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2章 強敵、スライムを討伐せよ
その4
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でも、ローニはシオンが教会へ向かった事を知るわけが無い。
となれば、恐らくはギルドに……あっ、だとすれば、ギルドの人にまた迷惑をかけているかもしれないわ!
「これは急いでギルドに行ったと方がいいわよね……」
はぁ~昨日も走ったのに、まさか今日も走る羽目になるとは思いもしなかったわ。
全く……少しはゆっくりさせてよね。
「すぅ~はぁ~……よし!」
とは言っても、ローニの行動は潰していかないといけない!
それが私の役目だもの!
※
「ぜぇ~ぜぇ~……」
ギルドに到着。
さて、ギルドの中にローニは……。
「……ん~」
ローニの姿は見えずか。
何か騒動をした後……って感じもしないわね。
まだ来ていないのか、透明化マントで密かに隠れているのか……。
う~ん、一応受付嬢さんに聞いてみようかな。
「あの~すみません」
「はい、どう……かされましたか~?」
受付嬢さんが私を見て、ぎこちない笑顔になっちゃった。
しかも中に入るのを防ぐかの様に両手をカウンターの上に乗せてガードもしているし……。
そんなに警戒しなくても、もう入りませんって。
「え~と……昨日騒いでいた金髪の男の人なんですが、今日は来ましたか?」
「……いいえ、今の所は来ていませんが」
「そうですか」
ふむ、とりあえず今のところ問題は起こしていないのは確定と。
後はシオン達か……教会は街の外れにある森の中、それにチトちゃんの事を考えてゆっくり歩いていたからまだ教会に居る可能性もあるけど、聞いときましょうか。
「では、金髪の――」
――バアアアアアン!
「――うぎゃっ!?」
「っ何!?」
後ろから大きな音と声が聞こえた。
「あん? 誰かに当たったか?」
黒のポンチョを羽織って、黒い布を頭に巻いた長身の女性がギルドのドアを勢いよく開けて入って来たみたいね。
で、ドアで誰かが当たって声を上げたと……。
「わるいわるい、そんな所に人が居るとは思わくて……って、あれ? 誰もいない?」
でも、その場所には誰もいない……が、今の声で私は確信した。
「おっかしいな、確かに当たった感触があったんだが……」
辺りを見回して不思議がっていますけど、合っていますよ。
その当たった男は見えないっていないだけです。
とはいえ偶然とはいえありがたいわ、これでローニがギルド内に居る事がわかった。
「ん~? ……まぁいいか」
あっと、女性が受付カウンターの方に歩いて来た。
という事は冒険者かギルド関係者かな?
「お、先にいいのかい?」
「ええ、どうぞ」
どっちにしろ、私は聞きたいだけだしね。
用事のありそうなこの人に先に譲ろう。
「助かるぜ、ありがとうよ。――これ、この地区の教会へ届け物をする依頼書だ。終わったから報酬をおくれ」
なるほど、この女性は冒険者の方か。
……あれ? この人、どこかで見た事があるような気がするんだけど……どこでだっけ?
「はあ……お預かりします……あの~すみませんが、今度からは静かに入って来てくださいね」
「あっすまない、教会で小言を言われてちょっと苛立ってたんだ……今度からは気を付けるよ。まぁでもけが人がいなかったからいいじゃないか」
あの音から察するに相当力が入っていたと思うから、ちょっとではないと思うな。
それにけが人なら見えていないだけで、多分タンコブを作った私の夫がいます。
「さぁて、気合を入れなおしてキバるで~!」
「チトちゃん、何事も無かったとはいえそんなに気合を入れると良くないですわ」
おっと、女性に気を取られている間にシオン達がギルドに来たみたいね。
チトちゃんも元気そうでよかったわ。
「大丈夫大丈夫! さて、討伐の依頼は……」
「わたくし的に、今日は討伐の依頼をやめた方がいいと思いますが……」
3人が掲示板の前に行ったわ。
じゃあ私も依頼を探すふりをして、シオン達が何の依頼を受けるのか確認をしましょう。
「……」
あら、さっきの冒険者がシオン達をじっと見ているわ。
何々? 何か気に障る事をしちゃったのかしら。
「そうですよ、シオン様の言う通りです。チトさん、今日の依頼は……」
「――シオン? やっぱりシオねぇだったんだ!」
え? シオねぇ?
