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2章 強敵、スライムを討伐せよ
その1
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「……うう……」
窓の外が明るく始めている。
という事は、もう朝か……。
「ふわ~……眠い……」
結局、シオンの部屋の近くにとは言い出せず私の部屋は3階の301号室。
ローニの馬鹿のせいで、シオンが泊まっている2階の205号室と離れちゃったわ。
しかも、私の部屋は宿の入り口とは反対側だから部屋からシオン達が帰って来たところが分からない。
おまけに、この宿のロビーは狭いから待機も出来ない。
そのせいで昨日はシオン達が帰ってくるまで、ずっと宿の入り口前で待つ羽目に。
「……まだ、そこまではよかったのよね……よいしょ……いたた……」
本当はアスターに今日の予定や、今後につて話したかったけれど、昨日は色々ありすぎて体力はもう限界状態。
3人が解散するところまで見届けて部屋に戻って、即ベッドに入ったものの……。
「……このベッドはひどいわね……おかげで体中が痛い……」
マットレスと枕がほとんどペッタンコで、有っても無くても変わらない。
旅で野宿した時の事を思い出しちゃったわ。
何で宿に泊まったのに、地面で寝ていた時の事を思い出さないといけないのかしら?
これじゃあ疲れなんて取れないわよ。
「はあ……ぼやいている場合じゃないわね」
さっさと出かける支度をしなくっちゃ。
今日の予定がわからない以上、シオン達より先に行動しないといけないものね。
「よし、今日も頑張りましょうか」
ローニを妨害する為に!
※
「……3人はまだかしら?」
2階の廊下には障害物が何もないから、当然隠れる場所が無い。
となると、この1階と2階の間の階段で2階の様子を窺うしかない。
「……はむ、モグモグ」
まさか、朝ごはんのパンをこんな所で食べる羽目になるだなんて思いもしなかった。
「……あのーそんなところで座られると上がれないんだけど……」
「もごっ? ふぁっ!」
男の人が階段を上がって来た。
しまった、上がる来る人の事を全く考えずに階段のど真ん中に座っていたわ。
「ふみまふぇん! ――ゴックン……あはは、どうぞ~」
「…………」
う~わ~……『何だこいつ?』的な顔を露骨された。
そうよね、朝早くから階段に座ってパンを食べていたらそう思うわよね。
今度は端に寄っておこう。
「はぁ……明日はもっと早く起きて、部屋で食べる様にしよう……」
こんな恥ずかしい姿、絶対にシオンに見せられないわ。
まぁ見せちゃ駄目なんだけども……。
――コンコン
ん? 今ノックの音が聞こえたわね。
「シオン様、おはようございます」
お、アスターの声だ。
ちょっと覗いて見て……アスターがシオンの部屋の前に立っているわね。
「くわ~……眠たい……」
チトちゃんもアクビをしながら部屋から出て来たわ。
すごく眠そうね。
「あ、チトさん。おはようございます」
「あっ! おっおはようございます!」
「そのご様子だとあまり、寝付けなかったようですね」
「はい~昨日もそうやったんですけど、やっぱりあのベッドは中々つらい物がありますよ」
そうだよね。
あれは辛いわよね。
「ああーなるほど」
「アスターさんは、そこまで眠れへんかったっちゅう感じじゃないですね」
「はい。私は森の守り人なので木の上で睡眠を取っていましたから」
「……確かに木の上に比べたら、あのベッドでも十分やらかいですね……えと、シオンちゃんはまだ出て来ておらんのですか?」
「はい。なのでお部屋をノックをしたのですが、反応がありません」
2人とも準備を済ませているのに、シオンったら何をしているのかしら。
もしかして、まだ寝ているんじゃ……?
「お~い、シオンちゃ~ん、起きてる~? もう集まる時間やで~」
――コンコン
《……ふあ~い》
――ガチャ
シオンの部屋のドアが開いた……わっ!?
「ふわあ~……おはようございますわ~……」
ちょっと、シオン!!
「シオンちゃん!?」
「シオン様!?」
「……お2人ともどうしましたか……? ふわ……」
どうもこうも無いわよ! ピンクの寝巻姿のままで出て来ちゃ駄目じゃない!
