110 / 178
11章 二人の撮る物と輝く者
コレットの書~撮る物・4~
しおりを挟む
◇◆アース歴200年 6月21日・昼◇◆
いや~まさかお金を預けられる施設があったとは……さすが街だわ、村とは大違い。
「これからお金は銀行へ持って行ってくださいね」
「はい、ありがとうございます!」
宿のタンスにしまってあるお金も後で預けに行かなくちゃね。
≪うおおおおおおおおおお!≫
「なっなに!?」
ギルドの中から、怒号が聞こえたけど。
もしかして喧嘩かなにか!?
「何やら騒がしいですね、何かあったんでしょうか?」
キャシーさんが冷静に中に入って行っちゃった。
オタオタしていた自分が恥ずかしい。
「――騒がしかったのは、どうやらあの人だかりみたいですね」
本当だ、人が集まっている。
ん? あの辺りってグレイさんが座っている席の様な……。
「――お、コレット来たか。今日は遅かったな」
人だかりの中心からグレイさんの頭が生えた。
という事は、エフゴロさんとの話は終わったみたいね。
「はい、色々ありまして~すみません、ちょっと通して下さい~。――プハッ……あっエフゴロさん、こんちは」
で、合ってるよね?
ジゴロ所長さんだったらどうしよう。
「こんにちはですな、コレット氏。そして見てほしいですな! これを!」
何も言わなかったって事は合ってたみたい、よかった。
で、テーブルに指を指したけど……。
「これって絵ですよね」
テーブルの上に人物や風景の絵が描かれた紙が何枚か置いてある。
それにしてもうまいな~ここまで精密に描かれているのは見た事ないや。
「もしかしてエフゴロさんが描いたんですか? だとしたらすごいじゃないですか!」
意外な才能ね。
「んー、そうであってそうじゃないんだが……言葉よりも実際に見た方が早いか。エフゴロ、見せてやりな」
「ですな。ジャーン!」
出て来たのは長方形の箱?
でもただの箱じゃなくて、真ん中辺りにと箱の上に加工した魔晶石がくっ付いてる。
「……何ですか、それ?」
どう見ても普通の箱じゃないのは分かるけど、意味の方が分からない。
「コレット氏、そのまま立ってほしいですな」
「? はい、これでいいですか?」
何が始まろうとしているんだろう。
「それじゃ、いくですな」
いく? 一体何処に――。
――パシャ!
「キャッ! まぶしい!」
何!? いきなり箱の上に付いていた魔晶石が光ったんだけど!
もしかして、新しい閃光弾か何かなの?
「はっはは、驚かせて申し訳ないですな。よいしょ」
もう、一体何なのよ!
「ちゃんと説明をして下さいよ!」
「まあ、ちょっと待ってろ。すぐにわかる」
わかるって……あ、箱の中から紙が出て来た。
「よし、うまくいったみたいですな。どうぞですな」
「はあ……」
出て来た紙を渡されたけど、これがどうし――。
「えっ!? これ私じゃないですか!」
紙には立っている私が描かれている!
一体どうやって今の瞬間で描いたんだろう。
しかも、テーブルにある絵と同じようにかなり精密に……。
「さすがにびっくりしたようですな」
しない方がおかしいでしょ。
「これは複写機と言いますな」
「クフシャキ……」
「そうですな! この複写機の中には特殊加工した魔晶石があり、外の魔晶石と連動して――」
まずい、この流れはおしゃべりモードだ!
「ストップ! 訳の分からない所に訳の分からない仕組みを言っても混乱するだけだろ、俺も未だに仕組みについては理解できてねぇんだし」
「おっと、そうですな」
助かった。
このおしゃべりの血筋には本当に困ったもんね。
「簡単に説明しますとですな、このボタンを押した時に真ん中についている魔晶石が映していた風景を紙に複写する道具なのですな」
へぇ~そんな道具が在るなんて知らな……あっ。
「もしかしてすごい物を作ったというのは、そのフクシャキの事だったんですか?」
「そう! そうですな! どうにかモンスターを絵や言葉ではなく鮮明な姿で残せないものかとずっと研究、開発していた物ですな。そして今日の朝、やっと完成させたわけですな!」
その想いだけで、こんなすごい物を作り出すとは。
ジゴロ所長さんといいエフゴロさんといい、一体どんな頭しているのよ。
「というわけで、今から白竜の遺跡に行くですな。ですからコレット氏も早く行く準備をするですな!」
「……はい?」
早く準備をって、ちょっと待ってよ。
「何で私も行く事になっているんですか!?」
「コレット氏はここ数日、ドラゴニュート、ミスリルゴーレム、そして多種多様のレア・スケルトンと遭遇しているですな。つまりコレット氏が一緒に行けば高確率で遭遇出来るというわけですな!」
いやいや、遭遇したくて遭遇しているわけじゃないから!
