【R18】黒のエリアマスター

shinko

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第三章 王都シルバーニュ

18話 青龍の消えた後

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 空に打ち上げられている。自分でもちょっと何を言っているのかわからなかったが、どうやら現実が襲ってきたらしい。一緒に飛んでいる二人の顔をみる。

「マジか!?」

「マジね」

「どうしましょう?」

 俺達三人は間違いなく上空に打ち上げられていた。
 青龍が暴れて飛び上がったのだろう。遥か下に地表が見えるのだ。ハッキリ言って絶景だった。

「ああ、王都って広いんだな」

「そうね」

「そんな事言ってる場合じゃないでしょう!? どうするんですか。この後絶対落ちますよね」

 エマールの言うとおり、ゆっくりと景色が停止した。

 ピタッ。

 うん。止まったな。

 そしてゆっくりと加速して落下していく。そう。なぜなら重力があるからね。

「うおおおおおお!」

「はあああああああ!」

「いやあああああああああ!」

 このまま落ちれば確実に死ぬ。
 いくら絶対領域で囲っても死ぬ気がする。

 なんとかスピードを殺さねば……。

 俺は【絶対領域】を大きく広げて風を捉えようとした。

「展開! 半球特大バージョン!」

 ブワンッ。

 狙い通り【絶対領域】が風を大きく掴み、落下速度が緩やかになった。

 うん、成功だ。

「やった!」

 上は大きな半球でパラシュートのような形、下は三人で座れるカゴの形に変形させたのだ。
 空中に三人で座っている。

「流石ケルビンだわ。もうすごい。素敵。かっこいい。大好き。今回はもう死ぬかと思ったけど、まさか龍まで倒しちゃうなんて、愛してるわ。うーん ちゅ♡」

 ほっとしたのかアリエールがぎゅっと抱き着いた。ウルウルした瞳で俺を見ると愛おしそうにキスをした。

「本当にすごいです。素晴らしいです。流石ですね」

 エマールも俺にしっかりと抱き着いている。俺を見る目が同じようにウルウルしていた。
 小さな子供の様で可愛い。

「惚れたか」

 すると幼女は赤い顔をして、

「ほっ惚れ……」

 ――ガンッ。

 その時急に天井に何かが当たった。

「うんっ?」

 見上げると青色に輝く人の体くらいはあるような巨大な魔石が、黒い領域に乗っていた。

「これ青龍の魔石じゃないの? やっぱり大きいわね」

「うわっすごい大きい……こんな大きな魔石、見たことありません」

 二人が上を見上げて驚いた。

「そっか。さっきのやつか、流石青龍だけはある、魔石も青いんだな」

 やはり青龍は死んで魔石になったようだ。
【絶対領域】に乗った大きな魔石を小さくすると、そのまま吸い取り回収した。

「やったわね、ケルビン。これなら借金が返せるかもしれないわね」

 嬉しそうに言うアリエール。あの大きさなら相当な金額になるに違いない。

「おおっそうだな。これは絶対高いだろう。死ぬ思いはしたけどそれ以上に儲かったな」

「確かにあれならAランクは間違いないでしょう。そうだ。昇格もするんじゃないですか」

 エマールも目が輝く。青龍を倒したのだ。間違いなく昇格するだろう。

「そうだな。ついにAランク超一流かぁ。そう言えば迷宮から出ちゃったな。どうしようか」

「まあいいんんじゃない。とりあえず冒険者ギルドに行くしかないわね、ほら下で皆見上げてるわよ」

 アリエールの指さした下を見ると、まるでアリのように大勢の冒険者達がワラワラと集まり、俺達を見て騒いでいるようだった。
 迷宮入口の横には大きな穴が開いている。あそこから青龍が飛び立ったのだろう。

 俺達はゆっくりと空中散歩を楽しんだあと、大勢の拍手を受けて三人で地上に着地した。
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