しかも、寝ぐせもひどいし!
「シオンちゃん! 寝巻のまま出てきたらあかんて!」
「ふぇ……? …………ああっ!!」
――バターン!!
今ので目が覚めたのか、シオンが勢いよくドアを閉めた。
全く、あの子ったら何やってんだか……。
※
「……申し訳ありません……お恥ずかしい姿をお見せしちゃいましたわ……」
シオンが耳を赤くなして、恥ずかしそうに部屋から出て来た。
「おまけに、わたくしったら寝坊まで……」
両手で自分の顔を隠した。
顔を隠したくなる気持ちもわかるわ。
「まっまぁ気にせんとって、失敗は誰にでもある事やし。それにしても、よぉあのベッドで眠れたね」
確かに、やっぱり昨日は慣れない事ばかりで疲れ切っちゃったのかな?
そうでないと、あんなベッドで熟睡は……あっ違う! それだけじゃない!
「ええ、マットレスの方は堅かったのですが、枕はわたくしが使っているのと同じ様な物でしたのでそのおかげで眠れましたわ」
同じ様な物じゃなくて、貴女が普段使っているのものと同じなのよ!
だから寝れたのよ……そこに関しては実に羨ましい。
「え? ほしたらシオンちゃん……いつもあんなペッタンコな枕をつこて……?」
そうか、2人はシオンの枕が変わっている事を知らない。
普段からあんな枕を使っていると思われていてもおかしくない。
「へ? ペッタンコ? それはどう言う……」
「ええで……何も言わんで……な」
「?」
チトちゃんがシオンの肩を優しく叩いている。
ああ、やっぱり勘違いしているわ!
「シオン様、それ以上は言わなくても私達は分かっております」
「??」
だああああああああ!
アスターまで勘違いしちゃっているし!
「アスターさん! シオンちゃんがふかふかの布団と枕で泊まれるよう、精一杯稼ごな!」
「そうですね! チトさん!!」
「???」
2人とも違うの!
普段のシオンはふかふかの布団で寝ているの! 変な勘違いしないで!!
ああ、もう!! 今出て行けないのが悔やまれる!!
窓の外が明るく始めている。
という事は、もう朝か……。
「ふわ~……眠い……」
結局、シオンの部屋の近くにとは言い出せず私の部屋は3階の301号室。
ローニの馬鹿のせいで、シオンが泊まっている2階の205号室と離れちゃったわ。
しかも、私の部屋は宿の入り口とは反対側だから部屋からシオン達が帰って来たところが分からない。
おまけに、この宿のロビーは狭いから待機も出来ない。
そのせいで昨日はシオン達が帰ってくるまで、ずっと宿の入り口前で待つ羽目に。
「……まだ、そこまではよかったのよね……よいしょ……いたた……」
本当はアスターに今日の予定や、今後につて話したかったけれど、昨日は色々ありすぎて体力はもう限界状態。
3人が解散するところまで見届けて部屋に戻って、即ベッドに入ったものの……。
「……このベッドはひどいわね……おかげで体中が痛い……」
マットレスと枕がほとんどペッタンコで、有っても無くても変わらない。
旅で野宿した時の事を思い出しちゃったわ。
何で宿に泊まったのに、地面で寝ていた時の事を思い出さないといけないのかしら?
これじゃあ疲れなんて取れないわよ。
「はあ……ぼやいている場合じゃないわね」
さっさと出かける支度をしなくっちゃ。
今日の予定がわからない以上、シオン達より先に行動しないといけないものね。
「よし、今日も頑張りましょうか」
ローニを妨害する為に!
