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センシティブ
『光輝燦然に雨①』(男4 or 女4)
しおりを挟む『光輝燦然に雨①』
─こうきさんぜん に あめ①─
作 / 鳳月 眠人
!注意!
※軽いブロマンスです(たぶん)
※ぼかした性的暴力の表現あり
※オリジナル宝石バースです(設定は劇中にあり)
既存設定のハンマーの人はいません
※全て女性役に変更して女声で演じてもOK
※一人称変更OK
※無線の感じとかいろいろ間違ってたらすみません
数字が出てくる箇所が多いので横書き表示推奨
~+~ 登場人物 ~+~
トリウム:
主人公。宝石バースの【ホウセキ】。
モデルはトール石。
雷神トールが由来とされるトリウムを多く含む。
オーバン:●を付けています
基地責任者。宝石バースの【所有者】。
アダマス:◆をつけています
トリウムの所属する隊の班長。
オーバンと所有契約を結んでいる【ホウセキ】。
「アダマス」はダイヤモンドの語源。
エメリー:◇をつけています
アダマス班所属の【ホウセキ】。衛生兵。
モデルはエメリー鉱石。研磨剤などに使われる石。
~+~ ここから台本 ~+~
●オーバン:
「よく来た、トリウム二等兵。どうだ。
ホウセキの命が次々に消費される実際の戦場は」
トリウム:
「……綺麗だ」
●オーバン:
「なんだと?」
トリウム:
「ホウセキとして生まれて良かったと思ったのは
初めてです、少佐!
えーっと、オーバン・バーナー少佐!」
●オーバン:(苛立った様子で)
「……おまえ」
トリウム:
「ぼくも……この! 花火になれるんですね!」
●オーバン:
先程までの暗い瞳は、爛々と輝き
少年は嬉々として腕を広げた──
地獄の戦場を背景に屈託なく笑って。
──(戦場から駐屯宿舎へ場面転換)
トリウム:
「え!? ぼくみたいな反応したホウセキ、
他にはいないんですか?」
◆アダマス:
「オーバン、お疲れ様です。
えらく元気なホウセキが補充されましたね?」
●オーバン:
「アダマス、ご苦労。なあ、こいつは本当に
ホウセキの人種か?」
◆アダマス:
「鑑定士を呼んできましょうか?」
トリウム:
「診てもらわずとも鑑定書持参しております、サー!」
◆アダマス:
「なんてイキの良い」
●オーバン:
「今日のあの爆弾投下を見るまでは、
まあよくいるホウセキと
似たような表情をしていたんだがな。それが、
僕も花火になれるんですね、なんぞ言いよって」
◆アダマス:
「ほう……きみ、名前は」
トリウム:
「ハッ! トリウム・ウルフ二等兵です!」
◆アダマス:
「いくつだ?」
トリウム:
「十四です!」
◆アダマス:
「十四! 若すぎる」
●オーバン:
「ああ、最年少だ。戦況が良くないからな。
物資も人も形振り構ってられんのだろう」
◆アダマス:
「……違いありませんね」
──(控えめなノックの音)
◇エメリー:
「エメリーです。失礼、します」
◆アダマス:
「ああ、入っていいぞ。
エメリー。そいつの世話を頼む」
◇エメリー:
「かしこまりました」
◆アダマス:
「エメリーも今は非戦闘員ですが、
上に目をつけられればどうなるやら」
●オーバン:
「そうだな」
◇エメリー:
「……新入り、こっちへ」
●オーバン:
「トリウム、行って良い。
明日から作戦に参加する。
ここにいるアダマスが、お前の隊長だ」
◆アダマス:
「アダマスだ。階級は大尉。よろしくな」
トリウム:
「よろしくお願いします!」
◇エメリー:
「では、失礼します」
トリウム:
「失礼します!」
──(扉の閉まる音)
◆アダマス:
「……彼が『花火』と言った今日の爆発ですが。
実際は爆弾ではなく……調べによると
臨界状態にさせられたホウセキが6体、続けて
投下されたようです。それも、民間の居住区へ。
被害は甚大。
落下地点は穢れが充満し、焼け野原です」
●オーバン:
「馬鹿な。そんな非人道を!?」
◆アダマス:
「ええ……」
──(部屋を出て廊下を歩く二人のホウセキ)
トリウム:
「えっと、エメリー、さん?
