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11章 二人の撮る物と輝く者

ケビンの書~輝く者・3~

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 でも、せっかく作ったのに捨てるのはさすがに勿体ないよな。
 どうにか使い道がないものか……。

『……なら、これを俺の体に塗る!』

「はあ!?」

 俺には皮膚が無いから、この金色塗液を塗ったところでかぶれる事はない。
 それに骨の姿は地味だったからな、金色の姿で派手にすればコレットが「きゃ~! ケビンさん、ゴールデンスケルトンになっていてかっこいいです!」ってなるかも。

『グフフフ……』

 想像するだけで、にやけしまうな。

「キラキラのスケルトン……想像するだけですごく不気味なのじゃ」

「うえ……そうぞうするだけでまずそう」

『……』

 二人にはえらい不評だな。
 こんな白い姿より、金の姿の方が派手でいいと思うんだがな。

『これを作ったのは俺なんだから、どうしようが勝手だろ?』

「そうじゃが……」

『なら話はここまでだ。早く準備をしないとコレットが来てしまう』

 とは言っても刷毛がないし、どうやって塗ろう。
 ――あ、丁度いいのがあるじゃないか。

『ポチ、お前のそのボサボサな髪の毛を切って俺にくれ』

「なんでだ! そんなのいやにきまっているだろ!」

 チッあの髪を束ねれば刷毛が出来たのに。
 仕方がない、綺麗に塗れるかわらんが指ですくって伸ばしていくか。



『こんなもんかな』

 案外、塗りやすかった。
 骨は棒状だし塗る面積が少ない、普通なら届かない所も肉が無いおかげで簡単に届いた。
 しかし、これで全身塗れたのかな? 鏡が無いからよくわからん。

『塗り残しはないか?』

「……やっぱり不気味なのじゃ」

「……やっぱりまずそう」

『……やっぱりお前らに聞いた俺が馬鹿だった』

 もういいや、塗れていると信じて火の近くで塗装を乾かそう。

『――おっ、火の明かりで金が輝いて綺麗だな』

「そうか? わしはより不気味に見るだけじゃ……」

「ますます、まずそう……」

『……もう好き放題言ってろ』

 あっそうだ! コレットに俺の姿や胸当てを見せた時、この金が輝いていたらもっと見栄えがいいぞ。
 となると、問題は光源だな。足元に焚火を置くのはおかしいし、ヒカリゴケはほんのり明るいだけだから、かき集めても金が輝くほどではない。
 仕方ない、ナシャータに相談してみるか。

『なぁナシャータ、光を出す物か魔法はないのか?』

「ん? その焚火で十分明るいじゃろ」

 そうなんだが、違うんだよな。

『火の明かりじゃなくて、こう太陽の光みたいにパーッと光る奴がいいんだ』

「太陽の光? また難しい事を言う奴じゃの……なら、足元にあるこれはどうじゃ? ――ほれ」

『おっと』

 ナシャータが拾って、投げ渡してきたのは魔晶石だ。

『確かに魔力を魔晶石に無理やり流し込むと強い光が出るが、それは一瞬だけの光じゃないか』

 その魔晶石の性質を利用して閃光弾が作られたわけなんだが、それだと一度の使い切りだ。
 今はそんな一瞬だけの光じゃなくて、光続ける奴がほしんだよな。

「そうじゃ。じゃが、わしがこうやって魔力を流す量を調整すれば……」

『ん? ――おおっ!』

 俺の持っている魔晶石が光りだした!
 しかも一瞬じゃなくて、ずっと光を放ち続けている。

「ある程度距離があったとしても、わしなら余裕で出来るのじゃ。ふふん、どうじゃすごいじゃろ」

「ごしゅじんさま、すごいです!」

「そうじゃろ、そうじゃろ」

 離れていても魔力を送れるのか。

『それはすご――』

「まぁ魔力の調整を誤ると爆発してしまうかもしれんが、わしはそんなヘマはしないのじゃ」

『……』

 爆発のするかもしれないだって!?
 そんな話を聞くと不安になるが……かと言って、この明かりは捨て置けない。
 っここはナシャータを信じるとするか、後はどうやって手伝わせるかだが……もはや釣る餌が尽きてしまっているんだよな。
 とりあえず、駄目元で話してみるか。

『ナシャータ、話が――』

「小娘の前でその魔晶石を光らせてほしい、じゃろ?」

『え? ああ、そうだが……どうしてわかった?』

「わからん方がおかしいのじゃ。そのキラキラを小娘に見せる意味はわからんが」

 そこについては、一生分かり合えないだろうな。

「手伝ってやってもいいのじゃ」

 何だって!?

『それは本当か!』

 まさかのナシャータから手伝うという言葉が出るなんて。
 今日は雨が降るんじゃなかろうか。

「魔力を送るだけじゃし、お前らのやり取りをちょっと見たいのじゃ」

 何で俺らのやり取りを見たいんだ?
 まぁやってくれるのであれば、なんでもいいか。

 そうすると魔晶石の設置の場所だが、やっぱり上から光が降り注ぐ感じがいいよな……よし、設置場所は天井に決まりだ。
 後、胸当てと俺を同時に見てほしいから胸当ては俺が一時的に着けるとするか。

「ごしゅじんさま、いいですか?」

「なんじゃ? ポチ」

「てつだうって、いったいどういうかぜのふきまわしなんですか?」

「いやな、小娘がキラキラ光るスケルトンを見てどんな反応するのか気になったのじゃ。興味心ってやつじゃ」

「なるほど」

 あいつらは何を話しているんだ?
 段取りをしておかないといけないのに。

『おいナシャータ、ポチなんかより俺の話を聞いてくれ』

「なんかとはなんだ!」

『俺が合図をしてから、光を出すようにしてほしいんだ』

「お~い、ポチをむしするな! ごしゅじんさまからもなにかいってください!」

「また合図を? 別にそんな事をせずともいいと思うのじゃ」

「……え? ごしゅじんさま?」

 わかってないなー。
 このドラゴニュートは分かっていない。

『演出が大事なんだよ! うす暗い所がパッと明るくなり、そこに現れる黄金に輝く俺と胸当て!』

 もうこれだけで、コレットから黄色い声が出てきそうだ。

「それが良いのか悪いのかわからんのじゃ。で、合図というのはどんなのじゃ?」

 ふっふふ、丁度いいのがあったんだよな。
 そう、この金に塗った剣が!

『こうやって金色の剣を上げて天を突くポーズをする、そうしたら光らせてくれ!』

 このポーズなら光が当たった時よりかっこよく見える! はずだ、多分。

「……それは昨日と同じじゃと思うのじゃが?」

 同じだって?
 ちゃんと見ろよ。

『ポーズが全然違うだろ。それに昨日は素手だったが、今日は金色の剣を持っている』

「……あ、うん……もう、わかったのじゃ……その格好の時に光らせればいいんじゃな……」

『?』

 ナシャータの奴、死んだ魚のような目で俺を見ていたような……気のせいかな?
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