43 / 104
第三章 王都シルバーニュ
17話 地下八階層のボス?
しおりを挟む
負傷していた、【ドキッ男だらけの四人組PT】をアリエールが癒して礼を言われる。「ありがとうございます」と言いながらアリエールの手を握ろうとした男共の手を、前に高速で回り込んで体を入れるとすべて掴んで俺が握手した。
その熱い握手に彼らも泣いてお礼を言った。よほど嬉しかったらしい。
流石チート。
うむ。いい事したな……。
少しだけ水分補給をして休憩した後、再度迷宮を探索する。
だが魔物を一掃したせいで辺りはシーンとしている。気配がないのだ。
「もしかして全部倒しちゃったかな」
「魔石もいっぱいあったしそうかもしれないわね」
「なんか不思議な感じがしますね」
ガランとした部屋を通過し、しばらく先に進んで歩いていると、急にまたアリエールが何かを感知した。
ビクンッと体が硬直し、今までに無い真剣な表情になると、
「すごいのが来る!? これはまさか、こんなところで!? ケルビン、全力で覆って! 龍が来るわ!」
「龍だって!? ボスは青い大蛇のはずだろ」
その言葉には流石に俺も驚いた。
「変異種かもしません! もしかしたらさっきのも……」
――ズガーーーン!
奥から突然大きな音がした。と同時に壁がありえないほど吹き飛んだ。
見えない圧 力が俺達を襲う。
壁をガンガン破壊しながら移動する、大きな青い龍の顔が視界に映った。
「マジか……」
「あっ……」
「うそっ……」
あまりの出来事に硬直した。
その圧倒的な力を持つ強者の顔が一瞬見えたかと思ったと同時に、こちらを睨み恐ろしいスピードで突っ込んできた。
「でけーーーーー!」
「きたああぁ!」
「きゃああああ!!」
通路いっぱいに顔があるかのような大きさだ。
正面からすごい勢いで向かってくると、口を全開にしてでっかく開いた。
その口からくすぶる炎の塊が見える。
――龍 の 息吹か!!!
一撃ですべてを消し去ると言われる龍の咆哮。龍の最大の攻撃とも言われるものすごいエネルギーの暴力が、今目の前に迫っていた。
これはやべえええええ!!
ヤバ過ぎる。その圧倒的な力の高まりに今までに無い恐怖を感じた。これは死ぬかもしれん。
俺は二人を強く抱き寄せると、【絶対領域】で三人だけを小さく囲うように黒い領域を二重に纏わせた。
完全防御だ。俺は無敵の障壁をイメージする。頼む。チート神俺達を守ってくれ。
「【絶対領域・完全防御】! うおおおおおお!?」
「なっわあああああ!?」
「きゃあああああああああああ!?」
そこらじゅうに衝撃が走り、視界が真っ赤になり飛んでグルグル回る。
展開していた【絶対領域】ごと体が吹っ飛ばされたのだ。
「痛てててて」
「びっくりしたあ……」
「大丈夫……でした、ね」
少し体は痛かったが、流石チート、体に異変はない様だ。しばらくして起き上がると、目の前にはやはり青龍の大きな顔が見えていた。
『生きておるのか……』
俺達をハッキリと認識したその表情は、少しだけ驚いた顔をしているように見えた。
「流石龍ね。風の防御力向上! 風の防御力向上! 風の防御力向上! これで少しはマシになるでしょ」
アリエールがその隙をつき、急いで補助呪文をかけた。
優しい風が俺達を包む。
「まさか、本当に龍なんて……これは青龍……」
黒い領域ごしに、大きな顔の青い龍がいる。体も長く完全に浮いていてメチャメチャでかい。
ブレスで死ななかった俺達に怒りを感じているようだ。空気がビリビリ振動する。
『ぬうっこしゃくなやつめ、ならばこうしてくれるわ』
青龍が口を大きく開き、そのままグイっと突っ込んできた。
バクンっ!!
