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7章 とある女神サマ、運命の文化祭へ
告白
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まぁメイティーの存在はさて置き、いやはやすごい展開になってしまった。
こんな事は漫画や小説の事で、現実に起こるなんて思いもしなかった。
っと、今はそんな事を考えている場合じゃないな、神野さんに謝らなければ。
「ごっごめん……髪留めに気が付かなくて……」
なんか謝ってばかりだ。
でも、こればかりは仕方がないよな。
昔の自分もそうだが、今の鈍感な自分も情けないよ。
「あはは、気にしないで。10年も前の事だしね……それにしても、ハルくんとまた再会できるとは思いもしなかったな~」
「俺も……」
運命の女神サマの力って奴なんだろうか?
メイティーもその運命の女神サマだったら……いや、駄目だな。
こいつが運命なんか握っていたらとんでもない事になるのは明白だ。
「……」
「……」
神野さんと2人でキャンプファイヤーを見つめ合う。
何とも言えない心地いい時間が流れているな。
再会、昔話、今日は神野さんの事を色々知れて嬉しかったな。
『いやいやいや! 貴方、何黙って黄昏ているのよ!?』
相変わらず空気を読まない奴だ。
ここは黙って見守ってくれよな。
『神野 命の大切な人って貴方の事だったのよ!? という事は、完全に脈ありでしょうに!!』
……ハッ!
確かにメイティーの言う通りだ。
脈ありと考えて良いよな……となると……。
『なら、もう小細工は無用!! 今すぐここで神野 命に告白しちゃいなさい!!』
確かに。
タイミング的に今がベストだと俺も思う。
思うんだが……急にそんな告白する勇気は出ないよ!
『ああ、もう~その顔は勇気が出ないって感じね』
うぐっ。
こいつに見透かされているのが何か嫌だ。
『……仕方ないわ。時よ、止まりなさい!』
「なっ!?」
メイティーの奴、いきなり時間を止めやがった。
「おいおい、急にどうし……」
『……』
メイティーが無言で俺の正面に立ったぞ。
珍しく真剣な表情になっているが、本当にどうしたんだろう。
『スゥ~』
メイティーが息を吸いながら、右腕を後ろに引いた。
あれ? これってもしかして……。
『歯あああああああ食いしばれえええええええええええええ!!』
――ゴッ!!
「――ハブアッ!!」
やっぱりメイティーの右拳が、俺の左頬に飛んで来たしいいいいい!
しかもグーで! グーパンチで殴って来やがったよ、こいつ!
「いってねぇな! いきなり殴るなよ!」
『意気地なしの貴方に気合い注入してあげたのよ! よくわからないけど、人間界ではこうやって気合を入れるって本に書いてあったし』
……それって、グーで殴るんじゃなくてビンタじゃないか?
いい感じのパンチが俺の顔面に入ったんだが。
『とにかく! さっきも言ったけど、ここまで来たら小細工は無用でしょ! アタシが出来るのはここまで! 後は貴方が行動を起こすのみよ! 本当に神野 命が好きなのなら……男なのならグズグズしていないで勇気を出しなさい!!』
「……」
最後の最後で根性論かよって思いもあるが……メイティーの言う通りだ。
メイティーのどでかい一撃で、さっきの不安な気持ちが吹き飛んで勇気がわいてきた。
これもメイティーの魔法なのだろうか? いや、小細工は無用と言っているのだから、こいつの場合本当に気合い注入だけで殴ったのは間違いないか。
なんにせよ……ここまでされたらやるしかない!
『お、その目は覚悟を決めた感じね。どうする? 停止している時間はまだあるけど、気分を落ち着かせる?』
今の勢いで行かないと駄目だろうな。
落ち着てしまったらまたひよりそうだ。
「動かしてくれ」
『わかったわ。がんばりなさいよ!』
「ああ、頼む」
時間が動き出したら、俺も動く時だ。
さぁ勇気を振りしぼって、行く――。
『っと、その前に』
――ぞおっ!?
なんだよ! コントみたいなずっこけシーンをするなよな!
