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3章 探せ、アリシアの結婚指輪
その8
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「いててて……」
落ちた時にお尻を打っちゃったみたいね。
思いっきり地面に跡が残っているし。
「はあ……まったく、何やってんのよ……」
お尻なら別に回復魔法はしなくてもいいわよね。
まぁそもそもローニだったら頑丈だからいらないか。
「ん? うげっ! アリシア!? どうしてここに!?」
透明だから姿は見えないけど、すごく驚いているのが声でわかる。
何よ、あなたの見慣れた顔でしょうに。
ちょっと傷つくな……。
「どうしてここに!? じゃないわよ。ローニの行く所に私ありよ」
「……迷惑な」
迷惑って……あなたがシオンにくっ付いて行ったから、私が来る羽目になったんでしょうが!
ええい! 透明化マントを引っぺがして、そのマヌケ面を拝んでやる!
「ほら! そこに居るのは分かっているんだから、さっさと透明化マントを脱ぎなさいよ!」
「あっ! こら、やめろ! その手を離せ!」
こいつ、無駄な抵抗を!
こうなったら、私も全力を出してやるううう!
「ぬおおおおおおおおおおりゃああああああ!!」
「ああっ!」
よし、勝った!
これでローニの姿が見えるようになった。
――チャリン
「あら?」
今、ローニから引っぺがした透明化マントから何か地面に落ちた。
何やら金色に光っているけど……あっこれってもしかして!
「――っ! やっぱり、これ私の結婚指輪じゃないの!」
どうしてローニが私の指輪を持っているの?
意味がわかんないですけど!
「ちょっと! どうして、あなたが私の結婚指輪を持っているのよ!?」
「え? どうしてって……お前覚えていないのか?」
覚えていない? ローニは何を言っているのかしら。
全然話が見えない。
「それってどう言う事よ!」
「あー……あれだけ酔っ払っていたからな……覚えていなくてもおかしくないか」
「……え? 酔って……?」
すごく、ものすご~く嫌な予感がして来た。
これは……もしかして、私がやらかした……?
「……昨日の晩……なにが……あった……の?」
「俺がアリシアを見つけた時ベロベロに酔っていたんだよ」
「……」
どうして戻ってこれたのかとか、私を見つけられたのかとか、その辺りも聞きたいけど……今は話を遮らずに聞いた方がいいわよね。
「流石にこのままじゃ駄目だと思って、俺が店から出して宿につれて帰ったんだよ。で、こんな事だと追剥あうぞって言ったら、アリシアが「んじゃあ~この大事な結婚指輪はローニが持っててよ~」って言って、自分で外して俺に渡したんだよ」
「えええっ!! 嘘でしょ!?」
まさかの真実!
私自身が結婚指輪を手放していたなんて……。
ああ……どうして覚えていないかな……。
「別にそんなに驚かなくても……ん? 待てよ……結婚指輪……ゴールドリング……捜索……」
ギクッ!
まずい!
「……ハッ! もしかして、シオン達が受けたゴールドリングの捜索依頼ってアリシアが出した物だったのか!?」
ああ、完全にバレちゃったよ。
「おい、どうなんだ?」
「……」
「……おーい」
「……」
「何黙っているんだよ」
「……」
「その沈黙は、当たりの様だな」
うう、もはや言い逃れは出来ない。
ここは素直に謝っておこう。
「……はい、そうです……すみません……」
「マジか。つか、なに自分の結婚指輪を娘に探させているんだよ」
いやいやいやいや、それは誤解だから!
私もまさかシオンがこの依頼を受けるなんて思いもしなかったんだから!
そこはちゃんと言わないと!
「違うのよ! これには深い事情があって――」
《――やな》
《――すわ》
「っ!」
今、人の声が聞こえた。
このタイミングに人の声って、もしかしたら……。
「話の途中で黙るなよ、一体何が違うって……」
「しっ! ちょっと静かにして!」
耳に全神経を集中。
予想通りなら、この状況はまずいし。
《え~と、辺りですかね?》
《そのはずなんですが……》
《ん~……せやけど、それらしい樹は見つからんね》
《なら、もう少し奥に行ってみようよ》
やっぱり、この声はシオン達だわ。
しかも、距離的にかなり近い。
しまったな……ローニと話していたせいで、シオン達が近づいている事に全く気が付かなかった。
これはやばい、早くどこかに隠れないと!
「おーい、どうしたんだよ?」
「どうしたもこうしたも、シオン達が来たから早く隠れなきゃ!」
「なんだって!?」
とりあえず、私はこの茂みの中に隠れて……後は見つからない事を祈るだけね。
「とおっ!」
「なっ!?」
って、ローニも同じ場所に入って来たし!
何を考えているの、さすがに大人2人は無理があるわよ!
「ちょっと! どうしてここに隠れるのよ!」
「仕方ないだろ! とっさに隠れる所ってここしかないんだから!」
「ここしかない? 何を言っているのよ、あなたには透明化マントが……あっ」
そうだ、透明化マントはいま私の手の中にあるんだった。
……なら、私がこれを羽織っちゃえ。
「……あれ? アリシアの姿がない……あっ! お前、俺のマントを使ったな!? 卑怯だぞ!!」
「うふふふ~」
あ~これでコソコソする必要が無いから楽だわ~。
「あ、大きい樹がありますわ!」
おっと、シオン達の姿が見えた。
間一髪ね、もう少し気が付くのが遅かったら見られていたわ。
「ほら、シオン達が来たから静かにしなさいな」
「くーーーーー憶えとけよ!」
シオン達が目の前に見えても焦らなくいいって楽だわ。
ローニは普段こんな感じだったのか……やっぱり、透明化マントがあるかないかでかなりの差が出来ていたのね。
落ちた時にお尻を打っちゃったみたいね。
思いっきり地面に跡が残っているし。
「はあ……まったく、何やってんのよ……」
お尻なら別に回復魔法はしなくてもいいわよね。
まぁそもそもローニだったら頑丈だからいらないか。
「ん? うげっ! アリシア!? どうしてここに!?」
透明だから姿は見えないけど、すごく驚いているのが声でわかる。
何よ、あなたの見慣れた顔でしょうに。
ちょっと傷つくな……。
「どうしてここに!? じゃないわよ。ローニの行く所に私ありよ」
「……迷惑な」
迷惑って……あなたがシオンにくっ付いて行ったから、私が来る羽目になったんでしょうが!