※
「……3人はまだかしら?」
2階の廊下には障害物が何もないから、当然隠れる場所が無い。
となると、この1階と2階の間の階段で2階の様子を窺うしかない。
「……はむ、モグモグ」
まさか、朝ごはんのパンをこんな所で食べる羽目になるだなんて思いもしなかった。
「……あのーそんなところで座られると上がれないんだけど……」
「もごっ? ふぁっ!」
男の人が階段を上がって来た。
しまった、上がる来る人の事を全く考えずに階段のど真ん中に座っていたわ。
「ふみまふぇん! ――ゴックン……あはは、どうぞ~」
「…………」
う~わ~……『何だこいつ?』的な顔を露骨された。
そうよね、朝早くから階段に座ってパンを食べていたらそう思うわよね。
今度は端に寄っておこう。
「はぁ……明日はもっと早く起きて、部屋で食べる様にしよう……」
こんな恥ずかしい姿、絶対にシオンに見せられないわ。
まぁ見せちゃ駄目なんだけども……。
――コンコン
ん? 今ノックの音が聞こえたわね。
「シオン様、おはようございます」
お、アスターの声だ。
ちょっと覗いて見て……アスターがシオンの部屋の前に立っているわね。
「くわ~……眠たい……」
チトちゃんもアクビをしながら部屋から出て来たわ。
すごく眠そうね。
「あ、チトさん。おはようございます」
「あっ! おっおはようございます!」
「そのご様子だとあまり、寝付けなかったようですね」
「はい~昨日もそうやったんですけど、やっぱりあのベッドは中々つらい物がありますよ」
そうだよね。
あれは辛いわよね。
「ああーなるほど」
「アスターさんは、そこまで眠れへんかったっちゅう感じじゃないですね」
「はい。私は森の守り人なので木の上で睡眠を取っていましたから」
「……確かに木の上に比べたら、あのベッドでも十分やらかいですね……えと、シオンちゃんはまだ出て来ておらんのですか?」
「はい。なのでお部屋をノックをしたのですが、反応がありません」
2人とも準備を済ませているのに、シオンったら何をしているのかしら。
もしかして、まだ寝ているんじゃ……?
「お~い、シオンちゃ~ん、起きてる~? もう集まる時間やで~」
――コンコン
《……ふあ~い》
――ガチャ
シオンの部屋のドアが開いた……わっ!?
「ふわあ~……おはようございますわ~……」
ちょっと、シオン!!
「シオンちゃん!?」
「シオン様!?」
「……お2人ともどうしましたか……? ふわ……」
どうもこうも無いわよ! ピンクの寝巻姿のままで出て来ちゃ駄目じゃない!
しかも、寝ぐせもひどいし!
「シオンちゃん! 寝巻のまま出てきたらあかんて!」
「ふぇ……? …………ああっ!!」
――バターン!!
今ので目が覚めたのか、シオンが勢いよくドアを閉めた。
全く、あの子ったら何やってんだか……。
※
「……申し訳ありません……お恥ずかしい姿をお見せしちゃいましたわ……」
シオンが耳を赤くなして、恥ずかしそうに部屋から出て来た。
「おまけに、わたくしったら寝坊まで……」
両手で自分の顔を隠した。
顔を隠したくなる気持ちもわかるわ。
「まっまぁ気にせんとって、失敗は誰にでもある事やし。それにしても、よぉあのベッドで眠れたね」
確かに、やっぱり昨日は慣れない事ばかりで疲れ切っちゃったのかな?
そうでないと、あんなベッドで熟睡は……あっ違う! それだけじゃない!
「ええ、マットレスの方は堅かったのですが、枕はわたくしが使っているのと同じ様な物でしたのでそのおかげで眠れましたわ」
同じ様な物じゃなくて、貴女が普段使っているのものと同じなのよ!
だから寝れたのよ……そこに関しては実に羨ましい。
「え? ほしたらシオンちゃん……いつもあんなペッタンコな枕をつこて……?」
そうか、2人はシオンの枕が変わっている事を知らない。
普段からあんな枕を使っていると思われていてもおかしくない。
「へ? ペッタンコ? それはどう言う……」
「ええで……何も言わんで……な」
「?」
チトちゃんがシオンの肩を優しく叩いている。
ああ、やっぱり勘違いしているわ!
「シオン様、それ以上は言わなくても私達は分かっております」
「??」
だああああああああ!
アスターまで勘違いしちゃっているし!
「アスターさん! シオンちゃんがふかふかの布団と枕で泊まれるよう、精一杯稼ごな!」
「そうですね! チトさん!!」
「???」
2人とも違うの!
普段のシオンはふかふかの布団で寝ているの! 変な勘違いしないで!!
ああ、もう!! 今出て行けないのが悔やまれる!!
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