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3章 探せ、アリシアの結婚指輪
その5
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それにしても、まさかあんな鉄仮面を被った姿で出て来るなんて思いもしなかったな。
シオンが亭主に叱られているからと、とっさに顔を隠せるものを被ったんだろうけど……よくまああんな都合のいい物があったね。
『彼女たちを今すぐ解放したまえ!』
ん~今といい、さっきの発言といい……どうも、シオン達が何をしでかしたのかわかっていないみたいだわ。
という事は、さっきまでシオン達の後をついては来ていなかったみたいのかしら?
考えられるとすれば、指輪の捜索を優先していたのかな?
「なっ何だ、お前は?」
『先ほども言っただろう、私は鉄仮面の勇者だ!』
どんな勇者よ。
とっさの事とは言え、もうちょっとマシな名前を思いつかなかったのかしら。
『もう一度言う! そこの悪党、速やかに彼女たちを開放するんだ。さもなくば、貴様に裁きの鉄槌が下る事になるぞ!』
私は貴方に裁きを下したいです。
今までの行動に対して……。
「え? 俺が悪党だって? いやいや、お前は何を言っているんだよ」
これ以上ややこしい事にならない様に、ローニには早々に退場してもらわないと。
隙をついて風魔法で吹き飛ばして……あっでも、その後にローニを回収する時にこの姿を現すのはまずいか。
なにせシオン達と会った依頼主の姿のままだし。
「となると、私も何かで顔を隠す必要が……あっ」
都合よく目の前に防具屋がある……。
「……はぁ~……すみませ~ん!!」
※
『さあ、君たち! ここは鉄仮面の勇者に任せて逃げるのだ!』
「……へっ? いっいや、ですがこれは……」
『早く!!』
「え? え? これ、どう言う事やねん!?」
「あたしに聞かれてもわかんないよ!」
『なるほど、怯えて動けないのか……ならば――』
――っ!
亭主に向かってローニが走り出しちゃっている!
『とおおおおおおおっ!』
ジャンプした!
くっ間に合え!!
『エアーショット!!』
『――グボアッ!?』
よし、風魔法がローニにヒットしたわ!!
――ガアアアアアアアン!
『ガハッ!!』
『あっ』
慌てて放ったから風の威力が強すぎちゃったみたい。
ローニが壁にめり込んじゃった……まぁあの人は頑丈だし、大丈夫でしょ。
『……なっ……なにが…………ガクッ……』
「……え? え? なっ何が起きましたの?」
「何であたしに聞くかな……分かんないよ。あの鉄仮面の勇者? が、突然吹き飛んで壁にめり込んだしか……」
「見たまんまやないのよ」
さて、ローニを回収しに行かないと。
「あの……大丈夫ですか?」
アスターがローニを救出しようとしている!
流れで鉄仮面を外されたらまずい!
『ちょっと待ってください!』
「ん? ……っ!?」
「「「「……」」」」
私の姿を見て全員固まっている。
うん、そうだよね、そうなるわよね。
「え……えーと……貴女は一体……?」
だってローニと同じ形の鉄仮面を被った女が急に出て来たんだもの……私でも固まっちゃうわ。
というか、ローニの被っていた鉄仮面ってあの防具屋で買っていたとは。
『アハハ、私はこの人の知り合いの者です~』
それしか言えない。
だって、他人だと言ってもこの格好じゃ絶対に信じてもらえないし。
「……はあ、そうなのですか……」
ああ……アスターの目線が痛い。
というか周辺の目線も痛い。
一刻も早くこの場から離れなければ!
『実は冒険の最中でこの人が幻惑作用のある花を触ってしまいましてね! それで教会に向かっていたのですが目を離した隙にここまで来ちゃったみたいでとっさに魔法を撃ったのですよ! ですからこちらでこの人を回収しますので気にしないでください! アハハハハ』
というか、ローニがやたら静かだけど……。
『……』
良かった、ローニはただただ気絶しているみたいね。
これなら楽に回収できるわ。
『――よいしょっと……アハハハ、それじゃあ失礼しました~』
「はあ……」
さて、後はこいつを路地裏に隠れてと……。
「「「「……」」」」
見えてはいないけど、後ろからの目線が背中に刺さる。
※
「よっと……」
この辺りならもう大丈夫かな。
とりあえず、水でもかけて目を覚ませるか。
『ウォーター』
『――わぷっ!? ゲホゲホっ! なっなんだっ!?』
「ふぅ……この鉄仮面って息が苦しいわね」
こんなのつけたままで、あれだけよくしゃべれたわね。
『なっ!? アリシア!?』
「ここにシオンはいないから、その鉄仮面を外したら?」
『そんな事はどうでもいい! おい、シオンのピンチにお前は何をやっているんだよ! 今すぐ戻って……』
駄目だ、気絶しても水をかけても興奮が収まっていない。
はあ~面倒くさいけど1から説明しないといけないのか……まったく、世話が焼けるわね。
「事情も知らないのに何を言っているの! 私の話をよく聞きなさい!」
『は? 事情だと……?』
※
『……』
さて、ローニに一通り起こった事を説明したけど……だんまりか。
というか、鉄仮面を外さないからローニの顔が全然見えない。
そのせいで何を考えているのか全くわからない。
『……』
反省しているんだよ……ね?