なんと領域ごとその大口に入れたのだ。
「うわっマジか!?」
「なっ食べられた!?」
「きゃああああああ!!」
龍の口内で圧倒的な力に押しつぶされる。が、そこは神の力【絶対領域】、いくら龍でも噛み砕けない。
『ぬううううう!?』
龍が驚く。
黒い領域がその鋭い龍歯から俺達を守る。だが無事ではない、ミシミシ言ってきしんでいる。耐えてるだけだ。今にも押しつぶされそうなのだ。心なしか広げた領域が押しつぶされている。
ガンっとすごい力で俺の体が締め付けられた。
重い、すごい圧力だ。ものすごい重力が体にかかる。
「ぐわあっ重い……」
「ケルビン! しっかりして」
「ケルビンさん!」
これはきつい。
何とか力と精神力で黒い展開を守り続ける。脂汗が全身から噴き出してきた。
龍も必死で噛み砕こうと力を入れてくる。
「くうううっ」
さらにガンガン力が加わり、俺の体が悲鳴をあげる。
龍でも噛み砕けないようだが、かなりヤバイ。そんなに持たない。このままだとジリ貧になる。そうなる前にやるしかない。
「これでもくらえ【絶対領域壁槍】」
俺は気力を振り絞り、黒い領域から見えない槍を突き出した。
ブシャ!!
口内が青い流血を吹き出した。
『グワアアアアアア』
途端に龍が暴れ出す。のたうち廻って振り回す。当然俺達もグルグル回る。だが槍は伸ばしたままだ。
「うわああああああ!!」
「きゃああああああ!!」
「いやあああああああああ!!」
アリエールとエマールを抱きしめて何とか衝撃に耐え続ける。
……長い。
苦しい。
重い。
痛い。
衝撃と圧力に耐えきれず、意識が飛びそうになる。
……不味い。
だが、まだだ。
耐えるんだ。
きっきつい……。
もうっクラクラする……。
ああ、意識が……
「限定領域回復呪文大!」
アリエールの声が聞こえた。
体がスッと軽くなった。
右手に力が戻り、瞬間的に気力が湧いてきた。視界は真っ暗だが関係ない。ここで勝負するしかない。
「助かったアリエール、これでもくらええええええーーーー!【絶対領域障壁超大槍】!」
俺は気力を振り絞り、全力で槍を大きく伸ばした。
『ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!』
物凄い大きな断末魔が聞こえた。
ふいに体にかかっていた圧力から解放された。
視界が突然クリアになる。目に飛び込んできたのは明るい空だった。
「なっなんじゃこりゃ!!」
「うわっ!?」
「ええええええ!?」
俺達三人は上空に、すごい勢いで飛んでいた。
その熱い握手に彼らも泣いてお礼を言った。よほど嬉しかったらしい。
流石チート。
うむ。いい事したな……。
少しだけ水分補給をして休憩した後、再度迷宮を探索する。
だが魔物を一掃したせいで辺りはシーンとしている。気配がないのだ。
「もしかして全部倒しちゃったかな」
「魔石もいっぱいあったしそうかもしれないわね」
「なんか不思議な感じがしますね」
ガランとした部屋を通過し、しばらく先に進んで歩いていると、急にまたアリエールが何かを感知した。
ビクンッと体が硬直し、今までに無い真剣な表情になると、
「すごいのが来る!? これはまさか、こんなところで!? ケルビン、全力で覆って! 龍が来るわ!」
「龍だって!? ボスは青い大蛇のはずだろ」
その言葉には流石に俺も驚いた。
「変異種かもしません! もしかしたらさっきのも……」
――ズガーーーン!
奥から突然大きな音がした。と同時に壁がありえないほど吹き飛んだ。
見えない圧 力が俺達を襲う。
壁をガンガン破壊しながら移動する、大きな青い龍の顔が視界に映った。
「マジか……」
「あっ……」
「うそっ……」
あまりの出来事に硬直した。
その圧倒的な力を持つ強者の顔が一瞬見えたかと思ったと同時に、こちらを睨み恐ろしいスピードで突っ込んできた。
「でけーーーーー!」
「きたああぁ!」
「きゃああああ!!」
通路いっぱいに顔があるかのような大きさだ。
正面からすごい勢いで向かってくると、口を全開にしてでっかく開いた。
その口からくすぶる炎の塊が見える。
――龍 の 息吹か!!!
一撃ですべてを消し去ると言われる龍の咆哮。龍の最大の攻撃とも言われるものすごいエネルギーの暴力が、今目の前に迫っていた。
これはやべえええええ!!
