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4章 凱旋と旅
1話 再びトレビアの町で
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エマールとラナナに屋敷を任せた俺達は、王都を出て二人でユニコに乗っていた。もちろんアリエールのおっぱいを揉みながらだ。
「ひどいわね、ケルビン。まさかエマールちゃんを置いて行くとは思わなかったわ」
「しょうがないだろ、ラナナだけには任せられないし妻が残ってれば陛下も何も言わんだろ。家族が王都にいるわけだからな」
本当はアリエールも置いて行こうかとも考えたのだが、無言の圧力があったため言い出せないまま一緒にでてきた。
「まあそうね。で、遠いの、そのスターテルの町は」
「そうだなあ。キューサイの町からは二日くらいじゃないか」
「へー。じゃあそんなには遠くないわね」
ユニコに揺られながらハイエルフが目的地を確認した。
そう、実は今、俺がながらく冒険者をしていた最初の町スターテルに向かっているのだ。
なぜかって、もちろんアレだ。
モニカさんと約束のHをするためだ。(注:考えてあげる。と言っただけでHさせるとは言っていない)
いや、それもあるが本当はセリーに会うためだ。
もしまだ一人でいるなら俺の妻にしようと思っているのだ。アリエールに話したら、別にいいんじゃないの。と言ってくれたので迎えに行くつもりなのだ。(注:これも勝手にそう思ってるだけ)
Sランク冒険者で騎士なら、側室が何人いても問題ないからな。
トレビアの町に到着した俺達はユニコから降りて、町人達が出入りする西門から入場する。
相変わらず多くの人々が出入りしていて入口の前には行列ができていた。
俺達はSランク冒険者の装備と銀の剣バッジを付けているので完全に騎士だと分かる恰好だ。普通に並んでいると他の冒険者や旅人がザワザワして距離を開ける。
やはり怖いのだろう。
「うーん、この格好も考えものだな。王都ならともかく田舎じゃ目立ってしょうがないぞ」
「そうかもね。でも絡まれるよりはいいんじゃないの」
純白に金色の刺繍が豪華に入った女神のような装備のアリエールがさらっと言う。
前の事を気にしてるのだろう。
「まあ、そうか」
皆には悪い気もしたが、きちんと並んで入場した。門番に冒険者カードを見せて1ドロル払おうとすると。
「Sランクの方は無料です。もちろん騎士様も無料でご入場していただけます」
と兵士が緊張した顔でこっちを見た。
「へーそうなんだ。じゃあ、遠慮なく通るぞ」
「はい。どうぞどうぞ」
ペコペコしながら通してくれた。
「そんなシステムだったのね。もしかして北の貴族門から通ったほうがいいのかしら」
「そうかもしれないな。あっ見たことある奴がいた」
騎士の格好をしたテレフォーンが立っているのが見えた。
「おい! テレフォーン!」
「はっはい。あっ!? なっなんで、しょうか」
思い出したのか完全にビクビクした様子で俺達をみた。よく見ると騎士のような鎧を着ているがバッジはつけていない。もしかして騎士ではないのだろうか。
「いいところで会った。俺達を覚えているな」
「はい、もちろんです。以前は大変失礼いたしました。ま、まさか騎士でいらしたとは存じ上げませんでした」
震えながら丁寧な態度でかしこまるテレフォーン。
「騎士になったのは最近なんだ。お前は騎士じゃなかったのか」
「ええ、私はトレビア伯爵の配下ルーバー男爵の部下で、トレビア領都警備を任されている者です。ルーバー家では騎士の位を頂いておりますが。シルバンデルグ王国の騎士ではありません」
「うーん。騎士なのに騎士じゃないのか」
俺の頭ではよく理解できなかった。
「そうですね。あくまでトレビア領内では騎士なのですが、王国からすると陪審になりますね」
なるほど……わからん。