私はケビンさんを探したいだけなのに、何でか邪魔ばかり入ってきちゃってるだけだから!
「そんな事を急に言われても困ります! グレイさんからも何か言ってくださいよ!」
「あーすまないが俺は何も言えん。ギルドから直接依頼されていてな、これがコレットの分だ」
依頼書には私指定で【エフゴロと調査協力依頼】って書かれていて、グレイさんの方は【エフゴロとコレットの護衛依頼】ってなっている。
しかも依頼主はどっちもギルド長だし。
「……あのキャシーさん、私に拒否権はないんでしょうか?」
お願い、どうか助け舟を――。
「残念ながら、よほどの事が無い限りギルド長の依頼は取り消せませんね……」
――見事に沈んでいった。
「こんなの横暴だぁああああああああ!!」
※
「いやー、どんなのが撮れるのか楽しみですな!」
まさか、自分からレア・スケルトンに会うため遺跡に行く羽目になるなんて思いもしなかったわ。
エフゴロさんには悪いけど、どうかレア・スケルトンに出会いませんように! 神様お願い致します!
「……ん? 急に大きな雲が出て来たな。ありゃ雷雲か、雷雨になる前に早く遺跡に向かおう」
「ですな、急ぐですな」
「……」
神様、本当にお願いしますよ?
いや~まさかお金を預けられる施設があったとは……さすが街だわ、村とは大違い。
「これからお金は銀行へ持って行ってくださいね」
「はい、ありがとうございます!」
宿のタンスにしまってあるお金も後で預けに行かなくちゃね。
≪うおおおおおおおおおお!≫
「なっなに!?」
ギルドの中から、怒号が聞こえたけど。
もしかして喧嘩かなにか!?
「何やら騒がしいですね、何かあったんでしょうか?」
キャシーさんが冷静に中に入って行っちゃった。
オタオタしていた自分が恥ずかしい。
「――騒がしかったのは、どうやらあの人だかりみたいですね」
本当だ、人が集まっている。
ん? あの辺りってグレイさんが座っている席の様な……。
「――お、コレット来たか。今日は遅かったな」
人だかりの中心からグレイさんの頭が生えた。
という事は、エフゴロさんとの話は終わったみたいね。
「はい、色々ありまして~すみません、ちょっと通して下さい~。――プハッ……あっエフゴロさん、こんちは」
で、合ってるよね?
ジゴロ所長さんだったらどうしよう。
「こんにちはですな、コレット氏。そして見てほしいですな! これを!」
何も言わなかったって事は合ってたみたい、よかった。
で、テーブルに指を指したけど……。
「これって絵ですよね」
テーブルの上に人物や風景の絵が描かれた紙が何枚か置いてある。
それにしてもうまいな~ここまで精密に描かれているのは見た事ないや。
「もしかしてエフゴロさんが描いたんですか? だとしたらすごいじゃないですか!」
意外な才能ね。
「んー、そうであってそうじゃないんだが……言葉よりも実際に見た方が早いか。エフゴロ、見せてやりな」
「ですな。ジャーン!」
出て来たのは長方形の箱?
でもただの箱じゃなくて、真ん中辺りにと箱の上に加工した魔晶石がくっ付いてる。
「……何ですか、それ?」
どう見ても普通の箱じゃないのは分かるけど、意味の方が分からない。
「コレット氏、そのまま立ってほしいですな」
「? はい、これでいいですか?」
何が始まろうとしているんだろう。
「それじゃ、いくですな」
いく? 一体何処に――。
――パシャ!
「キャッ! まぶしい!」
何!? いきなり箱の上に付いていた魔晶石が光ったんだけど!
もしかして、新しい閃光弾か何かなの?
「はっはは、驚かせて申し訳ないですな。よいしょ」
もう、一体何なのよ!
「ちゃんと説明をして下さいよ!」
「まあ、ちょっと待ってろ。すぐにわかる」
わかるって……あ、箱の中から紙が出て来た。
「よし、うまくいったみたいですな。どうぞですな」
「はあ……」
出て来た紙を渡されたけど、これがどうし――。
「えっ!? これ私じゃないですか!」
紙には立っている私が描かれている!