ヤバ過ぎる。その圧倒的な力の高まりに今までに無い恐怖を感じた。これは死ぬかもしれん。
俺は二人を強く抱き寄せると、【絶対領域】で三人だけを小さく囲うように黒い領域を二重に纏わせた。
完全防御だ。俺は無敵の障壁をイメージする。頼む。チート神俺達を守ってくれ。
「【絶対領域・完全防御】! うおおおおおお!?」
「なっわあああああ!?」
「きゃあああああああああああ!?」
そこらじゅうに衝撃が走り、視界が真っ赤になり飛んでグルグル回る。
展開していた【絶対領域】ごと体が吹っ飛ばされたのだ。
「痛てててて」
「びっくりしたあ……」
「大丈夫……でした、ね」
少し体は痛かったが、流石チート、体に異変はない様だ。しばらくして起き上がると、目の前にはやはり青龍の大きな顔が見えていた。
『生きておるのか……』
俺達をハッキリと認識したその表情は、少しだけ驚いた顔をしているように見えた。
「流石龍ね。風の防御力向上! 風の防御力向上! 風の防御力向上! これで少しはマシになるでしょ」
アリエールがその隙をつき、急いで補助呪文をかけた。
優しい風が俺達を包む。
「まさか、本当に龍なんて……これは青龍……」
黒い領域ごしに、大きな顔の青い龍がいる。体も長く完全に浮いていてメチャメチャでかい。
ブレスで死ななかった俺達に怒りを感じているようだ。空気がビリビリ振動する。
『ぬうっこしゃくなやつめ、ならばこうしてくれるわ』
青龍が口を大きく開き、そのままグイっと突っ込んできた。
バクンっ!!
なんと領域ごとその大口に入れたのだ。
「うわっマジか!?」
「なっ食べられた!?」
「きゃああああああ!!」
龍の口内で圧倒的な力に押しつぶされる。が、そこは神の力【絶対領域】、いくら龍でも噛み砕けない。
『ぬううううう!?』
龍が驚く。
黒い領域がその鋭い龍歯から俺達を守る。だが無事ではない、ミシミシ言ってきしんでいる。耐えてるだけだ。今にも押しつぶされそうなのだ。心なしか広げた領域が押しつぶされている。
ガンっとすごい力で俺の体が締め付けられた。
重い、すごい圧力だ。ものすごい重力が体にかかる。
「ぐわあっ重い……」
「ケルビン! しっかりして」
「ケルビンさん!」
これはきつい。
何とか力と精神力で黒い展開を守り続ける。脂汗が全身から噴き出してきた。
龍も必死で噛み砕こうと力を入れてくる。
「くうううっ」
さらにガンガン力が加わり、俺の体が悲鳴をあげる。
龍でも噛み砕けないようだが、かなりヤバイ。そんなに持たない。このままだとジリ貧になる。そうなる前にやるしかない。
「これでもくらえ【絶対領域壁槍】」
俺は気力を振り絞り、黒い領域から見えない槍を突き出した。
ブシャ!!
口内が青い流血を吹き出した。
『グワアアアアアア』
途端に龍が暴れ出す。のたうち廻って振り回す。当然俺達もグルグル回る。だが槍は伸ばしたままだ。
「うわああああああ!!」
「きゃああああああ!!」
「いやあああああああああ!!」
アリエールとエマールを抱きしめて何とか衝撃に耐え続ける。
……長い。
苦しい。
重い。
痛い。
衝撃と圧力に耐えきれず、意識が飛びそうになる。
……不味い。
だが、まだだ。
耐えるんだ。
きっきつい……。
もうっクラクラする……。
ああ、意識が……
「限定領域回復呪文大!」
アリエールの声が聞こえた。
体がスッと軽くなった。
右手に力が戻り、瞬間的に気力が湧いてきた。視界は真っ暗だが関係ない。ここで勝負するしかない。
「助かったアリエール、これでもくらええええええーーーー!【絶対領域障壁超大槍】!」
俺は気力を振り絞り、全力で槍を大きく伸ばした。
『ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!』
物凄い大きな断末魔が聞こえた。
ふいに体にかかっていた圧力から解放された。
視界が突然クリアになる。目に飛び込んできたのは明るい空だった。
「なっなんじゃこりゃ!!」
「うわっ!?」
「ええええええ!?」
俺達三人は上空に、すごい勢いで飛んでいた。
0
お気に入りに追加
570
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/youth.png?id=ad9871afe441980cc37c)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/essay.png?id=5ada788558fa89228aea)
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる