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5章 二人の接触と仲間

ケビンの書~接触・7~

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 ◇◆アース歴200年 6月15日・夜◇◆

『ない! ない! ない! なぁああああああああああああ!!』

「何回、同じ所を探すのじゃ……」

 何処いっちゃんだ、俺の花。
 再生してから周辺を探し回ったが何処にもなかった……。
 となると――。

『ナシャータ! ポチの部屋の扉を開けてくれ!』

 もうそこしかない!

「っガイコツの顔をいきなり近づけるな! 怖いのじゃ! そもそも、さっきなかったと言ったじゃろうが!!」

『そうだけど、もしもの場合があるじゃないか!』

 可能性が少しでもあるならそこを探さないと気がすまん。

「……わし、そんなに信用ならんか?」

『凍ってしまった所を匂いがいやだと1人で逃げ、2人っきりになれる誂え向きの部屋があると言っときながら魔獣が中に居――』

「――ほれ、扉を開けたのじゃ。後、わしも一緒に探してやる! ハハハハ!」

 何かもうドラゴニュートって、本当に上級モンスターなのか疑問に思えてきた。



「ワフッ!? ワオーン!」

 うおっ、やっぱり扉を開けたからポチが喜んでこっちに走ってきた。

「あ~ポチ、まずはそこに止まるのじゃ」

「ワン!」

 お、止まった。おーおー、尻尾をブンブン振って喜んでる。
 よし、大人しい今のうちにさがっ――。

「すまぬな。しばらく眠っていてほしいのじゃ、スリープ!」

 え? 睡眠魔法!?

「ワフ!? キューン……ク~……ク~……」

 ポチが寝ちゃった。

『ナシャータ、別にそこまでしなくてもいいんじゃないか? あんなに尻尾振って喜んでたのに……』

 さっきの無慈悲な扉閉めから、そう経たない内にナシャータが戻ってきたんだから嬉しかったに違いない。
 なのに強制的に眠らされるなんて。

「いや、ウロチョロされたら邪魔じゃろ?」

 今のは大人しかったと思うんだがなー。

「それにまた急に襲われて、舐められてはかなわんのじゃ。ほれさっさと探すのじゃ」

 ああ、だからか。
 やっぱりポチって信頼されてないんだな。



『はぁ……』

「いつまで落ち込んでおるのじゃ。なくなった物は仕方ないじゃろ」

 そう言われても……結局、ポチの部屋にもなかった。
 というかポチも可哀想だよな、起きたらまたご主人様が居ないうえ閉じ込められたままなんだから。
 まぁいいか、どうせ魔獣の事だし。
 あーあ、また頭を投げて花を取るしかないか、また時間かかるな。

「よし、ここなののじゃ」

 ん? ここって……魔晶石の間じゃないか。
 頭に花の咲いたミスリルゴーレムもいる! ならば今から花を!

『フンヌ!』

 もうコツは掴んだ。
 後はこの頭を投げるだけで取れる自信があっ――。

「何、自分の頭を取っておるのじゃ? 早く元に戻して着いて来るのじゃ」

『――るう!? っええ!?』

 そんな、せっかく花が目の前あるのに!

「本来ここはずっと隠すつもりじゃったんだじゃな。え~と……確かここをこうして……あれ? こっちをこうじゃったかな……」

 ナシャータが壁のブロックを動かしている、なるほどブロックを動かして開く扉になっていたのか。
 本当に色んな仕掛けがある遺跡だな。

「あれ? おかしいのじゃ、ここをこうじゃろ、で~ここを……」

 ……いつまで遊んでるんだ。

『おい、まだか?』

「――っ! 黙っておるのじゃ、気が散る!!」

『はいっ!』

 なんという殺気、パズル一つでそんなにムキにならなくてもいいじゃないか。

「ここうをこう……違う、じゃったらここを……うがぁああああああああああああ!!」

『お、おい。少しは落ち着いて――』

「ふん!!」

 ――ドォォォォォン!!

『――――』

「よし、開いたのじゃ」

『それは開いたじゃなくて、空けたっていうんだよ!!』

 こいつ怒りに任せてパンチ一発で壁に穴を空けやがったよ!

『どうするんだよ、そこは隠してたんだろ? そんなでかい穴を空けたらバレバレで入り放題じゃないか』

「あ……」

『…………』
「…………」

「そっそうじゃ! そこのミスリルゴーレムを穴にはめ込めば隠せるのじゃ!」

 壁に埋まってるミスリルゴーレム……。

『……さすがにそれは怪しいと思うぞ』

「こっこの事は後で考えるのじゃ! ほれさっさと降りるのじゃ!」

 いいのかな……ふむ、穴の先は真下に続く穴があるな。
 ん~? その奥に光が見えるんだが何でだろう?
 外? なわけないよな、上ならともかく下るのだから……まぁ行けばわかるか。
 しかし――。

『なぁ、これをどう降りろと?』

 はしごも何もない、蔦はあるがこれをつたって行くのは難しいぞ。

「あ~ここに縄梯子がかかっておったんじゃが、年数がたっておるから朽ちてしまったんじゃな」

 そりゃそうだろ、何せ200年は経っているんだからな。

「仕方がないのじゃ、ほれケビン手を貸すのじゃ。わしが降ろしてやるのじゃ」

 うーん、何か荷物を運ばれるみたいで嫌だがしょうがないか。

『お願いします』



 ――パタパタパタ。

 ドラゴニュートに降ろされるスケルトン、何てシュールな。

「しかし、羽がないとは不便じゃの~」

『モンスターと一緒にするな』

「モンスターにモンスターと言われたくないのじゃ」

『……ごもっとも』

 そうだった、俺も今はモンスターの部類に入るんだった。

『……ん~?』

 降りれば降りるほど光が強くなってきた。
 何で地下でこんな光が?
 ヒカリゴケが大量にあったとしてもこれほど光を放つ事は出来ない。

『何なんだ、あの光は? 一体何があるっていうんだ?』

「ふふん、見て驚くなよ~」

 というか、さすがに眩しすぎるんだが……目を開けてられん……ってスケルトンの目って隠し様がないじゃないか。両手で塞ごうにもその両手はナシャータが持ってるし。
 きつい、これはきつい!

「何ジタバタと暴れておるのじゃ、大人しくするのじゃ!」

『そう言われてもだな!』

 これが暴れられずにいられるかっての。

「ああもう、難儀な奴じゃな。――っとほれ、抜けたのじゃ」

 穴を抜けた先は……魔晶石の間みたいに光り輝く広い空間?
 ――なっ!? あれは!!

「どうじゃ、これがわしの家の秘密じゃ!」

『こっこれって!!』

 これが白の遺跡の秘密だって!?
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