「おい! 人がせっかく気合を入れたのに、変なタイミングで止めるなよ!」
『いやいや、その顔で告白はまずいでしょうに』
「は? 顔?」
左頬を触ってみると、確かに熱をもっていて膨らんでいる。
どうやら、メイティーに殴られた左頬が腫れて来ているらしい。
アドレナリンが出まくってて全く気が付かなかった。
『治癒してあげるから動かないでね』
「……これはお前がやった事だろう」
『……』
俺の声が聞こえているのかいないのか、無言のままメイティーは俺の頬を治してくれた。
まぁでも、時間が動き出す前でよかった……神野さんからしたら、いきなり俺の頬が腫れた事になるからな。
すごくびっくりしただろう。
《ざわざわ》
後夜祭のざわつきが戻ってきた。
時間が動き出したな。
よし、改めて勇気を振り絞って……行くぞ!
「……神野さん、聞いてほしい事があるんだ」
「ん? なに?」
『いけぇええええええええええええええ! やれぇええええええええええええ!』
外野がうるさい。
多分、俺が告白するのを見て、さっきの殴った時の熱がまた出て来たんだろうな。
そんなのはいらないから、黙って見守ってくれよ。
「……俺は……俺は……神野さんが、好きだ」
「えっ」
『よく言ったわあああああああ!! やればできんじゃないの!』
だから、外野!!
「その……俺と、付き合ってほしい……です」
「えっ? えっ?」
突然の告白に神野さんが動揺している。
当然といえば当然か。
「……えと……その…………」
神野さんが俯いてしまった。
果たして、神野さんは俺の気持ちにどう応えてくれるのだろう。
俺の気持ちは伝えた。
どんな結果になろうとも、俺は後悔しない。
『さあ、神野 命! 返事は!? YES? NO? どっち? どっちなのよ!?』
緊張の瞬間なのに外野のナレーションがうざすぎて、俺の心の感情がぐっちゃぐちゃだ。
くそっ時間停止の時に黙っていてくれよって言えば良かった。
後悔があるとすれば、そこだな。
「……………………はい……私で良ければ、よろしくお願いします……」
神野さんは俯いたままだが、その言葉は俺と付き合うのは良いって事だよな。
ああ、やっ――。
『やったああああああああああああああ! やったわねえええええええええ!』
おおい! 外野!
やった! は、俺の台詞だっての!
『良かったねぇ! おめでとう! 良かった、本当に良かったわ。うう……うわああああああああん!!』
なんか泣いているし。
卑怯だぞ……そんな姿を見たら、言いたかった文句が言えないじゃないか。
まったくもう。
「……祝福してくれてありがとう、恋愛の女神サマ」
こんな事は漫画や小説の事で、現実に起こるなんて思いもしなかった。
っと、今はそんな事を考えている場合じゃないな、神野さんに謝らなければ。
「ごっごめん……髪留めに気が付かなくて……」
なんか謝ってばかりだ。
でも、こればかりは仕方がないよな。
昔の自分もそうだが、今の鈍感な自分も情けないよ。
「あはは、気にしないで。10年も前の事だしね……それにしても、ハルくんとまた再会できるとは思いもしなかったな~」
「俺も……」
運命の女神サマの力って奴なんだろうか?
メイティーもその運命の女神サマだったら……いや、駄目だな。
こいつが運命なんか握っていたらとんでもない事になるのは明白だ。
「……」
「……」
神野さんと2人でキャンプファイヤーを見つめ合う。
何とも言えない心地いい時間が流れているな。
再会、昔話、今日は神野さんの事を色々知れて嬉しかったな。
『いやいやいや! 貴方、何黙って黄昏ているのよ!?』
相変わらず空気を読まない奴だ。
ここは黙って見守ってくれよな。
『神野 命の大切な人って貴方の事だったのよ!? という事は、完全に脈ありでしょうに!!』
……ハッ!
確かにメイティーの言う通りだ。
脈ありと考えて良いよな……となると……。
『なら、もう小細工は無用!! 今すぐここで神野 命に告白しちゃいなさい!!』
確かに。
タイミング的に今がベストだと俺も思う。
思うんだが……急にそんな告白する勇気は出ないよ!
『ああ、もう~その顔は勇気が出ないって感じね』
うぐっ。
こいつに見透かされているのが何か嫌だ。
『……仕方ないわ。時よ、止まりなさい!』
「なっ!?」
メイティーの奴、いきなり時間を止めやがった。
「おいおい、急にどうし……」
『……』
メイティーが無言で俺の正面に立ったぞ。
珍しく真剣な表情になっているが、本当にどうしたんだろう。
『スゥ~』
メイティーが息を吸いながら、右腕を後ろに引いた。
あれ? これってもしかして……。
『歯あああああああ食いしばれえええええええええええええ!!』
――ゴッ!!