「へー、そうか。色々あるんだな。いや、勉強になるな。ところで騎士やSランクになったら入場税がいらないらしいんだが、これからは貴族門から町に入ったほうがいいのか」
「そうですね。貴族門にいらっしゃればスムーズに入退場可能ですので、お忍でなければその方がよろしいかと思います。何か失礼な事がございましたでしょうか」
おお、流石貴族。こうしてみると物腰に気品があるようだ。
「いや、問題ない。実はさっきも言ったように最近騎士の爵位を貰ったんだ。よく分からない事が多いから貴族の事がわかる人材が欲しいんだ。そうだ。お前俺の部下にならないか」
「えええっ!? 駄目ですよ。そんな事は簡単に言ってはなりません。そんな事になったら、家同士の争いになってしまいます。いいですか。ええっと失礼、お名前を伺ってもよろしいでしょうか」
「ああ、ケルビン・シルバーだ」
「いいですか、シルバー卿。他家の配下を貰うと言うのはそんな簡単な事ではないのです」
「そうなのか」
「ええ、色んなしがらみがあるのですよ。……そうですね。でしたら、シルバー卿、私の腹違いの弟で、15歳になる者がおります。中々優秀なのですが、母が平民だった事もあり、仕官先が決まっておりません。商人になるしかないか、と悩んでいたところでございます。良かったらその弟を従士にしていただけませんか」
テレフォーンが真剣に頭を下げた。
「うん。いいじゃないか。そいつはどこにいるんだ」
「はい、ノキアスは家にいると思いますので、ではご案内いたします」
シュレン・テレフォーンに案内されて貴族街に入ってすぐにある屋敷に向かった。
十分立派なお屋敷だった。
「ノキアスはいるか。シルバー卿をお連れしたのだ」
「はっシュレン様。シルバー卿? もっもしや、王都で青龍とミノタウロスキングを倒したあのシルバー卿でございますか?」
四十歳位の落ち着いた執事が、急に驚いたように俺達を見た。
「ええっ!? そっそうかっ! ケルビン・シルバーって、あなたが英雄のシルバー様だったのですか!?」
テレフォーンも驚き俺を見る。
「そうだよ。なんだ、ここまで話が広まってるのか、すごいなアリエール」
「うん。そうね……。それより大丈夫なのケルビン。私は前の事もあるしあんまり信用できなんだけど」
アリエールが心配そうに俺を見た。
「ひどいわね、ケルビン。まさかエマールちゃんを置いて行くとは思わなかったわ」
「しょうがないだろ、ラナナだけには任せられないし妻が残ってれば陛下も何も言わんだろ。家族が王都にいるわけだからな」
本当はアリエールも置いて行こうかとも考えたのだが、無言の圧力があったため言い出せないまま一緒にでてきた。
「まあそうね。で、遠いの、そのスターテルの町は」
「そうだなあ。キューサイの町からは二日くらいじゃないか」
「へー。じゃあそんなには遠くないわね」
ユニコに揺られながらハイエルフが目的地を確認した。
そう、実は今、俺がながらく冒険者をしていた最初の町スターテルに向かっているのだ。
なぜかって、もちろんアレだ。
モニカさんと約束のHをするためだ。(注:考えてあげる。と言っただけでHさせるとは言っていない)
いや、それもあるが本当はセリーに会うためだ。
もしまだ一人でいるなら俺の妻にしようと思っているのだ。アリエールに話したら、別にいいんじゃないの。と言ってくれたので迎えに行くつもりなのだ。(注:これも勝手にそう思ってるだけ)
Sランク冒険者で騎士なら、側室が何人いても問題ないからな。
トレビアの町に到着した俺達はユニコから降りて、町人達が出入りする西門から入場する。
相変わらず多くの人々が出入りしていて入口の前には行列ができていた。
俺達はSランク冒険者の装備と銀の剣バッジを付けているので完全に騎士だと分かる恰好だ。普通に並んでいると他の冒険者や旅人がザワザワして距離を開ける。
やはり怖いのだろう。
「うーん、この格好も考えものだな。王都ならともかく田舎じゃ目立ってしょうがないぞ」
「そうかもね。でも絡まれるよりはいいんじゃないの」
