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3章 探せ、アリシアの結婚指輪
その6
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まぁそれはさておき、この馬鹿をどうしたものかしら。
やっぱりこのまま捕獲していた方がいいわよね。
『……』
うん、とりあえず鉄仮面を脱がせよう。
何を考えているのか全くわからないのは非常に困るし。
「ローニ、いい加減にその鉄仮面をはず……」
『――あっ! シオン!!』
「――えっ!?」
しまった!
ローニに気を取られ過ぎて、背後にシオン達が来ている事に気が付かなかった!
「ちっ違うのよ、シオン! これには理由があって……って……あれ?」
背後にはシオンどころか誰もいないじゃない。
あ~良かった、焦った……わ……?
ハッ!! しまった、これはローニの――。
「――っ!」
やっぱり! ローニの姿が何処にもない!
私が後ろを向いている間に透明化マントで姿を消したんだ。
「くうううううう! 私の馬鹿馬鹿!!」
こんな単純な手に引っかかるなんて何たる不覚。
2人の事を色々思っていたけど、私も大概な気がしてきたな。
はぁ~こんな所で気落ちしていても仕方ないわよね、シオン達の様子を見に戻りましょう。
※
さて、どうなっているのかしら。
鉄仮面被った二人組が途中で割り込んで来たから、もう話は終わってそうだけど……。
「……お前たちが必死に依頼を達成しようとしているのはわかるが、限度というものをちゃんと考えないと立派な冒険者になれんぞ。それじゃあ早死にしてしまうだけだ」
「「「「はい……」」」」
と思ったら、終わらずにお説教が続いていた。
それほど中をぐちゃぐちゃにしたのか。
というか、居酒屋の亭主がどうして新米とはいえ冒険者に対して冒険者の心得みたいなことを話しているのだろうか。
「……もう十分反省しているみたいだし、俺も片づけがあるから今日はここまでにしてやるよ。ただし、割れた食器代等はギルドに話して弁償してもらうからな」
「「「「はい……」」」」
「じゃあ、この紙にお前たちの名前を書いてくれ」
やらかしたのはチトちゃんとルイカちゃんなのに、シオンとアスターも巻き添え。
まぁこれも社会勉強と思ってもらうしかないかな。
……私だったら理不尽だ! って叫んじゃいそうだけど。
※
「シオねぇ……アスターさん……本当にごめんね……」
「ほんまにごめんな……」
「いえいえ、気にしないでください」
「そうそう! わたくしは全然気にしていませんわ! ですから、元気を出して!」
とぼとぼと歩くチトちゃんとルイカちゃん。
そして、励ますシオン。
さっきと立場が逆転している……。
「あのお店に無かったとなると、今度は道中で聞き込みをしましょう。もしかしたら拾った人や見かけた人もいるかもしれませんし」
……あっそうか。
指輪が拾われていたら、警備派出所に届けられているかもしれないじゃない。
何で最初に警備派出所へ向かわず、ギルドに依頼なんてしているのよ!!
色々ありすぎて、全くそこに考えが回らなかったとしてもマヌケすぎる!
「……拾った人……? ねぇだったら警備派出所に届けられているかもしれないんじゃ?」
そう! そうよ、ルイカちゃん!
今すぐ警備派出所に向かって……。
「はぁ……考えが浅すぎんで……」
え? チトちゃん?
貴女は何を言っているの?
「むっ、考えが浅いってどういう事だよ。あの依頼者は警備派出所に行った事を話していなかったじゃん」
そりゃ警備派出所になんて行ってませんからね。
「話す必要があれへん。だって、警備派出所なんて失くし物をしたら真っ先に向かう所やねんから。そんな当たり前の事をわざわざ話す事もないやろ?」
え!? チトちゃん!?
貴女は一体何を言っているの!?
どうしてそうなるの!?
「あ~……」
「で、ギルドに依頼を出したって事は、警備派出所にはゴールドリングはあれへんかったっちゅう事や」
いや、そうじゃないのよ! 本当に行っていないの!