一体どうやって今の瞬間で描いたんだろう。
しかも、テーブルにある絵と同じようにかなり精密に……。
「さすがにびっくりしたようですな」
しない方がおかしいでしょ。
「これは複写機と言いますな」
「クフシャキ……」
「そうですな! この複写機の中には特殊加工した魔晶石があり、外の魔晶石と連動して――」
まずい、この流れはおしゃべりモードだ!
「ストップ! 訳の分からない所に訳の分からない仕組みを言っても混乱するだけだろ、俺も未だに仕組みについては理解できてねぇんだし」
「おっと、そうですな」
助かった。
このおしゃべりの血筋には本当に困ったもんね。
「簡単に説明しますとですな、このボタンを押した時に真ん中についている魔晶石が映していた風景を紙に複写する道具なのですな」
へぇ~そんな道具が在るなんて知らな……あっ。
「もしかしてすごい物を作ったというのは、そのフクシャキの事だったんですか?」
「そう! そうですな! どうにかモンスターを絵や言葉ではなく鮮明な姿で残せないものかとずっと研究、開発していた物ですな。そして今日の朝、やっと完成させたわけですな!」
その想いだけで、こんなすごい物を作り出すとは。
ジゴロ所長さんといいエフゴロさんといい、一体どんな頭しているのよ。
「というわけで、今から白竜の遺跡に行くですな。ですからコレット氏も早く行く準備をするですな!」
「……はい?」
早く準備をって、ちょっと待ってよ。
「何で私も行く事になっているんですか!?」
「コレット氏はここ数日、ドラゴニュート、ミスリルゴーレム、そして多種多様のレア・スケルトンと遭遇しているですな。つまりコレット氏が一緒に行けば高確率で遭遇出来るというわけですな!」
いやいや、遭遇したくて遭遇しているわけじゃないから!
私はケビンさんを探したいだけなのに、何でか邪魔ばかり入ってきちゃってるだけだから!
「そんな事を急に言われても困ります! グレイさんからも何か言ってくださいよ!」
「あーすまないが俺は何も言えん。ギルドから直接依頼されていてな、これがコレットの分だ」
依頼書には私指定で【エフゴロと調査協力依頼】って書かれていて、グレイさんの方は【エフゴロとコレットの護衛依頼】ってなっている。
しかも依頼主はどっちもギルド長だし。
「……あのキャシーさん、私に拒否権はないんでしょうか?」
お願い、どうか助け舟を――。
「残念ながら、よほどの事が無い限りギルド長の依頼は取り消せませんね……」
――見事に沈んでいった。
「こんなの横暴だぁああああああああ!!」
※
「いやー、どんなのが撮れるのか楽しみですな!」
まさか、自分からレア・スケルトンに会うため遺跡に行く羽目になるなんて思いもしなかったわ。
エフゴロさんには悪いけど、どうかレア・スケルトンに出会いませんように! 神様お願い致します!
「……ん? 急に大きな雲が出て来たな。ありゃ雷雲か、雷雨になる前に早く遺跡に向かおう」
「ですな、急ぐですな」
「……」
神様、本当にお願いしますよ?
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説
錬金術師カレンはもう妥協しません
山梨ネコ
ファンタジー
「おまえとの婚約は破棄させてもらう」
前は病弱だったものの今は現在エリート街道を驀進中の婚約者に捨てられた、Fランク錬金術師のカレン。
病弱な頃、支えてあげたのは誰だと思っているのか。
自棄酒に溺れたカレンは、弾みでとんでもない条件を付けてとある依頼を受けてしまう。
それは『血筋の祝福』という、受け継いだ膨大な魔力によって苦しむ呪いにかかった甥っ子を救ってほしいという貴族からの依頼だった。
依頼内容はともかくとして問題は、報酬は思いのままというその依頼に、達成報酬としてカレンが依頼人との結婚を望んでしまったことだった。
王都で今一番結婚したい男、ユリウス・エーレルト。
前世も今世も妥協して付き合ったはずの男に振られたカレンは、もう妥協はするまいと、美しく強く家柄がいいという、三国一の男を所望してしまったのだった。
ともかくは依頼達成のため、錬金術師としてカレンはポーションを作り出す。
仕事を通じて様々な人々と関わりながら、カレンの心境に変化が訪れていく。
錬金術師カレンの新しい人生が幕を開ける。
※小説家になろうにも投稿中。
独身おじさんの異世界ライフ~結婚しません、フリーな独身こそ最高です~
さとう
ファンタジー
町の電気工事士であり、なんでも屋でもある織田玄徳は、仕事をそこそこやりつつ自由な暮らしをしていた。
結婚は人生の墓場……父親が嫁さんで苦労しているのを見て育ったため、結婚して子供を作り幸せな家庭を作るという『呪いの言葉』を嫌悪し、生涯独身、自分だけのために稼いだ金を使うと決め、独身生活を満喫。趣味の釣り、バイク、キャンプなどを楽しみつつ、人生を謳歌していた。
そんなある日。電気工事の仕事で感電死……まだまだやりたいことがあったのにと嘆くと、なんと異世界転生していた!!
