7 / 20
令嬢は気になる
しおりを挟む
貴族の子女として、等しく王家の人質となり、王家が定めし教育を受けながら、王国への忠誠を示す立場にある五年間。
それから先は、成人した貴族としての時間となりますの。
この方々はどのように貴族として生きていかれるのかしらね。
うふふ。
皆様よく話題が尽きないものだわ。
その情報収集能力については、賞賛いたしましてよ。
だって話題はずっと件の男爵令嬢と深く関わっている皆様の、愚かな言動についてでしたの。
これだけの情報をどうやって手に入れているのかしらね?
学園に密偵でも紛れ込ませているとしたら凄いわ。
「ねぇ、リリーシア様はどう思われます?」
皆様勝手に盛り上がっておられましたのに。
急に話を振られましたのよ。
わたくしは微笑んで囁きましたわ。
「沢山のお話が聞けましたから、恋について勉強になりましたわ」
これは本心でしてよ。
すると伯爵令嬢が眉を顰めてわたくしを見詰めましたの。
「リリーシア様も恋をされておりますでしょう?」
あらあらまぁまぁ。
もしやわたくしも頭が悪いように見えておりまして?
それともこの方々は別の何かの方法で恋をしているかどうかを見極められるのかしら。
でもその見極めは正しくはありませんわね。
お伝えした方がよろしいかしら。
角が立つのは嫌ね。
わたくしが悩んでおりましたら。
また皆様のお話が進んでおりましたの。
「あの女が引き裂くまでは、お二人はいつも仲睦まじく、並んでいるお姿は絵になるようで……。皆様あのような恋がしてみたいと口々に仰っておりましたわ」
「それなのにこのようなことになるなんて……リリーシア様がおいたわしい」
「信じられませんわよね」
「相思相愛のお二人に見えておりましたのに」
「今ではあの女との方が……」
「だめよ。そのようなことを言っては……」
「リリーシア様。相手が悪かっただけですもの。お気を病まないでくださいね?」
気になりますわ。
とても気になりますわよ。
わたくしたちが仲睦まじく?相思相愛?
そのように見えていたですって?
おかしいですわ。
これはとてもおかしいですわね。
こちらの皆様には学園でしかお会いしておりませんはずですのに。
王都に来てから、外を出歩くようなこともまだしておりませんのよ?
ですのに皆様、急に口を閉じて、何かを期待するような目でわたくしを見ていますの。
わたくしは仕方なく、皆様にお言葉を返すことにいたしましたわ。
「皆様のご配慮に感謝いたしますわ」
これくらいしか言えませんものね。
そうしましたら、伯爵令嬢が一段と眉を顰めましたの。
伯爵家では表情の学習の時間も用意出来なかったのかしら?
特に困っているようなお話を聞いたことはございませんのに。
とても不思議だわ。
それから先は、成人した貴族としての時間となりますの。
この方々はどのように貴族として生きていかれるのかしらね。
うふふ。
皆様よく話題が尽きないものだわ。
その情報収集能力については、賞賛いたしましてよ。
だって話題はずっと件の男爵令嬢と深く関わっている皆様の、愚かな言動についてでしたの。
これだけの情報をどうやって手に入れているのかしらね?
学園に密偵でも紛れ込ませているとしたら凄いわ。
「ねぇ、リリーシア様はどう思われます?」
皆様勝手に盛り上がっておられましたのに。
急に話を振られましたのよ。
わたくしは微笑んで囁きましたわ。
「沢山のお話が聞けましたから、恋について勉強になりましたわ」
これは本心でしてよ。
すると伯爵令嬢が眉を顰めてわたくしを見詰めましたの。
「リリーシア様も恋をされておりますでしょう?」
あらあらまぁまぁ。
もしやわたくしも頭が悪いように見えておりまして?
それともこの方々は別の何かの方法で恋をしているかどうかを見極められるのかしら。
でもその見極めは正しくはありませんわね。
お伝えした方がよろしいかしら。
角が立つのは嫌ね。
わたくしが悩んでおりましたら。
また皆様のお話が進んでおりましたの。
「あの女が引き裂くまでは、お二人はいつも仲睦まじく、並んでいるお姿は絵になるようで……。皆様あのような恋がしてみたいと口々に仰っておりましたわ」
「それなのにこのようなことになるなんて……リリーシア様がおいたわしい」
「信じられませんわよね」
「相思相愛のお二人に見えておりましたのに」
「今ではあの女との方が……」
「だめよ。そのようなことを言っては……」
「リリーシア様。相手が悪かっただけですもの。お気を病まないでくださいね?」
気になりますわ。
とても気になりますわよ。
わたくしたちが仲睦まじく?相思相愛?
そのように見えていたですって?
おかしいですわ。
これはとてもおかしいですわね。
こちらの皆様には学園でしかお会いしておりませんはずですのに。
王都に来てから、外を出歩くようなこともまだしておりませんのよ?
ですのに皆様、急に口を閉じて、何かを期待するような目でわたくしを見ていますの。
わたくしは仕方なく、皆様にお言葉を返すことにいたしましたわ。
「皆様のご配慮に感謝いたしますわ」
これくらいしか言えませんものね。
そうしましたら、伯爵令嬢が一段と眉を顰めましたの。
伯爵家では表情の学習の時間も用意出来なかったのかしら?
特に困っているようなお話を聞いたことはございませんのに。
とても不思議だわ。
32
お気に入りに追加
353
あなたにおすすめの小説

私を売女と呼んだあなたの元に戻るはずありませんよね?
ミィタソ
恋愛
アインナーズ伯爵家のレイナは、幼い頃からリリアナ・バイスター伯爵令嬢に陰湿ないじめを受けていた。
レイナには、親同士が決めた婚約者――アインス・ガルタード侯爵家がいる。
アインスは、その艶やかな黒髪と怪しい色気を放つ紫色の瞳から、令嬢の間では惑わしのアインス様と呼ばれるほど人気があった。
ある日、パーティに参加したレイナが一人になると、子爵家や男爵家の令嬢を引き連れたリリアナが現れ、レイナを貶めるような酷い言葉をいくつも投げかける。
そして、事故に見せかけるようにドレスの裾を踏みつけられたレイナは、転んでしまう。
上まで避けたスカートからは、美しい肌が見える。
「売女め、婚約は破棄させてもらう!」

【完】まさかの婚約破棄はあなたの心の声が聞こえたから
えとう蜜夏☆コミカライズ中
恋愛
伯爵令嬢のマーシャはある日不思議なネックレスを手に入れた。それは相手の心が聞こえるという品で、そんなことを信じるつもりは無かった。それに相手とは家同士の婚約だけどお互いに仲も良く、上手くいっていると思っていたつもりだったのに……。よくある婚約破棄のお話です。
※他サイトに自立も掲載しております
21.5.25ホットランキング入りありがとうございました( ´ ▽ ` )ノ
Unauthorized duplication is a violation of applicable laws.
ⓒえとう蜜夏(無断転載等はご遠慮ください)
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。

あなたには、この程度のこと、だったのかもしれませんが。
ふまさ
恋愛
楽しみにしていた、パーティー。けれどその場は、信じられないほどに凍り付いていた。
でも。
愉快そうに声を上げて笑う者が、一人、いた。
この作品は、小説家になろう様にも掲載しています。

【完結】婚約破棄される未来見えてるので最初から婚約しないルートを選びます
21時完結
恋愛
レイリーナ・フォン・アーデルバルトは、美しく品格高い公爵令嬢。しかし、彼女はこの世界が乙女ゲームの世界であり、自分がその悪役令嬢であることを知っている。ある日、夢で見た記憶が現実となり、レイリーナとしての人生が始まる。彼女の使命は、悲惨な結末を避けて幸せを掴むこと。
エドウィン王子との婚約を避けるため、レイリーナは彼との接触を避けようとするが、彼の深い愛情に次第に心を開いていく。エドウィン王子から婚約を申し込まれるも、レイリーナは即答を避け、未来を築くために時間を求める。
悪役令嬢としての運命を変えるため、レイリーナはエドウィンとの関係を慎重に築きながら、新しい道を模索する。運命を超えて真実の愛を掴むため、彼女は一人の女性として成長し、幸せな未来を目指して歩み続ける。

【完結済】政略結婚予定の婚約者同士である私たちの間に、愛なんてあるはずがありません!……よね?
鳴宮野々花@書籍2冊発売中
恋愛
「どうせ互いに望まぬ政略結婚だ。結婚までは好きな男のことを自由に想い続けていればいい」「……あらそう。分かったわ」婚約が決まって以来初めて会った王立学園の入学式の日、私グレース・エイヴリー侯爵令嬢の婚約者となったレイモンド・ベイツ公爵令息は軽く笑ってあっさりとそう言った。仲良くやっていきたい気持ちはあったけど、なぜだか私は昔からレイモンドには嫌われていた。
そっちがそのつもりならまぁ仕方ない、と割り切る私。だけど学園生活を過ごすうちに少しずつ二人の関係が変わりはじめ……
※※ファンタジーなご都合主義の世界観でお送りする学園もののお話です。史実に照らし合わせたりすると「??」となりますので、どうぞ広い心でお読みくださいませ。
※※大したざまぁはない予定です。気持ちがすれ違ってしまっている二人のラブストーリーです。
※この作品は小説家になろうにも投稿しています。

「白い結婚の終幕:冷たい約束と偽りの愛」
ゆる
恋愛
「白い結婚――それは幸福ではなく、冷たく縛られた契約だった。」
美しい名門貴族リュミエール家の娘アスカは、公爵家の若き当主レイヴンと政略結婚することになる。しかし、それは夫婦の絆など存在しない“白い結婚”だった。
夫のレイヴンは冷たく、長く屋敷を不在にし、アスカは孤独の中で公爵家の実態を知る――それは、先代から続く莫大な負債と、怪しい商会との闇契約によって破綻寸前に追い込まれた家だったのだ。
さらに、公爵家には謎めいた愛人セシリアが入り込み、家中の権力を掌握しようと暗躍している。使用人たちの不安、アーヴィング商会の差し押さえ圧力、そして消えた夫レイヴンの意図……。次々と押し寄せる困難の中、アスカはただの「飾りの夫人」として終わる人生を拒絶し、自ら未来を切り拓こうと動き始める。
政略結婚の檻の中で、彼女は周囲の陰謀に立ち向かい、少しずつ真実を掴んでいく。そして冷たく突き放していた夫レイヴンとの関係も、思わぬ形で変化していき――。
「私はもう誰の人形にもならない。自分の意志で、この家も未来も守り抜いてみせる!」
果たしてアスカは“白い結婚”という名の冷たい鎖を断ち切り、全てをざまあと思わせる大逆転を成し遂げられるのか?

【完結】ええと?あなたはどなたでしたか?
ここ
恋愛
アリサの婚約者ミゲルは、婚約のときから、平凡なアリサが気に入らなかった。
アリサはそれに気づいていたが、政略結婚に逆らえない。
15歳と16歳になった2人。ミゲルには恋人ができていた。マーシャという綺麗な令嬢だ。邪魔なアリサにこわい思いをさせて、婚約解消をねらうが、事態は思わぬ方向に。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる