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4章 凱旋と旅
3話 ビオーラの依頼
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ドレビアの町の冒険者ギルドに入ったとたん、ザワザワしていた冒険者達が一瞬シーンとなる。Sランク騎士と女神のハイエルフが目立つのだ。俺達を見て硬直した後一斉に話し始める。
「おっおい、まさかあれ、噂の英雄ケルビン・シルバーじゃねーか」
「うわっ本当だ、あっ女神のようなハイエルフって……本当に女神みたいじゃないか。なんだ、どうしてこんなところに……」
「マジだー! メチャ綺麗だな」
冒険者達が畏怖と羨望の眼差しで俺達を見ていた。どうやらアリエールの事まで冒険者ギルドにも噂が広がっているようだ。
依頼表掲示板に近づくと皆がサッと避けて広がった。これは楽だな。
「ビオーラの依頼、やっぱりまだあったな」
「そうね。こうゆうのを受けてあげたいって事でしょ、ケルビン」
「ああ、そういうことだ」
依頼表を掴むと紫の長髪美人、ふくよかな胸の受付嬢フローレンスさんの前に出す。
「久しぶりだな。フローレンスさん」
「お久しぶりですね。ケルビン様、アリエール様、まさか王都で騎士になられるとは、噂を聞いて驚いておりましたが、まさかまたこちらにいらして依頼を受けてくださるなんて、お優しいんですね」
フローレンスさんの顔が完全に尊敬の目になっている。これは押せば行けるかもしれない。アリエールの顔を確認する。コクンとうなづく。
どうゆう意味だ?
「実はAランク冒険者になったらこういった困っている依頼を受ける仕事をしようと思っていたんだよ。運よくSランク、しかも騎士になる事ができたから、まず気になった依頼を片付けようと思ってね」
少し恰好つけて言ってみた。
「本当に立派な方ですね。ありがとうございます。Sランクのケルビン様なら簡単に成し遂げられるのでしょう。ビオーラさんも喜ぶ事でしょうね」
感動したのかうるうるとした瞳になったフローレンスさんと打ち合わせをして依頼書を確認した。
ミスリル鉱石を持ってこればいいらしいので先に採掘跡に行ってゴーレムを倒す事にした。
地図を貰って町を出る。
採掘場は歩けば一日は掛かる距離だが、ユニコで飛ばせば1時間でいけるだろう。
以前は人が多く行き来していた事もあり、道は広く走るのに問題はなかった。
ユニコに乗ってしばらく走ると、採掘跡地のミスリル鉱山へ到着する。山自体はかなりさびれた雰囲気があり、一本道が山へと続いている。いかにも何か出てきそうな雰囲気だった。
構わず進んで行くと、洞窟への入口付近には濃い青色の大きなゴーレムが立っている。
「あれがゴーレムか」
「そうだけどミスリルってあんな色じゃないわよね。あれは違うゴーレムじゃないの」
アリエールが即答する。そうか、ミスリルなら聖銀色だしな、ではミスリルゴーレムは洞窟の中にいるのだろう。
入口のそばによると突然、停止していた青ゴーレムが動き出し、大きな腕を振り上げ襲ってくる。
ドゴーンッ。
しかしその腕が降り降ろされる前に黒い領域の槍に貫かれ、唐竹割りされたように真っ二つに分かれるとゴーレムが砂のようになってその場に崩れ落ちた。
「あっ魔石ごと切っちゃった」
「へー。胸の真ん中に魔石があるのね」
ちょうど真ん中に魔石があったため、瞬殺でゴーレムがボロボロになったのだ。砕けた魔石が消えてしまった。
ポトッ。
「おっ!」
代わりに鉄のインゴットがドロップした。
なるほど、こうなるのか。
「いいじゃない、ケルビン。ミスリルゴーレムの魔石を切ればミスリルのインゴットが出るって訳ね、じゃあ、ドンドンいきましょ。どうせ中にいっぱいいるんでしょ」
なぜか嬉しそうなアリエール。もしかしてミスリルで何か作ろうとか思ってるかもしれないな。
「よし、いくか」
ユニコに乗ったまま洞窟に入った俺達は、次々襲い掛かるゴーレムを叩きつぶして目的のインゴットを手に入れた。
夕方には冒険者ギルドに戻りフローレンスさんに報告する。
「もう戻られたのですね。流石です。ケルビン様、アリエール様、Sクラスって本当にすごいのですね」
フローレンスが頬を赤く染め潤んだ瞳で俺を見る。完全に惚れているように見えてしまう。だが、ここは我慢だ。まずはセリーが先だしモニカさんとも一戦交えなければならないのだ。やはりアリエールを置いて一人でくれば良かったな。いや、一人では逆に辛抱できなかったかもしれない。
うん? 辛抱をする必要があるのだろうか。
ミスリルのインゴットを依頼された量だけ納品して、金貨二枚を手に入れたあと、フローレンスさんを食事にでも誘おうか迷っていると、ギルド長室から慌てて出てきたおっさんがいた。
スキンヘッドのギルド長ギンダムだ。俺達を見つけると、すごい勢いで突っ込んできた。
「ケルビン殿! 良かった。今王都から伝令鳥が来たのですが、王都でまた騒動があったようで。至急応援して欲しいとの事、副騎士団長がこちらに向かっているそうです」
またか、とため息を吐いてアリエールと顔を見合わせた。
「おっおい、まさかあれ、噂の英雄ケルビン・シルバーじゃねーか」
「うわっ本当だ、あっ女神のようなハイエルフって……本当に女神みたいじゃないか。なんだ、どうしてこんなところに……」
「マジだー! メチャ綺麗だな」
冒険者達が畏怖と羨望の眼差しで俺達を見ていた。どうやらアリエールの事まで冒険者ギルドにも噂が広がっているようだ。
依頼表掲示板に近づくと皆がサッと避けて広がった。これは楽だな。
「ビオーラの依頼、やっぱりまだあったな」
「そうね。こうゆうのを受けてあげたいって事でしょ、ケルビン」
「ああ、そういうことだ」
依頼表を掴むと紫の長髪美人、ふくよかな胸の受付嬢フローレンスさんの前に出す。
「久しぶりだな。フローレンスさん」
「お久しぶりですね。ケルビン様、アリエール様、まさか王都で騎士になられるとは、噂を聞いて驚いておりましたが、まさかまたこちらにいらして依頼を受けてくださるなんて、お優しいんですね」
フローレンスさんの顔が完全に尊敬の目になっている。これは押せば行けるかもしれない。アリエールの顔を確認する。コクンとうなづく。
どうゆう意味だ?
