効いた……わぁ……」
そりゃ泡を吹いて気絶してましたもの。
相当な痛みだったのは分かりますよ。
「良かったです、怪我が無くて」
いや、これは怪我が無いと言えることなのかしら。
痛みははまだ続いているだろうし……。
「……あの……鎧野郎……は?」
「えと、皮の鎧を持って逃げちゃいました」
「……なん……ですってぇ!?」
え、そんなに驚く事?
たかが皮の鎧ですよ。
「……うぐぐぐ……早く……追わないと……あたたた……」
「急に起き上がっちゃだめです!」
「……私の事は……いいから……コレットちゃん! ……あいつを……追って!」
「え、でも……」
たかが皮の鎧で、どうしてそんな必死なの?
「……早く! ……絶対に……あの鎧を……取り……返すのよ!!」
よくわからないけど、カルロスさんがここまでいうからには何かあるんだわ。
「わかりましたっ!!」
だとしたら、絶対に取り戻さないと!
「え~と、一体どっちに逃げたのかしら? 右? いや、左?」
しまった……店を出るとこはまでは見たけど、どの方角に逃げたのか見てなかった。
「あ~……とりあえず……右!」
で、あってればいいけど!
「あれ? コレットさん、どうしたんスか? そんなに慌てて……」
マークさんだ。
そうだ、もしかしたら鎧の人を見ているかも。
「マークさん! アーメットをかぶってゴツイ鎧を着た人がここを通りませんでしたか!?」
「へ? あーそいつならここを走って行ったっスね」
やった、目撃情報ゲット!
「どこに行きました!?」
「あっちに行ったっスよ」
マークさんの指をさした方向は……バザーのある場所よね。
「で、鑑定の方はどうだったっスか? お宝だったっスか?」
そうか、バザーの人込みの中に紛れて逃げるつもりなんだ!
だとしたらまずい、紛れ込まれたら見つけるのは難しくなっちゃう!
「マークさん! ありがとうございました!」
「ちょっコレットさん!? ……走って行っちゃった、何がどうなっているんだ?」
そうなる前に絶対に捕まなくちゃ!
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