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4章 とある女神サマ、失敗する
夏休みの予定
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俺が思うに、日直の仕事で面倒くさいのが日誌を書く事。
放課後に書くのが煩わしんだよな……。
「じゃあ、この日はどうかな?」
「えと……うん、その日は大丈夫だよ」
「あいてるよぉ」
日誌を書いている横で香夏子、星木さん、神野さんの3人が教室に残って夏休みの予定を話している。
もうすぐ夏休みか……今年はどうしようかな。
休みの間実家に帰るのもありだが、どうせなら夏休み中は神野さんと遊びたい……遊びたいが……。
『ねぇねぇ。貴方はあの話の中には入らないの?』
それが出来たらどれだけいいか。
俺には、あの会話の中に入れる勇気はない。
「おーい、春彦ー」
「ん?」
義秋が教室に入って来た。
いつもならこの時間は部活に出ている義秋だが、足を捻挫てしまい休んでいる。
幸い軽い症状ですんだが、その話を聞いたメイティーが即治癒魔法をかけに行こうとして止めるのが大変だった。
「どうしたんだ?」
「ゲーセンでも行こうと思って、お前を待っていたんだが……なるほど、日直だったのか」
「そうなんだ。もうちょいで終わるから」
「あいよ」
これ以上、待たせるのも悪いしちゃっちゃと書いてしまおう。
えーと……今日あった事は……。
「後、私としては買い物に行きたい」
「いいね~」
「意義なぁし」
「お? もしかして、夏休みの予定を立てているのか?」
義秋が3人の会話に入って行った。
その行動力が羨ましいな。
『貴方も、あのくらい行動力があればねぇ……』
いま心底そう思っているんだから、いちいち口に言わないでくれよ。
余計にへこむ。
「うん。3年になったら受験や夏期講習でまともに遊べないだろうし、パ~っと遊ぼうかと思って」
香夏子の口から受験という言葉が出てくるとは思いもしなかった。
なんだかんだで、ちゃんと考えてはいるみたいだが……でも、何故だろう。
来年の夏休みには「高校生、最後の夏休みなんだからパ~っと遊んで思い出を作らなくちゃ!」とか言って結局遊んでいる気がする。
「だったら、俺達も入れてくれよ」
すげぇ、躊躇せずに自分もその中に入れてと…………ん? 俺【達】?
それって、もしかして……。
「なぁ春彦」
「へっ!?」
やっぱり、俺も入っていたし!
ちょっと待て、急にそんな事言われても心の準備が!
「あ、もしかして夏休み中は用事でもあったか?」
「いっいや、特に何もないから大丈夫!」
むしろ暇な部類に入ります。
予定なんて全く考えていません。
「ちょっと~何勝手に決めているのよ。まぁ私は別にいいけど、2人は?」
「わたしはいいよぉ」
「うん、私もいいよ。みんなと遊びたいし」
やった! 神野さんと遊べるぞ!
まぁ2人ではないんだけど。
「決まりだな。で、みんなは何をしたい?」
何をしたいか……やべぇ何も思いつかない。
『やっぱ、夏と言えば海かプールでしょ! その案を――』
「みんなで遊ぶなら、海かプールに行きたいな~」
香夏子が先に言ってしまった。
『……なら、バーベキューよ! バーベキューを――』
「俺はバーベキューをやりたいな」
義秋がバーベキューと言ってしまった。
『……そうだわ! 今人間界で話題になっている恋愛物の映画があるの! それを観――』
「外もいいけどぉ涼しい映画館とかもいいなぁ。今、話題の恋愛物やってるしぃ」
星木さんが映画の事を言ってしまった。
『……まっまあ、そこまでは前座よ。メインはなんと言ってもお祭り! そして、花火よ! それを出せば――』
「私はお祭りに行きたいかな。毎年上がる花火が楽しみなの!」
メインの祭りを神野さんが言ってしまった。
『……グスン』
メイティーが落ち込んじゃったよ。
流石に見て気の毒になって来た。
まったく、仕方ないな。
(おい、お前の案を言ってやるから早く言え)
『えっ! ちょっちょっと待ってて! え~と、夏休みの定番……夏休みの定番……』
メイティーが聖書と言い張る漫画を読み始めた。
これは俺自身が考えて言うべきだったかもしれん。
でも、今更無視するのもかわいそうだし、頼むから変な事を言うなよ。
『……え~と……これだわ! 夏休みの宿題をみんなで集まってするの!』
嘘だろ。
俺は夏休みの宿題って序盤に終わらすタイプなんだが。
『何、その嫌そうな顔は? 言ってくれるっていったじゃん! 嘘つきはドロボウの始まりなんですけど!』
あーもーしょうがないな。
「……俺は、夏休みの宿題をする為に集まりたい……かな」
「宿題って……夏休み入る前に、それを予定に入れるのかよ」
ですよね。
義秋が言っている事は正しい。
集まるとしても、夏休みに入ってからだよな。
「……でもまぁいっか。それも予定に入れよう」
「え?」
何で?
数秒前と言っている事が違うじゃないか。
「そうね、みんなで集まるのはいい事だと思う。入れましょう入れましょう」
香夏子も賛成したぞ。
「決まりだねぇ~8月後半でいいかなぁ?」
星木さんまで。
「「異議なし!」」
何だ、この2人の一体感は? 別に宿題如き、そこまで……あっそうか、わかったぞ。
義秋と香夏子は、夏休みの終わりまで宿題をやらないタイプだった。
それで集まって見てもらう、あわよくば宿題を写させてもらおうという考えだな!
そして、星木さんも賛成しているから同じタイプとみた。
『やった! アタシの案が通ったわ!』
こいつはこいつで目的がずれている気がする。
まぁいいか喜んでいるみたいだし。
「よし、じゃあ詳しい事はメッセージのグループで決めようぜ」
メッセージ、グループ。
俺は義秋と香夏子のは知っている。
けど、神野さんと星木さんのは知らないから……。
「そうだねぇ。じゃあハルルン、ID交換しよぉ」
「あっ……うん」
だよな、流れ的にそうなるよね!
という事は、つまり……。
「えと……かっ神野さんのIDを交換しても……」
「うん、いいよ~」
うおおおおおおおおおおおおおおお! やったあああああああああああ!
自然な形で神野さんのIDをゲットしたぞおおおおおおおおおおお!!
ああ、神様……感謝します……。
「……よしっと、グループ完成」
グループ名は【春夏秋冬】。
何で季節なんだ?
「春夏秋冬……そうか、私達って名前に季節が入っているわね」
「そういう事!」
「おぉ~」
種島 春彦、金森 香夏子、大林 義秋、星木 美冬……本当だ、季節が入っている。
へぇー義秋にしてはいい着眼点だな。
「……私の名前……入ってない……」
「「「あっ」」」
「――っ!?」
その後、グループ名は単純に頭文字から取って【MKMYH】に変更された。
仲間外れですごく寂しそうな顔をしていた神野さん、そしてオシャレなグループ名を付けてドヤ顔していた義秋が神野さんの一言で一瞬にして真顔になった瞬間……この事は、色んな意味で俺は一生忘れる事が出来ないだろう。
放課後に書くのが煩わしんだよな……。
「じゃあ、この日はどうかな?」
「えと……うん、その日は大丈夫だよ」
「あいてるよぉ」
日誌を書いている横で香夏子、星木さん、神野さんの3人が教室に残って夏休みの予定を話している。
もうすぐ夏休みか……今年はどうしようかな。
休みの間実家に帰るのもありだが、どうせなら夏休み中は神野さんと遊びたい……遊びたいが……。
『ねぇねぇ。貴方はあの話の中には入らないの?』
それが出来たらどれだけいいか。
俺には、あの会話の中に入れる勇気はない。
「おーい、春彦ー」
「ん?」
義秋が教室に入って来た。
いつもならこの時間は部活に出ている義秋だが、足を捻挫てしまい休んでいる。
幸い軽い症状ですんだが、その話を聞いたメイティーが即治癒魔法をかけに行こうとして止めるのが大変だった。
「どうしたんだ?」
「ゲーセンでも行こうと思って、お前を待っていたんだが……なるほど、日直だったのか」
「そうなんだ。もうちょいで終わるから」
「あいよ」
これ以上、待たせるのも悪いしちゃっちゃと書いてしまおう。
えーと……今日あった事は……。
「後、私としては買い物に行きたい」
「いいね~」
「意義なぁし」
「お? もしかして、夏休みの予定を立てているのか?」
義秋が3人の会話に入って行った。
その行動力が羨ましいな。
『貴方も、あのくらい行動力があればねぇ……』
いま心底そう思っているんだから、いちいち口に言わないでくれよ。
余計にへこむ。
「うん。3年になったら受験や夏期講習でまともに遊べないだろうし、パ~っと遊ぼうかと思って」
香夏子の口から受験という言葉が出てくるとは思いもしなかった。
なんだかんだで、ちゃんと考えてはいるみたいだが……でも、何故だろう。
来年の夏休みには「高校生、最後の夏休みなんだからパ~っと遊んで思い出を作らなくちゃ!」とか言って結局遊んでいる気がする。
「だったら、俺達も入れてくれよ」
すげぇ、躊躇せずに自分もその中に入れてと…………ん? 俺【達】?
それって、もしかして……。
「なぁ春彦」
「へっ!?」
やっぱり、俺も入っていたし!
