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第三章 王都シルバーニュ
25話 初めての指名依頼
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扉がひらいた瞬間、見た事のある冒険者が入って来た。
「うぃーっす。俺達と組むSランク様ってのはどいつらだ? うんっお前ら……、お前らが青龍討伐した新人Sランクかー!? 」
「クローさん!?」
王都入口で会った紺色の短髪、長身の黒マント姿のクローさんが入って来た。隣にもう一人赤い長髪のグラマーな女性も連れていた。そして感じる。彼女も《持ってる》人だった。
「やりやがったな、Bランクだって言ってた癖に、まさか先越されるとは思わなかったぜ、最強は嘘じゃなかったんだな。まあしょうがねえよろしくな」
にこやかに入ってきた二人がドサっと横のソファーに座る。
「クローさん、ペアだったんだ」
「おうっAランクペア【鉄の爪】だ。俺の相方、《聖女》のグレミアだ。回復、障壁、補助呪文、光魔法のスペシャリストだ、怒らすと俺より怖いぜ」
「グレミアよ、よろしく」
黒いぴちっとした体に張り付くボンテージのような革の服を着た女性が挨拶する。全然聖女のイメージじゃない。美人だが少し田舎のお姉さんと言った感じだ。体のラインがハッキリわかるのでエロい感じがたまらない。胸元は大きく開いておれの目線がそこへ行く。
メリシアがその様子を見てほっとしたような顔になる。
「なんだ。お互い面識があったのね。話が早くて助かるわ。【一撃】さんは、エマールさんも入ってトリオだから5人になるわね。お互いに協力して何とか【進化の魔王】を倒して頂だい。あと、確認しておきたいんだけど、ケルビンさん」
「うん?」
「あなた何の能力を《持ってる》のかしら、【領域の主】なの? それとも【特殊系】、かしら、【スキル系】や【魔法系】、【身体系】には見えないけど……」
メリシアが真剣な顔をした。
この世界にあるチート能力には、色んな種類があり、チート神を掴む他にもそれを得る方法はある。まあ、方法はともかくとして、そのチートの種類は大きく5つに分けられている。
まず、
1.火魔法最強や氷魔法最強など大魔法が使える【魔法系】
2.鉄を切る剣技だとか麻痺させる技とか毒付与する技などの【スキル系】
3.身体強化や手が伸びる体が消えるなどの【身体系】
4.それ以外の変わった現象を起こす【特殊系】
5.そしてチート最強と言われる【領域の主】というのがあるそうだ。
領域の主はその領域において絶大な力を持つもので、その領域内の重力を操る重力マスターや、温度を操る温度マスター。速度を操るスピードマスターなどがいるそうだ。
その領域に入ってしまえばその力から逃げられない。よって数あるチートの中でも【領域の主】は最強と言われる能力らしい。
「へーそんな事になってたのか」
メリシアの説明に納得する。
「じゃあ、やっぱりケルビンは最強じゃないの」
アリエールが得意げに俺を見た。
「ということは、ケルビンさんは【領域の主】でいいのよね」
確認するようにメリシアが言う。
まあ隠してもしょうがないし、そもそもバレても問題ない。そう思っているとクローがこっちを見て、こう言った。
「だろうな。ずっと三人を囲うように黒い領域が見えてるぜ」
グレミアもうんうんと頷く。どうやら《持ってる》者同士はその能力が見えるようだ。
「そう、不思議な障壁を使うと報告があがっていたのだけれど、任務の遂行に当たって必要な事なの、申し訳ないけれど何の能力か教えてもらえないかしら」
メリシアが慎重にお願いしてきた。
「いいよ。俺の能力は【絶対領域】だ」
「絶対領域!? どういうこと? 温度や重力を操るんじゃなくて、絶対を操れるってこと?」
皆がびっくりした。
「ああ、この領域内の中では全部俺の自由になるんだ。そう、絶対にな」
ドヤ顔で言い切った。
「なんじゃそりゃ!? メチャクチャずりーじゃねーか!」
クローが叫ぶ。
「そんな能力聞いたことないよ! なんでも自由ってなんだよそれ、そんなの神様の力じゃないか」
グレミアも怒ったように声を荒げる。
神の力その物だからな。
まあ、気持ちはわからんでもない。
「そのとおり、でも俺の領域は本当は小さいんだ。今見えてるのは薄く伸ばしてペラペラにした表面なんだよ。本当の領域はこれ位しかない」
俺は手でソフトボール大くらいの大きさを見せた。
「……そうか、そういう事か」
「そうなのね……」
クローもメリシアも納得する。
「なるほど、他の【領域の主】に比べて範囲がべらぼうに狭いんだね。その分強力な願いが叶うって訳か、でもすごいじゃないか。薄くできるなら皆を守れるし、これは相当な戦力になるね」
グレミアが目を輝かせて俺をみた。
どうも田舎のヤンキーねーちゃんみたいに見えてしまう。
「だから、青龍からも二人を守れたのね。でもどうやって倒したの、攻撃力があるようには思えないけれど」
メリシアが疑問に思ったようだ。
「この領域を伸ばして大槍にしたのさ、龍の口内に食べられたまま大槍で頭を貫いたんだ」
「そういう事だったのね。それで得心がいったわ。うん。攻防一体のすごい能力ね。これなら【進化の魔王】でもきっと倒せるわ」
メリシアが納得し大喜びしたその時。
――ズガーン。
地響きがして大きな音が鳴り響いた。
「何か来やがったな!」
「まさか、また青龍が!?」