その腕章って非戦闘員だっけ。
キミは戦わないの?」
◇エメリー:
「ぼくはホウセキ専門の衛生兵です。
あなたが負傷したら治します」
トリウム:
「ふぅん。すごー。
あ、オーバン少佐って、複数の宝石と契約を
結んでるの? キミも少佐のホウセキ?」
◇エメリー:
「……いえ。
オーバン少佐の所有はアダマス大尉だけですよ。
あとは預かりの契約だけ。やったでしょ?」
トリウム:
「え、アレ? 血判捺したやつ? アレだけ!?
ここ来る前の身体検査の方がよっぽど
えげつなかったくない?
身体には七つの穴があるぅ、とか言って全身、」
◇エメリー:(遮って)
「あなた。どうしてそんなに元気なんですか?
ここは戦地で前線で、そしてただでさえ僕たちは
『所有者』不在のホウセキなんですよ」
トリウム:
「僕も不思議」
◇エメリー:
「……今日の配給食です。あなたの部屋はここ」
トリウム:
「ありがとう」
◇エメリー:
「では」
トリウム:
「……綺麗だったからかな」
◇エメリー:
「はい?」
トリウム:
「この戦場で花火になるために生まれてきたんだ
って思ったら、今まで辛かったことぜーんぶ
頭からスッとんじゃって」
◇エメリー:
「また、これから辛くなりますよ」
トリウム:
「そうかな」
◇エメリー:
「ほとんどのホウセキは、手放された悲しみだとか
被所有欲の満たされなさとか、戦場の恐怖で
濁って鬱屈した目をしているから」
トリウム:
「えー、キミもあの光を見たら……」
◇エメリー:
「見ましたよ、今日。遠かったけど。
すごいエネルギーで騒ぎになりましたし」
トリウム:
「めちゃくちゃ綺麗だったでしょ!
ぼくあんな風になりたいなー!」
◇エメリー:
「いや、あんなのなったら死ぬし……
あの。言いにくいですけど、あれって……」
──(間。翌日)
トリウム:
「昨日の花火って敵国の攻撃なのですか!」
◆アダマス:
「そうだが」
トリウム:
「ガァァッデム」
◆アダマス:
「まずもって、花火ではない……
きみ、軍学校で何を習ってきたのだ」
トリウム:
「戦況、戦術が変わったのかと」
◆アダマス:
「あの爆発は、敵国がホウセキを極限まで
精神的に不安定にさせて崩壊爆発させたようだ。
投下された者は、捕虜であった可能性も否めない。
恐らく、そうとう残忍な拷問と
精神攻撃を受けている」
トリウム:
「それは……しんどそうですね」
◆アダマス:
「我が国はホウセキをあからさまな捨て駒には
してはいない。それも今のところは、の話だが」
トリウム:
「ではやはり、基本は航空戦ですかぁ」
◆アダマス:
「そうだ。きみの機体はこいつ。
今日から大事に飛ぶんだぞ」
トリウム:
「はい!」
──(間)
トリウム:
「コックピットチェック開始。
計器起動、異常なし。
……エンジン始動許可をリクエスト」
●オーバン:
「コールサイン・イーグレット8、
エンジン始動許可」
トリウム:
「エンジン始動。出力正常。
システムオールグリーン。
……アフターバーナーテスト完了」
◆アダマス:
「こちらコールサイン・イーグレット1。
全機準備完了」
●オーバン:
「風、方位50より11ノット。
イーグレット隊、ランウェイ20Rからの
離陸を許可。各機、気をつけて行ってこい」
◆アダマス:
「ランウェイ20R了解。これより哨戒に向かう。
──イーグレット1、発進します」
トリウム:
「──イーグレット8、発進します」
上昇開始。実戦の初めての飛行だ。
うん、順調、いい天気。
ぼくは今、空の一部になっている。
空が好きだ。
同じ空模様は、色は二度とない。
飽きなくていい。ずっと見ていられる。
だから敵機の発見も、すぐできる。
「敵機確認。
イーグレット8、視界に敵機。
ブルズアイ140/50 9,000 BEAM
(基準地より方位140、距離50マイル、
高度9千フィート、直角進路)
……かな?
