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7章 とある女神サマ、運命の文化祭へ
蓮華祭!(1)
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『お~! すごい人だし、すごく楽しそうね!』
メイティーが浮かれるのもわかる、なんたって今日は蓮華祭当日だ。
夕方まで一般公開されているから大人の人も多い。
夜以降は生徒のみで、運動場の真ん中にキャンプファイヤーを盛大に燃やす。
そして、屋外に建ててあるステージでバカ騒ぎをして締めくくる。
それが蓮華高校の文化祭、蓮華祭。
「今年の蓮華祭も盛り上がっているね~」
「そうだね」
神野さんの大切な人。
それを聞いた時は色々と動揺したが、メイティーの言葉ですんなりとおさまってしまった。
『あの娘の大切な人の事を気になったから調べてみたけど、男か女かもわからなかったわ~。これ以上探りを入れるとお父様に怒られそうだし、ここまでね』
と言っていた。
そう、男と決めて付けていた自分は馬鹿すぎる。
大切な人って言うのは老若男女関係ない。
メイティーの言葉で、当たり前の事を思い出すとは思いもしなかったな。
「さて、俺等もさっさと回ろうぜ。時間がもったいないしな」
義秋のクラスは焼きそば屋になったが、買出し班の為呼び出しがあるまでフリーらしい。
けど俺、神野さん、香夏子、星木さんは昼からお化け屋敷で入れ替わりをしないといけない。
「だな。どこから回るよ?」
だから、5人で回れるのは午前中の時間に限られている。
少しでも多く回って楽しみたい。
『やっぱ屋台でしょ! 外から見て回りましょ!』
お前には聞いていません。
つか、どこに行っても食い物に走るんだな。
「そうね~今のうちにお腹に入れておきたいし、屋台のある外からまわらない?」
あー確かに香夏子の言う通り、今のうちに腹に何か入れといた方がいいかもな。
メイティーの言う通りになってしまうのは悔しいが。
「じゃあそうするか」
※
お好み焼き、焼きそば、たこ焼き、フランクフルト、りんご飴、チョコバナナ。
定番の出店がいっぱいだな。
「よう、調子はどうだ?」
義秋が焼きそば屋の前で声を掛けている。
となると、あの焼きそば屋が義秋達のクラスの奴か。
「まあまあだな。まだ買出し班が動く事はなさそうだ」
「そうか、わかった」
やっぱり、ここは焼きそばを買った方がいいよな。
えーと……財布、財布……。
「焼きそば1個くださいなぁ」
って、星木さんはもう買っているし!
「あっちょっと、私も1つ!」
「私も!」
神野さんと香夏子も俺と同じ事を考えていたのか、財布を出そうとしている。
「俺も1つ!」
「お、4人ともありがとな。まいどありー」
「ずるずる……焼きそば、美味しいよぉ」
「うん、おいしいね」
「うま~」
「お~それは良かった。まぁ俺が作ったわけじゃないけどな」
皆の言う通り、この焼きそばはなかなかうまいな。
義秋のクラスに料理上手の人が居るみたいだ。
『チュルルル……モグモグ……ん~確かにおいしいけど、もうちょっとソースが欲しいわね。あと私は生卵を乗せてほしいわ』
こそこそと俺から盗み食いしている奴が何を言うか。
そもそも、生徒が作っているんだから色々言うのは野暮ってもんだろう。
……まぁそれは置いといて、気になる事が一つ。
「じゃあぁ今度作ってみてよぉ」
「はあ? 俺が焼そばを? それはまた難しい事を言うな……」
「あぁ~真っ黒になっちゃいそうだねぇ」
「失礼な! 流石に焦がすまではいかんわ!」
義秋と星木さんだ。
やっぱり何だか距離近いよな。
「ねぇねぇ。私思ったんだけど、何かあの2人って雰囲気良くない?」
香夏子もそう思っていたか。
「あっ私もそう思った」
神野さんもか。
3人とも思っているのなら、これはほぼ間違いなしかな。
「やっぱ? ……ニヒッ」
あー……香夏子がすごく悪い笑顔になっているよ。
これは義秋と星木さんを茶化す気だな。
「ヘイヘ~イ、お2人さん~此間から仲が実に良いねぇ~」
「「へ?」」
やっぱり。
こういうのはあまり茶化さない方がいいと思うんだけどな。
「いっその事、付き合っちゃえば? な~んて……」
『あっ!』
なんか、メイティーが両手を口に押さえているぞ。
おいおい、食い過ぎか? こんな時に辞めてくれよ。
「あー……えーと……」
ん? この義秋の反応は何かおかしい。
困ったようで、照れ臭そうで……あれ? まさか、これって……。
「わたしたちぃもう付き合ってるよぉ」
「――っ!?」
俺は予想通りの回答が出て来た事に絶句し。
「――えっ?」
神野さんは驚きのあまり焼きそばを落としてしまい。
「……」
香夏子は笑顔のまま固まってしまった。
「そうだったんだ! おめでとう! いつ? いつから付き合っていたの?」
「ありがとう~付き合い出したのはぁ夏祭りの時だよぉ」
「あの時からなんだ! ねっねっどっちから告白したの!?」
神野さんが質問攻めしている。
意外だ、こういうのは神野さんより香夏子が食いつきそうなのに。
「……えと、俺から……」
「おお! どんな告白をしたの!?」
「メイっち! 少し落ち着いてよぉ」
神野さんが、こんなにも興奮するとは。
にしても、義秋と星木さんがねぇ……全然気が付かなかっ……あ、待てよ……さっきメイティーの様子がおかしかったのって、2人が付き合っていた事を知っていたからか!?
「っ!」
『ハッ! ピュ~ピュ~』
俺がメイティーを見た瞬間、メイティーは目を逸らしてわざとらしく口笛を吹き出した。
間違いない、知っていたんだ! だったら教えてくれよなー減るもんじゃなあるまいし。
あーでも、こういうのは当人から聞いた方がいいか……複雑な気分だ。
「……」
つか香夏子の奴、まだ固まっているし。
とりあえず、肩を揺らして目覚めさせよう。
「おーい、香夏子。いい加減、目を覚ませ」
「――はっ! あれ? 今私夢を見ていた? 義秋と美冬が付き合って……」
そう思うくらい衝撃的だったのか。
「夢じゃない。現実だ」
「……そっか、夢じゃないんだ………………羨ましいな……」
……最後の香夏子の声は聞こえなかったことにしよう。
その方がいい……お互いに……。
メイティーが浮かれるのもわかる、なんたって今日は蓮華祭当日だ。
夕方まで一般公開されているから大人の人も多い。
夜以降は生徒のみで、運動場の真ん中にキャンプファイヤーを盛大に燃やす。
そして、屋外に建ててあるステージでバカ騒ぎをして締めくくる。
それが蓮華高校の文化祭、蓮華祭。
「今年の蓮華祭も盛り上がっているね~」
「そうだね」
神野さんの大切な人。
それを聞いた時は色々と動揺したが、メイティーの言葉ですんなりとおさまってしまった。
『あの娘の大切な人の事を気になったから調べてみたけど、男か女かもわからなかったわ~。これ以上探りを入れるとお父様に怒られそうだし、ここまでね』
と言っていた。
そう、男と決めて付けていた自分は馬鹿すぎる。
大切な人って言うのは老若男女関係ない。
メイティーの言葉で、当たり前の事を思い出すとは思いもしなかったな。
「さて、俺等もさっさと回ろうぜ。時間がもったいないしな」
義秋のクラスは焼きそば屋になったが、買出し班の為呼び出しがあるまでフリーらしい。
けど俺、神野さん、香夏子、星木さんは昼からお化け屋敷で入れ替わりをしないといけない。
「だな。どこから回るよ?」
だから、5人で回れるのは午前中の時間に限られている。
少しでも多く回って楽しみたい。
『やっぱ屋台でしょ! 外から見て回りましょ!』
お前には聞いていません。
つか、どこに行っても食い物に走るんだな。
「そうね~今のうちにお腹に入れておきたいし、屋台のある外からまわらない?」
あー確かに香夏子の言う通り、今のうちに腹に何か入れといた方がいいかもな。
メイティーの言う通りになってしまうのは悔しいが。
「じゃあそうするか」
※
お好み焼き、焼きそば、たこ焼き、フランクフルト、りんご飴、チョコバナナ。
定番の出店がいっぱいだな。
「よう、調子はどうだ?」
義秋が焼きそば屋の前で声を掛けている。
となると、あの焼きそば屋が義秋達のクラスの奴か。
「まあまあだな。まだ買出し班が動く事はなさそうだ」
「そうか、わかった」
やっぱり、ここは焼きそばを買った方がいいよな。
えーと……財布、財布……。
「焼きそば1個くださいなぁ」
って、星木さんはもう買っているし!
「あっちょっと、私も1つ!」
「私も!」
神野さんと香夏子も俺と同じ事を考えていたのか、財布を出そうとしている。
「俺も1つ!」
「お、4人ともありがとな。まいどありー」
「ずるずる……焼きそば、美味しいよぉ」
「うん、おいしいね」
「うま~」
「お~それは良かった。まぁ俺が作ったわけじゃないけどな」
皆の言う通り、この焼きそばはなかなかうまいな。
義秋のクラスに料理上手の人が居るみたいだ。
『チュルルル……モグモグ……ん~確かにおいしいけど、もうちょっとソースが欲しいわね。あと私は生卵を乗せてほしいわ』
こそこそと俺から盗み食いしている奴が何を言うか。
そもそも、生徒が作っているんだから色々言うのは野暮ってもんだろう。
……まぁそれは置いといて、気になる事が一つ。
「じゃあぁ今度作ってみてよぉ」
「はあ? 俺が焼そばを? それはまた難しい事を言うな……」
「あぁ~真っ黒になっちゃいそうだねぇ」
「失礼な! 流石に焦がすまではいかんわ!」
義秋と星木さんだ。
やっぱり何だか距離近いよな。
「ねぇねぇ。私思ったんだけど、何かあの2人って雰囲気良くない?」
香夏子もそう思っていたか。
「あっ私もそう思った」
神野さんもか。
3人とも思っているのなら、これはほぼ間違いなしかな。
「やっぱ? ……ニヒッ」
あー……香夏子がすごく悪い笑顔になっているよ。
これは義秋と星木さんを茶化す気だな。
「ヘイヘ~イ、お2人さん~此間から仲が実に良いねぇ~」
「「へ?」」
やっぱり。
こういうのはあまり茶化さない方がいいと思うんだけどな。
「いっその事、付き合っちゃえば? な~んて……」
『あっ!』
なんか、メイティーが両手を口に押さえているぞ。
おいおい、食い過ぎか? こんな時に辞めてくれよ。
「あー……えーと……」
ん? この義秋の反応は何かおかしい。
困ったようで、照れ臭そうで……あれ? まさか、これって……。
「わたしたちぃもう付き合ってるよぉ」
「――っ!?」
俺は予想通りの回答が出て来た事に絶句し。
「――えっ?」
神野さんは驚きのあまり焼きそばを落としてしまい。
「……」
香夏子は笑顔のまま固まってしまった。
「そうだったんだ! おめでとう! いつ? いつから付き合っていたの?」
「ありがとう~付き合い出したのはぁ夏祭りの時だよぉ」
「あの時からなんだ! ねっねっどっちから告白したの!?」
神野さんが質問攻めしている。
意外だ、こういうのは神野さんより香夏子が食いつきそうなのに。
「……えと、俺から……」
「おお! どんな告白をしたの!?」
「メイっち! 少し落ち着いてよぉ」
神野さんが、こんなにも興奮するとは。
にしても、義秋と星木さんがねぇ……全然気が付かなかっ……あ、待てよ……さっきメイティーの様子がおかしかったのって、2人が付き合っていた事を知っていたからか!?
「っ!」
『ハッ! ピュ~ピュ~』
俺がメイティーを見た瞬間、メイティーは目を逸らしてわざとらしく口笛を吹き出した。
間違いない、知っていたんだ! だったら教えてくれよなー減るもんじゃなあるまいし。
あーでも、こういうのは当人から聞いた方がいいか……複雑な気分だ。
「……」
つか香夏子の奴、まだ固まっているし。
とりあえず、肩を揺らして目覚めさせよう。
「おーい、香夏子。いい加減、目を覚ませ」
「――はっ! あれ? 今私夢を見ていた? 義秋と美冬が付き合って……」
そう思うくらい衝撃的だったのか。
「夢じゃない。現実だ」
「……そっか、夢じゃないんだ………………羨ましいな……」
……最後の香夏子の声は聞こえなかったことにしよう。
その方がいい……お互いに……。
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