この呼び方……まさか、この女性って。
「へ?」
「あたしだよ、あたし!」
女性が黒い布を取って、出て来たのは両耳の横に羊角、そしてモフモフの質感の白髪ショート。
羊の半獣人だわ……という事はやっぱりそうだ、間違いない!
「その角にその髪……え? ルイカちゃん!?」
「そうだよ! いや~久しぶり!」
ケイト・エリオットの娘、ルイカ・エリオットちゃん!
彼女はケイトと一緒に隣の国の教会に居るはずなのに……どうして、ここに?
「前に会ったのは5年ほど前? まさか、こんな所で再会するなんて驚いた」
いや! どうもこうも、一部始終を私は見ていたじゃない!
つまりルイカちゃんも冒険者、一体いつの間にそんな事になっちゃったの?
ケイトからは何も聞いていないんですけど……。
「それはこちらのセリフですわ! お久しぶりですわ、ルイカちゃん」
「え~と……シオンちゃん、この人と知り合いなん?」
チトちゃんはルイカちゃんと会った事が無いんだ。
まぁロイドとケイトが2人だけで会っているという所も想像できないけど……。
「お、この子はシオンねぇの妹さん? 初めまして~ルイカっていいま~す」
「んなっ!? いっいも!?」
ルイカちゃんがしゃがんで、チトちゃんの頭を撫でだした。
妹か……やっぱり、シオンと一緒に居るとそう見えちゃうわよね。
「頭を撫でるな! それにチトは妹やない!」
チトちゃんがルイカちゃんの手をはじいたわ。
あれはかなり怒っているわね。
「ああん、違うのか? それじゃあ……ん? すごいイケメンのエルフの男が、シオねぇの隣に…………ハッ! まさか、この子はシオねぇの子供なの!?」
「ええっ!?」
「んな!? こっこここここ!?」
いやいや! ルイカちゃん、その考えは飛びすぎ!
というか、私的にまだおばあちゃんになりたくないわよ!!
となれば、恐らくはギルドに……あっ、だとすれば、ギルドの人にまた迷惑をかけているかもしれないわ!
「これは急いでギルドに行ったと方がいいわよね……」
はぁ~昨日も走ったのに、まさか今日も走る羽目になるとは思いもしなかったわ。
全く……少しはゆっくりさせてよね。
「すぅ~はぁ~……よし!」
とは言っても、ローニの行動は潰していかないといけない!
それが私の役目だもの!
※
「ぜぇ~ぜぇ~……」
ギルドに到着。
さて、ギルドの中にローニは……。
「……ん~」
ローニの姿は見えずか。
何か騒動をした後……って感じもしないわね。
まだ来ていないのか、透明化マントで密かに隠れているのか……。
う~ん、一応受付嬢さんに聞いてみようかな。
「あの~すみません」
「はい、どう……かされましたか~?」
受付嬢さんが私を見て、ぎこちない笑顔になっちゃった。
しかも中に入るのを防ぐかの様に両手をカウンターの上に乗せてガードもしているし……。
そんなに警戒しなくても、もう入りませんって。
「え~と……昨日騒いでいた金髪の男の人なんですが、今日は来ましたか?」
「……いいえ、今の所は来ていませんが」
「そうですか」
ふむ、とりあえず今のところ問題は起こしていないのは確定と。
後はシオン達か……教会は街の外れにある森の中、それにチトちゃんの事を考えてゆっくり歩いていたからまだ教会に居る可能性もあるけど、聞いときましょうか。
「では、金髪の――」
――バアアアアアン!
