【R18】黒のエリアマスター

shinko

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第三章 王都シルバーニュ

21話 借金返済

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 その後落ち着いて笑顔になったエマールと楽しく食事を終えたあとは、借金返済と新たな装備を見るためにテレジアさんの店【神の手】へ立ち寄った。

 装備街の一角にあるお洒落な店の扉を開けると、奥にいた美人店長テレジアさんと目が合った。会釈すると、嬉しそうな顔をして出迎えてくれた。

「あら、もう返済に来たの。うん? それともさらに借金に来たのかしら」

 黒く艶やかな長い髪を右手で耳にかけながら、妙齢なマダムがエマールを見て、面白そうな物を見つけたような顔をした。

「えっ貸してくれるのか」

 借りる気もないけど聞いてみた。

「本気で言ってるの? 別にいいわよ」

 何でもない事のようにさらりと肯定する。

 信用あるな、チート神。

「まあ、冗談だよ。臨時収入があったんだ。キッチリ返すよ、はい」

 貰いたての大白金貨1000万ドロルをテレジアに手渡した。

「流石やるわね。やっぱり思ったとおりだったわ。それに、その子にも装備を選ぶんでしょう」

 手のひらの大白金貨を無造作にポケットに入れると、展示されている商品にくぎ付けになっている幼女を嬉しそうに見る。

「そうだな。エマール好きなのを選べよ」

「お二人の装備はここの品だったんですね。素晴らしい物ばっかりです。超一流の職人の仕事ですよこれは」

 エマールが素晴らしい品々に感心し銅色の瞳が今までになく輝いている。

「そう言えば牛王の角が欲しいと言ってたな。もしかして何か作ってもらうつもりだったのか」

「はい。それで拳武器ナックルを作ろうと思ってたんですよ」

「もしかしてエマール、自分で作るつもりなのか」

「はい、武器製作はドワーフの得意分野ですから」

 自信満々に胸を張る。

「あら、やっぱり、職人さんだったのね。そんな感じがしていたわ。商品を見る目が違うもの、可愛いドワーフさん。ここの装備は全て私が作ったのよ」

 嬉しそうにテレジアが言った。

「やっぱりそうなんですね。でもこれだけの物を全部お一人で作ってらっしゃるなんてとても信じられません。素晴らしいクオリティなのにこんなに数と種類があるなんて……これは神です。神の力でないとありえません」

 エマールがテレジア見て断言する。

「ほほほっ良く分かったわね。嬉しいわ。そう。神の力よ。でなきゃこんなに作れないわ。気に入ったわドワーフのお嬢さん。牛王の角も確かにいいけど、これなんかどう。銅龍の角で出来た拳武器ナックルよ」

 そう言ってテレジアがシンプルな両拳武器を持ってきた。


       ☆


「まさか……まさか根こそぎいかれるとは……」

 テレジアの店【神の手】の前で、新たな装備に包まれた俺は呆然としていた。

「いいじゃないの。お金なんてまた稼げばいいでしょ」

「そうですよ。出会いは必然。装備は最善って言うじゃないですか」

 ドワーフとハイエルフが仲良くスキップしている。

 なんとたった今、魔石を売った賞金大白金貨二十枚二億ドロルを全て使ってしまったのだ。

 なっ何だってー!

 何を言っているか良く分からないが、とにかく全てのお金を【テレジア】に巻き上げられた。

 新たな装備に変わってしまったのだ。

 俺の装備は、こう変わった。

 【銀龍の武道着】銀龍をイメージした銀色のミスリルが織り込まれた服→【銀龍鱗の格闘着】銀龍の鱗で出来た銀色の武道着に銀龍の姿がドンと描かれた服。
 
 【銀龍の籠手】銀龍をイメージした銀色のミスリルが織り込まれた籠手 →【銀龍鱗の戦闘籠手】銀龍の鱗で出来た銀色の籠手。
 
 【銀翼のブーツ】銀色のブーツに銀色の翼のついたミスリルが織り込まれたブーツ →【銀龍鱗のブーツ】銀龍の鱗で出来たブーツ。

 簡潔に言うと銀龍から銀龍に変わったのだ。もちろん着心地もいいし、今まで以上に力も感じる。素晴らしい品物なのは間違いない。それは神の力を感じるほどだ。

 同様にアリエールもパワーアップし、聖女のイメージから、女神の装いになったのだ。

 さらに可憐に洗練され、白さと神々しさを纏っている。

【女神のローブ】【女神のテイアラ】【女神のドレス】なぜかミニスカート、に【女神の籠手】【女神のブーツ】【女神の杖】【女神の指輪】だ。

 また装飾品までフル装備だ。

 そしてエマール。髪色に合わせた銅色の装備にした。

【銅龍の両拳武器】に【銅龍の軽鎧】【銅龍の籠手】【銅龍のブーツ】だ。

 これで二億ドロル大白金貨二十枚が全て飛んでったのだ。

 借金はないが、貯金も元通りになってしまった。

 バブルは一瞬にして崩壊したのだ。

「まあ、装備は無駄にはならないし、Sランクになったんだもんな」

 これなら誰が見ても英雄に見えるだろう。特にアリエールの美しさはシャレにならんくらいだ。妖精を超えている。本当に女神に見えてしまうのだ。

 これはもう押し倒すしかない。

「そうね。なんてったってSランクなんだからね。装備も揃ったし、お祝いしましょ。それに今日はエマールちゃんと初体験よ」

 嬉しそうにアリエールがエマールに抱き着いた。

「えっそっそう、そっそうです、ね」

 幼女が硬直して真っ赤になった。

「さあ、今日は高級宿で、朝までゆっくりがんばりましょ」

 やっぱり幼女が好きなんじゃないか。張り切るアリエールとカチコチのエマールと一緒に高級宿に入室した。
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