もしかしたら、警備派出所に結婚指輪があるかもしれないから今すぐ向かってほしいのよ!
「そっか~……さすがチト先輩だね」
「そうやろ。もっと褒めてもええんやで」
ああああ……。
もう駄目だ、これは行く気配が全くない。
「では、聞き込みをしてみましょう。え~と……まずはあの座っている男の人に聞いてしましょうか。すみませ~ん!」
「ん? 何だ、お嬢ちゃん、俺に用か?」
こうなったら、私が今すぐに警備派出所へ向かって届けられていないか聞きに行くしかないか。
フードを深くかぶって……よし、これならシオンに気が付かれずに横を通れるだろう。
「はい、お聞きしたい事がありますの」
「聞きたい事?」
「ただ今ゴールドリングを探していますの。お見かけしたり、拾ったりしていませんか?」
シオン、物を拾っている人をいちいち気にしている人なんてほとんどいないわよ。
それに拾っていたら警備派出所へ届けるか、もしかしたら自分の物にしちゃってい……る……そうか! 最悪の場合、警備派出所へ届けずに持って行っちゃった可能性があるじゃない!
その場合だともう結婚指輪はかえってないって事になっちゃう!
そんなあああああああああああ!!
「ゴールドリング? ……ああ、それなら知っているぜ」
……えっ!?
いま、なんて言った!?
「え! 本当ですの?」
「ああ、今朝俺が拾ったんだよ……」
「えっ!」
「なんですって!?」
お前が犯人かああああああああああああああああああ!!
許せん!! 今すぐ消し炭にしてや……。
「けど、その後に大ガラスにゴールドリングを持っていかれたんだ……」
本当かしら?
今すぐこいつの服を燃やしてしまえば早いわよね……。
「え~と、それは本当の事ですの?」
「ああ……本当だ……信じられないのなら今すぐ裸になってやってもいいぞ……はぁ……今日の酒代にしようと思ったのによ……くそっ!」
この感じは本当の事のようね。
それに、盗みをしようとしていた事も事実みたいだし……うん、後で二度とそんな事を考えない様にお仕置きはしないといけないわね。
やっぱりこのまま捕獲していた方がいいわよね。
『……』
うん、とりあえず鉄仮面を脱がせよう。
何を考えているのか全くわからないのは非常に困るし。
「ローニ、いい加減にその鉄仮面をはず……」
『――あっ! シオン!!』
「――えっ!?」
しまった!
ローニに気を取られ過ぎて、背後にシオン達が来ている事に気が付かなかった!
「ちっ違うのよ、シオン! これには理由があって……って……あれ?」
背後にはシオンどころか誰もいないじゃない。
あ~良かった、焦った……わ……?
ハッ!! しまった、これはローニの――。
「――っ!」
やっぱり! ローニの姿が何処にもない!
私が後ろを向いている間に透明化マントで姿を消したんだ。
「くうううううう! 私の馬鹿馬鹿!!」
こんな単純な手に引っかかるなんて何たる不覚。
2人の事を色々思っていたけど、私も大概な気がしてきたな。
はぁ~こんな所で気落ちしていても仕方ないわよね、シオン達の様子を見に戻りましょう。
※
さて、どうなっているのかしら。
鉄仮面被った二人組が途中で割り込んで来たから、もう話は終わってそうだけど……。
「……お前たちが必死に依頼を達成しようとしているのはわかるが、限度というものをちゃんと考えないと立派な冒険者になれんぞ。それじゃあ早死にしてしまうだけだ」
「「「「はい……」」」」
と思ったら、終わらずにお説教が続いていた。
それほど中をぐちゃぐちゃにしたのか。
というか、居酒屋の亭主がどうして新米とはいえ冒険者に対して冒険者の心得みたいなことを話しているのだろうか。
「……もう十分反省しているみたいだし、俺も片づけがあるから今日はここまでにしてやるよ。ただし、割れた食器代等はギルドに話して弁償してもらうからな」
「「「「はい……」」」」
「じゃあ、この紙にお前たちの名前を書いてくれ」
やらかしたのはチトちゃんとルイカちゃんなのに、シオンとアスターも巻き添え。
まぁこれも社会勉強と思ってもらうしかないかな。
……私だったら理不尽だ! って叫んじゃいそうだけど。
※
「シオねぇ……アスターさん……本当にごめんね……」
「ほんまにごめんな……」
「いえいえ、気にしないでください」
「そうそう! わたくしは全然気にしていませんわ! ですから、元気を出して!」
とぼとぼと歩くチトちゃんとルイカちゃん。
そして、励ますシオン。
さっきと立場が逆転している……。
「あのお店に無かったとなると、今度は道中で聞き込みをしましょう。もしかしたら拾った人や見かけた人もいるかもしれませんし」
……あっそうか。
指輪が拾われていたら、警備派出所に届けられているかもしれないじゃない。
何で最初に警備派出所へ向かわず、ギルドに依頼なんてしているのよ!!