「実はAランク冒険者になったらこういった困っている依頼を受ける仕事をしようと思っていたんだよ。運よくSランク、しかも騎士になる事ができたから、まず気になった依頼を片付けようと思ってね」
少し恰好つけて言ってみた。
「本当に立派な方ですね。ありがとうございます。Sランクのケルビン様なら簡単に成し遂げられるのでしょう。ビオーラさんも喜ぶ事でしょうね」
感動したのかうるうるとした瞳になったフローレンスさんと打ち合わせをして依頼書を確認した。
ミスリル鉱石を持ってこればいいらしいので先に採掘跡に行ってゴーレムを倒す事にした。
地図を貰って町を出る。
採掘場は歩けば一日は掛かる距離だが、ユニコで飛ばせば1時間でいけるだろう。
以前は人が多く行き来していた事もあり、道は広く走るのに問題はなかった。
ユニコに乗ってしばらく走ると、採掘跡地のミスリル鉱山へ到着する。山自体はかなりさびれた雰囲気があり、一本道が山へと続いている。いかにも何か出てきそうな雰囲気だった。
構わず進んで行くと、洞窟への入口付近には濃い青色の大きなゴーレムが立っている。
「あれがゴーレムか」
「そうだけどミスリルってあんな色じゃないわよね。あれは違うゴーレムじゃないの」
アリエールが即答する。そうか、ミスリルなら聖銀色だしな、ではミスリルゴーレムは洞窟の中にいるのだろう。
入口のそばによると突然、停止していた青ゴーレムが動き出し、大きな腕を振り上げ襲ってくる。
ドゴーンッ。
しかしその腕が降り降ろされる前に黒い領域の槍に貫かれ、唐竹割りされたように真っ二つに分かれるとゴーレムが砂のようになってその場に崩れ落ちた。
「あっ魔石ごと切っちゃった」
「へー。胸の真ん中に魔石があるのね」
ちょうど真ん中に魔石があったため、瞬殺でゴーレムがボロボロになったのだ。砕けた魔石が消えてしまった。
ポトッ。
「おっ!」
代わりに鉄のインゴットがドロップした。
なるほど、こうなるのか。
「いいじゃない、ケルビン。ミスリルゴーレムの魔石を切ればミスリルのインゴットが出るって訳ね、じゃあ、ドンドンいきましょ。どうせ中にいっぱいいるんでしょ」
なぜか嬉しそうなアリエール。もしかしてミスリルで何か作ろうとか思ってるかもしれないな。
「よし、いくか」
ユニコに乗ったまま洞窟に入った俺達は、次々襲い掛かるゴーレムを叩きつぶして目的のインゴットを手に入れた。
夕方には冒険者ギルドに戻りフローレンスさんに報告する。
「もう戻られたのですね。流石です。ケルビン様、アリエール様、Sクラスって本当にすごいのですね」
フローレンスが頬を赤く染め潤んだ瞳で俺を見る。完全に惚れているように見えてしまう。だが、ここは我慢だ。まずはセリーが先だしモニカさんとも一戦交えなければならないのだ。やはりアリエールを置いて一人でくれば良かったな。いや、一人では逆に辛抱できなかったかもしれない。
うん? 辛抱をする必要があるのだろうか。
ミスリルのインゴットを依頼された量だけ納品して、金貨二枚を手に入れたあと、フローレンスさんを食事にでも誘おうか迷っていると、ギルド長室から慌てて出てきたおっさんがいた。
スキンヘッドのギルド長ギンダムだ。俺達を見つけると、すごい勢いで突っ込んできた。
「ケルビン殿! 良かった。今王都から伝令鳥が来たのですが、王都でまた騒動があったようで。至急応援して欲しいとの事、副騎士団長がこちらに向かっているそうです」
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