ええい! 透明化マントを引っぺがして、そのマヌケ面を拝んでやる!
「ほら! そこに居るのは分かっているんだから、さっさと透明化マントを脱ぎなさいよ!」
「あっ! こら、やめろ! その手を離せ!」
こいつ、無駄な抵抗を!
こうなったら、私も全力を出してやるううう!
「ぬおおおおおおおおおおりゃああああああ!!」
「ああっ!」
よし、勝った!
これでローニの姿が見えるようになった。
――チャリン
「あら?」
今、ローニから引っぺがした透明化マントから何か地面に落ちた。
何やら金色に光っているけど……あっこれってもしかして!
「――っ! やっぱり、これ私の結婚指輪じゃないの!」
どうしてローニが私の指輪を持っているの?
意味がわかんないですけど!
「ちょっと! どうして、あなたが私の結婚指輪を持っているのよ!?」
「え? どうしてって……お前覚えていないのか?」
覚えていない? ローニは何を言っているのかしら。
全然話が見えない。
「それってどう言う事よ!」
「あー……あれだけ酔っ払っていたからな……覚えていなくてもおかしくないか」
「……え? 酔って……?」
すごく、ものすご~く嫌な予感がして来た。
これは……もしかして、私がやらかした……?
「……昨日の晩……なにが……あった……の?」
「俺がアリシアを見つけた時ベロベロに酔っていたんだよ」
「……」
どうして戻ってこれたのかとか、私を見つけられたのかとか、その辺りも聞きたいけど……今は話を遮らずに聞いた方がいいわよね。
「流石にこのままじゃ駄目だと思って、俺が店から出して宿につれて帰ったんだよ。で、こんな事だと追剥あうぞって言ったら、アリシアが「んじゃあ~この大事な結婚指輪はローニが持っててよ~」って言って、自分で外して俺に渡したんだよ」
「えええっ!! 嘘でしょ!?」
まさかの真実!
私自身が結婚指輪を手放していたなんて……。
ああ……どうして覚えていないかな……。
「別にそんなに驚かなくても……ん? 待てよ……結婚指輪……ゴールドリング……捜索……」
ギクッ!
まずい!
「……ハッ! もしかして、シオン達が受けたゴールドリングの捜索依頼ってアリシアが出した物だったのか!?」
ああ、完全にバレちゃったよ。
「おい、どうなんだ?」
「……」
「……おーい」
「……」
「何黙っているんだよ」
「……」
「その沈黙は、当たりの様だな」
うう、もはや言い逃れは出来ない。
ここは素直に謝っておこう。
「……はい、そうです……すみません……」
「マジか。つか、なに自分の結婚指輪を娘に探させているんだよ」
いやいやいやいや、それは誤解だから!
私もまさかシオンがこの依頼を受けるなんて思いもしなかったんだから!
そこはちゃんと言わないと!
「違うのよ! これには深い事情があって――」
《――やな》
《――すわ》
「っ!」
今、人の声が聞こえた。
このタイミングに人の声って、もしかしたら……。
「話の途中で黙るなよ、一体何が違うって……」
「しっ! ちょっと静かにして!」
耳に全神経を集中。
予想通りなら、この状況はまずいし。
《え~と、辺りですかね?》
《そのはずなんですが……》
《ん~……せやけど、それらしい樹は見つからんね》
《なら、もう少し奥に行ってみようよ》
やっぱり、この声はシオン達だわ。
しかも、距離的にかなり近い。
しまったな……ローニと話していたせいで、シオン達が近づいている事に全く気が付かなかった。
これはやばい、早くどこかに隠れないと!
「おーい、どうしたんだよ?」
「どうしたもこうしたも、シオン達が来たから早く隠れなきゃ!」
「なんだって!?」
とりあえず、私はこの茂みの中に隠れて……後は見つからない事を祈るだけね。
「とおっ!」
「なっ!?」
って、ローニも同じ場所に入って来たし!
何を考えているの、さすがに大人2人は無理があるわよ!
「ちょっと! どうしてここに隠れるのよ!」
「仕方ないだろ! とっさに隠れる所ってここしかないんだから!」
「ここしかない? 何を言っているのよ、あなたには透明化マントが……あっ」
そうだ、透明化マントはいま私の手の中にあるんだった。
……なら、私がこれを羽織っちゃえ。
「……あれ? アリシアの姿がない……あっ! お前、俺のマントを使ったな!? 卑怯だぞ!!」
「うふふふ~」
あ~これでコソコソする必要が無いから楽だわ~。
「あ、大きい樹がありますわ!」
おっと、シオン達の姿が見えた。
間一髪ね、もう少し気が付くのが遅かったら見られていたわ。
「ほら、シオン達が来たから静かにしなさいな」
「くーーーーー憶えとけよ!」
シオン達が目の前に見えても焦らなくいいって楽だわ。
ローニは普段こんな感じだったのか……やっぱり、透明化マントがあるかないかでかなりの差が出来ていたのね。
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