色々ありすぎて、全くそこに考えが回らなかったとしてもマヌケすぎる!
「……拾った人……? ねぇだったら警備派出所に届けられているかもしれないんじゃ?」
そう! そうよ、ルイカちゃん!
今すぐ警備派出所に向かって……。
「はぁ……考えが浅すぎんで……」
え? チトちゃん?
貴女は何を言っているの?
「むっ、考えが浅いってどういう事だよ。あの依頼者は警備派出所に行った事を話していなかったじゃん」
そりゃ警備派出所になんて行ってませんからね。
「話す必要があれへん。だって、警備派出所なんて失くし物をしたら真っ先に向かう所やねんから。そんな当たり前の事をわざわざ話す事もないやろ?」
え!? チトちゃん!?
貴女は一体何を言っているの!?
どうしてそうなるの!?
「あ~……」
「で、ギルドに依頼を出したって事は、警備派出所にはゴールドリングはあれへんかったっちゅう事や」
いや、そうじゃないのよ! 本当に行っていないの!
もしかしたら、警備派出所に結婚指輪があるかもしれないから今すぐ向かってほしいのよ!
「そっか~……さすがチト先輩だね」
「そうやろ。もっと褒めてもええんやで」
ああああ……。
もう駄目だ、これは行く気配が全くない。
「では、聞き込みをしてみましょう。え~と……まずはあの座っている男の人に聞いてしましょうか。すみませ~ん!」
「ん? 何だ、お嬢ちゃん、俺に用か?」
こうなったら、私が今すぐに警備派出所へ向かって届けられていないか聞きに行くしかないか。
フードを深くかぶって……よし、これならシオンに気が付かれずに横を通れるだろう。
「はい、お聞きしたい事がありますの」
「聞きたい事?」
「ただ今ゴールドリングを探していますの。お見かけしたり、拾ったりしていませんか?」
シオン、物を拾っている人をいちいち気にしている人なんてほとんどいないわよ。
それに拾っていたら警備派出所へ届けるか、もしかしたら自分の物にしちゃってい……る……そうか! 最悪の場合、警備派出所へ届けずに持って行っちゃった可能性があるじゃない!
その場合だともう結婚指輪はかえってないって事になっちゃう!
そんなあああああああああああ!!
「ゴールドリング? ……ああ、それなら知っているぜ」
……えっ!?
いま、なんて言った!?
「え! 本当ですの?」
「ああ、今朝俺が拾ったんだよ……」
「えっ!」
「なんですって!?」
お前が犯人かああああああああああああああああああ!!
許せん!! 今すぐ消し炭にしてや……。
「けど、その後に大ガラスにゴールドリングを持っていかれたんだ……」
本当かしら?
今すぐこいつの服を燃やしてしまえば早いわよね……。
「え~と、それは本当の事ですの?」
「ああ……本当だ……信じられないのなら今すぐ裸になってやってもいいぞ……はぁ……今日の酒代にしようと思ったのによ……くそっ!」
この感じは本当の事のようね。
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