鈍色の世界が私の全て

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あれから、宰相もといレイブンはちょっと失礼しますと言い部屋を出で行ってしまった。
その間、サーシャから簡単に今の現状を説明してくれたが話を聞く度にゼレブレイの対応に驚きを隠せない。


今までの戦で死んでいったと思っていた仲間達は捕虜として捕えられ身体を癒やし今ではこの国で家族を持ってる者や働いてる者もいると告げられた時は動揺を隠せなかった。イルタント兵は国の為、命を賭してでも戦う矜持を常に持っていると思っていた。勿論、それは私もだ。何故、国を裏切ったのかと湧き上がる怒りもあったがその一方で無事で良かった。幸せに暮らしているんだと安堵の気持ちで胸を撫で下ろした。


今回の戦で出陣した兵も今、ゼレブレイで生活している元兵士も口を揃えて隊長に会いたいと皆懇願してきている。サーシャは眩しいものを見るかの様に目を細め微笑みながら言葉を紡ぎ出す。


もし、逆の立場なら間違いなく敵国の生き残りは見つけ次第、見せしめとして公開処刑にしていただろう。それを殺すでもなく態々、治療まで施し解放するとはお人好しが過ぎる。


それでも、共に戦った大切な仲間だ。その仲間に対して施してくれた恩には敵国の王であっても礼儀を尽くさねばいけない。私は動かない身体なりに必死に頭を下げる。


『陛下、この様な体制で発言する事をお許しください。この度は私の仲間に対し寛大な対応をして頂き誠にありがとうございます。あの子達は私の命令で戦っていたに過ぎないのです。もし、これから…いえ、私達零式の存在がゼレブレイ国の癌になっている様なら私が、零式部隊大隊長である私が見せしめに首を落としますので。』


だから、どうか仲間達が今まで味わえなかった幸せを考えたこともなかった家族を作れるという夢を奪わないで欲しい。勝手な事を言っている事は重々承知で本来なら処刑ものだ。今まで捕虜で捕まった仲間も解放されてはいるが国というものは民の意思、暴動などによって王族の決定を覆す。民だけではない国の上層部はさぞ面白くないだろう。そうなった時を考えると今まで自分がしてきた事に後悔なんてものをする資格はないので何も言わないが仲間は違う。


なぁ、オズ…。と優しく声を掛けられ下げていた目線を上げる


「お前は大きな勘違いをしてるんだ。そもそも、培った悪い思想がお前の視野を狭くしてると自覚を持った方がいい。」


そうだな、どこから話そうかとサーシャは私の頭を優しく撫でながら柔らかい枕の上に戻す。




・・・・イルタントと本格的に抗争が始まった３年前くらいか。


と、ぽつりぽつりサーシャは話してくれた。