4機視認、編隊飛行中。
機体は燕の……29?」
◆アダマス:
「こちらイーグレット1……視認できず」
トール:
「あ、出てきた。雲の合間です」
◆アダマス:
雲の……驚異的な視力だな。
レーダーに未だ、かからない。
ステルス重爆撃機か。
「イーグレット1、敵機確認。
……燕29で間違いない。2機3編隊。
タワー、交戦準備をリクエスト」
●オーバン:
「タワー了解。まだ侵犯していない。
敵機の動きを監視せよ、交戦許可を待て」
◆アダマス:
「了解。……敵機、旋回し高度を下げて接近。
交戦許可を待機」
●オーバン:
「タワー了解。イーグレット隊の交戦を許可。
ジャミングに警戒しろ。ファイアの使用を許可。
敵機を捕捉次第、自由に迎撃せよ」
◆アダマス:
「イーグレット1、了解。ファイア解放。
敵機のエネルギー砲反応あり! 気をつけろ!
イーグレット2、3、私と左に回れ。
4から6は右からだ!」
トリウム:
向こうも陣形を変えてきた。
「イーグレット8下方に回り援護します!
7、上方から挟めますか」
◆アダマス
下方から……
初の戦闘で判断が思い切っているな。
「イーグレット7、上方へ行け。
圧力をかけて援護しつつ
未確認敵機を警戒せよ。
8、撃てそうであればやれ」
トリウム
「イーグレット8、了解。ファイア解放
ロックオン開始」
ファイア。
ホウセキが戦闘機で行使できる
指向性エネルギー兵器での攻撃。
解放のスイッチを入れると、どんどん戦闘機に
ホウセキの能力が吸い上げられていく。
◆アダマス
「ファイア発射! 追尾確認。
3、被弾したか。高度と速度は維持できるか?
6、そのまま3を正面より援護しろ」
トリウム:
アダマスさんのファイアはエネルギーの
桁が違う……!
「後方の敵が回避行動開始! 追跡します。
……ファイア発射! 撃墜まで待機」
◆アダマス:
「撃墜確認。一機ダウン。うまいな。
イーグレット4、上後方にも一機。
挟まれるぞ!」
トリウム:
「4、左方、任せてください。
前に出て引き付けます!」
◆アダマス:
あの小さい体でよく重力に耐える。
なんだその動きは……
トリウム
「あ、2機食いつきました!
ロックオンされてます。
フレア撃って回避、! ははッ
すいません、左翼かすりました。
飛行には問題なし。フレア展開!」
◆アダマス:
「5秒耐えろ!
イーグレット7、やれるか!」
トリウム:
「──7、2了解! 離脱します。
撃墜確認! 2機ダウン。
はー、助かりました。ありがとうございます。
◆アダマス:
少々の不安があったものの、
戦闘機乗り込み前の彼の元気の良い返事は
自信の表れだったらしい。
天才。
その域に達する、戦闘機の操縦とエイム。
高火力の雷撃。他の隊員の邪魔もせず
援護や 囮の動きまでする余裕。
「敵機の一掃を完了。
他敵機は今のところ視認せず。
レーダー反応無し。
イーグレット3、5が任務続行不能の損傷」
●オーバン:
「タワー了解。イーグレット隊の帰還を許可。
付近に母艦があるかもしれん。別隊を送る」
◆アダマス:
「了解。これより帰還します」
哨戒が終わり基地へ帰ると
トリウムは隊員数名に揉みくちゃにされていた。
トリウム:
「ぼく、航空兵科だけは成績良かったんです。
それで座学、中途半端で卒業できちゃって。
でも訓練とはやっぱり違いますね。ファイアが
めちゃくちゃ吸い取られる感じします」
◆アダマス:
「預かり契約であることも関係しているが……
気になるようなら整備士に言って調整していい」
トリウム:
「調整できるんですね、了解しました!」
◆アダマス:
「では解散。各自、整備確認を怠らないように。
連絡事項があるため、
トリウムは私に着いてきなさい」
──(報告室で)
●オーバン:
「ご苦労。初陣はどうだった、トリウム二等兵」
トリウム:
「ハッ! ベストを尽くせました!」
●オーバン:
「よろしい。すぐ死なずに戻ってくるとはな。
よくやった」
トリウム:
「ハッ! ありがとうございます!」
●オーバン:
「ところで。おまえ、軍学校で座学を一部、
修めていないらしいな。おもに計算の単元を」
トリウム:
「はっ……はい」
●オーバン:
「俺が教えることになった」
トリウム:
「……卒業したのに?」
◆アダマス:
「修めていないんだろう?」
●オーバン:
「本日より夕食後、
夜番がない日は講義をする。
フタマルマルマル、ここ報告室へ来るように」
トリウム:
「本日、から……」
◆アダマス:
「昨日今日の元気はどうした?」
トリウム:
「イエス、サー!」
●オーバン:
「では、行ってよろしい」
トリウム:
「失礼します!」
──(ドアの閉まる音)
◆アダマス:
「……荒れそうですからね」
●オーバン:
「ああ。次の週にはガエルとルロワの隊が
合流するしな。お前の隊の様子はどうだ?」
◆アダマス:
「既に一人二人、よく思わない者がいそうです」
●オーバン:
「ストレスの捌け口がないと
環境が悪くなるな。気遣ってやれ」
◆アダマス:
「承知しました」
●オーバン:
「……なんだ?」
◆アダマス:
「ホウセキにここまで配慮する己の主を
誇りに思うと同時に、わずかに嫉妬しています」
●オーバン:
「フ、いい歳をして何を言ってる」
◆アダマス:
「くく、本当に」
●オーバン:
「久しぶりに構ってやろうか?」
◆アダマス:
「大変そうして頂きたいのですが……
預かりのホウセキたちの手前、
堪えることにします」
●オーバン:
「お前ならそう言うと思ったよ
その堅牢な真面目さを、俺は好いている」
──(間)
◇エメリー:
この世には少数の、特別な二種類のひとがいる。
ひとつは、ホウセキ。特定の条件下で、
人智を超える能力を使うことができるひと。
もうひとつは、所有者。
ホウセキと契約を結ぶことで、ホウセキの能力を
引き出すことができるひと。
ホウセキは所有者から所有されなければ
どんどん意志薄弱の抑鬱状態となり、
最後には目覚めなくなる。
所有者も、自分のホウセキがいない状態が続けば
精神が安定せず、発狂に至る。
他人のホウセキを誘拐監禁することもある。
信頼関係で結ばれ、正しい所有の契約を結ぶと
ホウセキは強く輝いて
所有者を護る、剣にも弾丸にもなる。
所有者の傷の、肩代わりまでする。
トリウム:
「でもクズ鉄系はあーんま人気ないから、
このご時世、戦地投入されやすい、と」
◇エメリー:
「適材適所でしょ。
それにクズ鉄じゃなくて、鉱石」
トリウム:
「そうねー」
◇エメリー:
「けれど僕らは基本的に、手放されたホウセキだ。
よくそんな、お気楽で明るくいられる。
はぁ、まったく。どんな飛び方をすれば
こんなアザになるんだか。はい、癒えましたよ」
トリウム:
「どうも。わー、すごー、消えてる消えてる」
◇エメリー:
「僕の能力なので」
トリウム:
「いいな、攻撃しかできないぼくの能力より
よっぽどいい」
◇エメリー:
「……」
トリウム:
「変な顔」
◇エメリー:
「失礼ですね。……そんなふうに言われたのは
初めてだったので」
トリウム:
「え、そうなの」
◇エメリー:
「所有者は癒せず、他のホウセキだけ癒せるなんて
そんな能力、使いどころが限られすぎているし」
トリウム:
「きみ、美人だから普通に、高位のホウセキ
やってそうなのにね。髪も目も、
黒いけどツヤツヤで、コランダム系でしょ?
そのちょっと赤いとこ。鉄っぽくないよね」
◇エメリー:
「……」
トリウム:
「変な顔」
◇エメリー:
「あなたも悪くない容貌ですよ。
深い緑色で澄んでいて」
トリウム:
「ほんと? わーい」
◇エメリー:
「阿呆面……」
トリウム:
「阿呆なんで今日も少佐の補講、行ってきまーす」
◇エメリー:
「粗相のないように」
トリウム:
「はーい」
◇エメリー:
「変なホウセキ」
──(報告室で補講)
●オーバン:
「トリウム二等兵」
トリウム:
「ッはっ痛ぇ!」
●オーバン:
「寝ていたな。死にたいか」
トリウム:
「申し訳ありませんッ」
●オーバン:
「腹筋百回、はじめ」
トリウム:
「イエスサー!」
●オーバン:
「腹筋しながら、問題を解け。
速度Vで直進している戦闘機。
これをめがけて、この場所から
ファイアで距離rに収束させる時。
自分の機体からみる攻撃の軌道曲線と、
命中までの微小時間は」
トリウム:
「はっ、はっ、んん、えーっとお!」
●オーバン:
「遅い。気の抜けた声を出すな」
トリウム:
「軌道は、こういうぅ、」
●オーバン:(笑いを堪えて)
「式で示せ」
トリウム:
「クッ、えっと、ううう
サインだっけコスだっけぇぇ」
──(補講終わり)
トリウム:
「失礼します!
はぁ……やっと終わった、ねむ……」
──(しばらく歩いたところで大きな物音)
◇エメリー:
「……治療目的でないのなら出ていってください」
トリウム:
「……ん? エメリーさんの声? まだいたんだ」
◇エメリー:
「やめ、や……やめろ! ガッ、う、ぅ、ハァ
離せ、痛ッ……」
──(治療室の扉を開けるトリウム)
トリウム:
「わぁ、先輩方……なにやってんですか。
治療室って、そういうのも治療できる感じ?」
◇エメリー:
「トリウム、」
トリウム:
「たのしそー、混ぜてくださいよ」
◇エメリー:
「っ、え」
トリウム:
「ぼく、先輩方に構って欲しいなー。
……教えてください、いろんなこと」
◇エメリー:
「トリ、」
トリウム:(小声)
「大丈夫、任せて。
殴られ方うまいって軍学校でも褒められたし。
場所だけ貸してくださいねぇ」
◇エメリー:
「ぁ、」
トリウム:(小声)
「行って」
◇エメリー:
「ぅ、ふっう、」
どうする、アダマス大尉に報告……
行こう、行かなきゃ。
──(少し間)
トリウム:
「生意気でチビで、調子のってて、ごめんなさい」
「汚い石ころで、ごめんなさい」
「先輩たちのほうが、ずっと強くて綺麗です」
「こんなところが気持ちいい変態でごめんなさい」
「少佐から可愛がられないようにします、
ごめんなさい」
「大尉に告げ口しません、大丈夫です」
「先輩の傷、全部ぼくに下さい」
「ぼく先輩たちのこと、大好きです」
「もっともっと、可愛がってください」
「ぼくはこれがいいんです、安心してください」
「これからもよろしくお願いします」
──(間)
◇エメリー:
「トリ、ゥム……」
トリウム:
「ふぁ……ああ、寝てました」
◆アダマス:
「……ハァ、配属されて5日でこんな……
私の監督不足だ。すまない」
◇エメリー:
「治療します」
トリウム:
「お願いしまーす」
◇エメリー:
「……ひど、い。僕ここまでされたこと、ない」
トリウム:
「そうなんですか? そりゃあよかった」
◇エメリー:
「なにが!」
トリウム:
「ホウセキのガス抜きに大いに貢献できた
ってことでしょ?」
◇エメリー:
「えっ……」
トリウム:
「ホウセキってストレス抱えると
能力落ちますよね」
◆アダマス:
「ああ」
トリウム:
「こんなもんで隊員のメンタル安定して、
戦争に勝てたら最高じゃないですか。
あ、原因も、ちょっとぼくかもしれないけど」
◆アダマス:
「きみがそんなに器用で強いなホウセキだと
思わなかったよ」
トリウム:
「今までの扱いに比べれば、ぬるいぬるいです。
まだだいぶいけます」
◆アダマス:
「きみの……親か、所有者が、そんなことを?」
トリウム:
「地域によっては、珍しくないです。ホウセキの
人身売買とかも全然、まだやってますし」
◆アダマス:
「…………」
◇エメリー:
「トリウム、ごめん……」
トリウム:
「なんで謝るの。僕の代わりにーとか思ってる?
