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3章 探せ、アリシアの結婚指輪
その7
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にしても大ガラスか~。
光物を自分の巣に集める習性があるから、あるとすれば確実に巣の中だろうだけど……この街中には確実に大ガラスの巣なんてあるはずがないのよね。
なにせ、大ガラスは普通のカラスより2~3倍も大きい。
街中に大ガラスの巣があれば、危ないからと撤去されちゃう。だから街の外にあるんだろうけど……そうなると全く見当がつかないわ。
ん~……なら一度ギルドに行って、大ガラスの情報が無いか聞いてみましょうか。
「大ガラスねぇ……みんなはこの話信じる?」
ルイカちゃんが疑いの目を男の人に向けている。
気持ちはわかるけど、裸になるって言っているくらいだしかなり落ち込んでいるし少しは信じてあげようよ。
まぁ後でお仕置きはするけどね。
「わたくしは信じますわ。光物を集めるのは大ガラスの習性でもありますし、この人もここまで言っていますもの」
そうそう、それでいいの。
信じる事も大事よ。
「そうですね。では、大ガラスの情報を……」
「ちょっと待った。お嬢ちゃん達」
え? 誰この人。
ガタイのいい中年の男の人が話に割って入って来たわ。
「あの、どちら様ですの?」
「あん? ……げっ! 警備のおっちゃん!」
警備の……あ~だからガタイが良いのか。
「こいつは手癖の悪い馬鹿野郎でな、話をまともに聞いては駄目だぞ。まったく……またやらかしたのか。お前のせいで、毎日毎日この辺りを見回るこっちの身にもなってくれよ……」
常習犯だったのか。
という事は、今のは演技って事?
……やっぱり、今すぐ燃やしてやろうかしら。
「ちょっちょっと待ってくれよ、おっちゃん! こいつらに話していた事は事実なんだ! 本当に大ガラスにゴールドリングを盗られたんだよ!! 信じてくれ!!」
地面に頭を付けて懇願しているわ。
「その信じてくれをお前は何回言っているんだ……ほれ、今からお前の家に行くぞ」
「ええっ!? 今から!? そんな事をされたら、まだ売っていない物が見つ……あっ」
今口を塞いでも遅いわよ、これはクロだわ。
「さあ、家に行くぞ……」
「……はい」
男も観念したのか、項垂れちゃっている。
「嬢ちゃん達、一緒に来てくれるか? 探し物があるかどうか確認してほしんだが」
「あっはい、わかりましたわ」
「なんか、すぐ見つかりそうで良かった良かった」
「せやな。楽な依頼になって嬉しいわ」
シオン達が警備兵の人とあの男の家に向かったわ。
お仕置きはしたかったけど、連れて行かれちゃったしどうしようもないわ。
「ん~……にしても、大ガラスの話は引っかかるわね」
あの人が言っていた事が本当の可能性も十分ありえる。
よし、私は大ガラスの件で調べよう。
仮にあの人の家にあればそれでいいし、無かったらと考えたらその方がいいわ。
それにローニもあの状態じゃ手の出しようがないしね。
じゃあ、今からギルドに向かいますか。
※
「あの~」
「あっはい……何か……ありましたか?」
まだカウンターの中に入らないように警戒している。
だからもうそんな事はしないってば……というか、そんな事をされると目を瞑ってもらう為に私が渡したお金の意味がない気がするんだけどな。
まぁいいや、今は本題。
「大ガラスの巣についてお聞きしたいのですが、近くにありますか?」
「え? 大ガラスですか? それなら西の森の奥にあるという報告がありますね。街から離れているので特に問題なしと判断しておりますが……」
「西の森ですか……」
ヨギ草を採りに行った森ね。
あの奥に大ガラスの巣があったのか。
「あの~もしかしてゴールドリングは大ガラスが持って行ったんですか?」
「あっはい、絶対ではないのですが……そういった話を聞いたもので……」
本当にあるかどうかはまだ不明だけども。
別にこれは言わなくてもいいわよね。
「なるほど……ふむ、先ほどといい今といい……街に出没し始めているから、上に大ガラスの件を報告するべきね……」
ん? 先ほど?