シオンが亭主に叱られているからと、とっさに顔を隠せるものを被ったんだろうけど……よくまああんな都合のいい物があったね。
『彼女たちを今すぐ解放したまえ!』
ん~今といい、さっきの発言といい……どうも、シオン達が何をしでかしたのかわかっていないみたいだわ。
という事は、さっきまでシオン達の後をついては来ていなかったみたいのかしら?
考えられるとすれば、指輪の捜索を優先していたのかな?
「なっ何だ、お前は?」
『先ほども言っただろう、私は鉄仮面の勇者だ!』
どんな勇者よ。
とっさの事とは言え、もうちょっとマシな名前を思いつかなかったのかしら。
『もう一度言う! そこの悪党、速やかに彼女たちを開放するんだ。さもなくば、貴様に裁きの鉄槌が下る事になるぞ!』
私は貴方に裁きを下したいです。
今までの行動に対して……。
「え? 俺が悪党だって? いやいや、お前は何を言っているんだよ」
これ以上ややこしい事にならない様に、ローニには早々に退場してもらわないと。
隙をついて風魔法で吹き飛ばして……あっでも、その後にローニを回収する時にこの姿を現すのはまずいか。
なにせシオン達と会った依頼主の姿のままだし。
「となると、私も何かで顔を隠す必要が……あっ」
都合よく目の前に防具屋がある……。
「……はぁ~……すみませ~ん!!」
※
『さあ、君たち! ここは鉄仮面の勇者に任せて逃げるのだ!』
「……へっ? いっいや、ですがこれは……」
『早く!!』
「え? え? これ、どう言う事やねん!?」
「あたしに聞かれてもわかんないよ!」
『なるほど、怯えて動けないのか……ならば――』
――っ!
亭主に向かってローニが走り出しちゃっている!
『とおおおおおおおっ!』
ジャンプした!
くっ間に合え!!
『エアーショット!!』
『――グボアッ!?』
よし、風魔法がローニにヒットしたわ!!
――ガアアアアアアアン!
『ガハッ!!』
『あっ』
慌てて放ったから風の威力が強すぎちゃったみたい。
ローニが壁にめり込んじゃった……まぁあの人は頑丈だし、大丈夫でしょ。
『……なっ……なにが…………ガクッ……』
「……え? え? なっ何が起きましたの?」
「何であたしに聞くかな……分かんないよ。あの鉄仮面の勇者? が、突然吹き飛んで壁にめり込んだしか……」
「見たまんまやないのよ」
さて、ローニを回収しに行かないと。
「あの……大丈夫ですか?」
アスターがローニを救出しようとしている!
流れで鉄仮面を外されたらまずい!
『ちょっと待ってください!』
「ん? ……っ!?」
「「「「……」」」」
私の姿を見て全員固まっている。
うん、そうだよね、そうなるわよね。
「え……えーと……貴女は一体……?」
だってローニと同じ形の鉄仮面を被った女が急に出て来たんだもの……私でも固まっちゃうわ。
というか、ローニの被っていた鉄仮面ってあの防具屋で買っていたとは。
『アハハ、私はこの人の知り合いの者です~』
それしか言えない。
だって、他人だと言ってもこの格好じゃ絶対に信じてもらえないし。
「……はあ、そうなのですか……」
ああ……アスターの目線が痛い。
というか周辺の目線も痛い。
一刻も早くこの場から離れなければ!
『実は冒険の最中でこの人が幻惑作用のある花を触ってしまいましてね! それで教会に向かっていたのですが目を離した隙にここまで来ちゃったみたいでとっさに魔法を撃ったのですよ! ですからこちらでこの人を回収しますので気にしないでください! アハハハハ』
というか、ローニがやたら静かだけど……。
『……』
良かった、ローニはただただ気絶しているみたいね。
これなら楽に回収できるわ。
『――よいしょっと……アハハハ、それじゃあ失礼しました~』
「はあ……」
さて、後はこいつを路地裏に隠れてと……。
「「「「……」」」」
見えてはいないけど、後ろからの目線が背中に刺さる。
※
「よっと……」
この辺りならもう大丈夫かな。
とりあえず、水でもかけて目を覚ませるか。
『ウォーター』
『――わぷっ!? ゲホゲホっ! なっなんだっ!?』
「ふぅ……この鉄仮面って息が苦しいわね」
こんなのつけたままで、あれだけよくしゃべれたわね。
『なっ!? アリシア!?』
「ここにシオンはいないから、その鉄仮面を外したら?」
『そんな事はどうでもいい! おい、シオンのピンチにお前は何をやっているんだよ! 今すぐ戻って……』
駄目だ、気絶しても水をかけても興奮が収まっていない。
はあ~面倒くさいけど1から説明しないといけないのか……まったく、世話が焼けるわね。
「事情も知らないのに何を言っているの! 私の話をよく聞きなさい!」
『は? 事情だと……?』
※
『……』
さて、ローニに一通り起こった事を説明したけど……だんまりか。
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反省しているんだよ……ね?
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