これは、異世界で工務店の仕事をしながら、異世界で独身生活を満喫するおじさんの物語。
旅行先で目を覚ましたら村上義清になっていた私。そんな私を支えることになったのがアンチ代表の真田幸隆だった。
俣彦
ファンタジー
目が覚めたら村上義清になっていた私(架空の人物です)。アンチ代表の真田幸隆を相棒に武田信玄と上杉謙信に囲まれた信濃北部で生き残りを図る物語。(小説家になろうに重複投稿しています。)
STARLIT KNIGHT
弓チョコ
ファンタジー
私達星海の民は世界の水を管理するために生まれてきたーー
豊かな水源を湛える「宝瓶の国」アクアリウス。
彼らは水の少ない他国から妬まれてきた。
謎の甲冑を着た兵士とそれを指揮する黒衣の者たちにより、ついに攻め入られることとなる。
その凶刃が、幼き姫ステラに降りかかる。
姫を護り、王都まで送り届けんとするのは若き騎士アルファ。
ステラの護衛の旅は大陸の成り立ちと伝説を追う旅へと繋がっていく。
罰ゲームの告白は本物にはならないらしい
める
恋愛
内気で大人しい性格の香月心果(かづきこのか)は学年でも目立つような彼氏がいた。色素の薄い茶髪が特徴の少しチャラそうな東凛(あずまりん)だ。そんな彼との間に少しの溝を感じながらも付き合っていたある日、凛の幼馴染を名乗る女子から「あの告白は罰ゲームだった」と聞かされて……。好きな人には奥手だけど正反対なお互いが好きすぎて両片思いのお話です。
【☆完結☆】転生箱庭師は引き籠り人生を送りたい
udonlevel2
ファンタジー
昔やっていたゲームに、大型アップデートで追加されたソレは、小さな箱庭の様だった。
ビーチがあって、畑があって、釣り堀があって、伐採も出来れば採掘も出来る。
ビーチには人が軽く住めるくらいの広さがあって、畑は枯れず、釣りも伐採も発掘もレベルが上がれば上がる程、レアリティの高いものが取れる仕組みだった。
時折、海から流れつくアイテムは、ハズレだったり当たりだったり、クジを引いてる気分で楽しかった。
だから――。
「リディア・マルシャン様のスキルは――箱庭師です」
異世界転生したわたくし、リディアは――そんな箱庭を目指しますわ!
============
小説家になろうにも上げています。
一気に更新させて頂きました。
中国でコピーされていたので自衛です。
「天安門事件」
女神の代わりに異世界漫遊 ~ほのぼの・まったり。時々、ざまぁ?~
大福にゃここ
ファンタジー
目の前に、女神を名乗る女性が立っていた。
麗しい彼女の願いは「自分の代わりに世界を見て欲しい」それだけ。
使命も何もなく、ただ、その世界で楽しく生きていくだけでいいらしい。
厳しい異世界で生き抜く為のスキルも色々と貰い、食いしん坊だけど優しくて可愛い従魔も一緒!
忙しくて自由のない女神の代わりに、異世界を楽しんでこよう♪
13話目くらいから話が動きますので、気長にお付き合いください!
最初はとっつきにくいかもしれませんが、どうか続きを読んでみてくださいね^^
※お気に入り登録や感想がとても励みになっています。 ありがとうございます!
(なかなかお返事書けなくてごめんなさい)
※小説家になろう様にも投稿しています
異世界転生漫遊記
しょう
ファンタジー
ブラック企業で働いていた主人公は
体を壊し亡くなってしまった。
それを哀れんだ神の手によって
主人公は異世界に転生することに
前世の失敗を繰り返さないように
今度は自由に楽しく生きていこうと
決める
主人公が転生した世界は
魔物が闊歩する世界!
それを知った主人公は幼い頃から
努力し続け、剣と魔法を習得する!
初めての作品です!
よろしくお願いします!
感想よろしくお願いします!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる