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5章 とある女神サマ、夏休みを堪能(上旬)
夏の海!(1)
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夏休みの予定その2、みんなで海に行く。
俺も楽しみで仕方なかったイベントの一つだ。
みんなも楽しみにしていたのか、海に向かうバスの中でテンションが高い。
その中でも、特にテンションの高いのが……
『うおおおおおおおおおおおお! すごいすごい! 走ってる! 広い! 人がたくさん乗っている! これがバス! 乗り物なのね!!』
生まれて初めてバス、乗り物系に乗ったというメイティーだ。
バスの中を興奮しながら飛び回っている。
初めてだからテンションが上がるのもわかるが、こう目の前で叫びながら飛び回られると流石にきついものがある。
でも、止める手段もないしこのまま我慢するしかない。
『お~お~~お~~~』
今度は窓に張り付いて、目を輝かせて流れていく景色に感動している……まるで子供の様だ。
にしても、乗り物に乗るのは初めてだとは意外だったな。
俺は近代的な天界なんだから、車も空中を飛んで走っていると思っていたよ。
あーでも、自分一人で飛ぶ方が圧倒的に早いか……そもそも、瞬間移動の魔法もありそうだしな。
「なら、そこまでしてバスに乗りたいかねぇ……俺にはわからん」
「ん? 何か言ったか?」
おっと、つい口に出てしまっていたか。
義秋につつかれてしまった。
「いや、なんでもよ」
「? そっか」
うーん……最近、こういったやり取りが増えた気がする。
この調子だと、そのうち白い目で見られそうで怖い。
気を付けないと。
「あっ海が見えるわよ!」
お、香夏子の言う通りだ。
まだ遠いが海のキラメキが見える。
『おおおおおおおおおおお!』
メイティーの目がさらにキラキラと輝いているよ。
あれ? そういえば、メイティーは泳ぐ気なのかな?
俺は渡されていないし、メイティーも手荷物は持っていないが。
まぁその辺りは魔法でどうにかなるんだろう、多分。
『海か~スイカ割り、楽しみだわ~』
棒を振る様に素振りをしているが……スイカ割りをやるやらない関係なしに、お前は参加できないだろう。
舞い上がりすぎて、そんな当たり前の事すら頭から抜けているらしい。
※
「『着いたああああああああああああ! 海だあああああああああ!』」
香夏子とメイティーが海の前でハモっている。
しかも、両手を上げて同じポーズをしているし。
まぁ叫びたくなる気持ちもわからんではないが……。
にしても、やっぱり人が多いなー。
俺らの場所はあるかな?
『ねぇねぇ。スイカ割りっていつするの?』
それしか頭にないのだろうか。
何故、そこまでしたいのか不思議だ。
「うし、場所は俺と春彦が取って置くから女子達は着替えて来いよ」
俺と義秋は、もう下に海パンを履いているからな。
実に楽なもんだ。
「オッケ~。それじゃあ行ってくるから、よろしくね~」
『いい場所取っておくのよ~』
メイティーも3人の後を追いかけて行ってしまった。
という事は、やっぱりあいつも着替えるって事か。
……何故だろう? 神野さんの水着と聞くとドキドキするのに、同じ姿のメイティーではドキドキしないな。
「じゃあ、服を脱いで場所を探すとするか」
「お、おう」
まぁそんな事はどうでもいいか。
今は場所探しの方が重要だしな。
「この辺りしかないな」
結構端の方だし岩場も近いが……この混みようだから仕方ないか。
「だなー。それじゃ俺はパラソルを立てるから、春彦は浮き輪とか膨らませておいてくれ」
俺もそっちが良かったな。
空気入れって、道具を使っても結構疲れるんだよ……。
けど、こんな事で代わってくれって言うのもちっちゃい人間って思われそうで嫌だ。
「あいよ」
ここは、素直にやるしかないか。
「ん? メッセージが来たな。【今どこにいるの?】だってさ、流石に端の方じゃ見つかりにくいか」
「あーそうだ……な……いや、見つけたから俺が迎えに行くよ」
今砂浜を見た瞬間、どこにいるのかすぐにわかった。
人が空中に浮いているグループなんて、あいつしかいないからな。
「え? ……どこだ? 俺はわからんのだが」
しまった、この見つけ方は俺限定だった。
「多分あれじゃないかなー! 女子3人で歩いているし! 俺、行ってくるよ!」
こんな時は、深く突っ込まれる前に立ち去るのが一番!
「ああ、よろしく……女子3人が歩いているって、他もそういったのが多いのにな……」
ふぅー何とか誤魔化せたな。
さて、さっさとみんなを連れてこないと。
『いたいた、探したわよ~!』
その前に、メイティー1人が飛んで来た。
しっかり水着姿になっているが、虹色に光るビキニって……俺には、悪趣味にしか見えないんだが。
『海で相手との距離を縮めるイベントの一つ、それを実行する時よ!』
「はあ?」
距離を縮めるイベント?
漫画で海のイベントは沢山あるが……どれもこれも、こいつが言うとロクな事にはならんきがする。
『その名も、ナンパ大作戦!』
「ブッ!」
こいつはまた何を言っているんだ!?
知っている相手にナンパしてどうするんだよ。
そもそも、俺にはナンパ自体出来る度胸はないっての。
「あのなあ、そんな事をして……」
『さあ、やっちゃいなさい!』
メイティーが指をさした先には神野さん、香夏子、星木さんの姿があった。
普通の健全な男子なら、クラスの女子の水着姿に真っ先に目が行くだろうが俺はそれどころじゃなかった。
何故なら――。
「ねぇーねぇー、ちょっとだけでもいいじゃんか」
「そーそー、俺たちの奢りなんだし」
女子3人に対して、20歳前後位の男2人が話しかけていたからだ。
どっちも金髪でサングラスをかけ、こんがり焼けた肌の上にアロハシャツを着た、まさに海のテンプレチャラ男達。
これって、どう見てもナンパだよな。
『ほら、何しているの。早く行きなさいよ』
つまりナンパ大作戦というのは俺がするんじゃなくて、ナンパされている所を俺が助けるって事?
……ええっ!! いきなりそんな事を言われても!
どっどどどどどうすればいいんだよ!?
俺も楽しみで仕方なかったイベントの一つだ。
みんなも楽しみにしていたのか、海に向かうバスの中でテンションが高い。
その中でも、特にテンションの高いのが……
『うおおおおおおおおおおおお! すごいすごい! 走ってる! 広い! 人がたくさん乗っている! これがバス! 乗り物なのね!!』
生まれて初めてバス、乗り物系に乗ったというメイティーだ。
バスの中を興奮しながら飛び回っている。
初めてだからテンションが上がるのもわかるが、こう目の前で叫びながら飛び回られると流石にきついものがある。
でも、止める手段もないしこのまま我慢するしかない。
『お~お~~お~~~』
今度は窓に張り付いて、目を輝かせて流れていく景色に感動している……まるで子供の様だ。
にしても、乗り物に乗るのは初めてだとは意外だったな。
俺は近代的な天界なんだから、車も空中を飛んで走っていると思っていたよ。
あーでも、自分一人で飛ぶ方が圧倒的に早いか……そもそも、瞬間移動の魔法もありそうだしな。
「なら、そこまでしてバスに乗りたいかねぇ……俺にはわからん」
「ん? 何か言ったか?」
おっと、つい口に出てしまっていたか。
義秋につつかれてしまった。
「いや、なんでもよ」
「? そっか」
うーん……最近、こういったやり取りが増えた気がする。
この調子だと、そのうち白い目で見られそうで怖い。
気を付けないと。
「あっ海が見えるわよ!」
お、香夏子の言う通りだ。
まだ遠いが海のキラメキが見える。
『おおおおおおおおおおお!』
メイティーの目がさらにキラキラと輝いているよ。
あれ? そういえば、メイティーは泳ぐ気なのかな?
俺は渡されていないし、メイティーも手荷物は持っていないが。
まぁその辺りは魔法でどうにかなるんだろう、多分。
『海か~スイカ割り、楽しみだわ~』
棒を振る様に素振りをしているが……スイカ割りをやるやらない関係なしに、お前は参加できないだろう。
舞い上がりすぎて、そんな当たり前の事すら頭から抜けているらしい。
※
「『着いたああああああああああああ! 海だあああああああああ!』」
香夏子とメイティーが海の前でハモっている。
しかも、両手を上げて同じポーズをしているし。
まぁ叫びたくなる気持ちもわからんではないが……。
にしても、やっぱり人が多いなー。
俺らの場所はあるかな?
『ねぇねぇ。スイカ割りっていつするの?』
それしか頭にないのだろうか。
何故、そこまでしたいのか不思議だ。
「うし、場所は俺と春彦が取って置くから女子達は着替えて来いよ」
俺と義秋は、もう下に海パンを履いているからな。
実に楽なもんだ。
「オッケ~。それじゃあ行ってくるから、よろしくね~」
『いい場所取っておくのよ~』
メイティーも3人の後を追いかけて行ってしまった。
という事は、やっぱりあいつも着替えるって事か。
……何故だろう? 神野さんの水着と聞くとドキドキするのに、同じ姿のメイティーではドキドキしないな。
「じゃあ、服を脱いで場所を探すとするか」
「お、おう」
まぁそんな事はどうでもいいか。
今は場所探しの方が重要だしな。
「この辺りしかないな」
結構端の方だし岩場も近いが……この混みようだから仕方ないか。
「だなー。それじゃ俺はパラソルを立てるから、春彦は浮き輪とか膨らませておいてくれ」
俺もそっちが良かったな。
空気入れって、道具を使っても結構疲れるんだよ……。
けど、こんな事で代わってくれって言うのもちっちゃい人間って思われそうで嫌だ。
「あいよ」
ここは、素直にやるしかないか。
「ん? メッセージが来たな。【今どこにいるの?】だってさ、流石に端の方じゃ見つかりにくいか」
「あーそうだ……な……いや、見つけたから俺が迎えに行くよ」
今砂浜を見た瞬間、どこにいるのかすぐにわかった。
人が空中に浮いているグループなんて、あいつしかいないからな。
「え? ……どこだ? 俺はわからんのだが」
しまった、この見つけ方は俺限定だった。
「多分あれじゃないかなー! 女子3人で歩いているし! 俺、行ってくるよ!」
こんな時は、深く突っ込まれる前に立ち去るのが一番!
「ああ、よろしく……女子3人が歩いているって、他もそういったのが多いのにな……」
ふぅー何とか誤魔化せたな。
さて、さっさとみんなを連れてこないと。
『いたいた、探したわよ~!』
その前に、メイティー1人が飛んで来た。
しっかり水着姿になっているが、虹色に光るビキニって……俺には、悪趣味にしか見えないんだが。
『海で相手との距離を縮めるイベントの一つ、それを実行する時よ!』
「はあ?」
距離を縮めるイベント?
漫画で海のイベントは沢山あるが……どれもこれも、こいつが言うとロクな事にはならんきがする。
『その名も、ナンパ大作戦!』
「ブッ!」
こいつはまた何を言っているんだ!?
知っている相手にナンパしてどうするんだよ。
そもそも、俺にはナンパ自体出来る度胸はないっての。
「あのなあ、そんな事をして……」
『さあ、やっちゃいなさい!』
メイティーが指をさした先には神野さん、香夏子、星木さんの姿があった。
普通の健全な男子なら、クラスの女子の水着姿に真っ先に目が行くだろうが俺はそれどころじゃなかった。
何故なら――。
「ねぇーねぇー、ちょっとだけでもいいじゃんか」
「そーそー、俺たちの奢りなんだし」
女子3人に対して、20歳前後位の男2人が話しかけていたからだ。
どっちも金髪でサングラスをかけ、こんがり焼けた肌の上にアロハシャツを着た、まさに海のテンプレチャラ男達。
これって、どう見てもナンパだよな。
『ほら、何しているの。早く行きなさいよ』
つまりナンパ大作戦というのは俺がするんじゃなくて、ナンパされている所を俺が助けるって事?
……ええっ!! いきなりそんな事を言われても!
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