「――ハブアッ!!」
やっぱりメイティーの右拳が、俺の左頬に飛んで来たしいいいいい!
しかもグーで! グーパンチで殴って来やがったよ、こいつ!
「いってねぇな! いきなり殴るなよ!」
『意気地なしの貴方に気合い注入してあげたのよ! よくわからないけど、人間界ではこうやって気合を入れるって本に書いてあったし』
……それって、グーで殴るんじゃなくてビンタじゃないか?
いい感じのパンチが俺の顔面に入ったんだが。
『とにかく! さっきも言ったけど、ここまで来たら小細工は無用でしょ! アタシが出来るのはここまで! 後は貴方が行動を起こすのみよ! 本当に神野 命が好きなのなら……男なのならグズグズしていないで勇気を出しなさい!!』
「……」
最後の最後で根性論かよって思いもあるが……メイティーの言う通りだ。
メイティーのどでかい一撃で、さっきの不安な気持ちが吹き飛んで勇気がわいてきた。
これもメイティーの魔法なのだろうか? いや、小細工は無用と言っているのだから、こいつの場合本当に気合い注入だけで殴ったのは間違いないか。
なんにせよ……ここまでされたらやるしかない!
『お、その目は覚悟を決めた感じね。どうする? 停止している時間はまだあるけど、気分を落ち着かせる?』
今の勢いで行かないと駄目だろうな。
落ち着てしまったらまたひよりそうだ。
「動かしてくれ」
『わかったわ。がんばりなさいよ!』
「ああ、頼む」
時間が動き出したら、俺も動く時だ。
さぁ勇気を振りしぼって、行く――。
『っと、その前に』
――ぞおっ!?
なんだよ! コントみたいなずっこけシーンをするなよな!
「おい! 人がせっかく気合を入れたのに、変なタイミングで止めるなよ!」
『いやいや、その顔で告白はまずいでしょうに』
「は? 顔?」
左頬を触ってみると、確かに熱をもっていて膨らんでいる。
どうやら、メイティーに殴られた左頬が腫れて来ているらしい。
アドレナリンが出まくってて全く気が付かなかった。
『治癒してあげるから動かないでね』
「……これはお前がやった事だろう」
『……』
俺の声が聞こえているのかいないのか、無言のままメイティーは俺の頬を治してくれた。
まぁでも、時間が動き出す前でよかった……神野さんからしたら、いきなり俺の頬が腫れた事になるからな。
すごくびっくりしただろう。
《ざわざわ》
後夜祭のざわつきが戻ってきた。
時間が動き出したな。
よし、改めて勇気を振り絞って……行くぞ!
「……神野さん、聞いてほしい事があるんだ」
「ん? なに?」
『いけぇええええええええええええええ! やれぇええええええええええええ!』
外野がうるさい。
多分、俺が告白するのを見て、さっきの殴った時の熱がまた出て来たんだろうな。
そんなのはいらないから、黙って見守ってくれよ。
「……俺は……俺は……神野さんが、好きだ」
「えっ」
『よく言ったわあああああああ!! やればできんじゃないの!』
だから、外野!!
「その……俺と、付き合ってほしい……です」
「えっ? えっ?」
突然の告白に神野さんが動揺している。
当然といえば当然か。
「……えと……その…………」
神野さんが俯いてしまった。
果たして、神野さんは俺の気持ちにどう応えてくれるのだろう。
俺の気持ちは伝えた。
どんな結果になろうとも、俺は後悔しない。
『さあ、神野 命! 返事は!? YES? NO? どっち? どっちなのよ!?』
緊張の瞬間なのに外野のナレーションがうざすぎて、俺の心の感情がぐっちゃぐちゃだ。
くそっ時間停止の時に黙っていてくれよって言えば良かった。
後悔があるとすれば、そこだな。
「……………………はい……私で良ければ、よろしくお願いします……」
神野さんは俯いたままだが、その言葉は俺と付き合うのは良いって事だよな。
ああ、やっ――。
『やったああああああああああああああ! やったわねえええええええええ!』
おおい! 外野!
やった! は、俺の台詞だっての!
『良かったねぇ! おめでとう! 良かった、本当に良かったわ。うう……うわああああああああん!!』
なんか泣いているし。
卑怯だぞ……そんな姿を見たら、言いたかった文句が言えないじゃないか。
まったくもう。
「……祝福してくれてありがとう、恋愛の女神サマ」
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