……これは、もしかして……。
「えと、先ほどというのは?」
「ああ……お客様がお越しになる少し前に男の人が来ましてね、大ガラスに物を盗られたから巣の場所を教えてほしい! っと」
うん、ローニだわ。
恐らく大ガラスが盗っていったまで聞いて、すぐにギルドに来たみたいね。
だったら放置していても……って、それは駄目だ!
ローニに指輪を見られたら一発で私のだってバレちゃう!
急いで森に向かわないと!!
※
さて、急いで森に来たのはいいけど……。
「巣はどこにあるのかしら?」
急いでギルドから出て来ちゃったから詳細がわからない。
しまったな~もう少しちゃんと聞くべきだった。
《グワー! グワー!》
おっどこからか鳥の鳴き声がするわね。
もしかして大ガラスかしら。
え~と、こっちね。
《グワー! グワー!》
よし、だいぶ声が近づいて来た……わ?
「う~わ~……大きな樹ね……」
樹齢はどのくらいかしら?
もしかしたら、私と同じくらいで3桁は……。
《グワー! グワー!》
あ、この大きい樹の上から鳴き声が聞こえたね。
「いてっ! いたたた! おい! こら! やめろ! ひっぱるな! つっつくな!!」
ついでに聞き覚えのある声も……。
どうやらローニはこの樹に登っているみたい。
で、大ガラスに攻撃されると。
《グワー! グワー!》
「この! いい加減にしないと焼き鳥にして食っちまう……おいおい! やめろ! 枝を揺らすんじゃない! このままじゃ落ちる! 悪かった! 言い過ぎた! だから話し合おうじゃないか!」
大ガラスに向かって話し合うって……。
通じるわけがないでしょうに。
「だから、やめっ……ああああああああああああああああ!!」
――ドシーーーン!
見えない何かが樹の上から落ちて来たわ。
まぁその何かは、私にはわかるんだけどね。
はあ……勇者が大ガラス相手に樹から落とされるなんて、実に情けない……。
光物を自分の巣に集める習性があるから、あるとすれば確実に巣の中だろうだけど……この街中には確実に大ガラスの巣なんてあるはずがないのよね。
なにせ、大ガラスは普通のカラスより2~3倍も大きい。
街中に大ガラスの巣があれば、危ないからと撤去されちゃう。だから街の外にあるんだろうけど……そうなると全く見当がつかないわ。
ん~……なら一度ギルドに行って、大ガラスの情報が無いか聞いてみましょうか。
「大ガラスねぇ……みんなはこの話信じる?」
ルイカちゃんが疑いの目を男の人に向けている。
気持ちはわかるけど、裸になるって言っているくらいだしかなり落ち込んでいるし少しは信じてあげようよ。
まぁ後でお仕置きはするけどね。
「わたくしは信じますわ。光物を集めるのは大ガラスの習性でもありますし、この人もここまで言っていますもの」
そうそう、それでいいの。
信じる事も大事よ。
「そうですね。では、大ガラスの情報を……」
「ちょっと待った。お嬢ちゃん達」
え? 誰この人。
ガタイのいい中年の男の人が話に割って入って来たわ。
「あの、どちら様ですの?」
「あん? ……げっ! 警備のおっちゃん!」
警備の……あ~だからガタイが良いのか。
「こいつは手癖の悪い馬鹿野郎でな、話をまともに聞いては駄目だぞ。まったく……またやらかしたのか。お前のせいで、毎日毎日この辺りを見回るこっちの身にもなってくれよ……」
常習犯だったのか。
という事は、今のは演技って事?