「――うぎゃっ!?」
「っ何!?」
後ろから大きな音と声が聞こえた。
「あん? 誰かに当たったか?」
黒のポンチョを羽織って、黒い布を頭に巻いた長身の女性がギルドのドアを勢いよく開けて入って来たみたいね。
で、ドアで誰かが当たって声を上げたと……。
「わるいわるい、そんな所に人が居るとは思わくて……って、あれ? 誰もいない?」
でも、その場所には誰もいない……が、今の声で私は確信した。
「おっかしいな、確かに当たった感触があったんだが……」
辺りを見回して不思議がっていますけど、合っていますよ。
その当たった男は見えないっていないだけです。
とはいえ偶然とはいえありがたいわ、これでローニがギルド内に居る事がわかった。
「ん~? ……まぁいいか」
あっと、女性が受付カウンターの方に歩いて来た。
という事は冒険者かギルド関係者かな?
「お、先にいいのかい?」
「ええ、どうぞ」
どっちにしろ、私は聞きたいだけだしね。
用事のありそうなこの人に先に譲ろう。
「助かるぜ、ありがとうよ。――これ、この地区の教会へ届け物をする依頼書だ。終わったから報酬をおくれ」
なるほど、この女性は冒険者の方か。
……あれ? この人、どこかで見た事があるような気がするんだけど……どこでだっけ?
「はあ……お預かりします……あの~すみませんが、今度からは静かに入って来てくださいね」
「あっすまない、教会で小言を言われてちょっと苛立ってたんだ……今度からは気を付けるよ。まぁでもけが人がいなかったからいいじゃないか」
あの音から察するに相当力が入っていたと思うから、ちょっとではないと思うな。
それにけが人なら見えていないだけで、多分タンコブを作った私の夫がいます。
「さぁて、気合を入れなおしてキバるで~!」
「チトちゃん、何事も無かったとはいえそんなに気合を入れると良くないですわ」
おっと、女性に気を取られている間にシオン達がギルドに来たみたいね。
チトちゃんも元気そうでよかったわ。
「大丈夫大丈夫! さて、討伐の依頼は……」
「わたくし的に、今日は討伐の依頼をやめた方がいいと思いますが……」
3人が掲示板の前に行ったわ。
じゃあ私も依頼を探すふりをして、シオン達が何の依頼を受けるのか確認をしましょう。
「……」
あら、さっきの冒険者がシオン達をじっと見ているわ。
何々? 何か気に障る事をしちゃったのかしら。
「そうですよ、シオン様の言う通りです。チトさん、今日の依頼は……」
「――シオン? やっぱりシオねぇだったんだ!」
え? シオねぇ?
この呼び方……まさか、この女性って。
「へ?」
「あたしだよ、あたし!」
女性が黒い布を取って、出て来たのは両耳の横に羊角、そしてモフモフの質感の白髪ショート。
羊の半獣人だわ……という事はやっぱりそうだ、間違いない!
「その角にその髪……え? ルイカちゃん!?」
「そうだよ! いや~久しぶり!」
ケイト・エリオットの娘、ルイカ・エリオットちゃん!
彼女はケイトと一緒に隣の国の教会に居るはずなのに……どうして、ここに?
「前に会ったのは5年ほど前? まさか、こんな所で再会するなんて驚いた」
いや! どうもこうも、一部始終を私は見ていたじゃない!
つまりルイカちゃんも冒険者、一体いつの間にそんな事になっちゃったの?
ケイトからは何も聞いていないんですけど……。
「それはこちらのセリフですわ! お久しぶりですわ、ルイカちゃん」
「え~と……シオンちゃん、この人と知り合いなん?」
チトちゃんはルイカちゃんと会った事が無いんだ。
まぁロイドとケイトが2人だけで会っているという所も想像できないけど……。
「お、この子はシオンねぇの妹さん? 初めまして~ルイカっていいま~す」
「んなっ!? いっいも!?」
ルイカちゃんがしゃがんで、チトちゃんの頭を撫でだした。
妹か……やっぱり、シオンと一緒に居るとそう見えちゃうわよね。
「頭を撫でるな! それにチトは妹やない!」
チトちゃんがルイカちゃんの手をはじいたわ。
あれはかなり怒っているわね。
「ああん、違うのか? それじゃあ……ん? すごいイケメンのエルフの男が、シオねぇの隣に…………ハッ! まさか、この子はシオねぇの子供なの!?」
「ええっ!?」
「んな!? こっこここここ!?」
いやいや! ルイカちゃん、その考えは飛びすぎ!
というか、私的にまだおばあちゃんになりたくないわよ!!
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