ほんと気にしなくていいし、治してくれるし」
◇エメリー:
「だって……心が……穢れるじゃないですか……
身体は癒えても、
あなたの、名誉は、精神は、踏みつけられて」
トリウム:
「こんなので穢れない」
◇エメリー:
「!」
トリウム:
「悲しいとか不安とか、腹が立つとか。
他人からそういうの擦り付けられた所で
ぼくは穢れない」
◇エメリー:
「そんな、」
トリウム:
「むしろちょっと楽しいまである」
◇エメリー:
「変態じゃん……」
──(間)
◇エメリー:
「トリウムの治療と着替え、終わりました」
◆アダマス:
「うん。 では、トリウム二等兵。
特別な措置も処罰も……いらないんだな?」
トリウム:
「はい。チクらないって言っちゃいましたので」
◆アダマス:
「今後エスカレートしても?」
トリウム:
「んー、切断とか、ない限りは」
◆アダマス:
「切断……ハァ。ならば、観察とする。
ただ、オーバン少佐に報告はする。
不安定になっていないかの確認のためにもまた
被害を受けたら必ず治療と検査を受けること。
エメリーは今後、
同様の被害があればきちんと報告するように。
そうだな……衛生兵を調達しておく。
一人になることは避けなさい。特に夜は」
◇エメリー:
「はい……ありがとうございます」
トリウム:
「では、失礼します。おやすみなさい」
◇エメリー:
「おやすみ……」
◆アダマス:
「しっかり休みなさい」
トリウム:
今夜は新月かぁ。
月浴びながら寝て浄化が手っ取り早いのにな。
さっき持たされたセージで
一応、モク焚いて寝よっかな。
あ、まてよ? めっちゃ品質いいぞこれ。
「──いい香り」
──(間)
◆アダマス:
「ただいま戻りました」
●オーバン:
「アダマス……クソッタレな報せが入った」
◆アダマス:
「オーバン、珍しく顔色が……
そんなに悪い報せだったのですか?」
●オーバン:
「ディール鉱山が襲撃を受けた。
壊滅的とのことだ」
◆アダマス:
「なッ、もしや燃料庫が? かなり内陸ですが
索敵網にかからずどうやって」
●オーバン:
「高度6万以上から地上降下したとみられている」
◆アダマス:
「高度6万から!?」
●オーバン:
「そこから地上戦で最終的に自爆だ。
あの国はホウセキの捨て身戦法が多すぎる……
そもそも重要拠点のここはカモフラージュして
通信経路も暗号も複雑にしているはずだが」
◆アダマス:
「……内通を疑ってしまいます」
●オーバン:
「あるいは特殊なホウセキの能力か、だ。
敵国はホウセキ産出が
徹底管理されているからな。
問題は、燃料や物資が」
◆アダマス:
「厳しくなりますね」
●オーバン:
「嫌な動きが、高まっている」
──(続く)
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快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
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