……やっぱり、今すぐ燃やしてやろうかしら。
「ちょっちょっと待ってくれよ、おっちゃん! こいつらに話していた事は事実なんだ! 本当に大ガラスにゴールドリングを盗られたんだよ!! 信じてくれ!!」
地面に頭を付けて懇願しているわ。
「その信じてくれをお前は何回言っているんだ……ほれ、今からお前の家に行くぞ」
「ええっ!? 今から!? そんな事をされたら、まだ売っていない物が見つ……あっ」
今口を塞いでも遅いわよ、これはクロだわ。
「さあ、家に行くぞ……」
「……はい」
男も観念したのか、項垂れちゃっている。
「嬢ちゃん達、一緒に来てくれるか? 探し物があるかどうか確認してほしんだが」
「あっはい、わかりましたわ」
「なんか、すぐ見つかりそうで良かった良かった」
「せやな。楽な依頼になって嬉しいわ」
シオン達が警備兵の人とあの男の家に向かったわ。
お仕置きはしたかったけど、連れて行かれちゃったしどうしようもないわ。
「ん~……にしても、大ガラスの話は引っかかるわね」
あの人が言っていた事が本当の可能性も十分ありえる。
よし、私は大ガラスの件で調べよう。
仮にあの人の家にあればそれでいいし、無かったらと考えたらその方がいいわ。
それにローニもあの状態じゃ手の出しようがないしね。
じゃあ、今からギルドに向かいますか。
※
「あの~」
「あっはい……何か……ありましたか?」
まだカウンターの中に入らないように警戒している。
だからもうそんな事はしないってば……というか、そんな事をされると目を瞑ってもらう為に私が渡したお金の意味がない気がするんだけどな。
まぁいいや、今は本題。
「大ガラスの巣についてお聞きしたいのですが、近くにありますか?」
「え? 大ガラスですか? それなら西の森の奥にあるという報告がありますね。街から離れているので特に問題なしと判断しておりますが……」
「西の森ですか……」
ヨギ草を採りに行った森ね。
あの奥に大ガラスの巣があったのか。
「あの~もしかしてゴールドリングは大ガラスが持って行ったんですか?」
「あっはい、絶対ではないのですが……そういった話を聞いたもので……」
本当にあるかどうかはまだ不明だけども。
別にこれは言わなくてもいいわよね。
「なるほど……ふむ、先ほどといい今といい……街に出没し始めているから、上に大ガラスの件を報告するべきね……」
ん? 先ほど?
……これは、もしかして……。
「えと、先ほどというのは?」
「ああ……お客様がお越しになる少し前に男の人が来ましてね、大ガラスに物を盗られたから巣の場所を教えてほしい! っと」
うん、ローニだわ。
恐らく大ガラスが盗っていったまで聞いて、すぐにギルドに来たみたいね。
だったら放置していても……って、それは駄目だ!
ローニに指輪を見られたら一発で私のだってバレちゃう!
急いで森に向かわないと!!
※
さて、急いで森に来たのはいいけど……。
「巣はどこにあるのかしら?」
急いでギルドから出て来ちゃったから詳細がわからない。
しまったな~もう少しちゃんと聞くべきだった。
《グワー! グワー!》
おっどこからか鳥の鳴き声がするわね。
もしかして大ガラスかしら。
え~と、こっちね。
《グワー! グワー!》
よし、だいぶ声が近づいて来た……わ?
「う~わ~……大きな樹ね……」
樹齢はどのくらいかしら?
もしかしたら、私と同じくらいで3桁は……。
《グワー! グワー!》
あ、この大きい樹の上から鳴き声が聞こえたね。
「いてっ! いたたた! おい! こら! やめろ! ひっぱるな! つっつくな!!」
ついでに聞き覚えのある声も……。
どうやらローニはこの樹に登っているみたい。
で、大ガラスに攻撃されると。
《グワー! グワー!》
「この! いい加減にしないと焼き鳥にして食っちまう……おいおい! やめろ! 枝を揺らすんじゃない! このままじゃ落ちる! 悪かった! 言い過ぎた! だから話し合おうじゃないか!」
大ガラスに向かって話し合うって……。
通じるわけがないでしょうに。
「だから、やめっ……ああああああああああああああああ!!」
――ドシーーーン!
見えない何かが樹の上から落ちて来たわ。
まぁその何かは、私にはわかるんだけどね。
はあ……勇者が大ガラス相手に樹から落とされるなんて、実に情けない……。
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