クローとグレミアがすぐに立ち上がり素早く部屋から飛び出して行った。
俺達も遅れてついて行く。
外からは大勢の悲鳴が聞こえた。
「うぃーっす。俺達と組むSランク様ってのはどいつらだ? うんっお前ら……、お前らが青龍討伐した新人Sランクかー!? 」
「クローさん!?」
王都入口で会った紺色の短髪、長身の黒マント姿のクローさんが入って来た。隣にもう一人赤い長髪のグラマーな女性も連れていた。そして感じる。彼女も《持ってる》人だった。
「やりやがったな、Bランクだって言ってた癖に、まさか先越されるとは思わなかったぜ、最強は嘘じゃなかったんだな。まあしょうがねえよろしくな」
にこやかに入ってきた二人がドサっと横のソファーに座る。
「クローさん、ペアだったんだ」
「おうっAランクペア【鉄の爪】だ。俺の相方、《聖女》のグレミアだ。回復、障壁、補助呪文、光魔法のスペシャリストだ、怒らすと俺より怖いぜ」
「グレミアよ、よろしく」
黒いぴちっとした体に張り付くボンテージのような革の服を着た女性が挨拶する。全然聖女のイメージじゃない。美人だが少し田舎のお姉さんと言った感じだ。体のラインがハッキリわかるのでエロい感じがたまらない。胸元は大きく開いておれの目線がそこへ行く。
メリシアがその様子を見てほっとしたような顔になる。
「なんだ。お互い面識があったのね。話が早くて助かるわ。【一撃】さんは、エマールさんも入ってトリオだから5人になるわね。お互いに協力して何とか【進化の魔王】を倒して頂だい。あと、確認しておきたいんだけど、ケルビンさん」
「うん?」
「あなた何の能力を《持ってる》のかしら、【領域の主】なの? それとも【特殊系】、かしら、【スキル系】や【魔法系】、【身体系】には見えないけど……」
メリシアが真剣な顔をした。
この世界にあるチート能力には、色んな種類があり、チート神を掴む他にもそれを得る方法はある。まあ、方法はともかくとして、そのチートの種類は大きく5つに分けられている。
まず、
1.火魔法最強や氷魔法最強など大魔法が使える【魔法系】
2.鉄を切る剣技だとか麻痺させる技とか毒付与する技などの【スキル系】
3.身体強化や手が伸びる体が消えるなどの【身体系】
4.それ以外の変わった現象を起こす【特殊系】
5.そしてチート最強と言われる【領域の主】というのがあるそうだ。
領域の主はその領域において絶大な力を持つもので、その領域内の重力を操る重力マスターや、温度を操る温度マスター。速度を操るスピードマスターなどがいるそうだ。
その領域に入ってしまえばその力から逃げられない。よって数あるチートの中でも【領域の主】は最強と言われる能力らしい。
「へーそんな事になってたのか」
メリシアの説明に納得する。
「じゃあ、やっぱりケルビンは最強じゃないの」
アリエールが得意げに俺を見た。
「ということは、ケルビンさんは【領域の主】でいいのよね」
確認するようにメリシアが言う。
まあ隠してもしょうがないし、そもそもバレても問題ない。そう思っているとクローがこっちを見て、こう言った。
「だろうな。ずっと三人を囲うように黒い領域が見えてるぜ」
グレミアもうんうんと頷く。どうやら《持ってる》者同士はその能力が見えるようだ。
「そう、不思議な障壁を使うと報告があがっていたのだけれど、任務の遂行に当たって必要な事なの、申し訳ないけれど何の能力か教えてもらえないかしら」
メリシアが慎重にお願いしてきた。
「いいよ。俺の能力は【絶対領域】だ」
「絶対領域!? どういうこと? 温度や重力を操るんじゃなくて、絶対を操れるってこと?」
皆がびっくりした。
「ああ、この領域内の中では全部俺の自由になるんだ。そう、絶対にな」
ドヤ顔で言い切った。
「なんじゃそりゃ!? メチャクチャずりーじゃねーか!」
クローが叫ぶ。
「そんな能力聞いたことないよ! なんでも自由ってなんだよそれ、そんなの神様の力じゃないか」
グレミアも怒ったように声を荒げる。
神の力その物だからな。
まあ、気持ちはわからんでもない。
「そのとおり、でも俺の領域は本当は小さいんだ。今見えてるのは薄く伸ばしてペラペラにした表面なんだよ。本当の領域はこれ位しかない」
俺は手でソフトボール大くらいの大きさを見せた。
「……そうか、そういう事か」
「そうなのね……」
クローもメリシアも納得する。
「なるほど、他の【領域の主】に比べて範囲がべらぼうに狭いんだね。その分強力な願いが叶うって訳か、でもすごいじゃないか。薄くできるなら皆を守れるし、これは相当な戦力になるね」
グレミアが目を輝かせて俺をみた。
どうも田舎のヤンキーねーちゃんみたいに見えてしまう。
「だから、青龍からも二人を守れたのね。でもどうやって倒したの、攻撃力があるようには思えないけれど」
メリシアが疑問に思ったようだ。
「この領域を伸ばして大槍にしたのさ、龍の口内に食べられたまま大槍で頭を貫いたんだ」
「そういう事だったのね。それで得心がいったわ。うん。攻防一体のすごい能力ね。これなら【進化の魔王】でもきっと倒せるわ」
メリシアが納得し大喜びしたその時。
――ズガーン。
地響きがして大きな音が鳴り響いた。
「何か来やがったな!」
「まさか、また青龍が!?」
クローとグレミアがすぐに立ち上がり素早く部屋から飛び出して行った。
俺達も遅れてついて行く。
外からは大勢の悲鳴が聞こえた。
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