ちょっと待て、急にそんな事言われても心の準備が!
「あ、もしかして夏休み中は用事でもあったか?」
「いっいや、特に何もないから大丈夫!」
むしろ暇な部類に入ります。
予定なんて全く考えていません。
「ちょっと~何勝手に決めているのよ。まぁ私は別にいいけど、2人は?」
「わたしはいいよぉ」
「うん、私もいいよ。みんなと遊びたいし」
やった! 神野さんと遊べるぞ!
まぁ2人ではないんだけど。
「決まりだな。で、みんなは何をしたい?」
何をしたいか……やべぇ何も思いつかない。
『やっぱ、夏と言えば海かプールでしょ! その案を――』
「みんなで遊ぶなら、海かプールに行きたいな~」
香夏子が先に言ってしまった。
『……なら、バーベキューよ! バーベキューを――』
「俺はバーベキューをやりたいな」
義秋がバーベキューと言ってしまった。
『……そうだわ! 今人間界で話題になっている恋愛物の映画があるの! それを観――』
「外もいいけどぉ涼しい映画館とかもいいなぁ。今、話題の恋愛物やってるしぃ」
星木さんが映画の事を言ってしまった。
『……まっまあ、そこまでは前座よ。メインはなんと言ってもお祭り! そして、花火よ! それを出せば――』
「私はお祭りに行きたいかな。毎年上がる花火が楽しみなの!」
メインの祭りを神野さんが言ってしまった。
『……グスン』
メイティーが落ち込んじゃったよ。
流石に見て気の毒になって来た。
まったく、仕方ないな。
(おい、お前の案を言ってやるから早く言え)
『えっ! ちょっちょっと待ってて! え~と、夏休みの定番……夏休みの定番……』
メイティーが聖書と言い張る漫画を読み始めた。
これは俺自身が考えて言うべきだったかもしれん。
でも、今更無視するのもかわいそうだし、頼むから変な事を言うなよ。
『……え~と……これだわ! 夏休みの宿題をみんなで集まってするの!』
嘘だろ。
俺は夏休みの宿題って序盤に終わらすタイプなんだが。
『何、その嫌そうな顔は? 言ってくれるっていったじゃん! 嘘つきはドロボウの始まりなんですけど!』
あーもーしょうがないな。
「……俺は、夏休みの宿題をする為に集まりたい……かな」
「宿題って……夏休み入る前に、それを予定に入れるのかよ」
ですよね。
義秋が言っている事は正しい。
集まるとしても、夏休みに入ってからだよな。
「……でもまぁいっか。それも予定に入れよう」
「え?」
何で?
数秒前と言っている事が違うじゃないか。
「そうね、みんなで集まるのはいい事だと思う。入れましょう入れましょう」
香夏子も賛成したぞ。
「決まりだねぇ~8月後半でいいかなぁ?」
星木さんまで。
「「異議なし!」」
何だ、この2人の一体感は? 別に宿題如き、そこまで……あっそうか、わかったぞ。
義秋と香夏子は、夏休みの終わりまで宿題をやらないタイプだった。
それで集まって見てもらう、あわよくば宿題を写させてもらおうという考えだな!
そして、星木さんも賛成しているから同じタイプとみた。
『やった! アタシの案が通ったわ!』
こいつはこいつで目的がずれている気がする。
まぁいいか喜んでいるみたいだし。
「よし、じゃあ詳しい事はメッセージのグループで決めようぜ」
メッセージ、グループ。
俺は義秋と香夏子のは知っている。
けど、神野さんと星木さんのは知らないから……。
「そうだねぇ。じゃあハルルン、ID交換しよぉ」
「あっ……うん」
だよな、流れ的にそうなるよね!
という事は、つまり……。
「えと……かっ神野さんのIDを交換しても……」
「うん、いいよ~」
うおおおおおおおおおおおおおおお! やったあああああああああああ!
自然な形で神野さんのIDをゲットしたぞおおおおおおおおおおお!!
ああ、神様……感謝します……。
「……よしっと、グループ完成」
グループ名は【春夏秋冬】。
何で季節なんだ?
「春夏秋冬……そうか、私達って名前に季節が入っているわね」
「そういう事!」
「おぉ~」
種島 春彦、金森 香夏子、大林 義秋、星木 美冬……本当だ、季節が入っている。
へぇー義秋にしてはいい着眼点だな。
「……私の名前……入ってない……」
「「「あっ」」」
「――っ!?」
その後、グループ名は単純に頭文字から取って【MKMYH】に変更された。
仲間外れですごく寂しそうな顔をしていた神野さん、そしてオシャレなグループ名を付けてドヤ顔していた義秋が神野さんの一言で一瞬にして真顔になった瞬間……この事は、色んな意味で俺は一生忘れる事が出来ないだろう。
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