純白に金色の刺繍が豪華に入った女神のような装備のアリエールがさらっと言う。
前の事を気にしてるのだろう。
「まあ、そうか」
皆には悪い気もしたが、きちんと並んで入場した。門番に冒険者カードを見せて1ドロル払おうとすると。
「Sランクの方は無料です。もちろん騎士様も無料でご入場していただけます」
と兵士が緊張した顔でこっちを見た。
「へーそうなんだ。じゃあ、遠慮なく通るぞ」
「はい。どうぞどうぞ」
ペコペコしながら通してくれた。
「そんなシステムだったのね。もしかして北の貴族門から通ったほうがいいのかしら」
「そうかもしれないな。あっ見たことある奴がいた」
騎士の格好をしたテレフォーンが立っているのが見えた。
「おい! テレフォーン!」
「はっはい。あっ!? なっなんで、しょうか」
思い出したのか完全にビクビクした様子で俺達をみた。よく見ると騎士のような鎧を着ているがバッジはつけていない。もしかして騎士ではないのだろうか。
「いいところで会った。俺達を覚えているな」
「はい、もちろんです。以前は大変失礼いたしました。ま、まさか騎士でいらしたとは存じ上げませんでした」
震えながら丁寧な態度でかしこまるテレフォーン。
「騎士になったのは最近なんだ。お前は騎士じゃなかったのか」
「ええ、私はトレビア伯爵の配下ルーバー男爵の部下で、トレビア領都警備を任されている者です。ルーバー家では騎士の位を頂いておりますが。シルバンデルグ王国の騎士ではありません」
「うーん。騎士なのに騎士じゃないのか」
俺の頭ではよく理解できなかった。
「そうですね。あくまでトレビア領内では騎士なのですが、王国からすると陪審になりますね」
なるほど……わからん。
「へー、そうか。色々あるんだな。いや、勉強になるな。ところで騎士やSランクになったら入場税がいらないらしいんだが、これからは貴族門から町に入ったほうがいいのか」
「そうですね。貴族門にいらっしゃればスムーズに入退場可能ですので、お忍でなければその方がよろしいかと思います。何か失礼な事がございましたでしょうか」
おお、流石貴族。こうしてみると物腰に気品があるようだ。
「いや、問題ない。実はさっきも言ったように最近騎士の爵位を貰ったんだ。よく分からない事が多いから貴族の事がわかる人材が欲しいんだ。そうだ。お前俺の部下にならないか」
「えええっ!? 駄目ですよ。そんな事は簡単に言ってはなりません。そんな事になったら、家同士の争いになってしまいます。いいですか。ええっと失礼、お名前を伺ってもよろしいでしょうか」
「ああ、ケルビン・シルバーだ」
「いいですか、シルバー卿。他家の配下を貰うと言うのはそんな簡単な事ではないのです」
「そうなのか」
「ええ、色んなしがらみがあるのですよ。……そうですね。でしたら、シルバー卿、私の腹違いの弟で、15歳になる者がおります。中々優秀なのですが、母が平民だった事もあり、仕官先が決まっておりません。商人になるしかないか、と悩んでいたところでございます。良かったらその弟を従士にしていただけませんか」
テレフォーンが真剣に頭を下げた。
「うん。いいじゃないか。そいつはどこにいるんだ」
「はい、ノキアスは家にいると思いますので、ではご案内いたします」
シュレン・テレフォーンに案内されて貴族街に入ってすぐにある屋敷に向かった。
十分立派なお屋敷だった。
「ノキアスはいるか。シルバー卿をお連れしたのだ」
「はっシュレン様。シルバー卿? もっもしや、王都で青龍とミノタウロスキングを倒したあのシルバー卿でございますか?」
四十歳位の落ち着いた執事が、急に驚いたように俺達を見た。
「ええっ!? そっそうかっ! ケルビン・シルバーって、あなたが英雄のシルバー様だったのですか!?」
テレフォーンも驚き俺を見る。
「そうだよ。なんだ、ここまで話が広まってるのか、すごいなアリエール」
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